freee導入により、リアルタイム経営状況把握や業務効率化を実現

株式会社カワイ 代表取締役社長 河合 伸一郎 氏
代表取締役副社長 河合 弘太郎 氏
中塚 真里 氏 山下 直美 氏 村尾 和恵 氏

課題
経営の課題をリアルタイムに把握

食肉の加工や販売を主事業とする株式会社カワイは、「お肉を通して多くの皆さまに喜んで頂きたい」という想いを受け継ぎ歩み続け、まもなく創業100年を迎える老舗企業です。以前から経理業務の体制に効率化の必要性を感じていた同社では、課題解決に向け、2021年に本格的な対策に乗り出しました。


今回は、株式会社カワイのご関係者様と同社のDX化をサポートした百十四銀行コンサルティング部のコンサルタントに登場いただき、経営課題をどのように解決していったのかについて語っていただきました。

未着手だったDXが、百十四銀行の提案で動き出す

株式会社カワイ


――従前の貴社には、どのような課題があったのでしょう?

株式会社カワイ・河合 弘太郎 氏(以下、河合): 経営陣が、リアルタイムで経営状況を把握できなかった点です。月次の売上や収支を把握できるのは3~4カ月後でしたから、タイムリーに対策を考え実施すること」ができていませんでした。弊社の事業所は、直営の小売店を併設した「本社」と、加工工場と営業部門のオフィスを併設した「国分寺工場の2カ所があるため、全社の状況を把握するには、双方の経理担当が集計した数値を改めてとりまとめる必要がありました。これが原因だろうと目星はついていたものの、デジタルやシステムには詳しくありませんし、経理実務をすべて理解しているわけでもないので、「こうすれば解決する」と確信できるソリューションを見定められずにいました。手をつけられずにもどかしく思っていたなか、百十四銀行の松浦さんが提案をもちかけてくださったのです。


百十四銀行・松浦 秀昭 氏(以下、松浦): 株式会社カワイさまと当行のお付き合いは長いため、経営陣の考える理想像や経理の業務フローについては理解できていました。そんな中、私はICTコンサルティングチームの立ち上げメンバーとして、freee株式会社さんとの業務提携開始に向けた準備に従事していました。職務を通じて「freee会計」の機能を知り、まさに株式会社カワイさまの経営課題に対するソリューションになると考えたので、ご提案させていただきました。


株式会社カワイ


河合: 当社の経営方針や経理業務に精通している松浦さんの提案ならと、経営陣は前向きに受け止めましたが、実務に影響がおよぶのは現場の社員です。長年、慣れ親しんだやり方を変え、新たなことを習得するのは大変なはずですから。導入の意義をしっかり理解し、納得して臨んでもらう必要性を感じました。そこで松浦さんにお願いして、経理業務に携わる社員に説明していただきました。また、お世話になっている会計事務所さんには本社にお越しいただき、松浦さんから丁寧に質疑に回答していただきました。


松浦: すべての関係者さまにご理解いただけたので、2021年5月から正式にプロジェクトをスタートすることが決定しました。

2つの事業所の経理実務を紐解き、解決すべき課題を整理

――プロジェクト始動にあたり、何から着手しましたか?

松浦: 詳細な業務フローの確認からです。実情について一定程度理解していたとはいえ、経理実務を完全把握していたわけではありませんから、どんな目的でどんな作業を実施なさっているのかを細かにヒアリングしていきました。そのうえで、freee会計導入によって解決できる課題を整理していきました。先ほど、河合副社長も話題に挙げられましたが、株式会社カワイさまの場合、本社と国分寺工場それぞれに経理部門があります。それぞれが何をやっているか把握なさっている方、つまり「経理業務についてはこの人に聞けばすべて分かる」という方がいらっしゃらなかったので、私どもが橋渡し役を務めました。このため、freee会計の運用定義を固めるまでの実態調査が、もっともハードでした。



――ヒアリングによって、河合副社長が指摘なさったリアルタイムでの経営状況把握以外には、どのような課題が浮き彫りになりましたか?

