青色申告ができる条件とできない条件とは?対象所得や個人事業主・会社員の基準を解説
目次
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青色申告は、事業所得・不動産所得・山林所得がある人が選択できる申告方法です。
青色申告を行うには、期限までに青色申告承認申請書を提出し、確定申告時に確定申告書と青色申告決算書を提出する必要があります。
条件を満たせば、最大65万円の青色申告特別控除などのメリットを受けられるため、対象者や手続きの流れを正しく理解しておくことが重要です。なお、2027年分以後は制度見直しにより、一定要件のもとで最大75万円控除が適用されます。
本記事では、青色申告ができる条件・できない条件、対象となる所得、副業収入を青色申告する際の考え方を解説します。
そもそも青色申告とは
青色申告とは、あらかじめ税務署へ承認申請を行い、帳簿に日々の取引を記録し、その内容に基づいて申告する人に対して、税制上の優遇措置が設けられている申告制度です。
所得税は、納税者が自分で所得や経費を計算して申告する仕組みです。そのため、正しく申告するには、日々の取引を記帳し、書類を保管しておく必要があります。
特に55万円・65万円の青色申告特別控除を受ける場合は、正規の簿記の原則、一般的には複式簿記による記帳が求められます。他方、10万円控除では、簡易な帳簿による記帳でも適用が可能です。
青色申告のメリットには、以下が挙げられます。
青色申告のメリット
- 最大65万円の青色申告特別控除が受けられる
- 青色事業専従者給与を必要経費にできる
- 純損失の繰越し控除と繰戻し還付ができる
- 貸倒引当金を計上できる
- 少額減価償却資産の特例を使える
2026年分までの現行制度では、青色申告特別控除には65万円・55万円・10万円の区分があり、適用要件に応じて控除額が異なります。
個人事業主が青色申告するための条件
個人事業主が青色申告するための主な条件は、以下のとおりです。
個人事業主が青色申告するための条件
- 対象の所得(事業所得・不動産所得・山林所得)を得ていること
- 事前に青色申告承認申請書を提出していること
- 確定申告で必要な書類を提出すること
青色申告特別控除を受けるためには控除額ごとの要件もあり、たとえば、55万円または65万円の控除では、複式簿記での記帳が必要です。
なお、青色申告では、帳簿は原則7年間保存する必要があります。書類は種類により5年または7年の保存が必要です。控除額ごとの要件や青色申告の基本は、以下の記事で詳しく解説しています。
事前に青色申告承認申請書を提出する
青色申告をする場合は、申告する年の3月15日までに青色申告承認申請書を税務署に提出します。
ただし、その年の1月16日以後に事業を開始した場合は、開業日から2ヶ月以内に提出すれば、その年から青色申告が可能です。提出方法は、税務署窓口への持参や郵送のほか、e-Taxも利用できます。
確定申告で確定申告書と青色申告決算書を提出する
青色申告に必要な主な書類は、次のとおりです。
| 提出が必要な人 | 書類 |
|---|---|
| 青色申告をする全員 | 確定申告書 |
| 青色申告決算書 | |
| マイナンバーがわかる本人確認書類 | |
| 各種控除を受ける場合 | 各種控除証明書 |
| 税金の還付を受ける場合 | 還付先口座情報がわかるもの |
出典:国税庁「確定申告書等の様式・手引き等(令和7年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)」
青色申告をする人全員が必要な書類は、確定申告書と青色申告決算書の2つです。
55万円または65万円の控除を受ける人は、損益計算書と貸借対照表を含む計4枚の青色申告決算書を提出します。10万円控除の場合は、貸借対照表の提出は不要ですが、損益計算書の提出は必要です。
また、確定申告で各種控除を受ける場合、控除によっては控除証明書の提出が必要です。たとえば、医療費控除を受けるためには、医療費控除の明細書の添付が求められます。
そのほか、所得税の還付を受けるために確定申告書に銀行口座を記載する場合は、通帳やキャッシュカードなどの口座番号がわかるものを手もとに用意しておきましょう。
確定申告の期限は翌年の3月15日(期日が土日・祝日の場合は翌開庁日)までです。
2027年分以降に適用される青色申告特別控除の見直し
