大阪府泉佐野市で1969年に開園した、社会福祉法人清和会の清和こども園。隣接する泉佐野教会をルーツに持ち、キリスト教の精神に基づいた保育を半世紀以上にわたり続け、現在は約160名の園児と地域の子どもたちと共に、子どもが育つ場所として園を運営しています。
freee人事労務を導入して1年目の同園では、必要なところから段階的にシステムを取り入れてきました。紙での運用を一部残しながらデジタルを併用することで、無理のない“ハイブリッド型”の体制を築いています。
職員の声に寄り添った導入過程や導入後の変化について、事務長の井手さまと、事務全般を担う小澤さまにお話を伺いました。
給与事務に丸2日。「手作業のリスク」に向き合っていた日々
freee人事労務を導入する前のバックオフィスは、どのような課題を抱えていましたか。
井手さま(以下、井手): 人事労務の業務は、紙を中心にExcelやWord、給与計算ソフトを組み合わせた運用でした。そのため、ミスが起きやすく、ミスが起きると修正に二重三重の手間がかかり、その間はほかの業務が止まってしまう状況だったんです。
給与事務も手作業が多い運用で、リスクと隣り合わせでした。作業の流れとしては、まず、紙で提出された勤怠実績を私が読み上げ、園長が給与計算ソフトに入力します。そして、その内容を確認しながら、今度は銀行の振込システムへ入力し、最終的に紙の給与明細を発行していました。
この一連の作業に、園長と私が毎月、月初の丸2日間を使っていたんです。多忙な園長のスケジュールのなか、給与事務に必要な機密的で集中できる場所と時間を確保する苦労もありました。
急な休みは口頭共有、社保は手書き。現場を疲弊させる「二重・三重の転記作業」
小澤さま(以下、小澤): うちの園では子育て中の職員が多く、お子さんの体調不良などで急なお休みも少なくありません。休みの申請は口頭で受け、職員ごとに分けたExcelのシートで管理していました。
社会保険等は電子申請でしたが、手入力が必要で、社会保険番号等の転記や給与額の間違いがないよう神経を使う、リスクを抱えた運用でした。
決め手は「これならできる」という安心感。手作業からの解放が見えた
freeeの導入を検討し始めたのは、どのようなきっかけでしたか。
井手: ぼんやりとシステム化を考えていたタイミングで、バックオフィス関連の展示会に行ったことがきっかけです。ただ、最初は他社の勤怠管理システムを検討していたんです。しかし、現場でスムーズに利用できるイメージがわかず、長期的に考えようとしていたタイミングで、freeeの担当者から連絡をもらったんです。
そして説明を聞くうちに、このシステムなら、給与計算や有休管理、振込までをスムーズにできそう感じました。省力化や効率化のイメージが持てたんです。
最終的に、freee導入の決め手は何でしたか。
小澤: 勢いとタイミング、直感です。本当に、良いご縁に出会えました。初めて見る人にとっても、わかりやすいUIだという印象もありました。
サポートプランも充実していて、それを解像度高く説明してもらえたので、導入後のスケジュールもしっかり見えたんです。全体像がわかったことが、安心感につながりました。
井手: ミーティングでは、毎回次までにやっておくべき宿題を出していただきました。それが具体的で、「いつまでに、何をやるか」が明確でした。
そして、宿題を進めていくなかで出てきた疑問を次のミーティングで一つずつ解消していく。そうしたやり取りを重ねる中で、園の課題を理解してもらえましたし、私たち自身が業務のあり方を見つめ直す機会にもなりました。
「丸2日の作業」が確認だけに。事務員のみで給与事務は完結
freeeを導入して一番実感している価値は、どのような部分ですか。
井手: 一番大きかったのは、時間的な余裕ができたことですね。今は、freeeを使って事務の2人だけで給与事務が完結するようになり、園長はfreee上で数字を確認するだけで済みます。
時間に余裕ができた分、園長と職員との会話が確実に増え、園長が園長業務に集中できる時間も確実に増えました。
特定の人に依存せず、チームで業務を回せる柔軟な体制が構築できた
運営体制に変化はありましたか?
小澤: 特定の担当者に依存しない体制を築けたことも大きな変化です。現在は私が育休で現場を離れ、事務担当者が3名から2名体制になっていますが、それでも問題なく業務が回っています。必要に応じて他の職員とも連携しやすく、チームで支え合える柔軟な体制がつくれたと感じています。
導入によって、職場の雰囲気やご自身の働き方に変化はありましたか。
井手: 給与計算が末締めで、支払いが9日なので、以前は月初になると焦燥感や、「この期間は絶対に休めない」という心理的プレッシャーもありました。
それがなくなったのが、本当に大きな変化です。freeeの画面上で数字や記録を確認するだけになり、「給与事務はこの1日を確保しておけば大丈夫」くらいの感覚になっています。これまで後回しになっていた仕事に時間を使えるようにもなりました。
「9割の職員が不安」からのスタート。段階的な導入と丁寧な説明が、納得感を生んだ
導入時に感じていた懸念や不安があれば教えてください。
井手:
一番大変だったのは、アプリの導入を周知する段階でした。職員の9割ほどが、新しいシステムを使いこなせるかどうか不安を抱いている状態だったんです。
そんな中、園長と副園長が「やってみて、ダメだったら前の運用に戻したらいい」と言ってくれたことで、「まずやってみようか」と、前に進めました。小澤さんが導入しやすい仕組みをつくってくれたことも弾みになりました。
小澤: 簡単な説明書を作って、クラスごとにアプリの導入スケジュールを組みました。段階的に進めたことで、分からないことは先に使い始めた人に聞ける、園全体で支え合う環境ができたんです。「入れてみたら、こんなに簡単なんや。目から鱗落ちたわ」と言われることもありました。
丁寧に説明した結果、職員にも納得してもらえて、全員で前に進めたと思います。
DXで「人にしかできないこと」に注力し、園児や保護者と全力で向き合いたい
福祉・保育分野でバックオフィスの課題を抱えている法人に向けて、freeeをおすすめするとしたら、どのような点を伝えたいですか。
井手: 煩雑な事務の対応に追われている方には、ぜひ導入を検討してほしいですね。freeeなら作業を一元管理で進められて、あちこちの資料を照らし合わせなくて済みます。
小澤: 「全部を一気に変えなくていい」ということも伝えたいです。私たちも、今でも一部紙の運用が残っています。変えなくていいところは無理に変えなくていいですし、今は使わない機能があってもいい。まずは必要な機能から優先的に使い始め、将来的に活用の幅を広げていけるのは、フルパッケージで提供されているfreeeの良さだと思います。
運用していく中で、自分たちにとっての最適解が見えてくると思います。
今後、バックオフィスの効率化やDX推進に向けて、さらに取り組んでいきたいことはありますか。
小澤: 将来的には井手さんから私への引き継ぎがあるでしょうし、さらに私が次の事務員に引き継ぐ場面も出てくると思います。そこにわかりやすいUIのfreeeがあるというのは、安心材料ですね。
組織のリーダーや担当者が交代しても、迷わず使い続けられるシステムがあるのは、長い目で見てとても大切なことだと思います。継続して利用者さんに価値を提供していくためにも、属人化しない仕組みは欠かせません。
井手: できるだけシステムに任せられることは任せて、私たちは「人にしかできないこと」に、もっと時間を使っていきたいですね。たとえば、何気ない保護者との会話の中で、「こういうことを思っていらっしゃるんだな」と気づくこともあります。
そうした声を拾っていくことが、園の運営改善につながり、結果的には利用者さんの利益にもなっていく。DXは、そのための土台づくりだと思っています。
