決断を厭わず、「ダメならやめればいい」精神で医療DXの道を切り開く

医療法人正幸会 正幸会病院

理事長・院長 東 大里 さん

決断を厭わず、「ダメならやめればいい」精神で医療DXの道を切り開く
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大阪府門真市にて、56床の一般病床を持つ内科系病院として地域住民の健康を支え続けてきた医療法人正幸会 正幸会病院。その実績に最新のDX戦略が加わり、次世代の医療モデルを積極的に構築しています。 今回は、freee導入の経緯や、病院のDX推進のあるべき姿について、正幸会病院 理事長・院長の東 大里さんにお話を伺いました。

医療DX推進の背景とfreee導入の経緯

貴院は全国的にも先駆けて医療DXを進められてきたと思いますが、その理由を教えてください。

東 大里さん(以下、東): 10年ほど前に、デジタル化を推進することを病院の成長戦略の柱にしようと決意しました。医療業界は特に業務の属人化とアナログな情報管理に頼る部分が大きかったので、医療業界の中だけでなく、世の中の一般企業が当然のこととして行っているデジタル化にキャッチアップしようと考えたのです。

具体的には、電子カルテから始め、積極的にクラウドサービスを導入していくことにしました。クラウドサービスはサブスクリプションであることが多く、導入のハードルが低い。よければ使い続ければよいし、やめたければ他のものに切り替えることも容易です。実際にそれを繰り返して様々なシステムを導入し、現在は日本で最もクラウド化が進んでいる病院であると自負しています。

その中で、10年前からfreee人事労務、freee会計をご利用いただいていますが、なぜ導入しようと考えたのでしょうか?

東: まず、当時はまだCD-ROMをインストールして使うソフトも多かったのですが、freeeはクラウドサービスであり、前提の希望に合っていました。

また大手企業の既定路線を曲げない姿勢と比べて、freeeさんは我々の意見をしっかり取り入れてくれて、かつ行動が早いと感じました。そうした新興企業ならではの姿勢が個人的に好きだったというのもあります。

病院としてfreeeのシステムを導入したのは当院が初めてだったようなのですが、freeeさん側もそれを先進的な取り組みとして捉えてくれた印象で、波長が合った部分もあると思います。

情報が一元的にfreeeに集約され、そこを見れば何でも解決できる点にワクワク。クラウドであることによる利便性も実感

実際に導入した際の感想を教えてください。

東: 最初に驚いたのが、銀行やクレジットカードといった様々な情報を連携させ、一元管理を実現していることでした。当時は個別でオンライン管理できるようにはなっていたものの、それらを一つの場所に集約することは、セキュリティ的に容易ではなかったと思います。情報が一か所に集まっていると、そこを見れば何でもわかるので、検討・判断しやすくて助かりますし、ワクワクします。

その他に、メリットに感じたことはありましたか?

東: 具体的な業務としては、例えば会計処理において、最終的な決算は税理士さんにお願いするとしても、具体的な仕訳は病院側でやる必要があります。freeeは、一度判断すればあとはルールに従って自動的にやってくれるので業務負荷を減らすことができました。

また、自分がどこにいても作業できるし、職員とは「freeeにログインして見てくださいね」というコミュニケーションができる。そうしたクラウドサービスとしてのアクセス性のよさも実感しています。

ずっと使い続けているのは、クラウドの人事労務、会計は必須業務であり、またfreeeから他に乗り換えようと思うほどの理由がなく、その価値を感じ続けているからです。

システム導入時、職員の方々の反応はいかがでしたか?

東: 私がクラウド化を進めようとしていることは病院の方向性として共有し、全体の共通認識としてあったので、導入自体への反対はありませんでした。ビジョンの共有は重要だと考えています。

職員の方に「今度からこれを使うから業務の手順が変わります」「給与明細の渡し方も変わります」といった説明をしたところ、多くが「これが未来だよね」とすんなり受け入れてくれました。もちろん、中には高齢だったり、ITリテラシーが高くなかったりして、オンラインで明細をもらうということにも付いていけないという人もいました。彼らは最初は少し困ったかもしれませんが、慣れによって解決できると考えられたため、それを理由に病院としての方針を変えることはしませんでした。

