「子どもも大人も幸せな将来へ向かって羽ばたける世界を創る」を理念に掲げ、千葉県流山市を中心に認可保育園・小規模保育事業・児童発達支援事業、児童発達支援センター事業などを展開するグッドスターキッズハウス株式会社。地域に根ざし、子どもたち一人ひとりの「自立」「共生」を大切にしながら、職員が安心して働ける環境づくりにも注力してきました。
そんな同社が、より良い組織運営と業務効率化を目指して導入したのが、freee人事労務をはじめとしたfreeeのサービスでした。複数の事業所をまたぐ複雑な勤怠管理や会計の仕組みを整備し、保育の質・療育の質を支える職員の働きやすさの向上を実現しています。
今回は、保育園事業部事業部長の山下弥菜さんと経営企画部マネージャーの江川博さんに、freee導入の背景や効果、今後の展望についてお話を伺いました。
導入事業社
・事業内容:認可保育園 、流山市小規模保育事業、千葉県指定児童発達支援事業、千葉県指定保育所等訪問事業、児童発達支援センター事業
・従業員数:73名(パート含む)
・事業社URL: https://www.goodstar-inc.com/
課題
・現金での経費精算による、残高や立替精算のズレが発生
・複数事業所間でのヘルプ出勤や有休などの勤怠管理ミスによる修正業務の負担が発生
導入の決め手
・経費精算をキャッシュレス化し、現金管理の手間やミスを削減できる
・アラート機能やデータの自動連携により、勤怠申請ミス防止と業務負担軽減が目指せる
導入後の効果
・勤怠・有休管理のミス減少に加え、年末調整の業務時間を約50%削減
・複数のfreeeサービス導入により、業務負担が軽減され、本来の保育・療育・マネジメ ント業務に集中できるように
データ手入力、集計ミス…freee導入前に抱えていた大きな課題
―― 現在、導入されているfreeeのサービスを教えてください。
山下さん(以下、山下): 創業当初からfreee人事労務を利用しており、数年前からfreee勤怠管理Plusも導入し、本格的に利用し始めました。2024年から、社会福祉法人 with freee、freee会計、freeeカード Unlimitedも活用しています。
―― 長い間freeeをご活用されていますが、freee人事労務、freee勤怠管理Plusを導入する前に抱えていた課題を教えてください。
山下: 福祉施設特有の勤怠管理の複雑さによるミスの発生が課題でした。主に複数の保育所や児童発達支援事業所での事業所間をまたいだ勤怠や施設間のヘルプなどの手入力での管理の関係です。
2025年現在、7施設を運営しており、事業所間で職員がヘルプに入ることもあります。以前導入していた他社システムでは、1人の従業員に対して登録できる事業所がひとつまでだったので、ヘルプで出勤した別の事業所では手入力での打刻が必要でした。
手入力で登録した勤怠データはExcelのマクロ機能で自動計算の設定をしていたのですが、設定の一部に不備があったのか、データが正しく反映されないことがあり、勤怠の集計ミスが多発していました。

有休扱いになっていない、出勤日数が異なるなど、会社と職員双方に大きな問題が発生してしまって…。
―― 勤怠情報の間違いは喫緊の課題ですね。7施設を運営していると、労務作業にかなりの時間がかかったのではないでしょうか。
山下: はい。マネージャーや園長としての業務もあるなかでの労務作業は、かなり大きな負担でした。月初3日で従業員の勤怠入力を締め切り、当月5日までに園長などの各事業所の管理職が確認、その後、毎月10日までには私が取りまとめて社労士に連携する必要があります。
当時、私ひとりで各事業所から提出されたすべての勤怠情報の確認と社労士への連携作業を5日間ほどかけておこなっていました。職員が70名ほどいるなかで、育休・産休・入退職など、労務に関わるすべての管理をおこなうのは本当に骨の折れる仕事でした。
さらに、社労士のチェック時にミスが見つかれば、2日以内に修正する必要があります。有休と欠勤扱いのどちらなのか、時間給なのか早退控除なのかなど、多いときには月に10名ほどの修正が発生していました。当時は園長業務など他の仕事もあるなか、月初から月末まで労務業務に追われ、常にひっ迫状態でしたね。
―― 会計面ではどんな課題がありましたか?
江川さん(以下、江川): 以前導入していた会計システムは一般企業向けの仕様だったため、保育所を運営する弊社では使いにくいという課題がありました。freeeで集計した勤怠情報をCSVで出力し、他社の会計システムに取り込む必要があったのですが、出力の手間がかかること、2社のシステムにそれぞれログインしなければならないことに課題を感じていました。

さらに、当時使っていた会計システムは複数事業所管理の機能がなかったため、事業所が増えるにつれてどんどん処理も煩雑になっていました。
そんなときにfreee会計を知って。他の会計サービスも比較検討しましたが、複数事業所に対応した管理機能があること、給与や勤怠管理ですでにfreeeを利用していたことを踏まえ、システムの一本化を目指してfreee会計の導入を決めました。特に会計と勤怠・給与は密接に関係するため、一社のシステムでまとめられるメリットが大きかったです。
アラート機能でミスが0に。年末調整業務は50%削減
―― freee勤怠管理Plusを導入して、勤怠面はどのように変わりましたか?