2026年度税制改正により、2027年分以後の所得税から、青色申告特別控除の控除額や要件が一部見直されます。主な見直し内容は、以下のとおりです。
青色申告特別控除の主な見直し内容
- 最大控除額が65万円から75万円に引き上げられる
- 書面申告で55万円控除を受けられる区分の廃止
- 前々年分の事業所得または事業的規模の不動産所得にかかる収入金額が1,000万円を超える場合、簡易簿記による10万円控除の対象外となる
青色申告特別控除の最大控除額は75万円に引き上げられます。75万円控除は、改正後の65万円控除の要件を満たしたうえで、仕訳帳および総勘定元帳について、電子帳簿保存法に定める一定の要件を満たして電子データによる保存などを行う場合に適用されます。
現行制度では、複式簿記による記帳や期限内申告などの要件を満たしていれば、書面で申告する場合でも55万円控除を受けることが可能です。また、これらの要件に加えて、e-Taxによる電子申告または優良な電子帳簿保存を行う場合は65万円控除を適用できます。
改正後は、現行の55万円控除に相当する区分にe-Taxによる電子申告が要件として加わります。そのうえで、控除額は65万円に引き上げられるため、書面申告で55万円控除を受ける区分はなくなります。
そのほか、前々年分の事業所得または事業的規模の不動産所得にかかる収入金額が1,000万円を超えると、簡易簿記による10万円控除は適用できません。
青色申告できる所得
所得は、所得税法で10種類に区分されており、青色申告の対象となるのは以下の3つです。
青色申告ができる所得
- 事業所得
- 不動産所得
- 山林所得
会社員などの給与所得者であっても、これらの所得があれば青色申告が可能です。
事業所得
事業所得とは、小売業・サービス業・農業・漁業・自由業などの事業から生じる所得のうち、不動産所得や山林所得に該当するものを除いたものです。
たとえば、飲食店やネットショップの運営、フリーランスのデザイナー・ライター・エンジニアとして報酬を得る活動を、継続的・独立的に事業として行っている場合は、事業所得に該当します。
出典:国税庁「No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)」
不動産所得
不動産所得とは、以下のような貸付けによる所得のことです。たとえば、アパート・マンション・オフィスビル・月極駐車場などの貸付けによる所得は、不動産所得に該当します。
不動産所得に該当する貸付け
- 土地や建物などの不動産の貸付け
- 地上権など不動産の上に存する権利の設定および貸付け
- 船舶や航空機の貸付け
不動産所得で55万円または65万円の特別控除を受けるためには、不動産貸付けが事業的規模であることが要件です。
事業的規模として認められるには、以下のいずれかに該当する必要があります。
- 独立家屋の場合、概ね5棟以上の貸付けであること
- 貸間やアパートの場合、概ね10室以上であること
- 駐車場の場合、概ね50台以上であること
出典:国税庁「No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」
出典:国税庁「No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分」
山林所得
山林所得とは、山林の伐採や立ち木のままで譲渡したことによる所得です。山林を取得してから5年を超えて所有し、伐採して譲渡した場合や立木のまま譲渡した場合は、山林所得です。
山林を取得してから5年以内に伐採または譲渡した場合は、山林所得ではなく、事業所得または雑所得に該当します。なお、土地ごと譲渡した場合、土地部分は譲渡所得にあたります。
青色申告できない所得
青色申告ができるのは、10種類の所得のうち、事業所得・不動産所得・山林所得に限られます。したがって、以下の7つの所得のみがある場合は、青色申告の対象にはなりません。
青色申告ができない所得
- 給与所得
- 退職所得
- 譲渡所得
- 利子所得
- 配当所得
- 一時所得
- 雑所得
給与所得
給与所得は、正社員・派遣社員・契約社員・アルバイトなどが勤務先から受け取る給与や賞与による所得です。
一方、業務委託や請負による報酬は雇用契約に基づく給与とは異なり、一般的に給与所得ではなく、実態に応じて事業所得または雑所得に区分されます。
退職所得
