特別養護老人ホーム「ウエルハイム・ヨコゼ」をはじめ、ショートステイサービス、居宅介護支援サービスなど多角的に福祉サービスを展開する、社会福祉法人織舩会。採用が厳しい地域でも安定して経営していくため、バックオフィス業務のデジタル化に取り組んでいました。
会計ソフトや人事労務ソフトの導入で工数削減を進めたものの、データベースが3つに分かれたことで管理の煩雑さや転記の工数が課題に。勤怠・給与・会計の一元管理を目指し、同法人は2025年にfreee人事労務・freee会計を導入しました。
導入から数カ月で、会計面では銀行口座同期による毎月の会計処理の効率化に成功。人事労務も年末調整の電子化などでさっそく効果を感じているといいます。
今回は、統括施設長の中根正喜さん、総務・介護課長の豊田真央さん、同じく事務課の吉田郁子さんの3人に、freee会計・freee人事労務導入の経緯や成果、および今後の展望についてお聞きしました。
デジタル化を進めるも、データベースの分断が効率化のボトルネックに
織舩会様の事業概要を教えてください。
中根正喜さん(以下、中根): 特別養護老人ホーム「ウエルハイム・ヨコゼ」の運営を中心に、ショートステイサービス、デイサービス、居宅介護支援サービスを展開するほか、少し離れた場所で「絆の丘」というサテライトの特別養護老人ホームを営んでいます。従業員は、法人全体で100名弱です。
freee導入前は、バックオフィス面でどのような課題がありましたか?
豊田真央さん(以下、豊田): 実はfreee導入前から電子化には取り組んでおり、勤怠・給与・会計の各分野でスタンドアローン型のツールを段階的に導入し、業務の工数削減を進めていたんです。ただ、データベースが3つに分かれてしまうことで、ソフト間を行き来する手間がかかっていました。
たとえば、勤怠データを給与計算ソフトに取り込んで給与を計算したり、給与計算の結果を会計ソフトに手入力で打ち直したり。同じ数字を何度も扱う転記作業が発生し、その過程でミスも発生するので、一元管理できるツールを求めていました。
勤怠・給与・会計の一元管理を目指すなかで、freeeの導入を決めた理由を教えてください。
中根: いくつか類似ツールをリサーチしたなかで、社会福祉法人の財務に対応していたのがfreee会計でした。5事業所を運営する社会福祉法人として私たちが求めていた機能が一通りそろっていたので、特に迷うことなく契約に踏み切りましたね。
口座連携・自動登録ルールで毎月の会計処理がスムーズに。請求書を1行ずつ読む手間も解消
freee導入後の成果を教えてください。
吉田郁子さん(以下、吉田): 一番ありがたいと感じているのは、銀行口座が自動連携できる点ですね。以前は記帳した通帳かインターネットバンキングを見ながら仕訳をしていたのですが、今はfreee会計の明細から直接仕訳ができるようになりました。リアルタイムにキャッシュフローを確認できる安心感もあります。
豊田: 自動登録ルールのおかげで、毎月の会計処理にかかる時間が体感で半分くらいに減っています。以前は経費1件ごとに勘定科目、取引先、金額、内容などを1つずつ入力していました。しかし今は、毎月決まって発生する家賃やリース料などの支払いを、自動登録ルールにより1件5秒ほどで処理できるようになっています。
まだ導入完了から2カ月程度ですが、かなり肩の力が抜けた実感があります。
予想外に便利だったと感じる機能はありますか?
豊田: アスクルやAmazonなどのECサイトで取引した請求書が自動で取り込まれる点にとても驚きました。
freee会計導入以前は、ECサイトが発行する請求書から1行ずつ転記していました。その際、商品ごとの勘定科目を担当者が目視で分ける必要があり、毎月大きな煩わしさを感じていました。今は、請求書PDFが自動的に連携され、取引登録と紐付けが容易になったので、かなり楽になりましたね。
吉田: 入力した金額が間違っていると登録ボタンを押せないのも便利です。作業中に間違いに気づけるようになり、後になって「どうして金額が合わないんだろう」と頭を悩ませることがなくなりました。
給与明細出力のヒヤリ・ハットが減り、精神的負荷が軽減
複数事業所を運営する観点から、freee会計が便利だと感じた部分はありますか?
豊田: 水道光熱費など事業所ごとに按分するものについて、以前は按分すると総額がわかりづらい状態でした。それが今はカスタムレポートで確認でき、「何月のウエルハイム・ヨコゼの電気代はいくら」と一目でわかるので便利です。
吉田: 支出だけでなく、収益も含めてグラフで一望できるのもありがたいですね。グラフを初めて見たときは、豊田と2人で感動したのを覚えています。いずれコストカットなどの経営判断にも役立てていきたいと考えています。
freee人事労務については、導入後はどのような効果がありましたか?
中根: 一番効果を感じているのは、給与明細の出力が楽になった点です。勤怠情報が自動で取り込まれ、ボタンを押せば出力されるので、転記によるヒューマンエラーを予防できるようになりました。
給与明細は、1行でもズレるとほかの人の明細が渡ってしまって大問題になります。以前は目視での確認に神経をすり減らしていましたが、その必要がなくなり、精神的負担がかなり減りました。
また、年末調整でも効果を感じています。従業員は書類を手書きする必要がなくなり、労務担当者は100人分の書類を管理する煩わしさを解消できて、お互いにストレスが減りました。
freee人事労務は、スマホアプリにより従業員の皆さまにも中身を確認いただけますが、反応はいかがでしょうか?
中根: 個人差はあれど、全体的に大きな支障はなく使いこなせている印象です。
紙の給与明細を管理しなくてよくなった、有給残数がスマホで確認しやすいなどの点で、従業員も恩恵を感じていると思います。
デジタルツールへの苦手意識は克服する価値がある。人口の少ない地域だからこそ感じる自動化の必要性
今後の業務効率化の展望について教えてください。
豊田: 今はまだ従来のシステムと並行してfreeeを使っていますが、2026年はfreeeに統一していこうと考えています。紙で届く請求書を写真で読み込むAI-OCRなど、便利だと感じながらまだ活用できていない機能をもっと使いこなして、効率化を進めていきたいです。
中根: 人事労務に関しては、雇用契約書作成の自動化を進めていきたいですね。
freeeの活用を機に、就業規則をアップデートし、付随する規約の見直しもできました。今は、給料の増減などが従業員情報から自動反映されるよう設定を進めているところでして、将来的には年度が変わるたびにPDFをワンタッチで発行し、サインだけもらえればいいようなフローを目指しています。
また、バックオフィスに限らず法人全体の構想として、カメラやセンサーにより部屋にいながら利用者さんを見守れる体制を構想しています。
最後に、バックオフィスの負担を課題とする福祉事業所へのメッセージをお願いします。
中根: 介護従事者の方には、デジタルツールに苦手意識を持っている方も少なくないと思います。ですが、これからの人手不足の時代を乗り切るために、その苦手意識は克服していく価値があります。
特に、私たちと同じように、人口の少ない拠点で事業を営んでいる事業所には、雇用が安定しないなかでも組織を安全に運営していく仕組みが欠かせません。freee会計・人事労務のようなツールの導入も含め、「今より便利にするためにはどうすればいいか」と研究していくことが大事だと思います。

