導入の背景
同社でBundle by freeeの導入を進められたシステム管理部の部長の植松 淳一郎さん、越智 太郎字さんに導入の背景や効果について伺いました。
導入前の課題
- 高コストと機能不適合な既存システム:以前はグローバルで導入されていたプロビジョニングツールを利用していましたが、同社の規模に見合わない高額な利用料金が発生しており、契約更新時には費用高騰の懸念がありました。利用していた海外製プロビジョニングツールは高機能であるものの、その機能を十分に活用できておらず、特に国産SaaSとの連携に課題がありました。
- 手作業による業務負荷と属人化:入社・退社時のアカウント管理(On/Offboarding)やアクセス権限の付与・削除が手動で行われており、作業工数が多く、抜け漏れが発生するリスクがありました。これにより業務が停滞し、特定のIT担当者に業務が集中する属人化も進行していました。
- シャドーIT/IDの管理とセキュリティ強化の必要性:資産の棚卸しを進める中で、利用しているSaaSアプリケーションが約50種にも上り、シャドーIDやシャドーITの存在が明らかになり、ライセンス違反や不正利用のリスクが高まっていました。これらの可視化と管理体制の強化が急務でした。
- IT部門の人員不足:IT部門の担当者は数名と少なく、属人化を防ぎ、誰でも容易に操作できる標準化されたシステムが求められていました。
導入後の効果
- 業務時間の劇的な削減と運用の確実性向上:On/Offboardingなどの手作業が自動化されたことで、約1/4~1/8の業務時間を削減できたと試算されています。アカウント作成・削除や権限付与の抜け漏れがなくなり、確実な運用が可能になりました。
- ITコストの削減:高額な海外製プロビジョニングツールや他の候補製品と比較して、Bundle by freeeの導入により、利用コストと運用コストの両面でITコストを抑制することに成功しました。
- シャドーIDの大幅削減と資産管理の可視化:Bundle導入前には150~200件近くあったシャドーアカウントが、導入後には約5件程度まで大幅に削減されました。これにより、資産の可視化が進み、毎月の棚卸し作業も効率化されました。
- 運用プロセスの標準化と属人化の解消:直感的な操作性を持つBundleによって、IT専門家でなくても運用業務を遂行できる環境が構築され、特定の担当者に依存するリスクが解消されつつあります。
Q. 業務内容について教えてください
私たちのシステム管理部は、主にシステム全体の運用管理を担当しています。
具体的には、入社や退職時のアカウント作成・削除、関連するアクセス権限の設定を行う「On/Offboardingの管理」、PCの資産管理やキッティング作業といった「PC管理」、そして国内外約50種類のSaaSアプリケーションの予算や構成、アカウントを管理する「社内利用SaaSの管理」があります。
また、未承認のSaaS利用や、退職者のアカウントが残ってしまう「シャドーIT/IDの管理」も重要な業務です。当社はフルSaaS環境であるため、SaaSサービス間の連携と管理が中心となる「ITインフラ運用」、そして各部門や従業員からの問い合わせに対応し、業務上の困りごとを解決する「従業員からの問い合わせ対応」も日々行っています。
Q. 「Bundle by freee」を導入する前は、どのような課題を抱えていたのでしょうか?
主な課題は4つありました。
まず、以前利用していたプロビジョニングツールのコストです。高機能ではあったものの、当社の規模には見合わない高額な利用料が発生しており、特に国産SaaSとの連携にも課題がありました。契約更新のタイミングで、このままではコストが高騰してしまうという懸念がありました。
2つ目は、手作業による業務負荷です。入社・退職時のアカウント発行や削除、アクセス権限の付与・削除をすべて手作業で行っていたため、どうしても作業工数がかさんでしまっていました。抜け漏れのリスクもあり、業務が特定のIT担当者に集中する属人化も進んでいました。
3つ目は、シャドーIT・シャドーIDの存在です。社内で利用されているSaaSを棚卸ししてみたところ、従業員が個人的に利用している未承認のSaaSや、退職者のアカウントが残ってしまうシャドーIDが多数見つかりました。ライセンス違反や不正利用のリスクが潜在的に高まっている状況で、早急な対策が必要でした。
