「目の前の手作業をなくすだけでなく、浮いた時間でパートの従業員の皆さんがより長く安心して働ける環境を整えたい。」そう語るのは、一人でバックオフィスの全業務を背負いながら業務改革を推進してきた清野さんです。紙の書類が飛び交う年末調整や、毎月1週間を費やしていたパート従業員の勤怠データの直接入力。独自の技術で高品質な野菜を育てる株式会社ベジ・ファクトリーは、いかにして現場を支えるバックオフィスの基盤を再構築したのでしょうか。
目先の作業だけにとらわれず、現場の環境改善や工場ごとの原価・配送コストの可視化へと舵を切った同社。一人バックオフィスの壁を乗り越え、事業の成長と現場の支援を両立させる「人に優しいバックオフィス」の構築と、freeeとともに歩む変革についてお話を伺いました。
「なぜこんな手作業を」一人で挑むバックオフィスの変革
まずは、清野様が株式会社ベジ・ファクトリーに入社された当時の、バックオフィス全体の状況について教えていただけますか。
株式会社ベジ・ファクトリー 清野様(以下、清野):入社した当時は、まさに「一人バックオフィス」という状態でした。経理や会計はもちろんのこと、人事、総務、さらには登記手続きなどの法務業務に至るまで、管理部門のあらゆる業務を一人で担わなければならない状況でした。
あらゆる管理業務を一人でこなされていたのですね。特にどのような業務に負担を感じていらっしゃいましたか。
清野:特に大きな負担となっていたのが、工場で働くパート従業員の勤怠管理業務でした。当時、打刻データ自体はタイムレコーダーで集計されていたものの、それを給与計算システムへ連携する仕組みがなく、すべて手作業で入力していました。
手入力での勤怠管理とは、具体的にどのような作業内容だったのでしょうか。
清野:30名弱のパート従業員全員の勤怠データを、1日ずつ、1行ずつ画面に手入力していました。勤務時間やシフトパターンが皆さん違うため、まとめて一括登録することもできず、ただひたすら地道に打ち込み続けるしかない状態でした。
1日ずつ手入力するのは、相当な膨大な時間がかかりますね。
清野:はい。毎月、勤怠締めの時期が来ると「午前中はひたすら勤怠の直接入力、午後は別の業務」という日々が丸々1週間続きました。入力作業だけで1週間も手を取られてしまうため、他の本来やるべき業務がすべて後回しになってしまっていたのです。
日々の必須作業に追われ、精神的・時間的な余裕もなくなっていたのですね。
清野:「なぜこんなに非効率な作業を毎月続けなければいけないのだろう」という疑問がありました。本来なら業務の改善活動や生産性の分析に時間を使いたいのに、目の前の入力作業をこなすだけで精いっぱいという苦しい状況でした。
確認だけで済むようになった勤怠管理。劇的な時間短縮がもたらした心理的安全性
入社後にそのような手入力を経験されて、清野様はまずどのようなアクションを起こされたのでしょうか。
清野:「これはさすがにやめたほうがいい、絶対に改善すべきだ」と感じました。実は私が入社する直前、前任者が退職してから私が入社するまでの間、親会社が一時的にこの勤怠入力を代行していた時期があったそうです。その際にも「なぜこんな手作業をやっているんだ」と問題視されていました。
親会社からも疑問視されるほどの運用だったのですね。改善に向けて、具体的にどのような見直しを行ったのですか。
清野:まず契約内容を確認したところ、当時は「freee人事労務」のプランが1ランク下のもの(勤怠の自動連携機能が含まれないプラン)で契約されていたことが分かりました。そのため、打刻システムのデータを手動で1項目ずつ打ち込む必要があったのです。そこで、契約プランを1ランク上げる申請を行いました。
プランを変更することで、勤怠管理の運用はどのように変わったのでしょうか。
清野:プランをアップグレードしたことで、タイムレコーダーの打刻データが「freee人事労務」へ自動で直接連携されるようになりました。これにより、これまで毎週1週間かけて行っていた手入力作業が完全にゼロになりました。
1週間かかっていた手入力が完全に不要になったのですね。実際の作業時間や負担はどれくらい変化しましたか。
清野:以前は午前中の時間を丸々使って1週間かけていた作業が、今では自動連携されたデータのエラーチェックだけで済むようになりました。さらに最近ではシステム側でアラート機能や自動リセット機能が強化されたため、打ち忘れや入力ミスの確認も一瞬で終わるようになり、劇的な時間短縮が実現しました。
