毎月90時間の請求処理を50%削減!成長するスタートアップを支えるfreee活用術

株式会社エヌイチ 社長秘書 吉野綾根さん、人事 小川未羽さん

課題
発注管理を効率化下請法、フリーランス保護法対応請求・支払の入力や管理をラクにミスなく

生成AIの専門企業としてDX支援や法人研修を行う株式会社エヌイチ。事業拡大にともない、業務委託スタッフとの契約・請求対応が煩雑化し、担当者1名で月90時間以上の工数が発生していました。


そのような状況を打破すべく、同社はfreee業務委託管理とfreeeサインを導入。契約と請求の一元管理によって、請求処理の工数は約50%削減。確認ミス・差し戻しなども大幅に軽減されたといいます。


今回は、社長秘書としてバックオフィス全般を担う吉野綾根さんと人事の小川未羽さんに、導入の決め手から現場での変化、今後の事業拡大を見据えた展望について伺いました。


導入前の課題

・契約書や請求書のフォーマットが統一されておらず、個別対応の工数が発生
・契約・請求・勤怠など工程別にツールが分かれており、情報確認が非効率化
・目視や手作業が多く、請求処理に毎月90時間もかかっていた
・フリーランス法など法改正へ対応した上での運用継続に懸念があった

導入の決め手

・freeeサインとfreee業務委託管理を併用し、契約〜請求までを一元化できる利便性
・テンプレートの統一や法改正対応の自動反映など、安心感と柔軟性を両立できる点
・直感的にわかりやすい操作画面

導入後の効果

・契約〜請求フローの標準化により、請求処理の工数を50%削減
・テンプレートの統一による確認スピード・精度の向上
・フリーランス法など法改正への対応を見据えた、抜け漏れのない運用体制を構築
・100人超の請求処理でも安定して運用できる体制を実現

契約・勤怠・請求…分断されたツール。バックオフィスが限界に

株式会社エヌイチ


――まず、事業内容と組織体制について教えてください。

小川未羽さん(以下、小川): 生成AIを活用したDX支援や、法人向けのAI研修、個人向けAI活用スクール事業などを営んでいます。プロダクト部門・フロントオフィスの大半が業務委託スタッフで構成されており、現在は社員19名に加え、業務委託を合わせて約120名程度の規模です。


業務委託スタッフの職種は営業、カスタマーサクセス、動画編集、デザイナー、AIセミナーの講師、アプリ開発者など多岐にわたります。契約内容も、時間単位の準委任から納品型の請負までさまざまで、それに応じて請求業務などの対応が異なります。


――freee業務委託管理とfreeeサイン導入前の、業務委託スタッフとの契約・請求業務のフローがどのようなものだったのか教えてください。

吉野綾根さん(以下、吉野): 契約は電子契約ツール、勤怠は打刻システム、進捗管理はスプレッドシート、請求書の回収はGoogleフォームなど、工程ごとに別々のツールを使用していて、フロー全体が断片的になっていました。


また、各ツールが連携していないため、契約条件と打刻データ、請求内容をすべて手作業で突き合わせる必要がありました。


――当時、契約・請求業務にはどれくらいの時間を費やしていたのでしょうか。

吉野: 平均して、毎月90時間ほどはかかっていましたね。契約書を作成し、請求書を確認し、責任者に内容を確認するという1サイクルのなかに、いくつも手作業・目視確認の工程が発生していたんです。


特に請求業務は、契約条件や報酬体系が業務委託スタッフごとに異なるため、「このスタッフは何時間稼働したか」「契約上どこまでが請求対象か」を毎回確認しながら進める必要がありました。突合・チェック・承認のたびに立ち止まるフローで、どうしても時間がかかってしまっていました。

決め手は「今のフェーズに合う運用」。freee導入で組織拡大に備える

株式会社エヌイチ


――契約・請求業務に時間がかかっていた理由を詳しく教えてください。

吉野: 大きな原因の一つは、請求書のひな型が機能していなかったことです。当社でテンプレートは用意していたのですが、報酬形態や条件が業務委託スタッフごとに異なるため、実際には個別にカスタマイズして対応していました。


――多くの業務委託スタッフと協業するなか、個別で確認するのは大変ですね。ほかにも困っていたことはありましたか?

