課題があれば買って出る
まず、紺田さんのこれまでのキャリアと、レンジャーシステムズ様での役割について教えてください。
私は約13〜14年前、エンジニアとして社員10名未満だった当時のレンジャーシステムズに入社しました。当初からエンジニア業務の傍らで勤怠管理のマクロを作成するなど、バックオフィス周辺の自動化に携わっていました。
バックオフィスへ移ったのは約5年前です。当時は会社の数字や管理基盤を整理する必要があり、「課題があるならやります」と引き受け、完全なバックオフィス領域へ転身しました。現在は経営戦略室にて、経理・労務・法務・財務、営業事務といったコーポレート業務全般を幅広く担当しています。
未経験のバックオフィス業務や専門知識への不安はありませんでしたか?
怖さは全くなかったですね。「まずはやってみよう」という性格もありますし、わからないことは外部のコミュニティで専門家や実践者に直接質問して解を得るようにしていました。セミナーのようなインプット型の情報収集よりも、自社のリアルな課題に対して直接アドバイスをもらえる環境があったことが大きかったです。
日々同じ作業を繰り返すよりも、「ああでもない、こうでもない」と頭を使いながら目の前の課題を解決していくプロセスが好きなんです。
脱Excelとfreee導入。月次決算の早期化と標準化
バックオフィス体制の強化に向けて、最初に着手されたことは何ですか?
何より「Excelでの管理」を排除することでした。以前は業務フローも確立されておらず、締めに2〜3ヶ月かかっていたり、自分が残業してなんとか回している状態でした。
元々エンジニアとして社内のSalesforceの構築も担当していたため、「数字はSalesforce上にあるから、Salesforceと連携できる会計ソフトを選ぼう」と考え、freee会計を導入しました。
あわせて月次のタスクリストを作成し、属人化していたフローを標準化しました。これにより、自分以外のメンバーにも順次業務を渡せる環境が整いました。現在では、月初第2営業日に社員の勤怠や立替精算を締め、5営業日目には月次数字を固めます。そして、毎月の第3月曜日の経営会議で速やかに報告できるサイクルが確立しています。
freee-mcpとAIの衝撃。半日かかっていたチェックが「秒」で終わる
freeeとAI、そして「freee-mcp」の活用によって、業務はどのように変わりましたか?
一番インパクトが大きかったのは、Salesforceの数値と、freee会計の数値の不一致をチェックする作業です。
以前はSalesforceとfreeeの両方からCSVをダウンロードし、Excelで関数を組んで差分を比較して…と、データを作るだけで半日ほどかかっていました。それが今では、SalesforceもfreeeもMCP経由で直結しているため、1画面上で両方のデータを取得し、AIが一瞬で差分を出してくれます。半日かかっていた作業が、わずか5秒〜10秒で完了するようになりました。
その他に、日々の業務でAIをどのように活用されていますか?
給与計算や売上計上のチェック機構としてAIを活用しています。今までは他の突発的な法務チェックや問い合わせ対応に追われながら1〜2日かけて行っていた最終確認を、一次チェックとしてAIに任せられるようになりました。
また、法令改正や労務のルール変更があった際も、まずはAIに「うちの会社の場合はどう対応すべきか」を整理してもらい、その要約を持った上で社労士さんや弁護士の先生に相談するようにしています。Web上の膨大な情報から自社に関係ある部分を探し出す時間が大幅に削減されました。
プロンプトのような難しい指示文を意識するのではなく、「こういう悩みがあるんだけど、どうすれば楽になる?」「この内容で従業員に周知して言葉遣いはきつくないかな?」と、普段の対話や相談の延長でAIを使っています。
頼れるパートナーを得て、「地域貢献」という次の成長領域へ
AIを業務に取り入れたことで、ご自身のメンタルや働き方に変化はありましたか?
一番大きいのは「心理的な安心感」です。バックオフィスは一人で判断や突合を行わなければならない場面が多く、ミスのリスクに対するプレッシャーがあります。AIという頼れる相談相手であり、ダブルチェックを行ってくれるパートナーができた感覚です。
よく「AIに仕事を奪われるのではないか」という議論がありますが、私にとっては大歓迎です。私の本来のやりたい仕事は、定型的な作業ではなく、会社の中にある「課題を無くすこと」だからです。
業務の自動化によって生まれた時間は、現在どのような取り組みに使われていますか?
現在は新しいプロジェクトとして、私の故郷でもある山口県への拠点立ち上げ・プロモーション業務に挑戦しています。地方ではIT企業の選択肢が少ない中で、「地元に残ってIT分野で働きたい」という若い人たちの受け皿を作り、地域社会に貢献することに大きなやりがいを感じています。
定型業務やチェック作業をAIとfreeeの仕組みに任せられたからこそ、こうした新しい課題や挑戦に自分のリソースを100%投入できるようになりました。
バックオフィスのAI活用は「愚痴や相談」から始めればいい
最後に、AIやMCPなどの最新テクノロジーの活用をためらっているバックオフィス担当者へメッセージをお願いします。
「プロンプト」や「MCP」といった難しそうなIT用語に抵抗感を持つ必要はありません。
まずは日頃感じている「この作業、めちゃくちゃ大変なんだけどどうにかして!」という愚痴や悩みを、そのままAIにぶつけてみることから始めてみてください。AIは親身に相談に乗ってくれますし、時には「大変でしたね」とメンタル面のサポートまでしてくれます(笑)。
自分の課題がチェック作業にあるならチェックに使い、資料作成なら作成に使う。正解はありません。一歩踏み出して対話を試してみるだけで、バックオフィスの世界観は間違いなく大きく変わると思います。
会社名: レンジャーシステムズ株式会社
設立:2007年10月
代表取締役:成田 翔一
従業員数:37人
事業内容:ネットワーク統合ソリューション、MVNO支援事業等の提供
URL:https://www.ranger-systems.co.jp/


