「世界を一歩前に進める」をミッションに掲げ、世界初の排泄予測デバイス「DFree(ディーフリー)」を開発・販売するDFree株式会社。2015年の設立以来、順調に事業を拡大し、現在、IPO(新規上場)の準備を進めています。
同社は、バックオフィス業務の基盤として「freee会計」をはじめとする複数のfreeeプロダクトを導入しています。「これらのプロダクトをどのように活用しているのか」「IPO準備においてどのような役割を期待しているのか」について、取締役CFOの冨田 勝巳様、経理担当の平松様、人事担当の佐藤様にお話を伺いました。
少数精鋭のDFreeが選んだのは、個別最適ではなく「freeeによる統合体験」
貴社の事業内容を教えてください。
冨田勝巳様(以下、冨田): 当社は、“排泄”に関する課題解決に取り組むヘルステック企業です。主力プロダクトである「DFree」は、超音波センサーで膀胱内の尿のたまり具合をリアルタイム計測し、排尿のタイミングを事前に通知するウェアラブルデバイスで、全国の介護施設などで導入されています。
組織としては、「DFree」のソフトウェア、ハードウェアを開発する開発部、販売を担当する事業部、バックオフィス業務を担当する管理部があり、従業員数は33名(2025年12月現在)という規模です。
IPOに向けた準備をスタートさせたと伺いました。上場準備室などを設けるケースもありますが、貴社ではどのような体制で進めていますか?
冨田: 私が中心となって、経理の平松、人事の佐藤と3人で進めています。私は管理部門の統括とIPO準備をメインで担当し、資金調達なども行っています。少人数で対応しているため、日常業務をこなしながら、準備作業も同時に進めていかなければならない状況です。
平松様(以下、平松): 私は経理全般を担当しています。おそらく社内で最もfreeeのプロダクトを活用しているのは私だと思います。今は、さまざまな業務をfreeeに集約して業務の効率化を図ろうとしています。新しいプロダクトを導入したら、それをいち早く理解し、社内のメンバーに広める役割も担っています。
佐藤様(以下、佐藤): 私は人事のほか、労務や総務など、バックオフィス業務全般を担当しています。
冨田: 基本的にこの3名が、代表取締役とコミュニケーションを取りながら、IPO準備を進めている形です。定例のミーティングの機会は特に設けていません。準備すべき事柄はたくさんあるので、必要に応じてその都度、3人で相談しながら進めています。
3人でのIPO準備と日常業務の両立――壁となったのは“アナログな確認作業”
すでに監査法人からのショートレビュー(予備調査)を受けられたというお話ですが、そこで指摘された課題、改善が求められた点などはありましたか。
冨田: 指摘事項の主な内容は、取締役会や監査役会の設置といった、上場会社として求められる機関設計の最低限の基準に関する話でした。そのほかには、それほど大きな指摘事項はなく、内部統制の3点セットと言われる「業務記述書」「フローチャート」「リスクコントロールマトリクス」の整備が求められたことです。
一方で、決算早期化に向けて解決すべき課題は多く残されてます。毎月半ばに定例の取締役会があるため、そこに向けて経営に関する数字を正確に出していくことが求められます。これをスピードアップできれば、次の戦略を考える時間が増えます。IPOに向けて、ここは必須の準備事項だと考えています。
正確な数字を早期に明確化・把握する点で、freeeのプロダクトがどのように役立っていますか。
冨田: ひとつは、2024年から導入している「freee請求書」の働きが大きいですね。「freee請求書」導入以前は、担当者ごとにバラバラに請求書を発行していたため、集計に時間がかかっていました。今は、「freee請求書」で請求書発行を一元管理することで、漏れなく把握できる体制にしました。これは、主に平松と佐藤が進めてくれました。
主な請求書の発行先はどのようなところが多いのでしょうか。
佐藤: 介護保険が適用される介護施設などです。毎月サブスクリプションのような形で「DFree」を利用されている施設に請求書を発行しています。また、「DFree」本体だけでなく、それに関わる消耗品も含めて毎月100件程度の請求書を発行しています。
実を言うと、私自身、請求書の発行業務は、この会社に入って初めて経験しました。「freee請求書」は、初めての人でも非常に簡単に作成できる点が魅力だと感じています。
経理担当者として、freee上で申請する形を整えたことで感じるメリットは、どこにありますか。
平松: freeeに運用をまとめたことで「監査証跡の正確性が担保」できました。それにより現場担当としてもストレスがかなり軽減しました。以前は支払依頼など全てをSlack内でやり取りしており、必要な情報をキーワード検索で探したり、依頼漏れが発生したりするストレスがありましたが、今はfreee内の情報を見れば必要な情報が大体把握できるようになったのは、非常に助かっています。
システムに申請フォームを設けたうえで、「このフォームから申請してもらわないと支払えません」という形で、明確に線引きをしました。
この線引きをしてから約2か月が経ち、ようやく皆さんに浸透してきたかなという手応えを感じています。
freeeプロダクト連携のメリットと今後の展望
「freee業務委託管理」も最近、導入されていますね。
平松:
半年前から導入しました。以前は業務委託先がその都度、担当者に請求書を送ってくる状況でした。そのため、個別の担当者のSlackに連絡しなければ、請求書のやり取りの状況が確認できず、非常に大変でした。それが今、freee業務委託管理内に一元化されたので、だいぶ楽になりました。
