再生可能エネルギーの土地仕入れから発電所の建設、そして長期にわたる維持管理までをトータルで手掛けるスペシャリスト、株式会社アマテラス。かつて大手建設会社の1事業として産声を上げた同社は、専門性の高まりとともに事業を成長させ、2年前に晴れて独立の道を歩み始めた。
しかし、親会社から離れた彼らを待ち受けていたのは厳しい現実だった。実質10数名という精鋭部隊で青森県を中心に全国40箇所以上の現場をカバーし、常時20件超のプロジェクトを動かす過密スケジュール。バックオフィスを担うわずか2名の担当者でさえ、現場の支援や立ち会いに駆け回る日々が当たり前となっていた。
「法令遵守はシステムの言う通りにやればいい。管理の頭を悩ます時間を削り、現場に向き合おう」——彼らが下したのは、バックオフィス全体をfreeeで統合する決断だった。
「法令遵守はシステムに任せ、現場へ向き合う」——少人数体制で挑むアマテラスのバックオフィス
貴社の事業概要と、独立に至るまでの経緯について教えてください。
株式会社アマテラス 取締役 岩間 千世志様(以下、岩間): 元々は親会社である建設会社の一部署からスタートし、再生可能エネルギー事業の土地仕入れや発電所の建設、商用化後のメンテナンスまで一連の業務を一貫して手掛けてきました。10年ほど実務を重ねる中で業務の専門性が極めて高くなり、事業としてもしっかりと成長してきたため、2年前に晴れて正式に子会社として独立しました。
独立後の事業展開や、現場の体制はどのようなものだったのでしょうか。
岩間: 現在は全国40箇所以上の太陽光発電所などの維持管理・メンテナンスを主軸としつつ、一部で新規建設工事も請け負っています。実質的に動ける人数は12〜13名ほどと非常に限られていますが、北海道から全国各地の現場まで飛んでいかなければならない多拠点体制です。
少人数で複数の拠点を管理する中で、バックオフィスにはどのような課題がありましたか。
岩間: 親会社のように「経理」「人事」「採用」と専門部署を分ける余裕はなく、実質2名の総務スタッフで本来なら10人分に相当する幅広い業務をこなす必要がありました。少人数で武器もなしに丸腰で親会社と同じような業務を行おうとすれば、年々複雑化する法令遵守に対応するだけで手一杯になってしまいます。
その課題に対して、どのようなお考えでバックオフィスの構築に臨まれたのですか。
岩間: 法令遵守や基礎的な業務処理は、システムに任せる仕組みを作ろうと考えました。バックオフィスの管理コストや頭を悩ませる時間を圧縮し、浮いたリソースを本業である再生可能エネルギーの新しい専門知識の習得や、実際のメンテナンス作業そのものへ注力したかったのです。
重複していた入力作業を整理し、現場に向き合える環境をつくるまで
親会社時代、バックオフィスでは具体的にどのようなシステム運用が行われていたのでしょうか。
岩間: 親会社やグループ全体では、大手の有名オンプレ型会計ソフトでデータが統一されていました。しかし、そのシステムは一部の事務や管理職しか触ることができず、現場の担当レベルから直接触れることはできませんでした。
現場の社員の方々が直接会計ソフトを操作できないことで、どのような支障が生じていたのですか。
岩間: 現場の人間にとって、会計ソフトは普段の仕事で直接関わり合いのない「遠い存在」になっていました。経営数値や予算の動きをリアルタイムに追いながら現場が主体的に動くような、スピード感のある運用は難しい状況でしたね。
実際の現場と総務の間での数字のやり取りは、どのように行われていたのでしょうか。
岩間: 現場の担当者がエクセルで利益や支払いを管理し、管理職がそのエクセルを見てチェックする。商流の最後に総務がそれを受け取って会計システムに入力する、という完全に分断されたやり取りが行われていました。
現場・管理職・総務の間で、同じデータが何度も扱われていたわけですね。
古間木 志穂様(以下、古間木): そうなんです。例えば100枚の請求書が届いたとして、使っている数字自体はみんな全く同じなのに、現場、管理職、総務のそれぞれの段階で合計3回も同じ数字を打ち直して手作業で確認していました。
