『LOWYA』などを展開する家具・インテリアEC企業の株式会社ベガコーポレーションは、「ECの可能性を無限大に」というビジョンを掲げながら、近年はリアル店舗の展開を加速させることで、新たな顧客接点の創出と事業成長を追求しています。
本稿では、バックオフィス部門を率いる(経営管理本部 財務経理部 部長)萩山さんと(経営管理本部 財務経理部 経理グループ グループ長)大文字さんへのインタビューを通じて、同社の成長を支えるfreee会計の活用状況、およびバックオフィスが果たす役割についてお伺いしました。どのようにして事業成長に合わせて複雑化する事業環境に対応し、効率的かつ戦略的なバックオフィス体制を構築してきたのか、その軌跡と今後の展望に迫ります。
株式会社ベガコーポレーション 萩山様(経営管理本部 財務経理部、写真右)、大文字様(経営管理本部 財務経理部 経理グループ、写真左)
『freee会計』導入前はどうだった?
多角化かつ急成長する事業に、バックオフィスはどうあるべきか
――まずは御社のビジョンやミッションをお聞かせください。
萩山さん(以下、萩山): 弊社のビジョンは「ECの可能性を無限大に」です。そしてミッションは「『わくわく』を届け、『アタリマエ』を変える」こと、バリューとして「誠実・愛・感謝・謙虚・調和」を設定しています。私たちバックオフィスも、これらのビジョン・ミッション・バリューを常に意識して業務に取り組んでいます。
――ビジョンやミッションを受けて、バックオフィスチームではどのような活動方針をもっていますか?
萩山: 「企業価値向上の実現」というビジョンのもと、「経営や事業、各組織の定める目標達成に向けた後方支援」というミッ ションを持っています。特にここ数年は、利益効率を重視しながら売上成長を促進する取り組みを全社で目指しており、バックオフィス側でもどうやって実現するか?に日々挑んでいます。
『freee会計』導入のきっかけ&決め手
あたらしい仕組みに困惑も、圧倒的な効率化のための決断を
――freee導入のきっかけを教えてください
萩山: 導入のきっかけは、取締役からの提案でした。展示会でfreeeの方とはじめてコミュニケーションをとり、「freee導入を検討しよう」と持ち帰ってきたことから始まりました。
私たち経理メンバーは、freee会計や競合他社の存在は知っていましたが、長年、オーソドックスな会計システムを使ってきたため、freee会計の概念は当時は高いハードルを感じてました。従来の会計システムとは異なり、貸借の仕訳を直接入力して試算表を作成するタイプではないため、慣れるまでは抵抗感がありました。
しかし、ワークフロー機能を中心にたくさんのメリットがあることがわかり、そこからプロジェクトを組んで、導入支援を受けながらスムーズに導入していきました。
――最終的に導入に踏み切った「最後のひと押し」は何だったのでしょうか?
萩山: やはり「圧倒的な効率化への期待」です。それまでは、すべての請求書を紙で本社に集約し、一つずつ確認しながら仕訳を入力していました。しかし、freee会計のワークフローで支払依頼を流してもらうことで、現場が勘定科目を入力してくれたり、支払先が自動で設定される機能があることが分かりました。
これまですべてアナログでやっていた作業が変えられる……これが決め手だったかもしれません。
『freee会計』導入後の変化
EC+リアル店舗の複雑な会計フローも、さくさく
――実際に『freee会計』を導入して、どのような点が役立ちましたか?
萩山: 最初に感じたメリットのひとつは、事業所の増加に対応できた点です。東京支社ができたり、直営店が増えたりと、事業所が増えるにつれて、経理周りの請求書管理や各種費用申請、経費精算の管理が非常に煩雑になってきます。その意味では、直営店を始める前にfreee会計を入れておいたのが功を奏しました。店舗で採用したスタッフも、問題なくfreee会計を使っているのですが、やはりfreee会計はシンプルで使いやすいなと実感しましたね。
――店舗ごとの請求管理の対応もスムーズになったと聞きました
大文字さん(以下、大文字): 例えば3店舗ほど展開した際、店舗ごとに発生するコストも異なり、請求書が来る業者もそれぞれバラバラなので、どの店舗からどのような請求書の支払依頼や経費精算が上がってきているのか、そのチェックには非常に苦戦していました。
しかし、freee会計で一元的に確認できるため、経理部門だけでなく、店舗を管理する部署が整理してくれています。freee会計の「どこからでも誰でも同じ情報を見れる」という機能が、この整理のスタート地点となり、今後の店舗拡大にあたっても強い味方になってくれると感じています。
『freee会計』導入後の変化
99.9%のペーパーレス化が生み出した副産物。締め日翌月5営業日をキープで残業25%カット。
――freee会計導入後、働き方などにも変化がありましたか?
萩山: freee会計導入前も別の会計システムを使っていましたが、完全に紙社会でした。すべての紙資料を本社に集め、経理部門でそれを見ながら仕訳を入力し、決算を組んでいました。しかし、現在ではほぼペーパーレスで業務が進んでいます。99.9%の紙資料を削減させたといっても大げさではないかもしれません。
――ペーパレス化にはどんな効果がありましたか?
