株式会社嘉翔ツーリズムは、2019年設立の沖縄県那覇市に拠点を置く旅行会社です。「もう一度、沖縄に行きたい」と感じてもらえるような思い出づくりをお手伝いするために、沖縄の魅力を知り尽くしたプロのスタッフが、利用者の要望に応じたさまざまな旅行を企画から手配、案内までサポートする事業を行っています。
大切にしているのは、古くから交流の架け橋としての役割を担ってきた「琉球のおもてなし」。地元とのふれあいを重視した旅行体験の提供を行う中で、課題となっていたのが、案件ごとに大量に必要となる受発注の管理でした。
今回は同社の代表取締役 張進さんに、freee導入の経緯から、導入後の効果などについてお話をうかがいました。
沖縄の海やリズムに惚れて起業。中華圏からのお客様を協力会社と連携しながら橋渡し
貴社の事業の成り立ちや事業内容を教えていただけますか?
張 進さん(以下、張): もともとは私はインバウンド向け事業の立ち上げメンバーの一人として旅行代理店で仕事をしていて、そこで培ったスキルや人脈を引き継ぐ形で立ち上げたのが今の会社です。以前から沖縄の海や暮らし、生活リズムに惚れていて、将来的には沖縄に住むことを決めていました。
弊社の主な事業内容は、シンガポール・香港・台湾などの中華圏から沖縄に旅行に来られるお客様に対するツアーの提供とそれに伴うサービス全般です。MICE(ビジネス交流・企業工場視察・インセンティブツアーなど)や教育旅行、少人数の旅行からクルーズ船の乗客への案内まで幅広く対応しています。客単価100万円単位の富裕層の方もいれば、リーズナブルなツアーのお手伝いもあり、お客様もさまざまです。
現在、どのような体制で業務を行われていますか?
張: 弊社は8名の社員がいますが、業務は顧客対応とバックオフィス業務の2つに大きく分けられます。顧客対応として営業や商品企画の担当が4名、バックオフィス業務は、書類作成・段取り、準備などの営業サポートが3名、経理と総務を1名で対応しています。
現場処理では、ツアーの種類や内容に応じて、多くの協力会社との連携しています。たとえば、バス会社やタクシー会社、レストラン、観光地、ショッピングモール、ホテル、広告代理店、現地通訳ガイドなどと連携しており、良好な関係を築いています。
Excelでの管理が限界!手作業が多く非効率でミスも発生
業務管理において、freee導入前に課題となっていた点を教えてください。
張: 受発注のための書類の作成や管理に時間がかかっていました。
弊社の場合、旅行会社から案件を受注すると、お客様に対する見積書や手配依頼確約などの書類を作成しなければなりません。同時に、協力会社である宿泊施設や交通機関、レストラン、広告会社などに発注するための書類も必要になります。
freee導入前は都度Excelで対応していました。1つの案件で協力会社20~30社への発注を伴い、そのための書類作成や目視での確認が、とても苦労していたところです。転記ミスや請求漏れなども生じていました。
また、案件単位での収支管理を行おうとしていましたが、Excelでの管理では結局手間ばかりが増えてしまい、現実的には難しいところがありました。
飛行機やホテルなどの料金は日々変動するものの都度価格に反映はできないため、タイミングによっては数十万単位の赤字となる案件もあります。利益率の基本ルールはありましたがあくまで目標レベルとなっており、達成できているかの確認ができていませんでした。弊社の場合、パッケージではなくお客様のご要望に応じたオーダーメイドのスタイルでプランを組むため、そういった難しさもありました。
freee連携が決め手!煩雑な「オーダーメイド旅行」の販売管理を効率化
freeeについて知った背景についてお聞かせください。
張: 起業前からクラウドシステムを導入することは決めていて、税理士の先生からのアドバイスを参考に、弊社の財務基盤のシステムとしてfreee会計・人事労務を導入しました。
freee販売については、まず、お客様のご要望に沿ったオーダーメイドの旅行プランに対応できる販売管理システムを探していたという背景があります。
この条件を満たすシステムはいくつかありましたが、いずれも会計システムとの連携性の弱さが気になっていました。売上金や仕入れ代金などを転記する作業が発生すると負担になってしまいます。
そのため、5年くらい自社のビジネスに合ったシステムを探していましたね。そうしたなかで最終的に導入を決めたのが、freee会計との連携性の強いfreee販売です。ずっと業務を支えてくれているfreeeに対する信頼感もありましたね。freee販売を導入したことで、帳票発行をはじめ管理会計から財務会計、人事労務の一括管理が行えるようになりました。
売上の成長を実現しながらも、バックオフィスは少数精鋭を維持! 粗利の “どんぶり勘定” を脱却し、 経営の意思決定がスピードアップ
freee販売を導入されてから、どのような変化がありましたか?
