世界中の店頭に並ぶ、お菓子や化粧品の紙パッケージ。その美しい造形を支えているのが、創業55年の歴史を誇る大創株式会社です。同社はパッケージ制作に欠かせない「抜型」の専門メーカーとして、国内トップシェアを維持するだけでなく、現在はアジアや欧州など世界27カ国に代理店を持ち技術を供与するグローバル企業へと成長を遂げています。
同社が何よりも大切にしているのは、0.1ミリ単位の精度を追求する「職人の技術」と、それを支える「現場の推進力」です。
しかし、その高度なモノづくりを支える裏側では、拠点拡大に伴い継ぎ足してきた「システムの分断」が深刻な課題となっていました。勤怠、給与、人事管理が分断された状態では、データの突合に膨大な目視作業が発生し、現場のリーダーである部門長もまた事務作業に追われていました。
そこで同社は、freee会計とfreee人事労務を導入し、さらにはサーベイや申告、請求書までを一挙に統合。情報の入り口から出口までをfreeeという一本のラインで繋ぐ決断を下しました。
今回は、システム分断の矛盾をいかに解消し、現場が本来の仕事に集中できる環境をどう取り戻したのか。推進役を担った総務部の辻様と、現場の最前線で変化を実感する部門長の白岡様にお話を伺いました。
労務だけで3つのシステムを並行運用
記憶とメモに頼る運用が招いた、住民税の振込ミス
御社の拠点数や従業員数など、当時の管理体制について教えてください。
辻様(以下、辻): 拠点は工場と営業所合わせて7拠点あり、従業員数はグループ全体で185名、単体では128名です。以前は、勤怠管理、給与計算、年末調整、人事管理と、それぞれ別々のシステムを部分最適で選んで使っていたので、労務だけで3種類のシステムが入っていました。
各種手続きや申請は各拠点ごとに行っており、各拠点の部門長は、製造現場の指揮を執りながら、採用面接から入退社の手続き、経費精算、雇用契約書の作成といった事務作業まで、すべて一人で担当していました。
システムがバラバラな状態は、具体的にどのような負担になっていたのですか?
辻: 一番は、システム間の無駄な作業です。データをCSVで吐き出して、加工して別のソフトに入れるという手間が発生していました。
もう一つは、先のタスクを「覚えておく」ことに神経を使っていたことです。当時の給与ソフトは月次更新をしないと次月の情報を入力できなかったため、数ヶ月先の住所変更や入社情報もすぐには反映できませんでした。
2~3人の労務担当者が各自でメモ管理する属人的な運用だったため、情報の更新漏れから住民税の振込先を間違える、保険料控除が正しく反映されていないといったミスも起きていました
勤怠・給与ソフトはあっても、最後は目視で突合
CSV連携による運用で、100名超の勤怠チェックに丸3日
勤怠締めから給与計算まではどのように行っていましたか?
辻: 以前のシステムでは、まず各部門長に拠点の勤怠を締めてもらい、全員分が確定したのを確認してから、私がデータをCSVで吐き出して給与ソフトへ流し込んでいました。ただ、システム上の数字だけでは完結せず、別途用意したスプレッドシートの台帳と突き合わせる作業が必須でした。
給与ソフトの支給額と台帳の数字を見比べながら、「変な数字になっていないか」「遅刻や控除が正しく付いているか」を一つずつ目視で確認し、おかしければまた勤怠システムまで遡って修正をかける……という流れです。このチェック作業だけで、担当者一人が丸3日、つきっきりで対応していました。
不備や漏れなどは発生していなかったのでしょうか?
辻: 忙しい部門長が一人で細かい打刻漏れまで完璧に見るのは難しいので、正直なところ、不備がある状態で上がってくることもありました。
本来は本部の私が全員分を精査すべきなのですが、そんなことをしていたら計算が終わらないので、「部門長が承認したものは合っている」という前提で、給与計算を進めるしかありませんでした。
結果として、計算後に「この数字、おかしいな」と違和感を覚えたときにだけ、遡って原因を探しに行く。そんな「感覚」に頼った危うい運用になっていました。
正直なところ、こうしたシステムがバラバラな状態で良かったことは、一つもなかったですね。
特許技術「勤怠モニター」で、給与計算を丸3日から1.5日へ
freeeへ移行する際、どのような状態を理想として描いていましたか
辻: これまでは個別の課題に合わせてシステムを少しずつ変えてきましたが、やはりシステム間の連携には限界がありました。効率よくCSVを吐き出して次のシステムに入れる、という運用ではなく、情報の入り口から出口まで全部がつながっていくのが一番理想的だなと思っていたんです。
給与に情報を反映させるのを忘れないようにしたり、別々のシステムで二重管理したりする構造自体を変えたいと考えていました。
実際にすべてが統合されて、労務業務はどのように変化しましたか?
