現場の収支と労務をリアルタイムに|事業拡大を見据えた基盤づくりで、電気から十勝の暮らしを守る

相互電業株式会社

管理部 今野 愛菜

現場の収支と労務をリアルタイムに|事業拡大を見据えた基盤づくりで、電気から十勝の暮らしを守る

課題(導入前の悩み)

  • 最大2ヶ月のデータ反映のタイムラグ
  • システム間での手入力・転記
  • 終了した工事しか数字を追えないもどかしさ

導入の決め手

  • kintoneとスムーズに繋がるAPI拡張性
  • 将来の多拠点化にも耐えられるシステム構造
  • 幅広い年代がスマホで直感的に使える操作性

効果(導入後の成果)

  • 毎月1日分のバックオフィス業務時間を短縮
  • 新年度わずか2ヶ月で精度の高い着地予測
  • リアルタイムな数字共有による全員経営の実現

目次

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北海道・十勝の広大な大地で、電気工事と電気保安業務を通じて地域の暮らしと産業インフラを支え続けてきた相互電業株式会社。少子高齢化に伴う職人不足や人口減少が深刻化し、公共工事の入札不成立や地域の維持困難が危ぶまれる中、同社は「十勝のインフラを守り抜く」という強い使命感を胸に成長を重ねてきた。

しかし、かつての経営管理は「終わった工事の過去の数字を見る」状態にあり、最大2ヶ月のタイムラグが生じ、経営指標をタイムリーに判断できない状況が続いていた。

この状況を解消するため、同社は現場の原価管理を担うkintoneと、経営数字をリアルタイムに把握するためのfreee(会計・人事労務)をシームレスなAPI連携で解消しようと試みた。最高齢80代の職人もスマートフォンで使いこなす柔軟な勤怠運用を実現し、バックオフィスの手間を削減するとともに新年度開始わずか2ヶ月で年度末の着地予測が立つ体制を確立。数字の透明化を武器に、若手へ経営感覚を繋ぐ「全員経営」の未来を切り拓いている。

2ヶ月遅れの確定数字。「終わった工事」の利益しか見えなかった過去

貴社の事業概要と、地域における役割について教えていただけますか?

山口美里様(以下、山口): 当社は電気工事業と電気保安業務の2つを主軸として事業を展開しています。電気工事では地元・十勝や北海道内のゼネコン様からの下請け工事を中心に、現場管理から施工までを手掛け、電気保安業務ではビルや工場など高圧受電設備の定期点検・保守を担っています。地域インフラを守る存在として、確実な業務を積み重ねてきました。

freeeを導入される以前は、どのようなシステム構成でバックオフィスや現場管理を運用されていたのでしょうか?

今野愛菜様(以下、今野): 勤怠管理には別のシステムを導入し、会計処理には税理士先生が推薦する会計ソフトを使用していました。当時から日報管理にkintoneを活用していましたが、勤怠データからなる給与データを会計システムに手入力で転記する作業がかなり残っており、従業員が多くなって行く中でこの運用が続けられるのか不安でした。

手入力の負担に加えて、経営や現場管理の面ではどのようなタイムラグが生じていたのでしょうか?

山口: 当時使用していた会計ソフトでは、未来の日付の仕訳を入力できず、月次の締め処理を経て試算表などの帳票が出力されるまで、自分が携わった工事の利益がどれだけ出ているのか確認できませんでした。請求書の到着や締め作業のタイミングによっては、見ることができるのが最大で2ヶ月も前の確定数字という状態でした。

意思決定の面で、その最大2ヶ月のタイムラグは具体的にどのような影響を与えていたのでしょうか?

今野: 現場の担当者が帳票を受け取った時には、すでにその工事は終わっており、次の現場へ動いています。「終わった工事」の過去の数字を後から振り返ることはできても、進行中の現場に対するタイムリーな指示や、リアルタイムな経営判断には活かしにくい状態でした。もっと素早く数字を把握し、現場と共有できる仕組みが必要でした。

そうした中で、組織の規模拡大や事業展開に伴い、システム見直しの機運が高まっていったのですね。

山口: 従業員数が20名、30名と増えていく中で、手入力による勤怠集計の限界と仕分け作業が煩雑になる中で、スピード感の欠如がより浮き彫りになっていきました。この地域における職人不足や世代交代といった課題に対応し、地域インフラを守り続けるためにも、リアルタイムに数字を把握できる経営基盤への移行が不可欠だと考えるようになりました。

kintoneとfreeeの融合。原価管理と会計をシームレスに繋ぐ決断

会計ソフトやバックオフィスシステムの刷新にあたり、どのようなツールや構成を検討されたのでしょうか?

山口: 会計ソフトの移行を考えるにあたり、現場業務の軸であるkintoneとの連携や親和性を最優先に検討しました。さまざまなツールを比較検討する中で、APIが非常に豊富で拡張性が高く、将来的なデータ活用やAI活用まで見据えられる点が決め手となり、freee会計の導入を決断しました。

貴社では現場の工事原価管理をkintoneで行い、会計をfreeeで運用されているとのことですが、役割分担はどのようになっているのでしょうか?

今野: 案件ごとの詳細な原価や協力会社様への発注データなど、現場に密着した原価管理はkintone上に集約しています。そのkintoneで集計された原価データや仕訳情報をAPI経由でfreee会計へ連携させ、会社全体の試算表や決算数値をスムーズに確定させる体制を整えました。

kintoneとfreee会計をシームレスに連携させる仕組みづくりにおいて、どのような点にこだわりや工夫がありましたか?

