第1章:受託製造で待つ経営からの脱却 / JAL機内食採用と全国展開への道
まずは貴社の創業からこれまでの事業の歩みについて教えていただけますか。
竹村 崇様(以下、竹村): もともとは1999年に広島のレストランからスタートした会社です。お店で提供していたドレッシングや、洋菓子・チーズケーキといったスイーツをご家庭でも楽しんでいただきたいという思いから、食品製造事業を本格的に立ち上げました。
最初はレストランの味をご家庭に届ける形から始まったのですね。その後、どのように事業が広がっていったのでしょうか。
竹村: 2006年に広島市東区福田に製造に特化した拠点を構え、ドレッシングと洋菓子を2本の柱に据えて食品製造を本格化させました。当時は他社様のブランド製品を作るOEM製造が売上の中心でした。
OEMが中心だった状態から、自社オリジナルのブランド商品づくりへと舵を切ったきっかけは何だったのでしょうか。
竹村: 受託製造で売上を待つだけでなく、「せっかく自分たちで作れるなら、自社オリジナルの魅力的な商品を作っていこう」という先代からの強い思いがありました。2010年頃から地元・広島や瀬戸内の果物を使ったスイーツ開発に本格的に注力し始めました。
自分たちのオリジナル商品を世に送り出していく中で、手ごたえを感じた出来事はありましたか。
竹村:自社商品の 「カタラーナ」が展示会でJALの機内食に採用されるなど、外部から高い評価をいただきました。実店舗がまだない時代から催事や外販で評価をいただき、「自分たちのブランドで勝負できる」という確信が深まっていきました。
そこから店舗展開や全国展開へと一気に拍車がかかっていったのですね。
竹村: はい。2017年に「立町カヌレ」を開業したところ大変ご好評をいただきました。自分たちで無理に店舗を拡大するのではなく、デベロッパー様や取引先様からの「出店してみませんか」というご縁や声を大切に丁寧にお応えしてきた結果、今では東京の丸ビルや品川などをはじめ全国10店舗を運営する体制へと成長しています。
第2章:今後の店舗拡大を見据え、紙と電卓のアナログ管理に抱いた危機感
店舗数が増えて従業員規模が拡大していく中で、当時のバックオフィスはどのような運用をされていたのでしょうか。
桑波田 ゆかり様(以下、桑波田): 当時は各店舗に紙のタイムカードの機械だけを置いて、勤怠を管理していました。締め日になると、各店舗の店長がタイムカードをコピーしたり、スマートフォンで撮影した写真を本社へメールで送ってもらうというアナログなやり方でした。
紙のコピーや写真を見ながら、本社で集計作業を行っていたのですね。具体的にはどのような作業が発生していたのでしょうか。
桑波田: 送られてきたタイムカードの画像やコピーを一枚ずつ確認し、1分単位の残業時間や遅延対応の理由などを確認しながら、電卓を使って手作業で給与計算を行っていました。間違えが許されないので、二重チェックまで全て手作業で行う非常に泥臭い作業でした。
電卓での手作業と二重チェック……非常に膨大な時間と神経を使う作業ですね。当時の管理人数はどのくらいだったのでしょうか。
桑波田: 販売店舗が4店舗ほどで、従業員数が50名規模くらいまではなんとか時間をかけて手計算で乗り切っていました。しかし、5店舗目以降の拡大や今後の成長を見据えた時に、手作業での管理は限界だと感じ始めました。
当時は従業員の方が自分の勤怠や有給残日数を確認するのも難しかったのではないでしょうか。
桑波田: そうなんです。当時は紙のタイムカードと社内管理だけだったので、従業員自身が有給休暇の残日数などを確認する手段がありませんでした。そのため「有給はあと何日残っていますか?」という問い合わせが頻繁に本社へ届き、その都度個別に調べて回答する電話対応に追われていました。
現場の急成長の一方で、バックオフィスの限界が間近に迫っていたのですね。
竹村: そうですね。店舗が増えて従業員数が100名、170名と増えていく将来を見据えた時に、紙のタイムカードと電卓による手計算のやり方のままでは、到底バックオフィスが回らなくなるという強い危機感を抱いていました。
第3章:60代後半のスタッフも一緒に操作、全員がストレスなく使えた安心感
限界を感じていた労務管理の刷新に向けて、どのようにしてfreee人事労務に出会ったのでしょうか。
竹村: お付き合いのある社会保険労務士の先生に相談したのがきっかけです。「手計算での管理はさすがにもう難しいですよね」という話になり、先生から「御社にはfreeeがベストですよ」と提案していただきました。
システムを導入するにあたり、最も重視されたポイントは何だったのでしょうか。
桑波田: 「これまでの自社の運用ルールや仕組みを、そのまま再現できるか」という点です。現場で大切にしてきた打刻方法や給与計算の考え方など、既存の運用を崩さずにそのままスムーズに移行できるかが選定の大きな決定打でした。
現場のスタッフや従業員への定着で工夫された点はありますか。
桑波田: まずは全従業員の個人メールアドレスを登録してもらうルールを作りました。登録後はシステムから自動で案内メールが届くため、各自で初期登録を進めてもらう形にしました。最高齢で65歳を過ぎたスタッフなどもいましたが、最初は一緒に画面を見ながら丁寧に操作を説明することで、現場でも大きな混乱なくスムーズに馴染んでくれました。
freee人事労務を本格運用したことで、バックオフィスの業務にはどのような変化がありましたか。
桑波田: 効果は間違いなく大きく、劇的な作業時間の短縮につながりました。以前はタイムカードを見ながら電卓を叩いて二重チェックまで行っていましたが、今は画面で確認するだけで済むため、手作業の負担が完全になくなりました。
締め日の作業時間や、現場からの問い合わせ対応についてはどう変わりましたか。
桑波田: 従業員数が約170名まで増えた現在でも、毎月の給与計算・締め作業はわずか「数時間」で完了するようになりました。また、各自がスマホアプリで給与明細や有休の残日数を確認できるため、本社への問い合わせ電話もなくなり、非常にスムーズに業務が回っています。
第4章:「ものづくりのパフォーマンスを上げる」バックオフィスがつくる未来
バックオフィスの労務処理が「月数時間」に激減したことで、社内にはどのような変化やゆとりが生まれたのでしょうか。
竹村: 以前のやり方のままでは170名規模の労務管理は物理的に不可能な状態でした。しかし今では、本社機能の負担が大幅に軽減され、非常に少ない人数で安定して管理・運用できる体制が整いました。手作業に追われる毎日から解放され、現場スタッフへのきめ細かなサポートに時間を使えるようになっています。
経営者として、バックオフィス基盤が整ったことの価値をどのように捉えていらっしゃいますか。
竹村: 私たちのような食品製造メーカーは、工場のオーブンやプレハブ設備の投資、新商品の開発など、10年〜15年という長期的なスパンで事業と向き合っています。そうしたロングタームの視点で経営を進める上で、足元のバックオフィスに不安がない状態を作れたことは非常に大きいです。
バックオフィスの不安が解消された今、今後はどのような攻めの経営に集中していけるとお考えですか。
竹村: 私たちが本業で一番注力すべきなのは、お客様に喜ばれる魅力的な新商品を開発し、ものづくりのパフォーマンスを上げていくことです。ご縁をいただいた店舗や全国のお客様へ最高の味を届けるため、バックオフィスの心配をすることなく、商品開発や製造設備への投資といった本来の「攻めの経営」に邁進していきます。
