月10時間かかった仕訳作業がたったの2分に!freeeが支える介護事業所の一人バックオフィス管理術

特定非営利活動法人湖国福祉会 安藤 雅祥さん

課題
月次決算を早期化し事業の意思決定スピードを上げたい給与計算から振込までラクにミスなく

運動機能向上に特化したデイサービスを運営する特定非営利活動法人 湖国福祉会。2007年に設立された同法人は、事業の拡大に伴い従業員が約50名まで増加し、会計や人事労務といったバックオフィス業務において、手入力作業の急増が課題となっていました。


会計処理では通帳から手作業で転記するため仕訳作業だけで月10時間を要し、給与計算では細かなミスも発生。バックオフィスの状況を1人しか把握していない属人性の高い状況にも、危機感を覚えていました。


そのような状況を一変させたのが、freee会計とfreee人事労務の導入です。銀行連携機能をはじめとした自動化により、仕訳作業はわずか2分まで短縮し、給与計算のミスや手続き漏れを防ぐ体制を整えられたといいます。


今回は、デイサービス事業所の管理者として現場に立ちながら、バックオフィス業務を一手に担う理事の安藤 雅祥さんに、freee導入の決め手や得られた効果、今後の活用に向けた展望について伺いました。


導入前の課題

・仕訳作業だけで月10時間を要する会計業務
・歩合制を含む複雑な給与計算により発生するミスと修正
・1人のPCでしかデータにアクセスできず、バックオフィス業務が属人化

導入の決め手

・銀行連携による出入金情報入力の自動化
・社会保険料の金額更新を含めた、給与計算業務の省力化
・クラウド化による属人性の解消

導入後の効果

・銀行連携と「自動で経理」機能により仕訳作業にかかる時間を2分まで短縮
・給与計算や会計業務におけるヒューマンエラーの大幅な減少
・ほかの担当者への引き継ぎが可能な体制を構築

デイサービスの管理者とバックオフィス業務を兼任。創業から手探りで築いてきた運用体制

特定非営利活動法人湖国福祉会


――はじめに、湖国福祉会さまの事業概要について教えてください。

安藤 雅祥さん(以下、安藤): 2007年に、定員10名の小さなデイサービス事業からスタートしました。現在はデイサービス事業所と居宅介護支援事業所を2ヶ所ずつ運営しており、従業員は約50名程度になります。


デイサービスといえば工作やレクリエーションが中心だった時代から、運動機能の向上に特化した支援を行なっているのが特徴です。利用者さんが10年後も住み慣れた家で過ごせるよう、体力や筋力の維持・向上を目的とした運動中心の支援プログラムを提供しています。


――創業から20年近く経ちますが、バックオフィス業務はずっと安藤さまが担当されてきたと伺いました。

安藤: 法人を立ち上げた当初は資金が限られていたため、創業メンバー3人で手分けをしてすべての業務をこなす必要があり、バックオフィス領域は私が引き受けたんです。労務も会計もまったくの素人だったので、自分で調べたり税務署の方に質問したりしながら、どうにか体制を築きました。


現在も、デイサービスの管理者をしながら、労務・会計業務全般を1人で担っています。機密情報を扱うため安易に従業員に任せるわけにもいかず、かといって経営層も他業務で手一杯という状況で……。


手作業の負担とミスの頻発。規模の拡大に伴いリソースが限界に

特定非営利活動法人湖国福祉会


――freee導入以前のバックオフィス業務の状況について教えてください。

安藤: 創業時からインストール型の給与計算ソフトと会計ソフトを導入してはいたものの、手入力が必要な部分も多かったです。


給与計算では、各自が出勤簿に手書きで勤怠記録をつけ、それをもとに私がExcelで給与を計算しソフトに入力していました。


特に手間がかかっていたのが、歩合制による金額変動の反映です。ケアマネジャーは担当件数によって給与が変動する歩合制を取っており、月ごとに数件分の増減が発生します。入力後は自動で計算できるようExcelで関数を組んではいたものの、50名近くの作業となると手入力でミスが発生することもあり、非常に神経を使っていました。


また、休暇や手当、社会保険などの管理もすべて手動で行っていたため、有給休暇の発生を見落としていたり、各種手当の反映が漏れていたり、細かいミスが多発してしまい……。社労士がいないなか、従業員一人ひとりの社会保険料の変動を私一人で正確に確認しなければならない点にも、大きなプレッシャーを感じていました。


給与計算に加えて気が重かったのが、年末調整です。50名近くの書類を回収して全員分入力していくので、年末調整の時期は毎年ほかの業務に手が回らなくなっていました。


――会計処理についてはどのように運用されていましたか?

