「国家資格のあり方を変え、日本の未来を創る」――。 そんな壮大な志を胸に始動した株式会社Gakken LX。同社が推進するのは、アナログな慣習が根強く残る国家資格の世界を、デジタル技術でアップデートする挑戦です。目指すのは、労働生産性の向上と多様な人材の労働力確保。この両輪を回すことで、日本の停滞感を打破しようとしています。既存の枠組みに捉われない独自のビジネスモデルで急成長を続ける同社。その進化を支える新たな基盤として選んだのが「freee販売」でした。今回は「freee販売」を導入した経緯と、その後の変化について、代表の岩藤様、プロジェクトリーダーの清水様、経理担当の関様・藤山様に詳しくお話を伺いました。
日本の国力を上げるために。「国家資格のDX化」という独自の挑戦
まずは、貴社の事業内容を教えてください。
岩藤様(以下、岩藤): 一言で言えば、「国家資格」と「デジタル化」を掛け合わせ、推進している会社です。私たちの根底には「日本の国力を上げたい」という強い使命感があります。少子高齢化という避けては通れない課題に対し、日本が生き残る道は労働力の「量」と「質」をいかに高めるかにかかっています。そのための具体的な解決策として、国家資格制度のデジタルシフトを進めています。
具体的には、デジタル化によって資格取得や更新のハードルを下げ、リスキリングを促進することで労働の「質」を底上げします。同時に、シニア層や外国籍人材が活躍しやすい環境を整え、労働の「量」も確保する。デジタルというツールで個人の可能性を引き出し、社会全体の生産性を高めることこそが、日本が再び成長するための鍵になると考えています。
具体的にはどのような取り組みをされているのでしょうか。
岩藤: 大きく2つの軸で事業を展開しています。
まず国家資格事業では、国から認可を受けた登録講習・試験機関の運営をオンライン化し、取得から更新までがデジタルで完結する仕組みを構築しています。
一方、DXソリューション事業では、外国人材の技能講習や特定技能を管理する「カケハシ」や、現場の専門用語に対応したリアルタイム通訳システム「Gakken AI Talkey(通称「GAT」)」、AIによる顧客対応システムなどを提供しています。これらのツールを通じて、国家資格の利便性向上と現場におけるDX推進の両面から社会を支えています。
学研グループのリソースを活用し、テキストの作成や配送、動画作成、システム制作、サポートまで、一気通貫で提供できることも強みになっています。
国家資格というと規制が厳しいイメージがあります。そこへ切り込んでいく難しさはありませんか?
岩藤: 確かにハードルは高いですが、今、非常に大きな転換期を迎えています。コロナ禍を契機に、アナログや対面が絶対視されていた国家資格の世界でも急速にデジタル化の波が押し寄せているからです。
例えば、運転免許などもそうですが、これまでは法律によって「対面での受け渡し」や「会場での受講」が義務付けられていました。しかし法律が変わり、オンラインでの申し込みや受講が認められるようになってきています。こうした規制緩和は、私たちにとって極めて大きな追い風になっています。
「貸金業務取扱主任者」のような資格も、かつては特定の協会のみが担っていましたが、現在は専門性と運用能力があれば、私たちのような民間企業が金融庁の認可を受けてオンライン講習を提供できるようになりました。時代の変化が、私たちの挑戦を後押ししてくれていると感じています。
「売上は立っているが、利益がわからない・・・」急成長の裏で露呈した管理の限界
急速に成長される中で、どのような課題を感じられたのでしょうか?
