コーポレートITチーム(CIT)は、業務で扱う情報関連機器およびシステム・ツールなどの開発、運用、保守、セキュリティ対策などに携わるフリーの情報システム部門です。全13名の体制でSaaS管理、備品管理、ネットワーク管理などを行っています。
同部署にてBundleを活用してくれている古舘 勝也さん(マネージャー)とヘルプデスク業務を担当する山中 このみさんに、Bundle導入の背景や得られた改善結果などについてお話をお聞きしました。
課題
・スタッフの出入りが激しい時期は、アカウント発行・削除の作業が煩雑。
効果
・作業の効率化により管理できるアカウントが7から60超に増加。
・シャドーアカウント対策によって、 約240万円ものムダをカット。
キャリアについて
古舘 勝也さん: 2024年3月入社。マネージャーとしてチームを統括。フリーは新卒から数えて3社目にあたり、20年にわたって情シスを担当している。
山中 このみさん: 2023年6月入社。過去職では、デザイナーや総務兼情シスなどを経験。備品管理をはじめとしたCIT部門のヘルプデスク専任。
CIT部門の業務内容について
CITでは、フリーの社員および業務委託パートナーが使用しているSaaSアカウントやPC・スマホ・モニターといった備品の管理、ユーザーからのトラブルに対する問い合わせ対応、社内ネットワークなどの構築や運用、保守などを行っています。
CITのメイン業務であるユーザーからの問い合わせには計8名のヘルプデスクで対応しており、平均して月に400~500件ほど、多い時は800件を超えることもあります。
また、PCの貸与や業務に必要なアカウントの発行といった入社準備もCITが対応しています。
Bundle導入前の状況について
・備品管理
Bundleを導入したきっかけは、備品管理でした。フリーは スピード感をもって事業拡大を続けてきた会社だったので、人員の増加に伴って貸与するパソコンや関連機器も一気に増えていきます。月に何百台もPCを購入し、資産管理登録のためにその都度googleスプレッドシートの管理台帳にシリアルや所有者などを入力。退職者の発生や業務委託期間の終了、棚卸しなどに合わせて全て手作業で更新していたため、対応するメンバーの残業が増えたり、入力ミスが発生したりする場面も多くありました。
そういった状況で手作業での管理には限界を感じていましたが、そのために人を増やすのはナンセンスです。これからフリーがさらに大きくなっていくことを踏まえ、ただ人を増やすよりシステムでもっと効率的に管理したいということでBundleを導入する流れになりました。
・アカウント管理
当社では、契約更新時や監査などのタイミングでアカウントの棚卸しをしていました。管理画面にログインし、個人情報をCSVで吐き出す――という作業をすべての管理対象アカウントで実施。VLOOKUPを使って出力した台帳から従業員の名前を確認し、名前が消えていたらアカウントを削除する、といった流れです。
棚卸し作業でかかった工数は、要件の整理でまず1時間程度。スプレッドシートの作成や周知方法の検討、根回しのためのミーティングなどで2~3時間程度。その後のユーザーへの回答依頼やリマインド、更新作業などを含めるとトータルで10時間以上かかっていたでしょうか。1つのアプリにつきこれくらい時間がかかっていたので、さすがに限界かなと(笑)。
Bundle導入で変わったことについて
・CITで管理できるSaaSが60以上に増えた
リソースの限度もあって、当初CITで管理できていたSaaSは7サービス。現在は「Bundleで中央集権的に管理しているもの」と「運用を現場に任せて監視しているもの」を合わせて60以上に増えています。
各部署で導入したSaaSの管理が属人化し、「誰も把握していない」という場面は少なくありません。また、部署異動などでもう使わないアカウントをそのまま持って行ってしまうケースもよくあります。1つのアプリにかける管理工数が減ったことで、これまで把握できていなかったSaaSまで管理できるようになったのは大きいですね。
・「SaaSごと」から「ユーザーごと」の棚卸しへシフトできた
これまではSaaSごとにアカウントの棚卸しをしなければならず、「システムの数×従業員数」の作業工数が発生していました。しかし、Bundleによって削除処理などを一括でできるようになったので、システムの数が増えても作業量は大きく変わりません。
Bundleには従業員情報を取り込んでいて、「在籍/離職」を一目で確認できます。これまではアプリごとに多数のアカウントの「在籍/離職」を確認して1つずつ削除しなければならなかったのに、Bundleを見るだけで削除すべきアカウントをまとめて確認できるようになった。これは大きな変化です。
・ムダなライセンスコストをカットできた
Bundleは1つの画面でアカウントを一元管理でき、情報の条件別ソートや一括処理も簡単なので、シャドーアカウントの発見や削除がしやすくなりました。Bundle導入直後にシャドーアカウントの削除によって削減できたコストは、特定のアプリだけで240万円にもなります。お恥ずかしい話ですが、これほどの額でもムダに気づけなかったんですよね。
ライセンスコストへの意識に関しては、残念ながら無自覚な方も一定数います。それを意識してもらえるように啓蒙するというのも情シスの役割です。そのため現在は、Bundleのデータをもとに1アカウントあたりの金額を周知しようと準備しています。
・小さなセキュリティリスクにも向き合えるようになった
使っていなかったアカウントを残しておくことは、セキュリティリスクにもつながります。退職後や業務委託期間終了後にログインする人がいるかと言われればいないし、できないような設計としてはいますが、アカウントをそのままにしておくのはリスクでしかありません。