月の初めは、常にイライラしながら「あの請求書が漏れている」「あれは連絡したけど、これは連絡してない」といったことにずっと気を配っていました。常に頭の一部分のリソースを奪われていた状態でした。これがなくなったのは、大きなストレス軽減になりました。
業務委託先の管理・発注・支払いがfreee会計と紐づくことで、IPO審査で求められる『取引の透明性』も担保されている状態です。
実際に、どのような仕事を外部に委託しているのでしょうか。
冨田: 介護施設へのインサイドセールス(見込み顧客に対して行う非対面の営業活動)などを外注しています。加えて、お子様のトイレトレーニング事業が伸びているため、そのオンラインセールスも、事業拡大に比例して必要になっています。ソフトウェアの開発でも、プロフェッショナルの方に業務委託しています。委託先は、企業、個人両方のケースがあります。社員が33名という規模ですので、成長に伴って急ぎリソースが必要な部分を、業務委託の方に依頼しています。
平松: 以前は外部協力者の方から本当に様々な形式の請求書が届いていました。「振込名義が書いていない」「振込期日が書いていない」「消費税の記述が間違っている」といった不備が多かったんです。また、月初に提出をお願いしているにもかかわらず、10日過ぎてもなかなか請求書が来ないといったこともありました。freee業務委託管理、freee請求書での一元管理によって、それらの問題はだいぶ解消されました。
御社では、freeeのプロダクトを連携して活用されています。そのメリットや良さについてお感じになっていることがあれば教えてください。
冨田: freeeのサービスを連携して利用する最大のメリットは、「何かあればfreeeに入ればいい」という体制ができていること。頭の中の余計なメモリを消費しなくて済みます。
「freee会計」内にワークフローが組み込まれているため、お金に関する申請から会計システムへの流れが他のシステムを介さずにシームレスにつながっています。また、「freee業務委託管理」のデータも、最終的に会計上の費用に結びつきますし、「freee人事労務」の給与計算も、当然ながら会計システムと連携しています。
複数のシステムを立ち上げたり、システム間でデータを連携する手間がないため、特にIPO準備で業務が複雑化する局面において、シンプルで抜け漏れのない体制が構築できると感じています。
freeeサインで投資契約業務を20時間削減。IPO準備で増大する「契約・請求」業務もfreeeで完結
freeeサインも導入されていたかと思いますが、ご所感はいかがでしょうか。
冨田: 「freeeサイン」単独でも大きな効率化が実現しています。資金調達の際、100名近い個人投資家との投資契約を締結する必要が生じました。投資額は個々で異なりましたが、freeeサインの機能を用いて、Excelのデータから一括で契約書を作成・締結することができ、約20時間もの作業時間を削減できました。
【プロダクト統合の価値】「何かあればfreeeを見ればいい」IPO審査に耐えうる「シンプルで磐石な管理体制」へ
皆さんの今後の目標について、教えていただけますか。
冨田: 私はもともと銀行出身で、前職、前々職でもIPO準備を経験したのですが、残念ながら上場を果たせませんでした。ですから、今回は3度目の正直! ぜひIPOを実現させたいですね。一方で、「上場は1つの通過点」という思いもあります。上場を達成された企業様に話を聞くと、「上場した後のほうが大変だよ」という声が多いので、ギリギリではなく、余裕を持って上場を達成できるのが理想です。上場後を見据えて、さまざまな業務を効率化できる体制を今のうちにつくっていきたいと考えています。
上場企業に課せられた「決算短信・有価証券報告書の45日以内開示」というルール。しかし、その後の監査対応を考慮すると、経理部門が資料作成に充てられる時間は実質20日程度しかありません。
限られた時間の中で、ミスによる「手戻り」が発生すると大変です。だからこそ、今後は「圧倒的な正確性」の確保が不可欠となります。最初から精度の高い数字をスピーディーに積み上げ、手戻りをゼロにする。それが、真の決算早期化を実現するための鍵となります。
その鍵となるのが、先ほども触れたfreeeのプロダクト群です。「freee会計」内でデータがシームレスに完結しているだけでなく、「freee業務委託管理」や「freee人事労務」で処理したデータも最終的にはすべて会計システムへと自動連携されます。
IPO準備期は、どうしても業務が複雑化しがちです。しかしfreeeなら、CSV出力や手作業によるデータ連携といった工数を挟む必要がありません。シンプルかつ、人的ミスや抜け漏れのない体制を構築できる点に、大きな手応えを感じています。
平松: 私は、IPO準備は初めての経験です。もともと上場企業で求められるレベルで会計の仕事がしたいと思い、この会社に入社しました。今は冨田から言われることに食らいついていくのに必死ですが、よい結果を出せるよう、頑張っていきたいです。
佐藤: IPO準備とは少し視点がズレますが、私は人事労務を担当させてもらっているので、freeeをはじめとしたシステムを使いながら、スタッフの皆さんが、快適に仕事ができる環境をつくっていけたらいいなと思っています。
本日は、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
DFree株式会社
https://dfree.co.jp/






