230人以上の給与処理を3日で完了!freeeを軸に、全国拠点を少人数で支える業務標準化を実現

医療法人 北海道家庭医療学センター 理事長 草場 鉄周 氏
株式会社HCFMパートナーズ 管理部 部長 横地 将文氏、主任 今 裕加氏、主任 齋藤 祥枝 氏

課題
経営の課題をリアルタイムに把握給与計算から振込までラクにミスなくバックオフィスの体制構築・効率化

北海道家庭医療学センターは、北海道を中心に病院や診療所を構える医療法人です。2020年頃からDXを進めていくなかで、freee会計とfreee人事労務を導入。導入後は、業務標準化を実現できたことで、1週間以上かかっていた給与処理を3日に短縮するなど作業量を大幅に削減し、バックオフィスメンバーの残業時間も大きく減らすことができたと言います。


今回は、北海道家庭医療学センターのバックオフィス部門である株式会社HCFMパートナーズの横地将文さん、齋藤祥枝さん、今裕加さんに、導入にあたっての選定ポイントや決め手、導入後の変化について伺いました。

紙ベースや手入力の業務が多く、各拠点のルールの違いも課題に

――まずは、北海道家庭医療学センターやグループのバックオフィスを担うHCFMパートナーズについて、概要を教えてください。

横地将文さん(以下、横地): 北海道家庭医療学センターは、北海道を中心に12施設を持つ医療法人です。設立から25年ほどで、総合診療(家庭医療)に精通した医師が全国で68名(2025年4月現在)ほど活躍しています。拠点は提携施設も含めると、北海道のほか、滋賀や京都、福岡と全国に広がっています。


HCFMパートナーズは、同医療法人のバックオフィス部門として独立しており、各拠点における人事・労務・経理など全ての管理業務を担当しています。


北海道家庭医療学センター
HCFMパートナーズ 管理部 部長 横地将文さん


齋藤祥枝さん(以下、齋藤): 現在、当社で管理業務にあたっているのは4人。少人数ながら、各拠点にいる事務長を介して12拠点に在籍する230人以上のバックオフィス業務に対応しています。


――DXを進めるうえでfreee会計とfreee人事労務を導入されましたが、導入以前はどのようにバックオフィス業務を進めていたのでしょうか。

今裕加さん(以下、今): ほとんどが手入力のアナログ作業でした。振り返れば、無駄な作業が本当に多かったと思います。


例えば、給与明細を作成する作業では、エクセルの出勤簿データを各拠点の事務長に確認してもらいながら手入力で修正し、そのデータをもとに給与明細を作成していました。しかし、拠点ごとに独自の方法で提出されており、集計ルールがバラバラだったことが煩雑化を招いていました。さらに、紙でのやりとりが多かったのでミスも起こり、バックオフィスのメンバーたちも余裕がない状態でした。


北海道家庭医療学センター
HCFMパートナーズ 管理部 主任 今裕加さん


横地: ローカルルールが生まれてしまっていたので「このままではいけない」という感覚はあったんです。ルールの統一化を図りたくても、各クリニックごとのルールに則らなければならない部分もありました。バックオフィスの改善を進めたくても、なかなか進められない……そんな葛藤によって、各拠点の職員さんとバックオフィス部門の関係性も、良いとは言えない雰囲気がありました。


そんななか、2020年頃から当社代表の髙橋宏昌がDXの推進に踏み出し、freeeの導入を進めていくことになりました。


導入の決め手は「アップデートの多さ」

――freee製品を導入した経緯についてもお聞かせください。

横地: DXを進めるうえで、会計や人事労務、契約関係などバックオフィスに関連する作業は全て一気通貫で行えることを求めていました。freeeは会計ソフトの印象しかなく候補に入っていなかったのですが、たまたまfreeeさんと話をした際に、人事労務の業務も対応できることを教えていただき、最終的にはfreee製品を導入することになりました。


――導入の決め手になったポイントは何だったのでしょうか。

横地: アップデートの頻度を重視しました。担当者の方から「今はできなくても、今後できるようになります」や「システム改善を進めています」と聞いており、実際にかなりの頻度でアップデートが行われていたので、そこに期待できたのが決め手になりました。担当者の方のお話を信じてしまったとも言えます(笑)。