手作業のストレスから解放された瞬間、どのようなお気持ちでしたか。
清野:「本当に変えて良かった」と心から安堵しました。バックオフィス全体の業務の中でも、この勤怠管理の自動化が一番の作業時間短縮になりましたね。無駄な作業に追われる苦痛から解放され、ようやく本来やるべき業務に集中できる土台が整いました。
年末調整のオンライン化と紙運用を同時運用
ー ゼロを目指し段階的にアプローチ ー
勤怠管理に続いて、年末調整業務でも大きな苦労があったとお聞きしました。以前はどのような運用をされていたのでしょうか。
清野:入社当初は、年末調整もすべて「紙」で運用されていました。パート従業員全員に渡す書類を手配・印刷し、一人一人に配る準備をするだけでも膨大な時間と手間がかかっていました。
紙での配布や回収だけでも、大変な事務作業が発生していたのですね。
清野:はい。特に個人情報を扱うため、人数分の専用封筒を用意して封入・配布しなければなりませんでした。さらに、書き方が分からないパート従業員向けに記入マニュアルを印刷して添えるなど、事前の準備段階だけで多くの時間を費やしていました。
回収後の入力やチェック作業も、すべて清野様ご自身で行われていたのでしょうか。
清野:はい。提出された紙の書類を1枚ずつ確認しながら、提出された情報をシステムへ手入力で打ち込んでいました。年末の繁忙期にこの膨大な手入力作業が一気に押し寄せるため、精神的にもかなりのプレッシャーでしたね。
その過酷な紙の運用を、「freee年末調整」によるWeb手続きへどのように移行されたのですか。
清野:パート従業員自身のスマートフォンやPCから直接入力してもらう方式へ切り替えました。メールアドレスを持たないパート従業員にも個別のログインIDを発行し、「自分の画面から入力して画面上で完結させてください」と説明して切り替えていきました。
従業員の方々から不安や反発の声はありませんでしたか。
清野:年配の方やスマートフォン操作に慣れていない方には無理強いせず、紙での提出も残す柔軟な形で進めました。ただ、紙で提出する方の多くは申告する控除項目がないケースが多かったため、Webに移行できる人の多くを移行できただけでも劇的な効果がありました。
Web化されたことで、年末調整の負担はどのように変わりましたか。
清野:証明書などもデータで添付・提出してもらえるようになり、原本の回収や入力の手間が劇的に減りました。また、提出されたデータはAIが事前にチェックしてくれるため、確認作業が格段にラクになり、精神的な負担も一気に軽くなりましたね。
作業から解放され、工場別の原価分析や配送コスト管理へシフト
勤怠管理や年末調整の効率化によって時間が生まれたことで、清野様ご自身の業務や意識にはどのような変化がありましたか。
清野:以前は「目の前のやらなければいけない必須業務」をこなすだけで一日が終わっていました。しかし業務が効率化されたことで時間的・精神的な余裕が生まれ、工場全体の改善活動や数字の分析といった業務に目を向けられるようになりました。
具体的に、どのような分析や改善に取り組まれるようになったのでしょうか。
清野:例えば、工場ごとの生産量や労働時間の分析、さらには製品の包装形態(例えば、5kgバルクか個包装か)による資材コストや人件費の違いなど、詳細な原価分析を行えるようになりました。
複雑な物流コストの把握にも着手されているそうですね。
清野:はい。配送業者ごとに「1回あたりの基本運賃」や「納品箇所数」によって配送料の計算が大きく変わるため、取引先ごとに実際に配送コストがいくらかかっているのかを視覚化し、コスト管理を徹底できるようになりました。
現場改善を支える存在へと役割が変わっていったのですね。
清野:そうですね。また、植物工場は多様なシフトや作業工程がありパート従業員の出入りも多いため、浮いた時間を使って「パート従業員の皆さんがより長く安心して働ける環境づくり」や評価制度の改善にも取り組めるようになりました。
手作業に追われていた過去を振り返り、現在の環境についてどのように感じていらっしゃいますか。
清野:freeeのようなシステムを活用して無駄な作業を省いたからこそ、バックオフィスから事業の生産性向上や現場の環境改善に貢献できるようになりました。これからもデータを活かし、より良い現場づくりを支えていきたいと思っています。
