レンタルサーバー「ロリポップ!」、ECサイト構築サービス「カラーミーショップ」、オリジナルグッズ作成・販売ができる「SUZURI」など、インターネット上での表現活動を支援する事業を手がけるGMOペパボ株式会社。多彩なプラットフォームを展開する同社では、サービス数の多さに比例してバックオフィスの業務も多岐にわたります。
経営戦略部 経理財務チームは、正社員2人と派遣社員2人を含む少人数の体制で膨大な業務を担ってきました。月次決算などの対応に加え、サービスごとの経理処理の煩雑さや、紙・手作業による非効率なフローに悩まされていたといいます。今回は、経理財務チームの皆さんに、freee製品の導入を通じてどのように業務改善を進めたのか、お話を伺いました。
課題
・月次決算を6営業日で完了する必要があり、残業やマ ンパワーによる無理な対応が続いていた。
・サービス数が多く、それぞれに異なる管理システムが存在し、経理処理が煩雑だった。
導入の決め手
・エンタープライズプラン導入時に、開発要望に対して、迅速に対応可能だった。
・クラウドでの一元管理により、他社製品に比べ中長期での発展性が高かった。
導入後の効果
・紙での承認や証憑のファイリングが不要になり、プリント・回覧・保管作業がゼロに。
・経理チームの残業が大幅に減少し、法制度対応や非定型業務に時間を割けるようになった。
会計とワークフローが分断されていた“アナログ時代”
——freee会計を導入するまで、どのような課題を抱えていたのでしょうか?
とにかく非効率でした。紙の帳票を月に200〜300枚印刷して、手書きで伝票番号を書いて、会計システムに手入力していました。会計とワークフローが別システムだったため、デー タの二重登録や確認作業が発生し、ミスや手間が多かったんです。各部門から上がってくる請求書や支払い申請の処理だけで、膨大な紙資料と格闘していました。印刷や伝票番号の手書き作業、ファイリングと、経理の本質ではない事務作業に時間を取られてしまっていましたね。
——月次決算の締めが6営業日という制約もあるとお聞きしました。
はい、グループ全体でルールが定められていたので、必ずこの期間内に数字をまとめなければなりません。正社員と派遣社員4人でこなすには負担が大きく、特に繁忙期は残業も増えてしまいがちでした。
——そうした状況をどのように改善しようと考えたのでしょうか?
まず、紙の廃止を決断しました。紙での承認は時間がかかり、何冊もの厚いファイルは保管場所にも困ります。加えて、会計とワークフローが連携していない状態では業務が何重にもなり、改善は不可欠だと判断しました。
”スーパーリセット”をきっかけにfreeeを導入。複数システムを段階的に統合
——freeeの導入を検討されたきっかけは何だったのでしょうか?
会社全体で『定型業務の時間をクリエイティブな業務時間に変えよう』という業務効率化の取り組みがスタートしたんです。その機会に非効率な経理業務も見直す対象となり、システム統合の検討が始まりました。
——導入に至った理由を教えてください。
freee会計はワークフローと会計が連携できる仕組みを持っていたのが決め手でした。他社製品も比較 しましたが、当社の業務に最も合っていたのがfreee会計でした。エンタープライズプランでは、自社の要件に沿った機能設計ができる点も魅力でしたね。
——freee会計のあと、他のfreee製品も導入されたそうですね。
freee会計を中心に、freee請求書、支出管理、経費申請などを順に取り入れていきました。 導入してみて、特に大きく変わったと感じているのは、紙の帳票や二重入力といった手間がほとんどなくなったことです。それによって、請求書の承認から仕訳、送付、入金確認までを一気通貫で管理できるようになって便利になったと感じています。以前のように『あの書類どこ?』と探し回ることはなくなりました。
手作業ゼロへ。削減した時間で非定型業務にチャレンジ
——導入後、業務にどんな変化がありましたか?
紙の帳票や二重入力の手間がほとんどなくなりました。以前は請求書を印刷して、承認をもらって、さらに別システムに転記して…といった流れが当たり前で、請求書の発行には月50時間ほどかかっていました。しかし、freee製品の導入後は申請から仕訳・計上までが一連で完結しているため、請求書発行の作業時間を25時間にまで削減できました。
経費精算や支払申請などの支出管理業務の作業も、Slackで経費申請の通知を受け取れたり、申請内容をAI読み取り機能(AI-OCR)で手入力の必要がほぼなくなったため、90時間から55時間にまで短縮され、トータルで60時間近く効率化が実現したことになります。
——その削減された時間の、現在の使い方を教えてください。
まず、これまでゆとりをもって着手できなかった収益認識やインボイス制度など、対応の検討にしっかり時間をかけられるようになりました。また、部門ごとのデータを可視化して経営層へ共有するなど、より戦略的な分析業務にも取り組めるようになっています。経理の枠を超えた業務にもチャレンジできる環境が整いつつあります。
——残業時間にも変化があったのでしょうか?
はい。導入前は、特に月次締めのタイミングになると遅くまで残業する必要がある場合も珍しくありませんでした。それが今では、月の残業時間は導入前の約70%程度にまで抑えられています。
物理的な時間の余裕が生まれただけでなく、精神的なゆとりもできて、メンバー同士での声かけや業務の引き継ぎもスムーズになりました。自然とチームとしての一体感もより高まったように感じています。
——freee会計の操作性や使い勝手についてはいかがでしょうか?
とても視覚的で分かりやすく、初めての社員でも直感的に操作できます。以前はExcelで管理していたので、どの口座でいつ支払うのかを手作業で分けていました。freeeでは支払い依頼に期日を設定しておくと、支払予定リストが生成されるため、支払漏れや確認ミスの防止につながっています。また申請や承認の連絡をSlackで通知できるため、従業員たちの反応も早くなって助かっています。
——今後の展望と、freeeに対する期待を教えてください。
AIや自動化の領域はさらに強化していきたいと考えています。また、取引先に複数の振込口座を設定できるようになれば、人的ミスの防止にもつながると思います。freeeは製品の開発スピードも速いので、今後の進化に期待しています。
掲載日:2025年6月6日