――拠点ごとに事情が異なるなか、新たなシステムの導入は大変だったのではないでしょうか。各拠点への導入は問題なく進められましたか。

横地: 導入時には、各拠点に出向いて説明会を実施しました。各業務の方法が今までとは大きく変わるので、勤怠の付け方から給与の見方まできちんと説明する必要があったのです。単にトップダウン式にシステムを導入すれば終わりではなく、説明会を開くことが各拠点できちんと活用してもらうことにつながったと思います。


1週間以上かかっていた給与処理が3日に短縮

――freeeの導入で実感できた効果について教えてください。

: 無駄な作業を減らすことができ、体感で作業量8割減といっても過言ではないと感じます。例えば、請求書を作成するにしても、オンライン上ですべて完結でき、紙に出力する必要がありません。計算間違いがないか電卓を使ってたしかめる必要がなくなったので、請求書や見積書などを作成する工数は、大きく削減できました。


齋藤: 細かく言えば、給与の諸手当について、病院ならではの独自ルールがあるので、freee導入後も個別で対応する必要があります。


とはいえ、これまでは給与全てを手計算で行っていたところから、手当に関する確認と微修正くらいの作業で済み、対象者の方への確認や連絡もシステム上で問い合わせられるので助かっています。


導入後の効果でいえば、残業時間の削減にもつながっています。


北海道家庭医療学センター
HCFMパートナーズ 管理部 主任 齋藤祥枝さん


横地: さまざまな業務をさばく必要があることから、どうしても月平均20時間以上残業することが避けられなかったのですが、今は10時間未満に抑えられています。


: 230人を超えるスタッフの給与計算を確認をするのに1週間以上かかっていたのが、3日ほどで終えることができています。


細かい話ですが、銀行登録や振り込みなどの業務に、月2〜3時間はかかっていましたが、freee導入後はクリックひとつで、1分もあれば終わります。作業時間としては多くないものの、このように無駄に思っていた作業を減らせることが非常に助かっています。


北海道家庭医療学�センター


齋藤: 負担を減らせた分、障害者雇用や福利厚生など今までやりたくてもできなかった業務にも、本腰を入れて取り組めるようになりました。基本的な業務はfreeeで効率化して、職員の健康やホスピタリティにつながる仕事に注力できるようになったことの意義は大きいです。


医療業界のDXを加速させる
拠点との連携強化でさらなる効率化を

――バックオフィスについて、今後の展望をお聞かせください。

横地: 医療現場でのDXも進めており、今後はバックオフィスとうまく連携させていきながら、より快適な職場環境を整えたいです。


都市部と比べて地方ではカード決済できるクリニックが少なかったり、訪問診療での契約書が紙ベースだったり、電子カルテが進んでいなかったり、まだまだ改善できる部分はたくさんあります。


「国が医療業界でのDXを推進している」という理由だけでなく、地域ごとに目的を持ったDXが推進できれば、より良い環境が提供できるのではないかと考えています。


齋藤: 私たちとしても「freeeさんならなんとかしてくれるだろう」という考えがあります。今までは、独学でバックオフィスの知識を日々アップデートしていく必要がありましたが、freee製品を使っていれば常に新しい情報を得られるので、インプットの時間コストも減らせています。


: freeeを導入して、管理部の仕事がグッと減りました。もともと6人ほどでまわしていたのですが、他の事業や連携のために異動し、現在は主に4人で対応できています。増員することなく続けられているのは、それだけの工数カットが実現できた証拠でしょう。さらなる効率化をはかり、必要な業務に集中できるよう取り組んでいきたいです。


経営サイドからはfreeeってどうだった?

北海道家庭医療学センター

――バックオフィスの業務効率化とセントラル化が加速しました


理事長 草場さん 『freee』を段階的に導入したことで、会計・給与・勤怠・労務が一気通貫でつながり、バックオフィスの標準化が加速しました。例えば勤怠管理では、全職員がブラウザから勤務状況や有給数などを正しく確認できる体制になり、コミュニケーションコストがぐっと下がりました。会計についても、出張費の精算などが電子申請できるようになることでスピードがあがり、申請漏れも減らせています。医師にとっても、コストの低いバックオフィス運営は、法人全体の経営の質を高めてくれます。現在は、freeeを軸としたバックオフィスのセントラル化をすすめており、12拠点のバックオフィスを4名で運営する体制をとっています。クラウド型のfreeeはアップデートも多いので、これからの「進化」にも期待しています。


(執筆:つるたちかこ 編集:ノオト)


医療法人北海道家庭学医療センター