歯車の専門メーカーとして創業87年の実績を誇る金子歯車工業株式会社。図面のない部品を現物から再現する高度な技術を持ち、同業者からも独創的な加工技術と品質管理で絶大な信頼を得ています。
三代目社長の金子佳久さんは、伝統を守りつつも独自の「金子式」を構築。現在は航空機やロボット産業からも高く評価され、行政からも注目される存在へと成長を遂げています。
同社は長年、給与を現金で手渡ししてきましたが、防犯リスクの解消と内製化による経営基盤強化のためデジタル化を決断。実務未経験の担当者が中心となりfreee人事労務を導入しました。知識ゼロからのスタートでしたが、導入支援や電話サポートを賢く活用することで、スムーズな運用を実現しています。
今回は、導入時の課題やサポートの活用術、そして効率化で生まれた余力をいかに「強い会社づくり」へ繋げているのか。金子社長、実務を担う取締役の美香さん、現場を支える工場長の三者にお話を伺いました。
デジタル化の第一歩は「勤怠管理」から
freee人事労務を導入される前、どのような課題を感じていましたか。
金子社長:一番は防犯上のリスクです。毎月1000万を超える現金を銀行から下ろしてきて、事務所で給与袋に入れていく。この作業を、当社は70年以上も当たり前の慣習として続けてきました。伝統も大事ですが、経営判断としてリスク観点で変えていかなければいけないと長年思っていました。
単なる「効率化」というよりは、経営者としての危機感が先だったのですね。
金子社長:そうなんです。従業員にはよく「大きい会社じゃなくて、強い会社を作ろう」と伝えています。そのためには外部への丸投げをやめ、自分たちで仕組みを動かす「内製化」が欠かせません。
今回の勤怠管理のシステム化も、その一つです。単に「楽にする」というより、「ここは本来システム化できるところだよね」という感覚で、自分たちの手で変えていく。この積み重ねこそが、僕たちの目指す強い会社への第一歩でした。
「システムは契約しただけでは動かない」ということが頭になかった
導入にあたって実務を担当された美香さんの当時の心境をお聞かせください。
金子美香様(以下、美香様):何十年も家庭にいたので、今の年齢で30年ぶりに会社に入って、いろいろなことを覚えられるのかという不安が凄くありました。
ただ、IT化自体には「業務を楽にするもの」というイメージを持っていたので、比較的前向きな気持ちはありましたね。
実際に導入してみて、そのイメージはどう変わりましたか。
美香様:導入したら、打刻データさえあれば後の計算は全部コンピューターがやってくれるものだと思っていました。でも実際は、自動で給与が出るようにするための設定が必要でした。
法律や税制が複雑に絡んでおり、操作以前の労務知識が必要で、 現実は想定の10倍は苦労しましたね。
専門用語も1から勉強中。
そんな私でも、freeeの導入支援があったから完遂できた。
出口の見えない不安の中、導入支援を受けてみて変化はありましたか。
美香様:導入支援がなかったら、そもそもマニュアルに書かれている日本語すら理解できなかったと思います。「(支援がなくても)なんとかなった」とは、口が裂けても言えないですね。
でも、全く知識がない私でも、最終的にはやり遂げることができました。一人で悩むよりもずっと効率的に、やるべきことを最短距離で進めてもらった感覚です。
具体的には、どのようなサポートが突破口になったのでしょうか。
美香様: 画面共有をしながら進められたのが心強かったです。自分の状況をうまく説明できない私に対して、担当者の方がしどろもどろな言葉から「これですね」と先回りして意図を汲み取り、解決策を提示してくれたことが大きな助けになりました。
業務の手を止めない!チャットで1時間かけるより、困った時は直通電話の10分で解決
自走するフェーズに入ってから、日々の疑問はどのように解決されていますか。
美香様:直通の電話サポートに頼っています。チャットも試したのですが、文字だと自分の言いたいことの3割くらいしか伝えられないもどかしさがありました。
専門用語がわからないので、文字で回答をもらっても内容を理解してその場で実行するのがかなり難しかったです。1時間かけても解決せず、面倒になって諦めてしまうこともあり、チャットだけで進める限界を感じました。
電話でのサポートを活用するようになって、実務はどのように変化しましたか。
美香様: 全く知識がない私でも、最終的にはやり遂げることができました。一人で悩むよりもずっと効率的に、やるべきことを最短距離で進めてもらった感覚です。
私のしどろもどろな説明からでも的確に意図を汲み取っていただけるため、関連する疑問もその場ですべて解消でき、すっきりした気持ちで業務に向き合えるようになりました。
年末調整などの複雑な仕組みに対しても、誰が対応しても即答いただける専門性の高さがあり、実務を進める上での大きな支えになっています。
タイムカードが打刻機に変わるだけ
動作を変えないから、ベテラン工場長も無理なく受け入れ
数ある勤怠システムの中で、freeeを選ばれた理由は?
金子社長:正直なところ、勤怠管理や給与計算単体の機能自体は、どのシステムを選んでもそこまで大きな差はないと思っていたんです。だからこそ、重視したのは「打刻の方法」でした。
うちは元々、 セキュリティカードを「ピッ」とやる習慣があったので、その動作をそのまま活用したかった。顔認証や指紋認証も検討しましたが、すでに現場の人間が慣れている運用ができるかは見ていました。
(左:歴20年以上の工場長 右:工場内の写真)
システム導入で、長年の打刻方法などが変わることへの懸念はありましたか。
工場長:特に懸念はなかったですよ。結局、社長が言うように「ピッとするだけ」ですから。作業的に大きな変化があるわけではないので、問題なく打刻できました。むしろ便利になった面が大きくて、特に有給の残り日数が、事務所に聞きに行かずとも手元ですぐに確認できるようになったのはありがたいですね。
スマホでの申請に変わったことで、現場にはどのような変化がありましたか。
工場長:以前は用紙に記入して、社長のハンコをもらいに行く手順がありました。それが今はスマホで完結するので、お互いに余計な気遣いをせずに申請できます。
効率化以上に、こうした現場のちょっとした心理的なハードルが下がったことも良かったと感じています。
データを活用して「強い会社」を作っていく
システム化を進めるなかで、大切にされていることはありますか。
金子社長:システム化をする中で、変えてはいけない文化もあると思っています。これまでは給与の手渡しが会長との対話の場でしたが、振込化によってその接点が消えることは懸念でした。
なので今は、会長が直接「お疲れ様」と声をかける機会を守るため、明細の代わりに季節の品を毎月手渡しています。冬はハンドクリーム、花粉の時期には目薬など、相手を想う品を添えることで、デジタル化を進めながらも大切な対面でのコミュニケーションを維持しています。
(冬にお渡しした実際のハンドクリームとマスク)
勤怠データを、今後どのように組織づくりに活かしていきたいですか。
金子社長:今は管理部門などの属人化している仕事を洗い出し、ワークシェアや人員配置を最適化するデータ活用を進めています。人事評価システムとも連携させ、より色んなデータを活用していきたいです。
安心して従業員さんがいられる環境を守るためにも、会社をより強く、安定させていかなければならない。システムを使いこなし、還元を続けられる「強い会社」をこれからも作っていきたいです。
(業務フローの整理をしたスプレッドシート)
掲載日:2026年3月16日
取材先:金子歯車工業株式会社様
業種:製造業(歯車の専門メーカー)
所在地:静岡県
創業:87年
従業員数:34名
企業ホームページ:https://k-gear.co.jp/index.html