吉野: 請求書の回収にGoogleフォームを使っていたのですが、用途に合っていないと感じる部分が多くありました。


例えば、源泉徴収の設定です。源泉徴収の有無に応じて請求書に記載すべき情報が異なりますが、Googleフォームでは入力必須の設定を人によって分けられないので、一律で任意に設定していました。結果として入力漏れにつながり、差し戻しが多発していたんです。


また、当時使っていた電子契約ツールの仕様も、当社の運用スタイルと相性がよくなかったと感じています。スタッフ向けとクライアント向けでアカウントを分ける必要があり、同時ログインができないため、業務の途中でアカウントを切り替える手間が何度も発生していました。


――細かい不便が積み重なり、大きな負荷が生まれていた様子が伝わります。

吉野: それでも、委託先が50名ほどだったころはまだ対応できていたのですが、組織が大きくなるにつれて管理が追いつかなくなっていきました。


ちょうどその頃、2024年11月に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)※以下"フリーランス法"と記載」の存在もあり、発注側として遵守すべき義務を履行するためにも、「業務の標準化・自動化を進めなければ」と考え始めたんです。


――業務フローの改善を図るなかで、freee業務委託管理・freeeサインを導入した決め手を教えてください。

吉野: 最初に検討したのがfreeeサインで、操作画面のわかりやすさや、法改正に対応した契約書テンプレートの存在に魅力を感じました。自動で最新の様式にアップデートされる仕組みなら、将来的な法対応にも安心して備えられます。


さらに、freee業務委託管理とfreeeサインを組み合わせて導入すれば、契約から請求までを一つのプラットフォームで管理できると知り、「自社にぴったりだ」と感じました。費用対効果の高さも後押しとなり、2つ合わせての導入に踏み切りました。

契約・請求業務の工数を50%削減!freee導入で得られた安心な運用体制

株式会社エヌイチ


――freee業務委託管理・freeeサインの導入によって、契約・請求のフローはどのように変化しましたか?

吉野: 契約から請求までのフローをfreeeで一元化でき、業務効率が大きく改善しました。請求業務に毎月90時間かかっていたところ、半分の45時間ほどにまで削減できています。


――どのような点で効率化が進んだか、詳しく教えてください。

吉野: 契約書や請求書のテンプレートが標準化されたことで、チェック作業のスピードと精度が格段に向上しました。今は請求のルールも決まっているので、個々の契約条件が違ってもスムーズに対応できます。法改正に合わせてテンプレートは随時更新されるので、安心感もまったく違います。


各事業部による請求書の承認もスムーズになりました。「誰が承認したか」のステータスを管理画面上で追えるので、事業部担当者が自分で抜け漏れを確認しやすくなり、バックオフィスからのリマインドを減らすことができています。


また、源泉徴収の有無については、freee業務委託管理上でON/OFFをあらかじめ設定できるようになりました。結果として、入力漏れによる差し戻しがほとんどなくなりました。


――現場の社員・スタッフ視点での使い勝手はいかがでしょうか?

吉野: freee業務委託管理が持つダイレクトメッセージの機能により、各事業部の責任者・スタッフ間で直接やり取りできるのは便利ですね。稼働内容に関する確認を、バックオフィスを挟まずに現場の人間同士で進められるので、事業部、業務委託スタッフ、バックオフィスの、それぞれの負担が軽減されています。


100人の請求を1.5人で対応。創業フェーズの心強い味方

株式会社エヌイチ


――今後事業が拡大しても、freee業務委託管理・サインを活用して対応できそうですか?

吉野: 現在100名近くの業務委託スタッフがいますが、契約・請求まわりは、メイン担当の私とサポートの小川の1.5名体制で問題なく対応できています。freeeを使えば、150人程度までは今の人員でカバーできる見込みです。


小川: 操作画面がわかりやすく、一度説明を受ければすぐに使いこなすことができました。もし今後、私たちだけで対応が難しくなって担当を増やしたとしても、短期間で習得できるので、事業拡大に向けた心強い味方ですね。


――同じような課題を持つ企業にメッセージをお願いします。

吉野: freee業務委託管理とfreeeサインはそれぞれ単体でも便利なサービスですが、業務委託スタッフとの契約・請求が多い企業さんには、ぜひ併用での活用をおすすめしたいです。契約内容、打刻情報、請求内容といった情報が自動で紐づくため、毎月の請求業務のスピードと精度を格段に高めることができます。


特に、バックオフィスになかなかリソースをさけないスタートアップ企業にとっては、「創業期の負担を減らしながら成長できる基盤」になるはずです。


株式会社エヌイチ