日本を代表する企業として知られる株式会社JTB。「交流創造事業」を事業ドメインに掲げ、旅行にとどまらず、地域活性化や企業の課題解決など、多様な交流を創造するビジネスをグローバルに展開しています。 今回は、約13,000名の従業員が利用するITインフラやSaaSの管理を担うグループ本社 ICTチームの二子石様、眞野様、真野様、藤田様に、freee IT管理導入の背景や、現場のビジネスを支えるガバナンス強化の取り組みについて詳しく伺いました。
1. 会社・業務内容について:先進的なIT環境を牽引してきたICTチームの役割
まずは、皆様の所属部署や業務内容について教えてください。
二子石さん(以下、二子石):私たちはグループ本社において、全社のITインフラやセキュリティ、従業員が利用するSaaSの管理などを幅広く担当しています。現在はICTチームとして、約13,000名規模のユーザーが利用する社内システムのガバナンス強化やコストの最適化を推進しています。
SaaS管理などを中心となって統括しているメンバーは、実質4名体制で対応にあたっています。 実は当社は、クラウドという言葉がまだ一般的でなかった2008年頃から、国内大企業としては先駆けてクラウドベースのグループウェア(Google Workspaceの前身)を導入するなど、以前より最新のIT環境の整備や新しい働き方の推進に取り組んできた土壌があります。現在もそのマインドを引き継ぎ、常に最適なIT環境の提供を目指しています。
2. 導入の背景:多様な協業ビジネスの拡大に伴うSaaS急増。スピードとガバナンスの両立へ
SaaS管理ツールの導入を本格的に検討し始めた背景や、当時の課題について教えてください。
二子石:以前は、社内のシステムやコラボレーションは、すべて本社が指定したグループウェア内で完結させるという方針で運用を行っていました。 しかし、コロナ禍を経て当社のビジネス環境も大きく変化しました。自治体様や様々な法人企業様との協業など、社外と連携する新しいプロジェクトが急増し、相手先の環境に合わせたり、多様なステークホルダーと柔軟に繋がったりするためのSaaSツールが必要不可欠になったのです。
その結果、現場の従業員が利用するSaaSの数は飛躍的に増加しました。本社主導で導入したものだけでなく、各地の支店や事業部がビジネスの必要性に応じて自律的にサービスを調達するケースも増えていきました。これは現場のスピード感や柔軟性においては素晴らしいことですが、本社機能としては「全社でどのようなサービスがどれだけ利用されているのか」を正確に把握し、全体像を可視化することが次なるミッションとなりました。
利用状況の可視化にあたり、特に注視されていたポイントは何でしょうか?
二子石:主にコストの最適化と、セキュリティガバナンスの強化です。全社的な契約状況を把握してツール利用の重複や無駄をなくすことと並行して、従業員がより安全にITツールを利用できる環境を整える必要がありました。
例えば、ビジネスを迅速に進めるために、従業員が個人向けの無料アカウントを独自に取得して業務上のやり取りを行うケースが散見されるようになりました。こうしたツールは利便性が高い一方で、退職後のアカウント管理などを会社としてコントロールすることが難しくなります。現場のビジネスを加速させるスピード感を維持しつつも、会社としてのリスクコントロールを確実に行うため、まずは「IT資産の現状を正しく可視化し、適切な企業向けツールへ誘導する」仕組みづくりが急務となっていました。
3. ツール選定の軸と決め手:13,000名規模への圧倒的な対応力と、要望に応える開発スピード
2023年頃から本格的に製品の選定を開始されたとのことですが、freee IT管理を選んだ決め手は何でしたか?