松浦: まず、売掛金の消込業務(売掛金の回収にともなう帳簿上の管理)が挙げられます。株式会社カワイさまのお取引先はホテルや飲食店、結婚式場など700以上もありますが、日々の注文は、店舗や式場など、各現場レベルから入ってきます。一方で、支払時には系列店への納品分を本社の経理部門が一括で振り込んでくるといったケースがあるのです。 従前は、株式会社カワイさまの経理担当が、目視で複数の請求書と通帳の入金額を突き合わせ、処理していました。作業が締め日に集中することもあって多大な労力を割いておられたので、ソリューションとしてfreee会計のタグ機能をご紹介し、労力削減を図ることにしました。


もう一点が、事業所が2カ所に分かれていることで発生していた二重作業の解消です。従前は、国分寺工場の経理担当が1日の資金収支を手書き日報に記載し、それを受け取った本社の経理担当が会計ソフトに入力していました。クラウド化によって、国分寺工場の経理担当が一度入力するだけで完結するので、本社の入力作業を削減できます。負担が減った本社の経理担当は、そのぶん自社の成長に資する別の取り組みに注力できる体制を整えられるのです。


経理担当に寄り添う「伴走型」で使用法のレクチャーを推進

――freee会計の運用案が固まった後は、経理ご担当の方々に利用法をマスターしていただくフェーズに入りますが、ここではどのようなご苦労がありましたか?

中塚 真里 氏(以下、中塚): 経理担当の多くは社歴の長いベテラン社員なので、そもそもデジタルツールに対する馴染みが薄い傾向にあります。そのうえ新たなシステムを使うとなると、幾度も「こういう場合はどうすればいいのか?」という壁に直面するんですね。加えて、従前は本社が会計ソフトへの入力を担当していたので、国分寺工場の経理担当にとっては初めてとなる作業も多く、特に初期は苦労の連続でした。


松浦: そもそも、百十四銀行がICTコンサルティングサービスを開始するにあたって目指した姿は「伴走型」ですから、お客さまにしっかり寄り添ってご支援するという姿勢を強く意識していました。このため、吉武と私が1~2週間ごとに本社と国分寺工場の双方に訪問し、経理ご担当さまの隣に座って同じ画面を見ながらご説明していました。遅延なくプロジェクトを進められたのは、私と吉武が同時並行でサポートする形をとったためだと思います。


百十四銀行・吉武 奈緒子 氏(以下、吉武): 使用法のご説明を重ねていると、みなさんがつまずきやすいポイントが見えてきます。そこで、レクチャーを開始して約1カ月後くらいに、株式会社カワイさまオリジナルのマニュアルを作成・配布しました。頻度の高い業務を中心に、操作画面のキャプチャー画像を挿入し、直感的に疑問を解消できるように工夫しました。


中塚: 隣にいてすぐ教えていただけるのは大いに助かりましたし、途中からマニュアルをつくっていただいたおかげで、独力で対処できる場面が増えました。初期の苦労は、時間の経過とともに軽減されていった感じです。


株式会社カワイ


設定した課題が解決し、次なるDX化の課題も鮮明に

――2021年10月にプロジェクトが終了したそうですが、どう評価なさいますか?

河合: 月に一度、経営会議を実施していますが、導入後は前月のデータを見ながらタイムリーに戦略を講じられるようになりました。例えば、前年より経費が増加している場合、瞬時に原因を特定できるため、対策を即実行できるといった感じです。また、売掛金の消込業務の効率化は大幅な負担軽減につながりました。そして、二重の入力作業を解消できたことで、本社の経理担当はネット通販の仕組みづくりや、オリジナルのタレの拡販など、業績アップにつながる活動に注力できています。導入を決断して、本当に正解だったと思いますね。


中塚: プロジェクト終了から半年後くらいには、操作に慣れました。当初はどうなることかと不安に思っていましたが、操作に慣れてくると、使い勝手の良さや便利さを実感できるようになりました。


河合: 仕入れや売り上げについては、別の販売管理システムを使っているため、販売データをエクセルで出力し、freee会計にインポートしています。今後は、この部分にもメスを入れていきたいですね。このような課題については、実務にあたっている経理担当のほうが敏感なはずです。さらなる有効活用のアイデアを吸い上げていきたいとも思っています。


――百十四銀行としては、今回のプロジェクトを通じてどのような収穫があったでしょう?

株式会社カワイ


松浦: 先に触れたタグ機能が役立つ具体例や、オリジナルのマニュアル作成がもたらす効果などは、貴重な知見になりました。他のお客さまへの対応時にも、役立てられると思っています。なお、プロジェクト終了後に株式会社カワイさまを訪問すると、本社の経理担当から「本当にラクになった」と声をかけていただけます。その声を聴いたこんな際は、提案・ご支援して本当に良かったと思いますした。今後は、河合副社長が指摘なさっているように、freee会計と販売管理システムを連携させるソリューションを第2フェーズとして想定しています。株式会社カワイさまに対する百十四銀行の伴走支援は、freee会計導入の6カ月間で終わらせるのではなく、今後も続けさせていただきたいと考えています。


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