株式会社紳は「すべての人に、彩りを。」という経営理念のもと、障害のある方がサポートを受けながら共同生活を送れるグループホームの運営を中心に、障害福祉サービス事業を展開しています。
代表の三井紳碁様は創業時からバックオフィス業務の効率化が不可欠であると考え、freee会計・freee人事労務を導入。6施設を展開するようになった現在でも、1人で従業員70名分の給与計算・年末調整・会計処理などの業務を遂行できる体制を実現しています。
今回は、創業時からのfreee導入による業務効率化の効果や、これから開業を検討されている方に向けたアドバイスまで、詳しくお話を伺いました。
想定された課題
・従業員増加による給与計算・年末調整業務の複雑化
・事務員の雇用による人件費の増大
導入の決め手
・バックオフィス業務が初めてでも直感的に使えるUI/UX
・ペーパーレス化による時間・コスト削減
導入後の効果
・約70名分の給与計算・年末調整業務を1人で完結
・早期のシステム導入により事務員2名分相当の人件費を削減
「困っている人を助けたい」創業から3年で6施設・70名規模に成長
――障害福祉サービス事業を展開されている株式会社紳様。貴社の事業の特徴についてお聞かせください。
三井紳碁さん(以下、三井): 障害のある方がサポートを受けながら共同で生活できる、グループホームを運営しています。身体障害、知的障害、精神障害の3障害に対応しており、寝たきりや医療的ケアが必要な方、自傷他害といった行動がある方など、他施設では受け入れが難しい重度の方にも対応できるのが特徴です。
――この事業を始めようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
三井: 「困っている人を助けたい」という想いが、この事業を始めたきっかけです。事業の立ち上げを進めていくうちに、受け入れ先の少ない重度の障害をお持ちの方々の現状を目の当たりにし、そのような方でも受け入れられる体制を整えたんです。
その根本には「世の中に必要とされる事業所であり続けたい」という想いがあります。また、受け皿の少ない方を対象としたことで経営面でもうまくいき、創業から3年以上経った現在、6施設にまで事業拡大しました。
――従業員としても、障害のある方を積極的に受け入れていると伺いました。
三井: 従業員の約10%〜15%の方が障害者雇用です。障害のある方だけでなく高齢の方なども積極的に採用し、それぞれの強みや特性を活かせる職場環境づくりに力を入れています。
その人が合うかどうかは働いてみないとわかりませんし、私はその人の良いところを見つけたいんです。だからこそ「働きたい」と言ってくださる方は積極的に受け入れ、創業時から安定して良い人材に恵まれています。
現場第一でバックオフィス業務を最小化。創業時からのfreee導入がもたらす効果
――人材確保が順調に進んだ一方、事業拡大や従業員の増加に伴いバックオフィスの業務量も増えたと思います。現在はどのような体制なのでしょうか?
三 井: 創業時からfreee会計・freee人事労務をセットで導入し、バックオフィス業務はすべて私が1人で担当しています。現場を大切にしたいので事務員は雇用せず、従業員は利用者支援に専念してもらっているんです。
――なぜ創業時からfreeeを導入されたのか教えてください。
三井: 施設の開所による従業員の増加や将来の事業拡大を考えると、いずれシステム導入が必要になることは明らかだったからです。事務員を雇うコストを抑えるため、バックオフィス業務の徹底的な効率化が創業時からの課題でした。
freeeのほかにも2〜3社に問い合わせをして比較したのですが、最終的な決め手は直感的な使いやすさでしたね。前職でfreeeの画面を偶然見かけたことがあり、その時の「視覚的にわかりやすそう」という印象が残っていたんです。実際にデモを触ってみて、これなら自分でも使いこなせるだろうと確信し、開所する3ヶ月前のタイミングでfreee会計とfreee人事労務をセットで導入しました。
――創業時からfreeeを使うことで、どのようなメリットを感じていますか?
三井: バックオフィス業務の手間を最小限に抑えることで、経営者として一番大切にしたい業務に、時間と気力を使えています。
たとえば、当事業所では従業員のがんばりに即時に応えられるよう、随時昇給を行っています。従業員が増えた今もなお、細やかな判断ができるのは、freeeのおかげですね。
freee人事労務であれば所得税や保険料の計算なども自動です。これがなかったら1人で70名分の給与の管理は無理でした。
6施設の会計を一人で完結。freee会計で500件の取引データも一括処理
――freee会計も導入されていますが、具体的にどのように運用されているのでしょうか。
三井: 銀行口座やカード取引はデータを自動で取り込み、仕訳作業を行っています。freee会計と連携できない現金での支払いを極力減らし、各施設の従業員にデビットカードを渡して管理することで、6施設分の会計処理にも対応できています。1ヶ月で約500件の仕訳処理が発生することもあり、これをfreee会計なしで1人で対応するのは無理でした。
――会計処理を効率化する際に気をつけたことはありますか?
三井: とにかく紙を減らすことを徹底しました。たとえば、請求書は作成からメール送付まで、ほぼすべてfreeeで電子化しています。メールが使えない方には、請求書をPDFで出力してショートメールやLINEで送るなど、ほとんどペーパーレスで対応できるようになりました。
――なぜペーパーレス化を重視されたのでしょうか。
三井: 前職で請求書の印刷や郵送などの作業にかかる手間を見てきたので、「絶対にやりたくない」という強い気持ちがありました。手間だけでなく、紙代や郵送費といったコストもかかりますし、作業のための事務員を雇用する必要もでてきます。システム導入にはコストがかかりますが、長期的に見ると紙での運用にかかるコストのほうが高いと考えたんです。
利用者と従業員の幸せを守るため、freeeとともに挑み続ける事業運営
――創業時からfreeeを導入して感じたメリットを教えてください。
三井: 一番大きいのは人件費の削減です。freeeを導入したことで、事務員2人分に相当する業務を私1人で担えています。freeeがなければ、現在の規模に私だけでは対応できませんでした。
今後は新しい事業に挑戦するために、私以外の人にもバックオフィスを任せられる体制を整備したいです。ほかの人に任せやすい体制を整えられるのも、freeeのメリットですね。
――事業にかける想いやこれからの展望をお聞かせください。
三井: 変わらず私の根本にあるのは、「支援を必要とする方々の力になりたい」という想いです。行き場が少ない方を受け入れて、必要とされる事業所でありたい。利用者も従業員も家族も関係事業者も、関わるみんなが幸せになれるような事業を続けていきたいです。
今後は三重県内で新しい施設を増やしたり、農業を始めたりしようとしています。農業は障害者雇用とも相性がいいことに加えて、私の以前からの目標でもありました。これからも現場を第一に考えながら、挑戦を続けていきたいと思っています。
――これから開業を考えている 方に、メッセージがあればお願いします。
三井: 可能な限り業務を電子化することをおすすめします。私自身、「紙だけで対応していると、あとでエライことになる」と思い、freeeを導入しました。人件費をかけられない創業時は、バックオフィス業務も含めすべて代表が対応することが多いと思いますが、その状態で手が回らなくなってからシステムを導入するのは大変です。
初期費用はかかりましたが、freeeを活用することで決算の修正や給与計算ミスなどを未然に防ぐことができ、これまで大きなトラブルはありませんでした。将来の事業拡大にも備え、ぜひ創業初期の方やひとり法人の方もfreeeを検討してみてください。