眞野さん(以下、眞野):複数のSaaS管理プラットフォームを並行して比較検討(PoC)しました。 freee IT管理を選んだ最大の決め手の一つは、「約13,000名規模という膨大なユーザー数でも問題なく収容できるキャパシティ」を備えていたことです。他社のシステムでは、人数の上限やシステムアーキテクチャの制約で要件を満たせないケースもありましたが、freee IT管理は当社の規模でも安定して稼働するという点が非常に心強かったです。
真野さん(以下、真野):また、こちらの要望に対する「開発と対応の圧倒的なスピード感」も高く評価しています。 PoCを進める中で、私たちがどうしても解決したかった複雑な要件がありました。それは「プロジェクト管理アプリにおけるユーザー情報と所属プロジェクトの紐付けを可視化し、どこにも所属していない無駄な有料アカウントを洗い出したい」というものです。他のツールではこの要件への対応が難しかったのですが、freee IT管理は迅速に機能を実現し、私たちの期待に応えてくれました。この柔軟性と対応力が、最終的な導入の大きな後押しとなりました。
4. 導入後の効果①:拡張機能による可視化の推進と、丸1日かかっていた棚卸し作業の15分への短縮
導入後、業務効率や管理体制にどのような変化がありましたか?
真野:作業工数の面で、劇的な効率化が実現できました。先ほど申し上げたプロジェクト管理アプリのアカウント棚卸し作業ですが、以前はCSVデータを出力し、手作業で突き合わせを行って洗い出しており、完了するまでに丸1日を要していました。freee IT管理を導入してからは、これらの作業が画面上でスムーズに完結するようになり、今では15分程度で終わるようになっています。手作業による負担がなくなったことは非常に大きな成果です。
眞野:さらに、本社の管理システムと並行してブラウザの拡張機能を利用し、全社的なSaaS利用状況の可視化も進めています。これにより、現場で自律的に導入されたツールの存在を早期に把握できるようになりました。 単に利用を制限するのではなく、「どのようなニーズがあってそのツールが使われているのか」を理解した上で、よりセキュアな企業向けの推奨SaaSへ統合するよう現場に促すといった、前向きな是正対応が可能になり、全社のセキュリティレベルの底上げに繋がっています。
5. 導入後の効果②:人事データ連携がもたらした確実なアカウント管理と運用体制の高度化
アカウントの管理運用体制についてはどうでしょうか?
二子石:人事の従業員データと連携させることで、退職したメンバーのアカウントに対し「離職済み」というフラグが自動で立つようになりました。 これにより、棚卸しの際に不要なアカウントの特定が格段に容易になりました。以前であれば「この見慣れないアカウントは誰のものか」と調査が必要だったケースでも、すぐに状況が把握でき、確実なアカウント削除とセキュアな状態の維持が実現できています。
通常であれば、ビジネスの拡大に伴ってSaaSの利用が増えれば、管理担当の人員も増やさなければ対応しきれません。しかし、freee IT管理のおかげで、私たちは人員を増やすことなく高度な運用を回し続けることができています。人力に頼らず、仕組みで確実にリスクをコントロールできるようになったことは大きな進歩です。
6. 今後の展望:グループ全体への展開と、AI活用がもたらす次世代のITサポート
今後の展望や、freee IT管理へ期待することをお聞かせください。
二子石:まずはグループ本社のITガバナンス基盤がしっかりと整ってきたため、今後はこの仕組みをグループ会社へも展開し、セキュリティ観点からグループ全体の体制を強化・標準化していくプロジェクトを進めています。 運用面では、freee IT管理のアンケート機能を活用し、現場の従業員に対して不要なアカウントの確認をスムーズに行える仕組みを定着させていきたいと考えています。
また、将来的にはAI機能の拡充にも大きく期待しています。例えば「AIがチャットベースで退職アカウントの残存数を即座に教えてくれる」「前日からのSaaS利用状況の差分をAIが検知して通知してくれる」といった機能です。さらに、従業員が特定の目的でSaaSを使おうとした際に、「社内で推奨されているこちらのSaaSで代替できますよ」とAIがサジェストしてくれる機能があれば素晴らしいですね。これが実現すれば、SaaSの統合とコスト削減、そして従業員へのITサポートが飛躍的に高度化すると確信しています。
IT管理ツールの導入を検討されている企業様にお伝えしたいのは、これだけITが複雑化する中で「人力でコントロールするのはもはや限界がある」ということです。仕組みをうまく活用することで、管理側の業務を自動化・効率化しつつ、現場の従業員がビジネスのスピードを落とさず安心して活動できる環境を提供し続けることができると考えています。