東京都内で6つの保育園(草花保育園・東福保育園・加美平保育園・若葉保育園・久米川保育園・あそか保育園)を運営する社会福祉法人 慈光会。1936年に農繁託児所として始まり、創立90年を迎える現在も「子どもたちの安全な生活を守る」という経営理念のもと、職員約250名が約680名の園児の成長を支えています。
6拠点分の請求書処理と支払業務を本部で一括管理する同法人では、紙と電子が混在する管理体制の中で、業務負担は年々増加していたといいます。
こうした状況を受け、2024年3月に「freee支出管理 Fullプラン」を導入。現在では毎月100件近い請求書の大半は自動仕訳し、月8時間かかることもあった振込データの作成作業が、約40分へと短縮しました。
freee支出管理の導入の背景や決断ポイント、導入後の変化について、法人本部事務局長 田中さま、2つの保育園の事務を担当する 山城さまに話を伺いました。
6拠点分の膨大な請求書、段ボール60箱で保管・廃棄も苦労
freee支出管理の導入前の請求書処理はどのような状況でしたか?
田中さま(以下、田中): 各拠点から集まる膨大な請求書を本部で確認し、支払処理から会計入力までをアナログな工程で進めていました。メールで届いた請求書も、印刷して紙として管理する。そんなアナログな二重管理が積み重なり、相当な手間がかかっていました。
10年の保存義務がある帳票類は、全6拠点を合わせると年度ごとに膨れ上がり、気づけば段ボール約60箱分になっていました。保管場所を圧迫し続けるだけでなく、10年経ったら今度は廃棄の問題も出てくる。
山城さま(以下、山城):以前は銀行システムへ振込先や金額を一件ずつ手入力しており、口座情報や桁数に間違いがないか、何度も確認を繰り返していました。件数が多い月は振込作業だけでほぼ一日がかり。他の業務を並行して進めるのは、正直厳しい状況でした。
各拠点での準備は、月初に集中していました。末締め翌月10日払いのサイクルの中で、請求書や納品書を照合して伝票を作成しますが、遅くても7日頃までに本部へ届くように手配しなければなりません。
業者の方から請求書が締切直前に届くこともあり、「今日届いたのですが、まだ間に合いますか」と慌てて請求書だけを先にFAXで送り、原本を後から郵送したりとまさにドタバタの対応でした。
これらに加えて、手書きでの金額の転記、伝票のホチキス留めや書類を紐で縛る作業など、6拠点分の「手作業」の積み重ねに、膨大な時間を費やしていました。
業務フローにも課題があったのでしょうか?
田中:
請求書の受取、支払、会計入力。これらすべての工程が分断されており、同じ情報を何度も確認・入力する構造で効率面に課題がありました。本来不要なはずの非効率な作業をそのままにしておくのが、納得できなかったんです。
また、電子帳簿保存法対応も見据えると、紙中心の運用を見直す必要があると感じていました。
実は、freee導入前から、請求書をスキャンしてデータ共有する運用は始めていました。紙の原本をやり取りし続けるよりも、データとして共有した方が確認もしやすい。そうした手応えがあったからこそ、「スキャンして保管する」だけで止めずに、次の段階として受取から支払、仕訳作成までを一気通貫でつなげたいと考えたのです。
紙とデータが混在した状態をなんとか回していくのではなく、最初から「データであること」を前提に業務の流れを作り変える。その決断の先に、freee支出管理の導入がありました。
決め手は複数拠点管理と業務フローの一元化
freee支出管理を選ばれた決め手を教えてください
田中: 全6拠点を横断して一括管理できることが前提でした。加えて、拠点ごとに部門単位で管理できることは必須条件です。比較検討の結果、支払依頼から振込データ作成までを一元化できる「freee支出管理 Fullプラン」を選択しました。
また、freeeの営業担当者には、現状フローを丁寧にヒアリングしていただきました。疑問点にも迅速に回答いただいたことで、導入後の運用を具体的に描けました。
機能面だけではなく、日々の業務で無理なく使い続けられる設計かどうかも重視しました。
山城: 私たち現場の人間にとっては、過去の履歴から入力候補が表示される機能が画期的でした。一件ずつ手入力していた頃に比べ、入力の負担は劇的に減ります。また、金額が一致しない際のエラー表示など、「システムがミスを未然に防いでくれる」という安心感を持てたことが、導入への大きな後押しになりました。
法人内への説明はどのように進めましたか?
