愛知県名古屋市、一宮市や清須市に拠点を持ち、地域に根ざした介護福祉サービスを幅広く展開している株式会社ウルトラス。介護施設を中心に11事業所を運営し、従業員は約130名にのぼります。
介護業界で人材の流動性が高まる中、同社では限られた経営資源を従業員に還元し、サービスの向上につなげるために、DX化によるバックオフィスの効率化とコスト削減に取り組んでいます。
そんな取り組みの基盤となっているのが、freee人事労務です。給与計算や年末調整といった煩雑な処理を自動化し、大幅な工数削減を実現しています。今回は、導入の背景や効果、今後の展望について、総務を担当する中山 高穂様にお話を伺いました。
人事労務担当は1人だけ、規模拡大期に直面した課題
freee人事労務導入前のバックオフィスは、どのような体制で、どのような課題がありましたか?
中山様(以下、中山): 私はfreee人事労務導入後に入社したのですが、前任者によれば、導入前は紙やExcel、Wordを駆使したアナログな運用だったそうです。
たとえば、勤怠管理は紙のタイムカードをExcelで集計。給与計算もExcelを使って手動で行っていたので、煩雑で時間がかかり、当然ミスも起こりやすい状況でした。また、入退職の手続きは、紙の書類を作成してハローワークや年金事務所に持参する必要があり、事務負担や時間的なロスがかなり大きかったそうです。しかも、事業所ごとの実情に合わせて対応もバラバラでした。
当時から事業所は各地に点在しており、数十人の従業員がいましたが、人事労務の担当者は一人だけ。事務処理だけでも膨大な時間と労力がかかり、ミスも避けられない状況でした。ちょうど会社が規模を拡大している段階で、DX推進も課題に挙がっていたことから、早めのシステム導入に踏み切ったとのことです。
DX推進で重視した「慣れること」と教育的側面
DX化を進める上で、重視されたポイントはありますか。
中山: 「まずは慣れる」という教育的な側面を重視しました。
DX化を進めることは、紙や印刷にかかるコスト削減はもちろん、工数削減やミスの防止にもつながります。今後、さまざまな業界でDX化が進んでいくことは明らかです。物理的なやり取りがインターネットを通じたコミュニケーションに移行していくことも、かなり前から見えていました。
ただ、介護業界は他の業界に比べ、DX化が遅れていると感じます。たとえば、取引先とのやり取りでFAXを使うこともまだ多いです。従業員は20代から70代まで幅広い年代が働いており、平均年齢は40代半ばとやや高めです。スマホやPCの操作に慣れていない方、苦手意識を持つ方も少なくありません。
freee人事労務を導入することで、従業員がスマホやPCに触れるきっかけになり、少しずつ慣れてもらう狙いもありました。
介護業界のDX化が遅れている背景にはどういった要素があると思いますか。
中山: 介護の現場では、1人のお客様に対して必要な書類や管理すべき情報が非常に多く、関わる人も病院、ケアマネジャー、ご家族など多岐にわたります。さらに介護保険や医療保険を利用する関係で、自治体に提出する書類も多く、紙に印鑑を押す文化が根強く残っています。こうした背景から、「システム化しにくい」「一気に電子化に切り替えにくい」という事情があるのだと思います。
人事労務の工数を5~7割削減、会社も従業員も恩恵
freee人事労務導入後、どのような効果がありましたか。
中山: 給与計算にかかる時間が約半分、年末調整にかかる時間が約3分の1に短縮されました。人事労務全体としては、50~70%程度の工数削減につながりました。
また、従業員にも便利さを感じてもらえる場面が増えました。スマホの操作に苦手意識がある方でも、自分の給与明細や勤怠をアプリで確認できれば、その便利さにすぐ気づきますよね。以前は紙のタイムカードを毎月会社に提出していたので、過去の情報を確認したいときは担当者に依頼して取り寄せる必要がありました。それが、今ではアプリで即座に確認でき、自分の情報を自己管理できるようになったことは、従業員にとって大きなメリットだと思います。
中山様ご自身が初めてfreeeを触られた時、どのような印象を持たれましたか。
中山: 私はそれまで事務職の経験がなく、この会社で初めて事務を担当することになったのですが、freeeは抵抗感なく操作できました。「このボタンを押せば、この画面が出てくるんだな」と、直感的に理解できて、すんなり操作に入っていけたんです。もちろん個人差はあると思いますが、私自身は初見からスムーズに使い始めることができました。
freee人事労務を他社のシステムと比較されたことはありますか。
中山: 実は2022年から2年間ほど、freee人事労務と並行して他社のシステムも使っていました。給与計算を始め人事労務の主な業務はfreee人事労務で運用していましたが、人事評価に他社のシステムを使っていたんです。
そこで、同じ情報をどちらにも入力して、「どちらが使いやすいか」の比較を行ってみました。結果として、それぞれに優れた部分はありましたが、freee人事労務のほうがコスト面で圧倒的に優れていました。他社システムの人事評価機能を十分に活用できていなかったこともあり、そちらの契約は解除して今はfreee人事労務のみを利用しています。
「freeeで届く」の浸透で、確認作業と混乱を解消
「freee人事労務 雇用契約オプション」導入による効果はいかがですか。
中山: 雇用契約書の作成・締結から入社書類の回収まで、すべてオンラインで完結できるようになり、大幅に負担が軽減されました。「雇用契約書や人事文書はfreeeで届く」という認識が社内に浸透したことで、やり取りの混乱もなくなりました。
以前は、そういった書類を印刷して手渡したり、PDFにしてメールで送ったり、人によって対応がバラバラでした。そのため、送った側も受け取った側も「そういえば、どうやって受け取ったかな?」と確認に手間取ることがありましたが、それが一切なくなったんです。業務が確実に楽になり、このオプションを付けた価値は十分にあったと感じています。
カスタマーサポートや導入後のサポートについての印象はいかがですか。
中山: サポート体制が十分に整っていて、いざというときに頼りになると感じています。
また、マニュアルがとてもわかりやすいです。正直なところ、マニュアルを参照すれば解決できることが多く、頻繁にカスタマーサポートを利用することはありません。それでも疑問が残る場合は、チャットで質問を送ると「こちらを見れば分かりますよ」と案内してもらえるので、ほとんどの場合はそれで解決します。
そのため、電話までする機会は少ないですが、実際に問い合わせた際には、丁寧で分かりやすい対応をしていただき、すぐに問題が解決しました。
効率化の成果を従業員に還元し、好循環を作りたい
医療・福祉分野でバックオフィスの課題を抱えている法人に向けて、freeeをおすすめできるポイントやアドバイスがあればお願いします。
中山: 介護業界全体の大きな課題の一つは、人材の流動性が非常に高いことです。少子高齢化が進む中、この傾向はさらに強まると考えています。
幸い、当施設のある名古屋市や本社のある一宮市は、全国的に見ると人口減少が緩やかで、事業運営がしやすい地域です。しかし、競合他社もその点に目をつけており、他県からの参入も増えています。そのため、採用競争は激化し、より労働環境が整った会社や給与水準の高い会社に優秀な人材が流れる傾向があります。
こうした状況のなか、弊社はDX化を進めてバックオフィスを効率化することでコストを抑え、その余力を現場のインフラ整備や現場の従業員に還元する仕組みづくりを目指しています。これによりサービスの質が向上し、お客様や従業員にとって好循環が生まれると考えています。その基盤として、今後もfreeeをより応用的に活用しながら取り組みを進めていきたいと思っています。