三重入力によるミスや、業務の無駄も非常に大きかったのではないでしょうか。
古里 友紀様(以下、古里): エクセルで打ち直す中で入力ミスや誤解が生じ、何度も数字を打ち直して確認作業を繰り返していました。独立後は総務を実質2名で回さなければならない中で、このような二重三重の手間はあまりにも大きな負担でした。
当時の勤怠や経費の管理においても、同様の課題があったのですか。
古里: 親会社のシステムでは、社員の打刻漏れや申請ミスがあると、すべて総務側でエラーをチェックし、管理職に「取り下げてください」と個別連絡して直してもらう必要がありました。総務の手間はもちろん、現場にも大きなストレスがかかっていました。
建設特化ではなく「現場とバックオフィスの統合」を選択。少人数体制を支えるfreee選定の舞台裏
独立に伴い、親会社のオンプレ型システムから新しい会計ソフトへ移行することを決めた背景を教えてください。
岩間: 親会社のシステムはグループ内で統一されていましたが、非常に使いにくく、少人数で業務を回すには大きなネックになっていました。また、以前から「社員全員が見て使いこなせる会計ソフトが良い」という思いがあったため、独立を機にクラウドシステムへ刷新することを決めたのです。
システムの選定において、具体的にどのような点を重視されたのでしょうか。
岩間: 現場の社員自身がシステムを見て、主体的に判断・運用できる体制を作ることが重要でした。独立を機に、従来のやり方から少人数でスピーディーに運用できるクラウドシステムへと切り替え、業務を一元化したいと考えたのです。
具体的にどのようなツールやサービスを比較検討されたのですか。
岩間:従来の重厚なシステムではなく、これからの自分たちの規模にフィットし、実績と知名度の高いクラウドサービスを中心に検討しました。その中で重視したのは、会計単体ではなく「freee販売管理」など、現場の業務までカバーできるプロダクト群が揃っているかどうかでした。
最終的にfreeeを選定された決め手は何だったのでしょうか。
岩間: プロダクト同士の「連携のスムーズさ」です。他社サービスを調べた際、機能ごとにシステムが分かれていてデータ連携に手間がかかるケースもあると聞きました。その点、freeeはバックオフィス全体を一括で統合でき、少人数でも無理なく一元管理できる確信が持てたことが決め手になりました。
建設業特化型の会計ソフトではなく、汎用的なクラウドサービスを選んだ点に迷いはありませんでしたか。
岩間: 当然、建設会計専用のソフトも頭をよぎりました。しかし、当社の事業の半分はメンテナンス業務です。あまりに建設工事だけに特化したシステムにする必要はなく、むしろバックオフィス全体を効率化して法令遵守を徹底できる環境を優先すべきだと考えました。
システムを刷新することで、バックオフィスの運用はどのように変わりましたか。
岩間: 「法令遵守はソフトの言う通りにやっておけば大丈夫」という状態に持っていきました。法改正や複雑な手続きを個人の知識に頼るのではなく、システムに従って操作すれば自動的にコンプライアンスが保たれる環境を構築し、浮いたリソースで再生可能エネルギーの専門業務に向き合えるようにしたのです。
打刻エラーほぼゼロ、現場が自ら動く「申請主義」に、学習はコスト1/3へ
独立後、現場の勤怠管理やスマートフォンでの打刻運用はどのように変わりましたか。
古里: 全国各地の現場へ直行直帰や出張が多い体制ですが、社員各自がスマートフォンやPCから直感的に出退勤を打刻できるよう設定しました。万が一、朝の報告や打刻を忘れてしまっても自動で基本勤務時間が入る仕組みにし、残業やイレギュラーがあった際だけ自分で申請してもらう形にしています。
自動入力と本人申請を組み合わせることで、総務や現場の負担は軽くなりましたか。
古里: はい、かなり楽になりました。以前は打刻漏れがあるたびに総務が個別に確認して直していましたが、今はエラーマークが出ている人だけに個別に声をかける程度です。日々の操作に皆さん慣れてくれたので、以前のように頻繁に案内を出す必要はなくなりました。
