愛媛県八幡浜市の地域福祉の推進を担う社会福祉法人八幡浜市社会福祉協議会。養護老人ホームや訪問介護事業所など4つの事業所を運営し、98名の職員(2025年11月時点)で地域の福祉を支えています。
その裏側で課題になっていたのが、人事・労務管理のアナログな運用です。紙のタイムカードからExcelへの手入力、毎月大量に届く時間外申請書の確認と管理などに時間を取られ、労務リスクへの心理的負担も抱えている状態でした。
こうした課題を解決すべく導入されたのが、freee勤怠管理Plusとfreee人事労務です。職員の最高齢は75歳という環境でしたが、スマートフォンでの打刻を活用することで現場への浸透に成功。延べ2週間以上かかっていた勤怠管理作業は半分以下に短縮され、本来の福祉事業に向き合える体制が整いました。
今回は、導入を推進された菊池さま、前田さま、実務に携わられている小西さま、丸山さまにお話を伺いました。
効率化の先にある「本来の仕事」。社協がデジタル化に踏み切った理由
「社会福祉協議会」とはどういった組織なのでしょうか。
前田さん(以下、前田): 社会福祉協議会は、各市区町村に1つずつ設置されており、全国に約2,000ある社会福祉法人です。一般的な社会福祉法人は、高齢者介護や障害者支援など特定の分野に特化していますが、社会福祉協議会は「地域福祉を推進する民間組織」として、幅広い分野を横断しています。
そのなかで、行政と連携しながら利用者さんのご家族を含めて支援を行ったり、地域のボランティアと協働したりと、コーディネーター的な役割を担っているのが特徴です。当協議会では、養護老人ホームの運営、訪問介護事業など4つの事業所を展開しています。
freee導入前は人事・労務管理がすべて紙や手作業がベースだったとのことですが、今回システム導入に踏み切られたきっかけを教えてください。
菊池さん(以下、菊池): 私は民間企業から当協議会の事務局長に着任したのですが、初出勤の日に紙のタイムカードを見てアナログな管理実態に驚きました。月末になると担当者が職員98名分のタイムカードを1枚ずつExcelに手入力している姿を見て、「この時間がもったいない、もっと良いやり方があるはずだ」と感じたのがきっかけです。
前田: 当時は、勤怠の集計やチェック作業に追われることで、困っている利用者さんに寄り添う時間や、職員同士で支援について話し合う時間などが圧迫されていました。システム導入を検討し始めたのは、そういった「本来の業務」に集中できる環境を整えたいと考えたからです。単なる効率化ではなく、「本来の社会福祉事業に取り組める時間の確保」を一番大切に考えました。
当時の人事・労務管理は、具体的にどのように行われていたのでしょうか?
小西さん(以下、小西): 手書きで記入された紙のタイムカードを各事業所から本部に集め、Excelへ手入力し、集計したものをさらに給与ソフトへ入力し直していました。また、各事業所の事務員、主任支援員、施設長と3段階で確認したものを、給与計算を担う私が最終確認するという4段階の確認を経ていました。
そういった手作業ゆえに時間がかかり、勤怠に関する管理だけで各事業所と本部で毎月3日ずつ、合計すると毎月12日以上はかかっていましたね。
前田: 時間外労働の申請も同様です。紙で提出される毎月100枚以上の書類を1枚ずつExcelへ転記・集計していたため、時間がかかり、ミスも起きやすい状況でした。時間外申請は、残業の必要性の確認や、労務管理の観点から内容の確認も必要です。しかし、手書きの字が読みにくいものや、出し忘れで翌月届くものもあり、給与計算の正確性や法令遵守への不安が常につきまとっていましたね。
「いつものスマホ」だから実現できた。75歳も活躍する現場のDX
多くのシステムがあるなかで、なぜ「freee勤怠管理Plus」と「freee人事労務」を選ばれたのでしょうか?