田中: それまでの業務フローとfreee導入後の工程を比較し、意思決定を行いました。振込データの作成時間がどれだけ短縮できるかを数値で具体的に示し、業務工数の削減につながることを共有したんです。
導入決定から本稼働まではどのように進めましたか?
田中: 2024年3月に導入を決定し、4月には導入支援を受けながら、これまでのやり方と並行して運用を開始しました。大切にしたのは現場の負担を急激に増やさず、段階的に進めていくことです。
山城: 導入支援のミーティングでは、freeeの支援担当者と同じ画面を見ながら一つずつ操作を確認できたのでスムーズに進めたと思います。現場の感覚に即した質問もしやすく、本稼働に向けて不安を解消しながら進めることができました。
振込作業が「8時間から40分」へ。請求書を自動仕訳し確認の質も変化
導入後、もっとも変化を感じたところを教えてください。
山城: 何より、振込作業のスピードです。freee支出管理で作成した振込データを銀行へ読み込ませる運用に切り替えたことで、以前は最大8時間かかっていた作業が、わずか40分に短縮されました。過去の取引履歴から入力候補も表示されるので、拠点名や取引先名など必要な部分を修正する形で進められます。
単に時間が短縮されただけではありません。今までは「間違っていないか」の確認に神経を削っていましたが、今は「この支出の内容は妥当か」という本質的な確認に集中できるようになりましたね。
田中: 法人全体で毎月届く約100件の請求書のうち、半分くらいは同じような取引なので、自動的に仕訳がされるっていうのは、我々にとってありがたい機能ですね。
山城: 給食費のように毎月発生する取引は、過去の請求書からシステムが「勘定科目はこれですよね?」と推測して出してくれるので、数回のクリックで登録が完了します。うろ覚えの勘定科目もなんとなく覚えているキーワードで候補がポンって出てくるのも助かっています。
freeeカード(法人カード)もあわせて活用されていると伺いました。
田中: 実は当法人ではこれまでカード決済を利用していませんでした。導入してみて、その利便性に驚いています。クレジットカード本来の便利さはさることながら、備品購入などの細かな支出も即座に通知され、本部で一括管理できるのもうれしいですね。freeeカードの活用により、支出データと請求書データの紐づけもスムーズになっています。
ルーティンの短縮化が、本来取り組むべき「保育」に向き合う時間をつくる
創立90年を迎える中で、今回の取り組みをどのように位置づけていますか?
田中: 以前のような日々の作業に追われる状態を脱し、業務を設計できる状態へ転換できたことこそが、今回の導入で得られた最大の成果だと感じています。 ルーティン業務を短縮し、業務の見直しに充てる時間を増やす。それが結果的に、本来取り組むべき「保育」の現場を支えることにつながっています。
山城: 私たちが運営する6つの保育園は、通っているお子さんや保護者様の背景、地域環境もそれぞれ異なります。毎年同じことを繰り返すのではなく、その時々の子どもたちに合わせて最大限寄り添うことを目標に保育を行っているので、そこは変わらず大事にしていきたいです。
freee導入を検討している法人に向けてメッセージをお願いします。
山城: 園長先生自らが事務作業を抱え込んでいる園も多いのではないでしょうか。ルーティンの事務作業を省くことは、保育の充実に全力を注げる環境を作るための、前向きな選択だと思います。
田中: 私たちも、最初からすべてを変えようと考えたわけではありません。まずは「自分たちの手作業がどれだけ楽になる可能性があるのか」を知るための情報収集から始まりました。まずは実際に話を聞き、今の自分たちの業務と照らし合わせてみる。その一歩がとても大切だと思います。

