神奈川県と愛知県を拠点に、山の斜面などを緑で復元する「のり面緑化」や法面保護事業を展開するオーバル株式会社。「持続可能な社会の実現」と「価値ある技術を次世代に継承」することを目指し、緑化資材の製造・販売から実際の土木工事までを一貫して手掛けています。
今回は、業界特有の「どんぶり勘定」から脱却し、職人の技術を正当に評価できる体制づくりを目指して『freee販売』『freee工数管理』を追加導入された代表の太田様にお話を伺いました。
頑張りが報われない。土木業界の「構造的な課題」への違和感
まずは、貴社の事業内容を教えてください。
太田様(以下、太田): 私自身が仲間とともに独立し、もともと緑化資材の製造や販売の事業を行っていましたが、資材販売を通して工事関係者とやりとりする中で、工事業界が人手不足で需要が大きいことが明確になりました。私には専門的なスキルはありませんでしたが、幸いにも職人の仲間が加わってくれたことで、徐々に実際の工事も請け負うようになりました。私も職人たちから教わりながら知識を深め、現場にも出るようになり、その面白さに惹かれ、熱心に通ううちに、ありがたいことに工事の依頼も増えていきました。
太田様ご自身が経験や知見を持たずとも、新たな事業に挑戦することができているのは、珍しいですね。
太田: そうですね。隣の業界に需要があるとわかっていても、別の事業に挑戦するにはノウハウが必要ですが、技術的なことは職人の仲間がプロフェッショナルとして担ってくれています。繋がりがあってこそですね。一方で、彼らが苦手とする営業や経営の管理といった面は私が担当しており、このバランスが非常にうまくいっていると感じています。今では工事部門が売上の多くを占めるようになりました。
工事は、現在どのくらいの案件が稼働しているんでしょうか?
太田:
現在、工期は短いもので1日から、長いものでは3ヶ月に及び、常時3件ほど稼働し、1つの現場に3人体制で対応しています。特に年度末予算が絡む12月から2月は、工事の仕上げの仕事が集中する繁忙期です。
当社の大きな特徴として、一般的な会社が元請け1~2社のみと取引する中で、私たちは営業活動をせずとも、約40〜50社もの企業からご依頼をいただいています。取引先が多いため、請求書枚数も自然と膨大なものになっていました。
現場に出る中で、他にはどのような課題を感じられたのでしょうか?
太田: 土木の仕事は自然が相手なので、最初の見積もり時と完了時で条件が全く変わってしまうことがよくあります。そのため、最終的な精算は「何人の職人が現場に入ったか」で決まるのがこの業界の常識、いわゆる「どんぶり勘定」でした。
これには大きな違和感がありました。優秀な職人が頑張って早く終わらせても利益が増えるわけではなく、逆に工期が長くて人数が多いほうが儲かってしまう仕組みだったんです。これでは生産性も上がらないし、技術を磨こうという職人のやりがいも奪われてしまいます。
なるほど。正しい評価をするための管理体制はどうされていましたか?
太田: 当時はExcelやホワイトボードで管理していました。しかし、それでは2ヶ月先までの予定を把握するのが限界で、1年後の見積もり管理や、過去の現場とのデータ比較などは全くできていませんでした。すべてのデータを並べて評価するなんて到底追いつかず、ただ目の前の仕事をこなすだけで精一杯の日々でしたね。
「書類が完璧」という元請けからの信用。バックオフィス強化が現場拡大の武器に
貴社は設立当初から『freee会計』と『freee人事労務』を導入されていましたね。
太田: はい。実はこれが意外な強みを生んでくれました。昔からあるような職人さんの会社だと書類管理が不十分なことも多く、それが理由で大きい現場に入れないケースが多々あります。その中で、私たちは工事の経験は浅くても「バックオフィスが強くて書類が完璧に揃っている」という点が元請けさんからの大きな信用に繋がり、新しい現場に入りやすかったんです。バックオフィスの重要性は肌で感じていました。結果として特徴としてお話しした、固定的な取引先関係ではなく、取引先数が多いことに繋がっています。
そこから、『freee販売』と『freee工数管理』の追加導入に至った決め手は何だったのでしょうか。
太田: やはり「自立した経営を行い、自分たちのコストと生産性をしっかり計算したい」という思いからです。どんぶり勘定から脱却し、正確な原価管理を実現するために、導入を決めました。
導入にあたってはfreeeのサポートを受けながら進めました。自社の複雑な業務フローをどうシステムに落とし込むか、第三者から客観的なレクチャーを受けることで、社内への落とし込みも非常にスムーズに進みましたね。
売上は前年比160%へ!見えなかった「作業」の可視化がもたらした圧倒的効果
実際に導入されてみて、現場の皆様の反応や業務への影響はいかがですか?