清水様(以下、清水): 創業当初、わずか4名だった組織は2年半で40名を超える規模に成長しました。しかし、事業が多角化し案件数が増えるにつれ、「案件ごとの収支がリアルタイムで把握できない」という課題が生まれました。以前はスプレッドシートで案件を管理していましたが、営業担当ごとに管理手法が異なり、データの精度が保たれていませんでした。
「売上は順調に伸びているはずなのに、蓋を開けてみたら原価が膨らみ赤字になっていた」という案件もありました。1つの案件の中で、外注費やシステム利用料、動画撮影のための講師の手配などさまざまな原価が発生しますが、誰がいつ、どの案件にいくら使っているのかが見える化できていなかったんです。
見積・売上・原価管理は別のツールで行っていたので、情報の転記や突き合わせといった業務が大きな負担になっていましたね。案件ごとの詳細な進捗や利益状況が担当者にしかわからず、経営層やチーム全体で状況を的確に把握できていないことが大きな課題でした。
関様(以下、関): 請求書の発行が営業任せになっており、入金確認まで一気通貫で管理できていませんでした。経理側から見ると、将来的にどれだけの債務が発生するのかも不透明で、経営判断の材料が不足している状態でした。
UIの共通性と「現場が使える」シンプルさが、freee販売導入の決め手
そこから、『freee販売』の導入に至った決め手は何だったのでしょうか。
清水: やりたかったことは、一連の業務を効率化すること、見積から売上・原価管理までを一気通貫で可視化できる体制を整備することでした。他社の専門的な管理サービスも検討しましたが、自社の規模や業務内容に対しては機能もコストもオーバースペックだと感じました。そこで、既に利用していたfreee会計・人事労務との親和性を考え、freeeが掲げる「統合体験」を重視して、シームレスな連携が期待できる「freee販売」の導入を決めました。UIが他のfreee製品と共通しており、メンバーの心理的ハードルが低く、何より会計とデータが直結しているため、二重入力の手間を省きつつ、精緻な原価管理ができる点が魅力でした。
実際に導入される際は、スムーズに進みましたか?
清水: 導入にあたっては、独自の業務フローに合わせた設定に苦労した時期もありましたが、結果として理想的な運用を実現できました。その大きな支えとなったのが、以下の三点だと思っています。
1つ目は他のプロダクトと共通したUIデザインです。操作感が統一されているので、従業員が戸惑うことなくスムーズに使い始めることができました。
2つ目は、極めてスキルの高いカスタマーサクセスの存在です。こちらの複雑な要望や入り組んだ要件を鮮やかに整理して、最適な運用案を提示してくれる担当者は、まさに「成功へ導いてくれる」存在でした。おかげさまで、独自の業務ルールがある自社でも運用を定着させることができました。
そして、迅速なチャットサポートにも助けられました。細かな疑問にも即座に的確な回答が得られたことで、作業を止めることなく設定を進められました。プロダクトの質はもちろん、この手厚いサポート体制があったからこそ、安心して導入を完遂できたと感じています。
「数字のブラックボックス化」を解消。メンバー自らが利益を意識する組織へ
freee販売の導入後、どんな変化がありましたか?
清水: まず、すべての案件の売上と原価がfreee販売に統合されたことで、属人化が解消できました。誰がいつ、どの案件でいくらの利益を出しているかがいつでもわかり、確認のための社内コミュニケーションコストも大幅に削減されました。これまで管理業務に割いていた時間を、より本質的な業務改善の検討に充てられるようになるという確かな手応えを感じています。
数字が可視化されたことで、利益への意識も変わりました。これまではひとつの案件でまるっといくら、のような管理になっていましたが、きちんと原価が見えるようになることで、適切な利益を含め、自信を持って見積もり作成ができるようになってきています。
藤山様(以下、藤山): 経理業務の心理的負担も大幅に軽減されました。営業が請求書の発行から入金確認までを一貫してfreee販売上で行うようになったため、経理側からの『取り立て』のようなコミュニケーションが減りました。さらに、仕入の状況も含めてその案件の損益を、営業のみならず社員全員が把握できるようになっています。
10倍成長へ、AI活用で生産性のさらなる高みを目指す
清水: 現在は「情報の統合」と「脱属人化」が進み、まさに「業務効率化」に取り組んでいるフェーズです。今後は蓄積されたデータを活用した「可視化」と、それに基づく「業務改善」を加速させたいと考えています。freee販売内でのレポート機能の強化や、検収書など対応書類の拡充に期待しています。将来的には、会計・人事労務・販売のデータがさらに深くつながり、プロダクトを意識させない真の「統合体験」を体現していくことを楽しみにしています。
岩藤: Gakken LXが見据える未来は、少人数の精鋭組織で最大の成果を上げることです。今後、2倍の人数で、売上を10倍にすることを目指しています。そのためには、1人当たりの生産性を上げたり、管理業務の徹底した自動化は不可欠です。
清水: AIエージェントとfreeeのAPIを連携させ、請求書の自動記帳やダッシュボードの自動生成といった次世代の運用も視野に入れています。freeeはデータの基盤が統合されているため、AIとの相性も非常に良いと感じています。管理に忙殺される時間を削り、本来のミッションである『国家資格のDX』に全力を注げる体制を、これからもfreeeと共に作り上げていきたいですね。