辻: 一番やりやすくなったのは、先の従業員情報を変えられるようになったことです。前のシステムでは、給与計算をして月次更新をしないと2ヶ月後、3ヶ月後の情報が変えられませんでした。
今は、引っ越しの情報や、手当が変わる・控除が減るといった情報が来た時に、その時点で事前に変更がかけられるので、タスク管理のストレスや失念によるミスが解消されました。
※freeeは月単位で従業員情報を保持できるため、等級や住所変更等の予め決まっている数カ月先の情報変更をリアルタイムで入力できます。情報変更の反映忘れによる支払い漏れや反映ミスを防ぐ、freee独自の仕組みです。
以前は感覚に頼っていたという給与計算は、どう改善されましたか?
辻: 今は「勤怠モニター」を活用し、各拠点が締めた後の不備チェックを本部で行っています。打刻漏れなどのエラーを事前に可視化して現場へ差し戻し、正しいデータが揃ってから給与計算を回せるようになりました。
以前のように「とりあえず計算を回してから、おかしい数字に気づいて遡る」のではなく、不備を事前に潰してから計算をかけるので、圧倒的に精度が上がりますし、確認作業もやりやすくなりました。結果として、丸3日かかっていた給与計算の工数を1日半まで半減させることができています。
「経費精算は月末にまとめてやる」という概念が消えた
現場の事務作業の95%をスマホで完結
抜型を製作している様子
以前の勤怠管理には、どのような課題を感じていたのでしょうか?
白岡様(以下、白岡): 以前のシステムも悪くはなかったのですが、正直「抜け穴」があったんですよね。私はきっちりしたい方なのですが、以前は有給休暇の事後申請などもエラーにならず、管理が雑な感じがありました。
freeeは手順が違うとエラー表示が出るなどルールがしっかりしているので、私の部下も「手順を守らないと承認者に迷惑をかける」と意識するようになりました。以前の曖昧だった管理から、きっちりしたメンバーが揃ってきたのが良いところですね。
採用や雇用契約にまつわる事務作業については、いかがでしょうか?
白岡: 以前は私がハブとなって入退社のやり取りを全て一人で行っていましたが、今は本社と当人が直接やり取りできるので、私の労務手間は8割削減できました。経費精算も、以前は会社に帰って手書き書類をホッチキスで綴じるのが必須でしたが、今はスマホのOCR機能が優秀で手直しがほぼありません。
「経費精算は月末にまとめてやるもの」という概念がなくなり移動中に完結するので、「会社という巣に帰らなくても仕事ができる」ようになり、時間の使い方が劇的に変わり、事務作業の95%はスマホから行っています。
現場の従業員様に変化はありましたか?
白岡: 以前はパートさんの打刻や申請を一部私が肩代わりしていましたが、今は全員が自分のアカウントで打刻を行っています。自分たちがやるべきことを自分たちでやることで、パートさん自身の意識が高まりました。管理者としては、これまで肩代わりしていた「月末の事務作業」を頭に入れておかなくてよくなった。その精神的なストレスがなくなったことが非常に大きいですね。
現場として、複数のシステムが一つに統合されたメリットをどう実感されていますか?
白岡: 以前は「勤怠はシステムAの方で」「申請はシステムBの方に」と、名称がバラバラで説明も大変でした。今は「freeeに来ているから」という説明で終わります。
また、以前はシステムへのアクセス権限によって「自分のことではない」という従業員が出てしまっていましたが、今は全員が等しく使える。みんなが同じ土俵に立っているという「平等さ」が、組織にとって良いところだと感じています。
事務に奪われていた時間を現場に向き合う時間へ
今後、すべてが繋がったシステムや蓄積されたデータを、会社としてどのように活用していきたいとお考えですか?
辻: 今はデータが全部見えるので、今後はそれを生産日報の作成とかにうまく繋げていきたいですね。現場の部門長が月末に丸1日かけていたような事務作業はもうなくなったので、その分、工場の数字を見たり現場を管理したりといった、本来の仕事に集中できる環境を支えていきたいと思っています。
現場の視点から、白岡様はいかがでしょうか?
白岡: 会社のベクトルを揃えていきたいですね。拠点ごとに温度差があるのではなく、7拠点どこでも同じ基準で申請や勤怠ができるようになるとノンストレスです。こうした共通言語という基礎がある中で、売上や生産性を高めていく。勤怠がしっかりしている会社は推進力があると感じているので、今後もそこに期待しています。
(掲載日:2026年4月22日)
Company Profile
大創株式会社
業種:製造業
所在地:大阪府(7拠点)
従業員規模:185名(単体128名)
URL: https://www.daiso-net.com/
