2019年3月30日にオープンしたみやこ下地島空港ターミナルは、「空港から、リゾート、はじまる。」をコンセプトに、飛行機から降りた瞬間から、そこが空港であることを忘れてしまうほどのリゾート感と開放感にあふれる空間で来島者をお迎えしています。
国内・国際線の誘致にも次々と成功し、国内外からのアクセス性は飛躍的に向上しています。
こうした急成長と事業拡大を続けるターミナル運営を支えているひとつが「バックオフィス業務のクラウド化」です。本記事では、あえて自社には専任人材を置かず、クラウドシステムと外部専門家との連携によって実現したバックオフィス構築のお話をまとめました。
「あえて専任人材は置かない」
バックオフィスの体制づくりにはどのようなお考えがありましたか?
佐藤様:経理や労務というのは、決して間違いがあってはいけない業務ですよね。ですから本来なら、経理と労務の両方を経験している方を1名、あるいはそれぞれ専任で1名ずつの計2名は、絶対に必要だろうと思っていました。
私はターミナルの立ち上げ時は在籍しておりませんでしたが、全国的にも人材不足と言われる状況でしたし、当時のことを思うと、そうした専任人材を採用するのはかなり難しかったという実態があったと思います。
人材不足という状況下で、どのような選択をされたのでしょうか?
佐藤様:現在も当時の体制を踏襲しておりますが、『クラウドの会計ツールや人事労務ツールを使いながらも実業務は専門家に委託する』という形をとっております。そして、その連携を支えるツールにfreeeを採用しています。
クラウド×専門家で管理、省力化された日々の業務フロー
実際の業務はどのように分担されているのでしょうか?
佐藤様:社内の業務工数は、最小限に抑えられていると思っています。具体的には、佐和田が会計事務所と連携し、私が社労士事務所と連携する形で分担しています。
具体的に会計事務所との連携とはどのようなものでしょうか?
佐和田様:私が対応する経理業務としては、受領した請求書や領収書をfreee会計の「ファイルボックス」にアップロードする作業がメインです。自社から発行する請求書については、freee会計で作成から発行までを行っています。それら証憑をもとにした実際の仕訳入力は、freee会計を介して外部の会計事務所にお願いしています。
ターミナル内には飲食店や小売店舗もあるのですが、その売上データはレジから出力して会計事務所へ共有しています。その他、銀行口座の入金確認、振込の最終承認を行っています。
freee会計の「ファイルボックス」画面。請求書や領収書をアップロードするだけで一元管理が可能(サンプル画像)
社労士事務所との連携はいかがですか?
佐藤様: 給与計算は、社労士事務所へ委託しています。そのため、労務に関して社内で行っているのは、毎月の勤怠データと従業員の最新情報を社労士事務所に共有する程度ですね。 作業自体はfreee人事労務上で実施されているので、給与確定後、給料日になるとfreee人事労務から直接、各従業員へ給与明細がメールで自動送信される仕組みになっています。
だいぶ省力化されていますね。freeeの操作は初めてでか?
佐和田様: はい、初めてです。私が担当になった頃と比べると、便数もお客様も増えたので処理する件数自体は増えているのですが、今も特に混乱することなく対応できています。
下田様: 予実管理の差異分析の際に異常値があった際、freee会計で原因を確認しています。 私もfreee会計を使うのは初めてでした。最初は「どういう風に使うのかな」と思っていました。しかし、特段マニュアルなどがなくても、いろいろと触っているうちに自然と理解できるような、非常にわかりやすい画面設計でした。 数字に疑問を持ったときでも、佐和田がアップロードしている証憑データと会計データがしっかり紐づいているので、確認作業がとてもスムーズです。
航空路線の拡大で取引先が急増。「freeeサイン」で契約業務をペーパーレス化
契約業務のペーパーレス化も進められたと伺いました。
佐藤様:おかげさまで、エアラインの就航数は順調に増加しています。新規路線が1本開設されるだけで、年間数万人、数十万人規模でお客様が増える計算です。それに伴い、ターミナル内の店舗をご利用いただく機会も増え、結果としてお取引先様との関わりも自然と広がっていきます。
契約業務に関して言えば、以前はすべて紙でやり取りをしていました。特に年度替わりになると契約更新が集中するので、決裁者にはひたすらハンコを押す作業が発生しますし、担当者にも郵送やファイリングといった管理の手間が重くのしかかります。金額によっては収入印紙も必要になりますしね。 そうした課題を解決するために、いくつか電子契約ツールを比較検討した結果、最終的に「freeeサイン」の導入を決めました。
佐和田様: 現在、freeeサインは従業員全員がいつでもアクセスできる環境にしています。そのため、「あの契約内容ってどうなっていましたか?」といった総務への問い合わせはありません。過去の契約書の参照や、現在の締結状況の確認などは、現場の担当者がシステム上で自分たちで行えるようになっています。
多様な働き方を支える「freee勤怠管理Plus」
勤怠管理についても「freee勤怠管理Plus」を導入されていますね。どのような背景があったのでしょうか?
下田様:ターミナル内の小売店舗は、テナントではなくすべて自社運営なんです。保安検査を通過する前と通過後にショップエリアが合計3区画あり、複数の店舗を展開しています。航空系の売上と並んで、こうした店舗での商品売上が当社の非常に大きな柱となっているんです。
佐藤様:現場ではパート社員や派遣社員など多様なスタッフが各店舗や事務所で働く中で、勤怠状況の「可視化」を目的としてシステムを導入しました。具体的には、店舗や事務所にICカードリーダーを設置し、出退勤の時間をシステムへ正確に記録しています。客観的なデータに基づく管理を徹底することで、より健全でスムーズな施設運営を支える基盤づくりを進めています。
バックオフィスを一元化。新システム選定の決め手となったfreee同士の「データ連携力」
新たなシステムを選定する際、freeeプロダクトを選ばれた理由は何だったのでしょうか?
佐和田様: 「freeeサイン」や「freee勤怠管理Plus」を新たに選定する際、決め手となったのは、やはり「すでにfreee会計とfreee人事労務を導入していたこと」でした。 他社のシステムも比較検討したのですが、最終的には「同じfreeeプロダクトであれば、データ連携も含めて管理が一元化しやすい」という実務的なメリットが大きかったです。
空港から始まる「まちづくり」。地元事業者と創り上げるオリジナル商品と国際交流の場
最後に、今後の展望やビジョンについてお聞かせください。
佐藤様: 宮古島や伊良部島の事業者さんと一緒にオリジナル商品の開発も行っています。 代表的なものは、地元の酒造所さんと共同開発しているオリジナル泡盛です。「下地島」という名称で、毎年その年のヴィンテージを出してお店に並べています。他にも、宮古島で採れたハチミツや、カツオのおつまみなども、スタイリッシュなパッケージにして展開しています。
下田様: 今年度は国際線が多く就航したのですが、やはり国際線が飛ぶと町の雰囲気も大きく変わってきます。直近では台湾の方が増えたことでウォーターマリンスポーツの業者が増えたりと、空港が入り口になることで町全体が活性化していくのを感じます。「まちづくり」の一助になっているという実感がありますね。 旅行で来られる方をお迎えするだけでなく、宮古島に住む方々にとっても、ここが新しい国際交流の場になったり、海外へ行くための身近な足になったりします。島外からの方にも、地元の方にも利益になるような場所づくりを、これからも目指していきたいと思っています。