山下: 以前は社労士に依頼していた勤怠データのチェックを、社内対応で完結できるようになりました。 特に、アラート機能には大変助けられています。間違いがあればすぐにアラートが表示されるので、誤った勤怠申請が大きく減り確認作業がスムーズになりました。
「有休の見える化」により、職員と管理職の双方で有休の日数を正しく管理でき、有休の申請ミスがなくなったことも大きな変化ですね。
―― freee人事労務を運用開始してみていかがでしたか?
山下: 今年の年末調整を初めてfreeeで実施してみましたが、便利さを強く実感しています。これまで紙ベースで集めて一枚ずつチェックしていた給与所得者の扶養控除等(異動)申告書など各種申告書がデータ化されたことで、従業員情報の「見える化」が実現しました。これまで手入力でおこなっていた還付金の入力作業も自動化できたことで、業務が大幅に簡略化されました。
freee人事労務の導入前は、書類の回収や不備の確認などに多くの時間を費やしていましたが、freeeのおかげで業務時間を50%ほど削減できました。入力された従業員情報はシステムに保存されるため、来年度の年末調整はさらにスムーズになると期待しています。
―― 運用開始まではいかがでしたか?
山下: 費用面を考慮し、freee導入支援サービスを使わず に社内のメンバーだけで設定をおこなった結果、実際の運用開始までに時間がかかってしまいました。
困っていたところでfreeeの営業担当に設定方法を教えていただいたら、その後はスムーズに稼働できました。今振り返ると、導入支援サービスを利用していればもっと早く運用開始できたのだろうと感じています。
時間と心にゆとりが生まれ、本質的な保育・療育業務に集中できるように
―― freeeカード Unlimitedを導入してみていかがでしたか?
江川: freeeカードは2024年12月に導入して今年の4月から本格運用しているのですが、複数事業所にまたがる現金やレシートの複雑な管理がシンプルになり、お金にまつわる不安やストレスからも解放されました。
以前は小口現金で経費精算をおこなっていましたが、レシートの処理や立替精算に多くの手間がかかっていました。保育や療育の現場では、運動会や遠足などの行事で使う用具の購入や、年度が替わる時期の備品買い替えなど、細々とした物品の購入タイミングが多いんです。膨大な量のレシート管理の必要があり、現金の残高の不一致や、立替経費の払い忘れなどトラブルも頻発していました。今思えば、年中お金に関する悩みが頭から離れなかったですね。
現在はfreeeカード Unlimited を導入して従業員全員分の名義アカウントを発行し、管理職が各従業員の利用状況を把握しています。現金の立て替えや端数処理の手間がなくなり、先生方からも「使いやすい」「現金のストレスから解放された」と、好評の声をもらっています。
―― 勤怠管理、給与計算、会計をすべてfreeeに一本化してみてどんな変化がありましたか?
山下: 会計処理や勤怠管理に費やしていた時間が大幅に減り、本来の業務に集中できるようになりました。
これまでマネジメントポジションに就く従業員は、一人ひとりの職員にじっくり向き合いたくても、日々の管理業務に追われることにジレンマを感じていたと思います。
freeeへの一本化によって業務が効率化され、心にゆとりが生まれたことで、管理職は一人ひとりの職員にまっすぐ向き合うことができる。そして職員は子どもたち一人ひとりとじっくり対峙できるようになる――。そんな好循環がつくれたと感じています。
私自身もマネージャー業務と並行して人事労務などの多くの業務を抱えていましたが、freee導入によって業務負担が軽減され、総務の仕事や会社として新たにやりたいことに注力できるようになりました。
現在、住所変更や扶養に関する契約周りに関しては引き続き紙ベースでやりとりしています。紙だとどうしても申請漏れが発生してしまうこともあるので、今後は契約業務もfreeeで一本化したいと考えています。
江川: 以前導入していたシステムは手動入力が必要で、せっ かくシステムを入れているのにヒューマンエラーが発生していました。freeeのサービス導入によって入力業務が自動化されたことで、ミスを減らせたのは大きな変化ですね。
システム導入費用に関して、価格が高いと感じる企業もいらっしゃるかもしれません。しかし、導入による効果は社員1人を採用するのと同じくらい、もしくはそれ以上の価値があると感じています。運用に慣れるまで一定の時間は要しますが、軌道に乗った後はこれまでおこなっていた業務の時間が浮き、本当にやりたい仕事に時間を使えるようになりますね。
―― 保育サービスを提供している他の事業者にfreeeはおすすめできますか?
江川:職員と管理職の労働環境の改善のため、ぜひ導入をおすすめしたいですね。
業界に身を置くひとりとして、保育業界は他の業界と比較して労働環境が整っていないことが課題だと感じています。働き方改革が叫ばれる一方、サービス残業やシフト制による複雑な勤務形態など、職員の労働負担は依然として続いています。
弊社はfreeeを導入することで、着替えの時間も含めた1分単位での残業手当の支給など、職員にとって働きやすい環境を整備できました。
freeeは保育業界全体の労働環境改善に貢献できるシステムだと感じています。会計管理や労務管理に課題を抱える保育業界の法人は、ぜひ導入を検討してみてもらえたらと思います。