安藤: 創業時に他社の会計ソフトを導入したのですが、そのソフトでは銀行口座との連携ができませんでした。そのため、通帳に記帳をしてから口座の出入金情報を手入力し、仕訳登録をしていたんです。この一連の作業を月3回ほどに分けて行っており、バックオフィス業務に当てられる時間が限られるなかでは大きな負担でしたね。


また、事業所ごとに毎月使える小口現金を渡しており、各事業所から提出される領収書の内容も、ソフトに手入力する必要がありました。1回の作業量は多くないものの、散発的に作業が発生し、少し間を空けるとあっという間に領収書が溜まるので、日常的なストレスになっていましたね。


――1人ですべてを担当されていると、属人性の問題もありますよね。

安藤: 法人全体の会計事情を私しか把握していない状況に、「私に何かあったら組織運営に支障が出る」という懸念をずっと抱えていました。幸い、今まで大きなトラブルはありませんでしたが、自力で調べながら手探りで進めてきたこともあり「何か間違っているかもしれない」という不安は常に付きまとっていましたね。

バックオフィスの効率化は「お金をかけるべき部分」と判断。事業の将来を見据えてfreee導入へ

特定非営利活動法人湖国福祉会


――freee導入の検討に至った経緯を教えてください。

安藤: きっかけは、介護業界向けの展示会で説明を受けたことです。freee会計とfreee人事労務をご提案いただき、実際の画面で便利な機能をたくさんご紹介いただきました。特にfreee会計で銀行口座との連携ができることに感動したんです。毎月の記帳や手入力の手間がなくなれば、会計処理がかなり楽になるのではないかと期待が膨らみましたね。


事業規模が大きくなるにつれてバックオフィスの業務量や負担も増えている状況で、理事でもあり現場の責任者でもある自分が倒れたら、法人全体への影響は計り知れません。長い目で見て「ここはお金をかけるべき部分だ」と判断し、導入に踏み切りました。


――freeeの導入はどのように進めましたか?

安藤: freee人事労務とfreee会計を同時に導入しました。既存システムからの切り替えを始めたのが2025年1月で、会計期初の4月に間に合うよう、急いで進めたかったのです。


2つのソフトを同時に切り替えるのは大変でしたが、各システム担当の方がオンラインで丁寧にサポートしてくださったおかげで、無事に3ヶ月で作業を終えられました。


――短期間での導入となり、作業でつまずいた部分はありませんでしたか?

安藤: 操作画面がわかりやすく、特に困ることなく適応できました。特にfreee会計は、会計知識がある人が見ればすぐにわかるUIになっています。創業時から独学で会計業務を担ってきた経験が活きましたね。


人事労務に関しては、年末調整に備えて1月から3月のデータを以前のソフトから移行する作業に苦労しましたが、担当の方にわかりやすく教えていただき無事完了できました。


仕訳作業が毎月10時間→2分に!計算ミスも大幅に減少

特定非営利活動法人湖国福祉会


――導入後、会計業務にはどのような変化がありましたか?

安藤: 銀行連携のおかげで、毎月10時間ほどかかっていた仕訳作業が2分程度で完結するようになりました。繰り返し発生する明細は仕訳が提案されるので、個別で判断しなくていい点がとてもありがたいです。


freee導入以前は、「よしやるぞ」と気合が必要だった仕訳作業が、今では他作業の片手間にできる程度のタスクになり、精神的にもとても負担が減っています。


また、領収書の画像から情報を読み取る「ファイルボックス機能」が、導入前に想像していた以上に便利でした。以前は、各事業所から経費精算が上がってくると、領収書を1枚ずつ用紙に貼り付けて整理していたのですが、今は写真を撮ってLINEで転送するだけでファイルボックスに保存できるので、かなり楽になりましたね。


――人事労務業務への影響についてもお聞かせください。

安藤: 給与計算の大部分を自動化できたことで、会計同様にミスが大幅に減りました。歩合制に応じた支給額の変動のほか、休暇、手当、社会保険料など必要な情報がすべて自動で反映されるため、ミスが発生しにくいんです。従業員の有給休暇申請や勤怠入力も、各自がスマホアプリから入力すれば即座に反映されるので、データ集計が簡単にできるようになりました。


――スマホアプリの導入に対する従業員の方の反応はいかがでしたか?

安藤: 従業員目線では、紙での管理のほうがやりやすかった部分もあるかもしれませんが、1回教えればスムーズに使えるようになっていました。何より、形骸化していた仕組みを脱却して、法人としてあるべき姿を整えられたのは良かったと思います。労務情報を正確に管理できるようになり、今後さらに事業規模が拡大しても、安定的に運営できる体制を整えられました。


“健やかに働ける価値”に目を向けてほしい。介護業界にもっとデジタルツールの活用を

特定非営利活動法人湖国福祉会


――最後に、同じようにバックオフィス業務の負担に悩まれている方に向けてメッセージをお願いします。

安藤: バックオフィス分野は専門的な知識が必要とされることに加え、介護・福祉業界では私のように現場業務の傍ら会計や労務も担っている方が少なくありません。そのような方にはぜひ、freeeのようなデジタルツールを活用して、ご自身が健やかに働ける状態を整えてほしいと思います。自分が心身ともに健康でいてはじめて、利用者さんにも組織にも価値を提供できるもの。現場の業務に追われながらバックオフィス業務に振り回されている方にこそ、ぜひ使ってほしいですね

特定非営利活動法人湖国福祉会