「将棋ウォーズ」をはじめとするオンラインのボードゲーム開発によって培われた独自AI技術を活用し、多様な産業にAI関連サービスを提供するHEROZ株式会社。同社のCTO Direct Management Divisionは、HEROZ株式会社とグループ5社(バリオセキュア株式会社、株式会社ストラテジット、株式会社エーアイスクエア、株式会社ティファナ・ドットコム、VOIQ株式会社)の情報システム構築・運用を担当する部門です。
同社では、2023年よりBundle by freee(以下Bundle)を導入しています。以前はSaaSアカウントの一元管理ができておらずコストがかさんでいたり、アカウント発行・削除をSaaSごとに手作業で対応していたりなどの課題があったそうですが、Bundleの導入によってどのような変化があったのでしょうか。具体的な導入効果や重宝している機能などについて、マネージャーの奥川 信也さんと小林 弦生さんにお話をお聞きしました。
キャリアについて
奥川 信也さん: SIベンダーでのシステム開発経験を経て自社のシステム構成管理に携わる情シスへの関心が高まり、HEROZ株式会社の情シス部門立ち上げに参画。
小林 弦生さん: SIベンダーにおいて基盤・ネットワーク機器の構築と運用を経験し、より裁量が大 きくチャレンジングな環境に身を置きたいという思いからHEROZ株式会社に入社。
CTO Direct Management Divisionの業務内容について
CTO Direct Management Divisionは、HEROZ株式会社をはじめ、傘下のグループ5社を含む計6社の情報システム構築・運用を担当する部署です。ヘルプデスク業務のほか、SaaSおよびSaaSアカウント、デバイスの管理についても、同じオフィスを使用しているグループ会社の情報はすべて統合し、私たちの部署での一元管理を行っています。
Bundle導入前の状況について
当時、SaaSアカウントの管理はほとんどできていない状態で、アカウントをスプレッドシートなどで管理することすらしていませんでした。契約の詳細も、請求書ベースで確認していたほどです。誰がどのアカウントを使っているのか、反対に使われていないアカウントがあるのかを正確に把握できていなかったため、コストも垂れ流しの状態でしたね。
また、従業員が入社した際のアカウント発行、退職した際の削除に対応漏れが発生する可能性もありましたし、そもそもアカウントを発行するにもSaaSごとにログインして対応しなくてはならず、手間がかかっていました。
そこでSaaS管理ツールの導入を検討し、当初はBundle とは別のサービスを導入していたんです。しかし、当時はそのサービスで連携できるSaaSのアプリが少なかったり、同じSaaSにおいて2つ以上のドメインを登録できなかったりなどの制約があり、不便に感じていました。
ちょうどその頃、グループ会社からの情報でBundleの存在を知りました。サービスの機能を調べてみたところ、現状の課題を解消できて、さらにコストも抑えられそうだったので、Bundleに乗り換えたという経緯があります。
Bundle導入で変わったことについて
Bundleの導入によって、保有しているSaaSアカウントの可視化ができました。アカウントの棚卸は月に一度行っていますが、アプリごとにアカウント数に変動がある場合は状況を確認するなど、きちんと管理ができるようになっています。
また、アカウント発行・削除のフローも効率化できました。当社ではMicrosoft Azureと併用しており、Azureが自動でプロビジョニングできないSaaSをBundleで補うという運用を行っています。AzureとBundleの使い分けで9割ほど自動化できているため、手作業で対応しなくてはならないのは1割あるかどうかです。
この運用によって、アカウントの発行・削除にかかる工数をかなり削減できています。具体的には1ユーザーあたり60分かかっていたところ、現在は10分で完了します。多い時は5名 ほど同時に入社するケースもあるので、手間が省けるのはありがたい限りですね。
現場から新たにSaaS導入の申請があった際も、Bundleとの連携が可能かどうかは判断材料の一つになっています。もちろん連携できないから導入しないというわけではありませんが、一元管理できるに越したことはないですからね。ちなみに、新規の導入申請はfreee会計のワークフロー機能を活用しています。
Bundleで好感触だった主な機能について
アカウント発行・削除のオートメーション機能ですね。というのも、Bundleの前に導入していたSaaS管理ツールは、当時オートメーション機能がなかったんです。アカウントを発行・削除する対象を選ぶだけで自動で処理できるため、導入してよかったと感じています。
また、Bundleは連携しているアプリの種類が多いですよね。オートメーション機能の構築後に一部アプリの追加を依頼したことはありますが、特に大きなメンテナンスを行わなくても問題なく運用できています。
導入後の初期対応について
Bundleの導入には、さほど時間はかからなかった印象です。フリーのご担当者に初期設定や操作手順をレクチャーしてもらい、スムーズに運用に移行できました。もともとSaaS管理ツールを使っていたこともあるかもしれませんが、導入に際して必要なアカウントの棚卸やオートメーション機能の構築は1ヶ月ほどで終えられました。
SaaS管理ツールの導入をおすすめしたい企業とは
通常業務においてSaaSをメインで利用している企業で、従業員の入退社が比較的多い場合は管理ツールがあると便利だと思います。特にオートメーション機能が優れていること、備品管理ができることなどが選ぶ際のポイントではないでしょうか。
あとは、連携できるアプリの種類についても確認しておくことをおすすめします。単純に連携アプリの数が多いというだけでなく、自社が利用している、あるいはこれから利用したいアプリに連携できるかを判断材料にすると良いでしょう。
これからの展望について
現時点では、グループ全社のSaaSアカウント管理を私たちの部署で完全に一元化できる状態には至っていません。グループ全体での効率化を図るうえで、SaaSの利用環境を全社で統一する取り組みは必須だと考えています。Bundleは一つのSaaSにおいて複数ドメインの管理が可能なので、このような取り組みに貢献してくれるはずです。