大文字: freee会計導入前は、5営業日の締め期間中、毎日夜遅くまで残業していました。しかし、今では店舗数が増え、処理量も増えているにもかかわらず、締め期間中も残業が大幅に減り、定時で終えられる日も多くなりました。全体で約25%の残業時間削減につながっており、月次決算を効率的に締められるようになった大きな要因です。現在は締め期間中でも、多くても1〜2時間の残業で済んでいます。店舗が増え、処理数が増えているのにもかかわらずです。バックオフィスの人数は現在5人ですが、人員増加を伴わない事業拡大を実現しています。
『freee会計』導入後の変化
freee会計をベースに、全社でつくりあげた「圧倒的な営業利益の成長率」
――『freee会計』は全社的に活用されているのでしょうか?
萩山: freee会計導入前は、社長を含め、会計システムを覗きに行って数値を見るという文化自体がありませんでした。freee会計を導入し、情報統制しながらも責任者にはデータを開示することで、自分の部署がどのくらいコストを使っているのかという「コスト意識」が、間違いなく各責任者に根付いてきていると感じます。
大文字: freee会計で主に活用している のは部門管理の機能で、例えば「〇〇店舗がいくら売れていて、利益がどうなのか」といった店舗別損益の把握にはfreee会計をメインで活用しています。副産物としては、以前は意識の高い責任者や代表に対して、毎回Excelで元帳データを加工して提供していたのですが、それがなくなりました。また、元帳から支払依頼や経費精算のデータが紐づいているため、わざわざ請求書を引っ張り出してPDF化して送るような作業も確実になくなりました。
――『freee会計』でさらに筋肉質な体制をつくることができた?
萩山: freee会計のデータを活用し、私たちは月に一度、社内決算説明会を実施し、責任者を集めて月次決算の振り返りを行っています。会計的な視点だけでなく、事業部のデータも活用しながら、毎月しっかりと月次決算を振り返るようにしています。正直、この20数年間、そういった精査を繰り返してきたので、絞り切れる雑巾はもう絞り切ったような状態でした。ですが『freee会計』があれば、まだまだやれると気づきました。
『freee』と進む、未来。
「freee」という最強の武器を、どう使いこなすか。
――直近のバックオフィス全体では、どのような課題をもっておられますか?
萩 山: 弊社はこれまで約20年間、ECサイト専業でビジネスを行ってきましたが、2年前からECだけでなく「直営店」と呼ぶリアル店舗の全国展開を開始しました。
EC事業だけならば、基幹システムからデータを連携させて会計仕訳を起こすというシンプルな流れでした。しかし、リアル店舗が増えるにつれて、売上計上の方法や入金の仕方が入居先の商業施設によって異なるなど、業務が複雑化しています。いかに業務工数を削減し、効率化できるかという課題に、この2年間ほど悩みながら改善を繰り返している状況です。
――リアル店舗の出店に際して、バックオフィス側で大変だったことを教えてください
大文字: ずっとEC専業だったので、はじめてのことばかりで。「あれ、金庫っているのかな?」とか「大きさはなにがいいのかな?」など、全部調べながら進めました。
萩山: 次に課題にあがったのは、店舗からの売上データをどう抽出するか、小口現金とレジ現金をどう区分して管理するか、その情報をどう取得するか……といった基本的な会計処理の部分でした。小口現金の経費精算をどう管理するか、レジ現金のずれをどうレポーティングするかなど、店舗運営によって派生する細かな業務課題が見つかっていきました。
大文字: 管理会計の観点でも課題がありました。たとえば、店舗ごとのPLをどうダッシュボード化するかなども難しかった。振り返ると、本当に手探りでしたね。
――これだけDXが進んでいる御社ですが、バックオフィス全体の残課題や、次に注力したいテーマはありますでしょうか?
萩山: やはりワークフローを含めて、まだまだ人の手を介している部分が多いです。基本的な業務に対しては、すべて人の手がかかっています。ここをAIなどを活用しながら、限りなくスルー率を高め、仕訳まで自動化できるような状態が、直近の理想ですね。取引登録も含め、今はすべて手入力なので、いかに人の手を介さずに会計の数字まで出来上がるか、というところは追求していきたいです。
――最後に、皆様にとってfreee会計とはどのような存在でしょうか?
萩山: 私たちにとってfreee会計は、最強の武器です。これ以上の武器はないと思っているからこそ、ずっと使い続けています。私たちのポリシーは「決算業務は締めて当たり前」であり、それ以外の「事業に関与する時間をいかに作るか」という点に重きを置いています。この最強の武器をどう使いこなすかは、私たちの終わらない挑戦です。
大文字: freee会計は間接的ではありますが、そこで作った時間を通じて事業成長を支援する「攻めの武器」でもありますし、私たちバックオフィスの「守りの武器」でもある、と考えています。