AI時代の社労士事務所に求められるのは、単なる「手続き代行」から「会社の成長を『人』からデザインする存在」へのシフトです。
労働人口減少やAIの台頭により、従来の給与計算や手続き代行を中心とした業務モデルは転換期を迎えています。社会保険労務士法人 BIZARQは、事務所として中長期的に目指すビジネスモデルに合わせた評価体制にするため、freeeの人事パートナーとともに人事制度を刷新。長年の課題であった「ミスが許されないが故の減点方式の評価」「代表の主観評価」から脱却し、スタッフが自律的に挑戦できる組織へと生まれ変わる土台を作りました。
さらに、自社で人事制度を構築・運用した経験やノウハウを元に、顧問先へ「社長の『人が育たない・定着しない』を根本から解決する仕組みづくり」として、人事制度・組織強化のコンサルティングを展開する新たなビジネスモデルを確立した事例をご紹介します。
ミスなくやって当たり前の「減点方式」と「主観評価」からの脱却
まず、制度設計を進める前のお話からお伺いしたいのですが、士業事務所特有の「評価」や「人・組織」に関する難しさみたいなものは感じておられましたか?
八木氏: そうですね。社労士事務所の業務は、手続きや給与計算をミスなく行うことに重きを置かれがちです。そうすると、評価はどうしても「ミスをしていないか」という「減点方式」になりやすいんですよね。ミスがあったら査定が下がるような仕組みは、働いているスタッフのモチベーションには繋がりにくいなと感じていました。
確かに、減点方式だと前向きな挑戦は生まれにくいですよね。BIZARQ様が減点方式にしたくなかった一番の理由は何だったのでしょうか?
八木氏: もともと自社を「単なる作業代行ではなく、会社の成長を『人』からデザインする事務所」にしていきたいという強い想いがあったからです。手続きや給与計算をきっちりやるのは大前提として、「いかにお客様の挑戦や課題を解決できるか」という部分に取り組んでいきたかった。だからこそ、そこをしっかり評価できる制度に落とし込みたいと考えていました。
事務所として目指す「会社の成長を『人』からデザインする」という姿と、評価基準を一致させたかったのですね。制度を根本から見直そうと決断されたきっかけは何でしたか?
八木氏: 士業業界にありがちな「代表の主観」で評価が決まってしまう状態から脱却したかったからです。評価への納得感が得られないと、不満の矢印が代表に向かってしまい、従業員のモチベーション低下や離職に繋がってしまいます。そうではなく、「お客様にこんな価値を届けられたら評価される」「こう頑張れば評価される・給与が上がる」という基準を制度として明文化し、みんながしっかりお客様の方向を向いて仕事ができる環境を作りたかったんです。
代表の思想に寄り添った設計と、迷わせない推進力
実際にfreeeと一緒にプロジェクトを進めてみていかがでしたか?
八木氏: 事務所の理念や大事にしている価値観から一つひとつ落とし込んでいく流れだったので、代表である私の思想にしっかり合う内容になったのがすごく良かったです。
それと、freeeさんの質問力やファシリテーションが高くて助かりました。一人で考えるとどうしても迷走したり脱線したりしがちですが、うまく導いていただいたおかげで、無駄な回り道をせずに最短で作り上げることができました。しっかりと伴走してもらいながら構築できる大きなメリットを感じましたね。
確かに、人事制度を代表ご自身で作成しようとしたものの、うまく会社の目指す組織体制を言語化できずにご相談いただくことも多いです。そのため、代表の思いを言語化しながらあるべき人事制度に落とし込んでいくプロセスに価値を感じていただけるのは非常に嬉しいです。
ゼロから作るハードルを下げ、社労士の新たな価値にする
今回の自事務所への人事制度刷新の取り組みを通じて、新たにコンサルティングパッケージを作られているとお聞きしましたが、どういったものでしょうか?
八木氏: はい。freeeさんと取り組んだ自社での制度構築プロセスやノウハウをベースに、顧問先様向けの人事制度構築・組織強化を支援するコンサルティングパッケージを提供できるように進めています。私たちが実際に導入した「あるべき制度の型」を活用し、お客様の理念や課題に合わせてカスタマイズしていくサービスです。
素晴らしいですね!そういったパッケージを作ろうと思われるようになった背景には、どういった課題意識があったのでしょうか?
八木氏: 実は以前、会社員時代にメンバーを巻き込んでゼロから評価制度を作ったことがあるのですが、毎週ミーティングをして半年以上かかったんですよ。めちゃくちゃ大変でまとまらないし、工数もものすごくかかりました。制度を作ることはゴールではなく運用して成果を出すことが目的ですが、「ゼロから作る」という最初のハードルがとにかく高かったんです。
半年以上!それはかなりのハードルですね……。その課題を、今回の取り組みでどう乗り越えられたのでしょうか?
八木氏: freeeさんのノウハウやAIを活用した成果物作成の仕組みを活用することで、社労士側も顧客側も負担をかけずに、そのハードルをあっさりと突破できると実感したんです。だからこそ、この仕組みをパッケージ化すれば、顧問先様のハードルを下げて業績向上と従業員の定着を支援できると考えました。
実際に手応えを感じられている中で、八木さん以外の事務所メンバーでも提案や実装ができる再現性もありそうでしょうか?
八木氏: はい、まさにそこが大きな魅力です。この「型」があるおかげで、最初はfreeeさんに相談しながら進めるとしても、1〜2回経験すれば他のメンバーでも実装は十分にできると感じています。社内に導けるメンバーが増えれば、代表だけでなく事務所全体で新しい価値を提供できるようになりますし、中堅レベルのメンバーにとっても大きな成長機会になると期待して
士業の役割の変化と「定着」に応えるために
最後に、今後BIZARQ様が目指す組織像や、同業の社労士・士業の皆様へのメッセージをお願いできますか?
八木氏: 今、社労士事務所に求められる役割は大きく変わってきています。単なる事務代行ではなく、会社の成長を「人」からデザインし、組織の強化に貢献できる存在になる必要があります。パッケージ化された仕組みを使って、社内の多くのメンバーが評価制度の構築支援を行えるようになれば、事務所全体の価値を大きく高められると考えています。
同業の社労士・会計法人の皆様へ
八木氏:人事評価制度の提供はハードルが高く見えがちですが、freeeを活用すればサービス提供の第一歩を非常に踏み出しやすいです。これからの時代、企業側も『採用』だけでなく『従業員の育成や定着』へと課題がシフトしていきます。企業の人課題に応えられるサービスラインナップを持つための第一歩として、freeeさんとの協業は非常におすすめしたいですね。