今野: 「どのタイミングでデータを飛ばすか」「どのルールで数値を一致させるか」といったデータ連携の設計には時間をかけました。経理の現場がkintoneで入力した数字がそのまま精度高くfreee会計に反映され、原価台帳と会計データの双方が常に正しい状態に保たれるよう、自社内で一つひとつ整理しながら連携フローを組み上げていきました。

自社でAPI連携や運用フローを構築された背景には、どのような思いや狙いがあったのでしょうか?

山口: 単に会計ソフトを新しくするだけでなく、将来的な子会社設立や多店舗・多拠点展開といった会社の成長スピードに耐えられるシステム基盤をつくりたかったからです。拡張性のあるAPI連携の仕組みを自社で理解して持っておくことが、今後の迅速な事業展開に不可欠だと考えました。

この連携基盤が完成したことで、数値管理や将来的な組織づくりにはどのような変化や手応えがありましたか?

山口: 月次の締めを待たずともリアルタイムでお金や試算状況がわかるようになっただけでなく、将来的に拠点を増やした際、現場や支店を任せる社員にもリアルタイムな経営数字を共有できる土台ができました。社員が経営感覚を持って挑戦し、支店や子会社を任せられる組織づくりへの大きな一歩だと感じています。

手入力と転記の手間からスムーズな運用へ。バックオフィス全体で毎月3日分の時間を創出

人事労務や勤怠・給与計算の分野では、freee導入前までにどのような業務課題がありましたか?

今野: 以前は打刻や有給申請などのデータを一度集計した上で、給与計算ソフトへの勤怠結果の転記や給与計算ソフトでは対応できない手当等は手作業の計算に落とし込み、最終的な集計結果を会計ソフトへ手入力で打ち込んでいました。システムごとに同じ情報を何度も入力し直す手間が残り、集計と確認に多くの時間と労力がかかっていました。

freee人事労務を導入し、給与計算や勤怠管理のフローはどのように変化したのでしょうか?

今野: 打刻や申請から給与計算、会計への給与仕訳の自動連携までが、一括してスムーズに流れる仕組みに変わりました。転記作業や紙の給与明細が不要になり、勤怠確認から給与処理までのバックオフィス業務全体で、毎月トータルで勤怠業務だけで、丸1日分の時間をスムーズに浮かせることができましたし、経理業務を含めれば毎月3日分短縮ができたと考えています。

現場のスタッフや職人の皆様へ新しい勤怠・申請ツールを定着させるにあたり、工夫された点や配慮されたことはありますか?

山口: 現場ではスマートフォンからの打刻や残業申請を基本としました。当社には80代のベテラン社員も在籍していますが、freeeの画面構成が非常にシンプルで直感的に操作できるため、戸惑うことなく日常業務に溶け込み、問題なく使いこなしてくれています。

人件費や会計データが一元化されたことで、年度の試算や計画策定にはどのような変化がありましたか?

山口: 当社は6月が期首なのですが、人件費も含めた数字を早期に見える化したことで、新年度が始まってわずか2ヶ月ほどの段階で、今年度の着地予測や利益計画をかなり精度高く立てられるようになりました。

そうして試算や予測がスピーディに立つようになったことは、経営や組織運営にどのようなプラスの影響を与えていますか?

地域インフラを守り抜く。数字の透明化がひらく「全員経営」の未来

十勝や北海道という地域において、電気工事業界が直面している現状や課題について教えていただけますか?

山口: 地方では高齢化や人口減少に伴う職人不足が深刻です。公共工事の入札者もおらず案件が流れてしまったり、地域でこれまで電気メーター交換を担っていた会社様が対応できなくなるといった事態が実際に起き始めています。

インフラの維持が危ぶまれる中、地域で直面している危機感はどのようなものでしょうか?

山口: 工事ができなくなったり、必要なメーター交換が滞ると、地域住民の皆様の暮らしそのものが成り立たなくなってしまいます。「誰かがやらなければ地域を守れない」という強い危機感を抱いています。

そうした地域課題に対して、貴社はどのような展望や取り組みを進めていらっしゃるのでしょうか?

山口: 当社だけが生き残るためではなく、地域全体のインフラを守り続けるために、ミャンマーをはじめとする海外人材の育成・活用を進めています。自社で責任を持って電気工事士や施工管理の技術者を育成し、人員を補強していく計画です。

将来的な拠点展開や人材育成を進めていく上で、今回の経営・会計基盤の構築はどのように効いてくるのでしょうか?

今野: 拠点が広がったり子会社が増えたりしても、kintoneとfreeeが連携した仕組みがあることで、どの拠点・どの現場でもリアルタイムに正しく数字を把握できるようになります。管理コストを無駄に増やさず、スピーディに事業を展開できる土台ができています。

リアルタイムな数字の可視化と基盤構築を経て、今後の組織づくりや「全員経営」に向けた抱負をお聞かせください。

山口: 経営数字をオープンにし、現場の若い世代やこれから支店・子会社を任せるメンバーにリアルタイムな収支を見せていくことで、一人ひとりが経営感覚を持って行動できる組織に育てていきたいです。数字の透明性を武器に、十勝・北海道の暮らしを守り続ける企業として成長を続けていきます。

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