そして4つ目が、IT部門の人員不足です。当社のIT部門は少人数で運営しており、属人化を防ぎ、誰でも簡単に操作できる標準化されたシステムが求められていました。
Q. 数あるSaaS管理ツールの中から、「Bundle by freee」を選んだ決め手は何でしたか?
いくつかのツールを比較検討しましたが、「Bundle by freee」の以下の点が決め手となりました。
まず、 オートメーション機能の網羅性と強力なアプリケーション連携です。特に重視していたプロビジョニング機能が、他社製品と比較して最も優れていると感じました。当社の課題であった入退社時のアカウント管理を、いかにシンプルに自動化できるかという点で群を抜いていました。
次に、直感的な操作性です。当社のメンバーはIT専門家ばかりではありません。誰でも簡単に操作できる 分かりやすいUIが、運用を標準化し、属人化を防ぐ上で非常に魅力的でした。
そして、コスト優位性です。他社製品と比較して、機能とコストのバランスが最も優れていました。導入費用だけでなく、運用の手間が大幅に削減できるという点も含め、総合的に見て最も費用対効果が高いと判断しました。
さらに、プロビジョニング、アカウント管理、シャドーID管理、備品管理といった複数の機能を、一つのツールで提供してくれる点も大きかったです。機能ごとに異なるSaaSを導入する必要がなく、コスト削減にもつながりました。
Q. 導入後、具体的にどのような効果がありましたか?
導入効果は多岐にわたりますが、特に顕著だったのは以下の3点です。
まず、業務時間の劇的な削減です。手作業で行っていた入社・退職時のアカウント管理作業が自動化されたことで、業務時間を約4分の1から8分の1にまで短縮できました。例えば、手動だと62分かかっていた入社時のアカウント設定作業が、わずか15分で完了します。アカウントの作成や権限付与の抜け漏れもなくなり、運用の確実性も大幅に向上しました。
次に、シャドーアカウントの激減です。「Bundle」の導入前は、150〜200近くあったシャドーアカウントが、導入後は約5つ程度まで大幅に削減できました。これにより、セキュリティリスクの軽減と資産の可視化が進み、毎月の棚卸し作業も非常に効率的になりました。
最後に、運用プロセスの標準化と属人化の解消です。「Bundle」の直感的なインターフェースのおかげで、ITに詳しくないメンバーでも運用業務を担える環境が整いました。これにより、特定の担当者に業務が集中するリスクが解消されつつあります。
Q. 今後、「Bundle by freee」に期待する機能や、SaaS管理ツールを検討中の企業へのアドバイスをお願いします。
今後期待するのは、Google Workspace側のユーザー情報変更などをトリガーにして自動化を開始できる機能や、より多くのアプリケーションとの連携、そしてAIを活用したローコード化・自動化です。さらに、レポート機能の拡充やシャドーIT対策の強化も期待しています。
SaaS管理ツールを検討されている企業様へのアドバイスとしては、「本当に解決したい課題」を明確にすること です。「資産管理」という言葉に惑わされず、「アカウント管理を自動化したい」「属人化を解消したい」といった具体的な目的をまず特定すべきです。
そして、デモ環境やPoCを活用して、ツールの「操作性」と「連携範囲」を徹底的に確認することが重要です。単に「対応しています」というだけでなく、実際にどれくらいの操作が可能で、自社が利用しているSaaSのどのエディションまで対応しているかまで細かく確認することをおすすめします。
また、初期費用だけでなく、運用の手間や 他のツールと組み合わせる必要性を含めた「総費用対効果」で比較することも重要です。
私たちは「Bundle by freee」の導入を通じて、限られたITリソースの中で効率的かつ確実なSaaS環境の管理を実現しました。今後もさらなる自動化を進め、より生産的な働き方を追求していきたいと考えています。