太田: 現場の負担は大きく減りました。これまでExcelで行っていた煩雑な入力作業が簡単になり、今では現場の責任者がパソコンやスマートフォンから、その日のうちに作業工数を入力してくれています。入力が簡単になったことで日々のルーティンとして定着し、未入力も一目でわかるようになりました。おかげで夜、スッキリした状態で安心して眠れるようになりましたよ(笑)。
経営的な数字や、原価管理の面ではどのような変化がありましたか?
太田: 実は、去年や一昨年に比べて、売上が1.6倍にも伸びているんです 。これは、途中から『freee販売』を入れた効果が非常に大きいです。驚くことに、人を増やしていないのに、バックオフィス業務はむしろ楽になりました。
それはすごいですね! なぜそこまでの効果が出たのでしょうか。
太田: 大きかったのは、これまで「見えなかった作業」にどれだけの工数がかかっているかが明確に分かったことです。例えば、材料の運搬や、工事の切り替えのタイミング、事前のミーティングなどですね。こうした「隠れたコスト」をシステムで可視化し、社内で共有できるようになりました。
そして、その可視化された確かなデータを、次回の見積もりに反映させることができるようになったんです。利益が見合わない案件は、お話し合いのうえで一度お断りすることもあります。
見積もりの金額や項目が変わることで、取引先からネガティブな反応はありませんでしたか?
太田: それが、特にマイナスの反応はなく、スムーズに受け入れてもらえています 。なぜなら、「これだけの作業にコストがかかっています」と、明確な根拠を持ってお伝えできるからです。単なる値上げのお願いではなく、事実に基づいた交渉ができるようになったことは、経営として非常に大きな前進です。
利益の先にある「やりがい」。生産性向上を社員や社会へ還元したい
数字と向き合うことで、会社としての在り方も変わってきそうですね。
太田: そうですね。単に利益が上がればいいわけではないと思っています。人件費も上がっている今の時代、会社を存続させるためには、自分たちの技術に対して正当な金額をいただく必要があります。
もし今まで300円かかっていたものが、技術向上や効率化で200円でできるようになったのなら、その分、お客さまへの価格を下げられるかもしれないし、あるいは頑張った社員の給料を増やせるかもしれない。自分たちの技術がどれほどの価値を生んでいるのかを常に「可視化」して把握することは、職人たちのやりがい、ひいては業界全体の健全化に直結すると信じています。
日給から「時給」へ。土木業界の常識を覆した時間管理術と、帳票の電子化によるコスト削減
他にも、freee工数管理やfreee販売を使うことでの想定外の効果はありましたか?
太田: 土木工事専用ソフトではないfreeeを導入したことで、かえって管理の本質に気づけました。それまでは「一般的な土木に合わせた管理が必要」と思い込んでいましたが、業界に囚われない管理手法を知ることで、経営全体のコスト管理において、新たな視点が得られました。
例えば、freee工数管理では、土木では当たり前の日給ではなく、時給で管理することで、より実態に即した管理ができるようになること。現場の工数だけでなく、営業や移動にかかった工数まで間接費として管理すべきだという考え方も、学びになりましたね。
また、紙の管理が常識の業界で、freee販売を活用して帳票のメール送付に踏み出せたことも大きな効果です。郵送代金の削減はもちろん、大幅な時間削減に繋がりました。具体的には、事務所に戻って納期確認、電話確認、送付作業をする必要がなくなり、現場で確認して送付まで完結できるようになった点が大きいです。
多くの取引先が電子での帳票受領に切り替えてくださいましたが、紙の帳票が必要な取引先への対応もfreee販売の郵送代行機能を使うことで、効率化されましたね。今まで自分で請求書を印刷し、切手を買って、郵便局に持っていくという一連の流れが一切なくなり、ボタン一つで郵送代行をしてくれるので郵送業務の負担がゼロになりました。
本来やりたかった経営に集中できる世界へ
最後に、太田様にとってfreeeはどのような存在か教えてください。
太田: 私はfreeeのソフトそのものから、形だけではない「設計思想」を感じるんです。スモールビジネスの背中を押すというミッションが、プロダクトに宿っているというか。
経営をするときに、本来は考えなくてもいい煩雑な事務作業や、コミュニケーションのストレス、時間のコスト。freeeは、そうした「本来不要なコスト」をかけずにスルーさせてくれる。そうすることで、本当に見たい数字が見え、本当にやりたかった「経営」そのものに集中できる世界を作ってくれていると感じます。
freeeはまさにそのような世界を目指しているので、最高の褒め言葉をいただき、胸が熱くなります。
太田: freeeは、正解のない経営において常に新しい気づきをくれるので「経営のテキスト」のような存在だと感じています。自分たちの技術がどれだけの価値を生んでいるのかを証明するためにも、これからもfreeeを活用してしっかり数字と向き合っていきたいです。
掲載日:2026年4月13日
Company Profile
オーバル株式会社
従業員数:13名
URL : https://www.oval-gr.com/
事業内容
のり面緑化・のり面保護事業