張: もっとも楽になったのは、財務処理ですね。freee会計とfreee販売の併用により、経理のスタッフだけでなく営業や一般業務のスタッフも必要な情報の登録を行えるようになり、経理の業務量を分散できています。Excelから会計システムへの転記もなくなり、経理にかかる時間が減りました。
弊社は売上ベースで毎年成長をしていますが、全体としての業務量が増えることはなく、経理はスタッフ1人で担当できています。freeeを導入したことで、会社の成長スピードと業務量をうまく調整できていると思います。
収支の可視化という点では、どのような効果がありましたか?
張: 以前は案件ごとの数字の明瞭化ができておらず、経営者としてどんぶり勘定が不安でした。しかし、freeeでは案件ごとに売上金、仕入れの登録を行えるため、案件ごとの粗利を把握できるようになり、全体的な数字が見えるようになりました。
急に大きな赤字になる月があったり、逆に大きな黒字が出たりと不安定な時期があっても、以前は原因を調べてるために全ての数字を見返す必要がありましたが、今は原因がすぐに分かるようになり、経営の安心感につながっています。
また、収支の可視化が実現したことで、期日管理も行えるようになりました。経営の数字が明瞭化することで、営業判断を早く、正確にできるようになっています。案件の見通しが立つため、案件が少ない時は、業務の段取りや商品企画に時間を割くことができています。仕入れの修正や商品のリバイスなどにも的確に対応でき、お客様に正確な情報をいち早く伝えられるようになりました。
freeeをさらに活用し、スタッフの負担を軽くして人材育成に力を入れたい
最後に今後の御社の展望についてお聞かせください。
張: システム導入の一番大きな理由は、少人数でも効率的に業務を回せる体制をつくることでした。今はそれが実現してきて、将来的な人材育成などに注力する余裕が生まれていると思います。今後はスタッフがもっとシステムを活用できるように社内教育に力を入れていきたいですね。
たとえば、パソコンだけでなくスマートフォンなどの端末でもシステムを使いこなせるようになれば、業務の流れがより簡素化すると思います。できるだけ業務の無駄をなくしていくことで、スタッフの負担を軽くしていきたいです。
海外からのお客様のニーズに応えるには、経験が豊富で日本文化を理解した人材の育成が欠かせません。国際業務を担当できるスタッフの育成には、多くの時間が必要です。その時間を作るためにも、システムに任せられる部分はどんどん任せていきたいです。
特に沖縄は自然・文化・食といった観光素材が豊かな観光地ですので、沖縄の観光的な特徴を活かした仕事をもっと増やしていきたいと考えています。
2025年12月09日
Company Profile
株式会社嘉翔ツーリズム
従業員数:8名
URL:https://www.kashoo.co.jp/
事業内容
沖縄県密着の旅行会社。中華圏からの募集観光ツアー、奨励旅行、民家ホームスティ、学校交流、企業視察、美食巡り、ゴルフツアーなど様々なスタイルの旅行を企画から手配、案内までをサポート。