しかも、こうしたリスクに気づくのは「情報漏洩後」であることが多いです。そういった部分を着実につぶすのは情シスの役割ですし、作業が効率化されたことで忙しくても小さなリスクまで目を向けられるようになりました。また、「管理権限が強すぎてヘルプデスクの作業担当者に渡せないアカウントがある」という “情シスあるある”についても、Bundleを使えば権限を変えずにヘルプできるようになるので便利ですね。
Bundleで好感触だった主な機能について
・スキャンアプリ機能
備品関連で言うと、劇的に変わったのはQRコード(※)ですね。パソコンなどの裏にQRコードを貼っておけば、スマホアプリでそれを読み取ることで登録情報を編集したり、管理番号と備品を紐付けたりする作業を効率的にできます。「返却された備品のステータスを複数台まとめて更新する」といった一括作業も可能です。
これまでは1人がPCに貼られた資産管理番号を読み上げ、残りの2人がスプレッドシートで手動検索をしてステータスを記載する――といったパワープレーを600から800の端末で行っていました。かかった工数は3人がかりで最低でも6時間ほど。この作業が、今では2人がかりで2時間程度まで削減できています。
※「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です
・メンバー画面
「メンバー画面」はとても感動したポイントの1つですね。各ユーザーにマイページがあり、クリックするとその人が持っているSaaSアカウントの使用状況や期限、権限レベル、使用している備品のスペックなどがパッと見られます。メンバーの情報とアプリや備品の情報が連携されているので、よく分からないアカウントがあったらとりあえずメンバー画面に飛び、その人の部署や役職などを確認しています。
以前、ヘルプデスクに「PCのスペックが足りない」という問い合わせが来た際、Bundleでその人の部署などを確認したら「エンジニアなのに持っているPCのスペックが低い」ことが分かった、というケースがありました。反対に、PCのスペックに関する質問が来た際には、職種や使用アプリを踏まえて「スペックとしては十分だと思います」といったコミュニケーションが取れましたね。
・フィルター機能
「在籍ステータス」で絞れば離職済みのアカウントが1発でわかり、削除すべきアカウントを一括で確認できるのはとても便利です。通常のSaaSの管理画面だとこういった細かい処理が難しいので……。
それと、SaaSごとに項目の意味は同じでも名称が異なるケースって結構あるじゃないですか。「アクティブ」なのか「有効」なのか、「メールアドレス」なのか「ユーザーID」なのか。リストの並び順が違うということもよくあります。Bundleならマスターデータでつながっているのでこうした複雑さに起因するエラーがなく、良いですね。
・マスターデータ
「マスターデータがどれかわからなくなった」というの も“情シスあるある”でしょう。閲覧権限の関係や個人情報の問題などで、大元のマスターデータから必要な情報だけ抜き出した「謎のマスターデータ」みたいなものが複数存在する、といったことが起こり得るんですよね。しかも、それらが独自に更新されていくと大変です。
Bundleには200超のSaaSから従業員情報をインポートおよび自動同期し、統合された従業員マスターを作ることができる「統合マスター機能」(特許取得済み)があり、閲覧権限もコントロールできるのでそういった心配もなくなります。
導入後の初期対応について
導入後には設定や各種SaaSとの連携などが発生するので、その部分については労力が必要かなと思います。ただ、そこを乗り越えさえすれば管理作業の大幅な効率化が実現できるので、「最初の労力を嫌って」というのは非常にもったいないです。事業所の規模に関係なく無料で導入支援もしてくれるようなので、情シスとしての作業で苦労しているのであれば検討に値するかと思います。
現場で使い始めたアプリなどの管理をCITでお願いされることもありますが、「誰にアカウント発行すればいいのか判断できない」「なんでも発行してしまうとコストが無限にかかってしまう」といった懸念もあるので、Bundleで管理業務を巻き取る際は一定のルール化が必要だと思います。私たちも巻き取るにあたって運用ルールを策定しました。「できること、できないこと」を整理して進めるのが大切ですね。
これからの展望について
・アカウント発行のオートメーション化
今は「freee会計」のアカウント発行作業をBundleのオートメーション機能でできないか、トライしているところです。管理者権限が必要なアカウント発行・削除作業を外部委託することが難しいため、申請がなくても入社したら自動でアカウントが発行されるようになると良いなと思っています。申請されなくても入社後すぐに働ける環境が整うのが理想的ですね。
・全従業員が自身でアカウント状況を確認
全従業員がBundleにログインできる状態になると、「同僚と自分の情報を比べて、足りてないアカウントや権限を自身で発見・申請する」といった動きが取れるようになります。申請されたら自動でアカウントが付与され、申請したけれど使われていない場合は1か月で自動削除する。このようにアカウントの発行・削除作業が常に最適化されれば情シスの負担はさらに減ると思います。
・「攻めの情シス」の実現
CITでは、「データドリブンヘルプデスク(DDHD)」「デバイスライフサイクルマネジメント(DLCM)」の2点において、「攻めの情シス」を実現したいと考えています。トラブルや不具合が発生してから対応するのではなく、現状や課題をちゃんと分析し、先手で中長期の計画を立てていけるようにしていきたいですね。
Bundleによっていろんな管理が効率化・自動化され、それを私たちが巻き取れるようになれば、現場の工数が浮き、本来あるべ き体制に近づけます。つまりそれは、より事業のコアな部分に注力できるということです。フリーはまだまだ成長を続けていく企業なので、経営陣やいろんな部署からどんなオーダーを受けても問題なく管理できるスキームを構築していきたいと考えています。