導入にあたって現場の定着で苦労されたり、手厚いレクチャーを行ったりしたのでしょうか。
古間木: 導入初期こそエラー表示が出た人に「確認してくださいね」と個別に声をかけてフォローしていましたが、2年間毎日ポチポチと自分で操作する中で、自然と操作が定着していきました。今では長期休暇明けにたまに忘れる人がいるくらいで、日常の打刻エラーや修正申請はほぼゼロの状態です。
親会社時代と比べて、締め作業の手間や業務のスピード感には大きな差が出ましたか。
岩間: 親会社では打刻忘れの申請だけで何ページ分も残っており、一括承認で強引に処理するような状態でした。しかし今は、エラーや疑問点があれば画面上のマークですぐにわかり、締め作業のストレスや総務の確認作業は劇的に減りました。
勤怠だけでなく、各種手当や出張旅費の申請・精算方法も一新されたのですね。
岩間: 手当や出張日当の精算は、すべて「本人が申請したものを会社が承認する」という徹底した申請主義に切り替えました。以前は上司や総務が代理で手続きすることもあり、入力ミスがあると「会社が間違えた」と不信感に繋がりかねませんでしたが、本人が申請する形に統一したことで余計な心理的摩擦が消えました。
人事、給与、会計などのシステムを統合したことで、全体としてどのような効果がありましたか。
岩間: 以前は勤怠管理、人事、給与などで別々のソフトを使い、使い方も案内方法もバラバラでした。freeeで統合されたことで、同じIDと統一された操作感でログイン・利用できるようになり、システム習得コストや案内にかかる時間は以前の3分の1以下に削減できたと感じています。
常時20超のプロジェクトを回す「freee販売」——現場のリアルタイム経営と次なる挑戦
会計や人事労務に加え、プロジェクトや見積管理を行うために「freee販売」を導入された経緯を教えてください。
岩間: 元々はfreee会計のタグ機能を使って案件ごとの管理を試みていましたが、太陽光発電所の保守や請負工事の案件が増えるにつれ、タグの管理枠だけでは追いつかなくなりました。現場から「これでは管理しきれない」という声が上がり、上位の管理が可能なfreee販売の導入を決めました。
建設工事やメンテナンス案件の管理において、以前はどのような混乱が生じていたのですか。
古間木: お客様から「この内容を少し変更してほしい」と何度も依頼されるため、同じお客様に対して何パターンもの見積書を作成します。以前はどの見積書が最新なのか分からなくなり、現場や営業の間でバージョンの混乱が生じることがありました。
「freee販売」を導入したことで、見積管理や案件の進行管理はどう変わりましたか。
古間木: freee販売では1つの案件に対して複数の見積書を紐づけて作成でき、どれが最終決定されたものかが一目で分かるようになりました。常時20件以上の案件が同時に動いていますが、見積もりの提出漏れやバージョンの取り違えは一切なくなりました。
経営層や現場の管理職の方々にとって、案件や数字の見え方はどのように変わりましたか。
岩間: 毎週の会議ではfreee販売の画面を全員で見ながら進行状況や数値をチェックしています。以前は会計ソフトやエクセルから見積書を追いかけるのは困難でしたが、今はリアルタイムで案件ごとの進捗や収支が見えるため、経営判断や現場の動きが圧倒的にスピーディーになりました。
少人数でありながら全国40箇所以上のインフラを守り続ける中で、freeeはどのような存在になっていますか。また今後の展望などお聞かせください。
岩間:再生可能エネルギーの保全需要は今後さらに高まっていきます。 当社のように実質10数名の少人数体制で全国をカバーし、法令遵守を徹底しながら業務を回すには、バックオフィスを統合できる仕組みが不可欠です。freeeのおかげで管理コストを最小限に抑え、 管理業務に煩わされることなく、全員が専門性を発揮して現場に向き合える体制が整いました。これからもテクノロジーをフル活用し、全国のエネルギーインフラを支えるスペシャリストとして成長を続けていきます。