退職所得とは、退職により勤務先から受ける退職手当などにかかる所得です。社会保険制度などにより退職に基因して支給される一時金や、確定拠出年金の老齢給付金として支給される一時金なども退職所得とみなされます。
退職所得は、退職所得控除や2分の1課税などが適用され、給与所得とは異なる方法で所得税が計算されます。
なお、退職金は青色申告の対象ではありません。退職所得の受給に関する申告書を勤務先に提出していれば、原則として確定申告は不要です。
譲渡所得
譲渡所得とは、土地・建物・借地権などの不動産や、ゴルフ会員権などを譲渡したことで得られる所得です。課税方法は、譲渡する資産の種類によって、総合課税となる場合と申告分離課税となる場合があります。
出典:国税庁「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」
利子所得
利子所得とは、公社債や預貯金の利子による所得をいい、海外の預金の利子も含まれます。利子を受け取る際は、原則として所得税・復興特別所得税や住民税が源泉徴収されます。
出典:国税庁「No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)」
配当所得
配当所得は、株式の配当金や投資信託の分配金による所得のことをいいます。利益・剰余金の分配、投資法人からの金銭の分配、投資信託・特定受益証券発行信託の収益の分配などが配当所得に該当します。
出典:国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)」
一時所得
一時所得とは、営利を目的とする継続的な行為から生じた所得ではなく、労務・役務の対価、または資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。
懸賞の賞金・競馬の払戻金・生命保険の一時金・法人から贈与された金品などが一時所得にあたります。
雑所得
雑所得は、ほかのいずれの所得にも該当しないもので、以下のような所得が該当します。
- 公的・私的年金の給付金
- 個人の資産運用の範囲でのFX取引による利益(申告分離課税)
- 原稿料や講演料などによる所得
- 事業的規模ではない先物取引による所得など
- フリマアプリなどで、継続的に営利目的で販売して得た収入
サラリーマンの副業収入を青色申告するための条件
サラリーマンの副業のうち、アルバイトをして給与を得ている場合は給与所得です。
ネットオークション・アフィリエイト・エッセイなどの執筆で収入を得ている場合、事業所得と雑所得のいずれと判断されるかによって、青色申告できるかどうかが決まります。
副業による収入が事業所得と雑所得のいずれに該当するかは、営利性・継続性・活動規模・帳簿書類の保存状況などの実態を踏まえて判断されます。そのため、給与所得者の副業であっても、一律に雑所得として扱われるわけではありません。
事業所得に該当する場合は青色申告の対象となりますが、雑所得に該当する場合は青色申告の対象外です。
まとめ
青色申告は、事業所得・不動産所得・山林所得がある人が選択できる申告方法です。条件を満たせば、青色申告特別控除をはじめとするメリットを受けられる場合があります。
青色申告を行うには、期限までに青色申告承認申請書を提出し、確定申告時に確定申告書と青色申告決算書を提出する必要があります。
青色申告の適用を検討する場合は、対象となる所得や必要な手続きを確認したうえで、期限に間に合うよう余裕をもって準備を進めましょう。
参考文献
▶︎国税庁「No.2070 青色申告制度」
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青色申告に必要な帳簿は?
青色申告では、55万円または65万円の特別控除を受ける場合、主要簿(総勘定元帳・仕訳帳)の作成が基本で、必要に応じて補助簿(現金出納帳や売掛帳・買掛帳など)も作成します。一方、10万円控除の場合は、主要簿の作成は不要で、補助簿のみで申告できます。
そのほかの青色申告の条件は、記事内「個人事業主が青色申告するための条件」をご覧ください。
監修

松浦 絢子
松浦綜合法律事務所代表。京都大学法学部、一橋大学法学研究科法務専攻卒業。東京弁護士会所属(登録番号49705)。法律事務所や大手不動産会社、大手不動産投資顧問会社を経て独立。IT、不動産、相続、金融取引など幅広い相談に対応している。さまざまなメディアにおいて多数の執筆実績がある。