丸山さん(以下、丸山): 決め手は、LINEなどを使ってスマートフォンで打刻ができる点です。パソコンを持たない職員が多いことや、職員の平均年齢が高いことから、使い慣れた個人のスマホで完結できることが必須条件でした。
前田: 複雑な就業形態にカスタマイズ対応できる点も魅力でした。当協議会の職員は、ヘルパーや施設職員だけでなく、コーディネーターの役割を担う本部職員など働き方が多様で、人の出入りも多い職場です。当初はfreee勤怠管理Plusだけを検討していたのですが、話を聞くなかで給与計算や社会保険の手続きまでまとめて管理できることに魅力を感じ、freee人事労務の導入も決めました。
丸山: サポート体制にも安心感がありましたね。「ここまでは御社で準備が必要です」「ここは私たちがサポートします」と導入までの工数や費用を含めて事前説明が明瞭でした。また、ゴールまでの道筋を示していただけたことで導入後のイメージも深まりました。
職員の皆様への導入はスムーズに進んだのでしょうか?
小西: 正直なかなか大変でした。当協議会の職員の平均年齢は50歳を超え、最高齢は75歳です。導入当初は、 誤って何度も打刻してしまったり、時間外申請ができなかったりということが多発し、問い合わせの電話が鳴り止みませんでした。ただ、紙とは違い、システム上の修正は後からでも可能なので、電話でフォローしながら一歩ずつ浸透させていきました。
丸山: 導入を進めるために、freeeさんが提供しているマニュアルをコピーして配ったうえで、一人ひとりのスマホを直接見て設定をサポートする形をとりました。地道な作業でしたが、一度理解してしまえば私たちのサポートなしで、普段のスマホ操作と同じ感覚で使ってもらえるようになりましたね。
作業時間は50%以上減り、法改正にも自動対応。freee導入で生まれた時間と心の余裕
freeeを導入したことで、日々の業務にどのような変化があったのでしょうか。
小西: 勤怠の管理に関して、各事業所と本部でそれぞれ3日ほどかかっていた作業時間が、各事業所で1日、本部でも2日程度と、半分以下になりました。日々の勤怠状況をfreeeの画面上で確認できるため、月末にまとめて確認する必要がなくなったのも嬉しい点です。
前田: 勤怠データをリアルタイムで共有できるようになったことも、大きな変化ですね。以前は「◯月◯日の記録を確認したい」と言われたら、紙の束から該当の申請書を探し出す必要がありました。今は同じ画面を見ながらすぐに確認できるので、とてもスムーズです。
業務効率化以外の変化はありましたか?
前田: 法改正があったときに、freeeならその内容が自動でシステムに反映されます。これが想像以上に大きな安心感につながっています。
これまでは自分たちで法改正の情報を追いかけ、顧問の社会保険労務士に内容を確認しながら対応していました。ただ、日々の業務では利用者さんの対応が優先されますから、法改正の勉強に十分な時間を割くのは難しく……。freeeなら自動でシステムがアップデートされますし、法改正の説明会なども開催されるため、その情報をもとにより具体的な相談を社労士にできます。「間違いがあったらどうしよう」という心理的な負担が軽減されましたね。
「やってみれば案外できる」本来の福祉を取り戻すための投資
社会福祉協議会ではシステム導入の予算を確保するのが難しいケースも多いと聞きます。freee導入のコストについてはどのようにお考えでしたか?
菊池: 管理職が毎月何時間も事務作業やチェック作業に時間を取られていた当時の現状や、管理のために新たに正規職員を雇用することなど考えると、freeeは非常にコストパフォーマンスが高いと感じています。職員が本来の福祉の仕事を全うするための、必要な投資だと判断しました。
最後に、同じようにアナログ管理の現状に悩む社会福祉協議会の方へメッセージをお願いします。
前田: システムの導入などICT活用の最大の目的は、効率化により、利用者さんへの伴走や職員同士の対話に使える時間が増えることだと私たちは考えています。
アナログからの移行にハードルを感じるかもしれませんが、「隣の餅も食ってみよ」という言葉があるように、「できない」と思い込んで判断を下すのはもったいないです。特にfreeeは、打刻などにスマホが活用できるので、誰でも馴染みがあり、いざ導入を開始してみると浸透していくものです。社会福祉協議会は各自治体で運営形態が異なりますが、時代に合わせて変化することを恐れず、ぜひ一歩踏み出してみてください。