シングルサインオンシステムの導入によりセキュリティ課題を解決。迅速な判断と定期的な評価を続けることがクラウド化の鍵

クラウド化の現状と、課題があれば教えてください。

東: 当院では現在、freeeの他にも電子カルテ、画像管理システム、情報管理システム、オンライン診療システムなどがすべてブラウザ上で使えるようになっています。これが本来行き着くべき姿だと思います。

一方で、ツール間の機能の重なりや非効率はまだ残っています。どのサービスを採用し、どれをやめるかという決断には、ある程度のITリテラシーが必要です。しかし、ITリテラシーのある人材は限られており、判断が特定の個人に集中してしまうという課題があります。製品を提供する企業は当然「よい商品ですよ」と言いますが、それが本当に当院の業務にマッチしているのか、業務フローをサービスに合わせて最適化できているのかという検証は非常に難しいです。

クラウド化を進める中で、その他にも課題はありましたか?

東: 様々なクラウドシステムを使用する上で、ログイン管理はとても重要な課題の一つでした。管理が不十分だと誰でもログインできてしまい、情報漏洩のリスクが高まります。
当院では、一度のログインで複数のクラウドシステムにログインできる「シングル・サインオン・システム(SSO)」を採用しています。
さらに、職員全員にスマートフォンを持っていただき、生体認証による多要素認証を行うことで、セキュリティ面でも非常に堅牢かつ便利な運用が可能となっています。

職員は各システムのログイン情報を知らず、シングルサインオンのアカウントを切ればすべてのシステムにアクセスできなくなるため、退職時のアカウント管理も容易です。これは一般企業では当然のことかもしれませんが、病院では珍しい取り組みであり、この課題は解決できたと考えています。

クラウド化を推進するこの10年間を振り返ったときに、ここは失敗だったなということはありますか?

東:当院には不要と判断して使うのをやめたサービスはありますが、それを失敗とまでは思っていません。合わなくなった、あるいはもっと他によいものができた、というだけです。

決断することを厭わず、「ダメだったらやめればいい」くらいの気持ちで始めること。そして、だらだら使うのではなく、定期的に評価して「もっとよいものはないか」「活かしきれているか」と見直すことが重要だと考えます。

病院のDX化には目的を明確にして臨む

病院がDX推進、クラウド化する際のポイントは何だと考えますか?

東: まずは「DX」と「デジタル化」は違うという点です。単にデジタル化すれば業務が効率化され、DXによる恩恵を受けられるとは限りません。

電子カルテを入れてパソコンで入力していても、その周辺作業が紙のままだったり、何度も転記したり、重複作業ばかりしていては十分な恩恵は受けられません。

デジタル化をして何をしたいのかという目的を明確に意識しないままにツールを導入すると、それに振り回されて逆に不便にもなりかねません。導入によって業務全体がデジタル化できるようになるのかまで考える必要があります。

クラウド化の次のステージについて展望をお聞かせください。

東:病院を取り巻く医療システムの「全クラウド化」を目指しています。この10年でかなりの部分をクラウド化させてきましたが、世の中にまだ製品がないためにクラウド化できていない部分が一部残っています。製品が出てきたときに、それを導入済みシステムとどう連携させて、全体としてクラウドの恩恵を得られるようにしていくか。より一層の「全クラウド化」を意識し続けるべきだと考えています。

また、将来的にはやはりAIの導入を見据えています。クラウドとAIは重なり合って、相乗効果を生み出します。リスクも踏まえつつ、AIを有効活用することは必須になるでしょう。

DX化にあと一歩踏み出せないでいる方々へメッセージをお願いします。

東: 人類の歴史の中で、デジタル化が始まってからの時間はほんのわずかです。けれども特に2010年代以降、技術の進歩は凄まじく、イノベーションが起こるまでの間隔はどんどん短くなり、かつ変化の度合いは大きくなっています。相対的に、時間の流れが非常に速くなっています。この流れの中で、迷っている暇はありません。

まずは「ダメだったらやめればいいじゃない」という気持ちで始めることをお勧めします。サブスクリプションは、家を建てるのではなく、賃貸住宅に住むような感覚です。気軽に始めてみてはいかがでしょうか。

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