「人が人らしく働く」ために。 手間暇からの解放に徹底してこだわる、鉄工所3代目のDX

HILLTOP株式会社

3代目代表取締役 山本 勇輝 氏

「人が人らしく働く」ために。 手間暇からの解放に徹底してこだわる、鉄工所3代目のDX

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1961年の創業以来、京都・宇治を拠点に、宇宙からエンタメまで「世界の最先端」をものづくりで支え続けてきたHILLTOP株式会社。かつての「鉄工所」の概念を覆す工場の24時間無人稼働システムを構築した同社は、3代目代表取締役・山本勇輝氏の就任を機に、さらなる変革に踏み出している。その鍵を握るfreee会計などのシステム連携によって、現場の議論はどう進化していくのか。代表の山本氏、DX推進部の高木氏に、同社が描く「情報の民主化」の核心について話を聞いた。


自動化はあくまで手段。
「人が人らしく働く」を追求する。

HILLTOPといえば工場の24時間無人稼働など、自動化の先進企業として知られています。freee導入の背景にもある、この「自動化」とはどのような考えなのでしょうか。

山本 勇輝 氏(以下、山本): よくHILLTOPは「自動化」の会社だと言われますけど、僕はそもそも、自動化にそれほど注力しているわけではないんですよ。自動化はあくまで「手段」でしかないんです。僕たちのミッションは、一貫して「人が人らしく働く」こと。それがずっとHILLTOPがやり続けてきたこと。

最初は学びがあった仕事でも、同じことを繰り返すうちに、やがて学び尽くしてしまうことがあります。ルーティン作業に大切な時間を奪われるのは、人間らしくないと思うんです。だから、そういう作業はテクノロジーで徹底的に排除する。その先に、初めて人間の創造性が活きる仕事があると思っています。

その「人間らしさの追求」は、工場のラインだけでなく、バックオフィスの領域でも同じということですね。

山本: 全く同じだと思います。事務作業で時間を浪費するんじゃなくて、浮いた時間でデータを解析して、次の経営判断に活かす。その環境を整えることこそが、僕の考える「攻めの経営管理」なんです。事務の仕事だって、数字を入力するとか、数値を打ち直すとか、そういう「作業」は人間がやるべきことじゃない。そこから人間を解放してあげて、もっとクリエイティブな、判断を伴う仕事にシフトしていく。そのためにデジタルがあるわけです。

システム連携とデータ可視化の先にある、攻めの経営管理。

現在、freeeなどのシステム連携によってそこを加速させていますが、これによって現場はどう変わると期待していますか。

山本: 一番の変化は、議論の質が一段上がることだと思っています。リアルタイムに色々なデータが可視化されて数値化されることによって、人間をより高度な思考へと導いてくれる。部品加工の世界は、「納期に間に合うか」「コストは見合うか」みたいな議論になりがちですが、そこから更に踏み込んで、「この製品をどう改良するか」「品質を上げるためにどの工具を見直すべきか」といった多角的なアプローチを可能にする。そこを考えるのが、人の仕事であり、僕がシステム連携に期待している最大の価値なわけです。

人が人らしく働くために、HILLTOPでは見晴らしが良く、会話が生まれる食堂を整備。

現場の「暗黙知」を、データ化する。そのインフラをDX推進部で整える。

ここからは、山本社長が掲げるビジョンを実際にシステムとして実装している、高木さんにお話を伺います。高木さんは現在、どのようなプロジェクトを担われているのでしょうか。

高木氏(以下、高木): 私は現在、DX推進部で「デジタルコア」と呼ばれている全社の情報基盤を刷新するプロジェクトに携わっています。Salesforceをプラットフォームとして、内製システムやfreeeを繋ぎ、弊社のミッションである「世界の工場をDX化し、人にしかできない価値ある仕事を追求する」ための環境をどう実現するか、その設計から環境整備、リリースまでを担当しています。

会計領域で「freee会計」を導入された経緯を教えてください。

高木: 弊社ではSalesforceをプラットフォームとして中心に据え、財務領域にfreeeを配置してます。営業がSalesforceに入力した見積・受注データが、再入力を挟まずにシームレスにfreeeへ流れ、請求まで完結する仕組みを構築しています。各システムの「責務」を明確にし、連携部分をシンプルに実装することを意識しました。

実装者の目線でfreeeがとても良いと思うのは、「用途に応じた検証環境(サンドボックス等)を複数用意できること」ですね。これは本当に高く評価しています。本番環境のデータを汚すリスクを避けながら、開発メンバーが安全にテストやステージングを行える。新しい機能をキャッチアップするための環境もすぐに作れますし、それが追加料金なしで利用できる。開発側の利便性をしっかり想定して設計されているサービスだな、と感じます。複数のシステムを跨ぐ複雑なAPI連携を組むエンジニアにとって、この「安全に試せる環境」があることは、スピード感を持ってリリースを繰り返す上で非常に大きなメリットになっています。

弊社「freee IT管理」も使ってくれてますね。

高木: そうですね。現在、弊社では利用するSaaSがかなり増えてきていまして、それを人的リソースだけで管理するのはもう限界にきている、という課題がありました。そこで「freee IT管理」を活用しています。導入の大きな目的は、まずシャドーアカウントの防止です。どの社員がどのツールを使っているのかを可視化し、一括で管理できる体制を整えたかった。それから、MDM(モバイルデバイス管理)による端末管理の加速や、勤務状況に応じたステータスの自動設定など、セキュリティと効率化の両面でメリットがあると考えました。

実際に運用してみて、感じるメリットはありますか?

高木: やはり、アカウント発行や権限付与といった「守り」の運用を自動化できる点ですね。人が手作業で管理していると、どうしても漏れやミスがつきまといます。そこをシステムに任せることで、人的リソースを最小限に抑えつつ、統制の取れた安全な環境を維持できています。

HILLTOP Systemを使えば、誰でも設計・加工ができる。各社員の利用するITツールの管理と見える化は非常に重要。

経営目線を持った一人ひとりが主体的に判断・改善できるように。

お仕事でよく意識されていることはなんですか?

高木: 現場からは日々、Slackを通じて「ここをこうしてほしい」という生の声がダイレクトに届きます。私たちはそれをすぐにチケット管理して、優先順位をつけて高い頻度でリリースするようにしています。

そこで意識しているのは、単に操作回数を減らすことではなく、人が手作業や注意力でカバーしている部分を、システム側の仕組みで吸収することです。

例えばワンクリック削減のような小さな改善もありますが、本質は、ソフトウェア間の連携を途切れさせない設計や、再入力や確認作業を減らしてヒューマンエラーを起こしにくくすることにあります。

そうすることで、現場が本来向き合うべきことに時間を使える状態を作りたいと考えています。

DX推進部のメンバーとして目指す姿や理想の状態はあるのでしょうか?

高木: 今であれば、例えば会社の売上に関する情報など、特定の人しか俯瞰して見れない状況に対して、DX推進部としては、業務やシステムの分断をなくし、役割に応じて必要な情報にアクセスできて、同じ情報を前提に部署をまたいで会話・判断できる環境を作れるのが理想かなと思います。

それを元に、会社の中で一人ひとりが自分の業務と会社全体のつながりを意識しながら、状況を正しく捉え、判断と改善を回していけるような、そんな風土が加速していくとより強い企業文化になっていくと思っています。

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