株式会社ClaN Entertainmentは、日本テレビがインフルエンサー事業に参入するにあたって2022年に新設した企業です。主な事業の軸は「クリエイターネットワーク事業」「コンテンツクリエイティブ事業」「VTuberマーケティング事業」の3つであり、日本テレビグループの企画・制作力と豊富な実績を活かして急成長を続けています。
経営管理本部長を務める永瀬 優さんは、社内で「バックオフィスのことはfreeeで何でもできるという認識を広げたい」と考え、freeeの導入と社内制度の構築に取り組んでこられました。今回は、freee製品を導入された経緯と、会社を運営するなかでどのように活用されているのかを伺いました。
「人生を変えるエンターテイメント」をテーマに、VTuber事業やクリエイターネットワーク事業を展開
――御社の事業の概要を教えていただけますか?
永瀬 優さん(以下、永瀬): 弊社は「人生を変えるエンターテイメント」というスローガンのもと、エンターテイメントのなかでも、VTuber(バーチャルユーチューバー)に特化した事業を展開しています。事業の軸は3つです。
そのうちの1つである「クリエイターネットワーク事業」では、日本テレビ発のYouTube MCN(マルチチャンネルネットワーク:複数のチャンネルを束ねて支援するネットワークのこと)として、VTuberや歌い手、イラストレーターなどのクリエイターを結び、活動のサポートを行っています。
また「コンテンツクリエイティブ事業」では、仮想空間「メタバース」を活用した番組配信やバーチャル×リアルを特徴としたイベントなどの制作を行っています。さらに、「VTuberマーケティング事業」として、VTuberを起用したSNSプロモーションやタイアップの企画立案を行っています。
――御社の経営体制を教えてください。
永瀬: 現在の従業員は、業務委託やインターンも含めると全体で60名前後です。そのうち、バックオフィスを担当しているのが5名ですね。
バックオフィスといっても、経理、人事、総務、法務だけでなく、広報も担っているのが少し特殊なところです。それらの領域を5名の担当者で回しています。
経理に強いメンバーがいなくても直感的に操作できるfreee会計を導入
――freee会計導入のきっかけ・経緯などを教えてください 。
永瀬: 私が入社したのは2023年で、その頃すでにfreee会計は導入されていました。 導入にあたっては、はじめからfreee1本で決めていたわけではなく、複数の類似プロダクトを比較検討していたと聞いています。
freee会計を選ぶ決め手になったのは「会計をバリバリやってきた人でなくても触ることができる」というポイントだったかなと思います。当時、社内には経理に強いメンバーがおらず、簿記の知識も不足していました。
送られてきた請求書を入力はするけれども、仕訳が分からないという状態で、そんな状況でも使えるプロダクトでないと導入できなかったんです。freeeなら、会計のスペシャリストでなくても直感的に操作できるという点が、導入の決め手になりましたね。
個人事業主への依頼が多いエンタメ業界では、発注管理の複雑さが課題に
――入社時の状況やバックオフィスでの課題を教えていただけますか?
永瀬: 私が入ったときは、最低限の処理こそできていたのですが、まだfreeeの機能を十分に活かしきれていませんでした。freee会計の場合、単に経理処理をして終わりというわけではなく、申請や承認のワークフローにも使える機能が備わっていますよね。
そうした機能も活かせれば、バックオフィスの業務を1つにまとめられるのではないかと考えていました。
――エンタメ業界特有の課題などもあれば教えてください。
永瀬: エンタメ業界は個人事業主との接点が多いのが特徴です。外部のクリエイターさんに依頼することも多いので、発注管理は複雑になりやすいです。
プロジェクトに紐づけて正確に発注管理ができなければ、最悪の場合、支払い漏れが起こるリスクもあります。2024年の11月にはフリーランス新法も適用されたので、気づかぬうちに法律を違反してしまうリスクには気をつけないといけませんね。
それなら発注管理システムを入れれば良いという答えに行き着くのですが、今度はバックオフィスの工数が増えてしまう恐れがあります。効率化するためにシステムを入れたのに、かえってメンテナンスに時間が奪われてしまうという現象もめずらしくありません。
その問題を解消するには、やはりfreeeのような同じプラットフォームのツールで業務環境をまとめるのが近道だと思います。
「freeeにログインすればバックオフィス業務は何でもできる」という仕組みづくりを目指した
――どのようにバックオフィス業務を変えていかれたのでしょうか?
永瀬: freee人事労務、freee販売、freeeサイン、freeeカードと導入していくのですが、まずはfreee会計の申請機能を活用して、社内の申請フローを整備するのが第一歩でした。そこで社 内への浸透のために、申請のルールを定めていくところから始めました。
たとえば「何か押印をもらうときにはこの申請をあげよう」「交際費を事前にとるときにはこの申請を利用しよう」という具合です。
私としては「freeeにログインすれば基本的なバックオフィスのことは何でもできるんだ」と思ってもらいたかったので、とにかく使ってもらうことを意識しました。
すると、従業員も自然とfreeeのUIに慣れてくれましたね。実を言うと、当時勤怠だけはほかのシステムを使っていたのですが、ログイン先が違うだけでタイムリーな勤怠打刻があまりされてなかったんです。
それで、せっかくfreee人事労務があるなら、勤怠の打刻もまとめてしまおうということで一元化しました。freee製品同士なら同じサイト上で使えるので、利用率も大幅に向上しました。
freee販売の導入で決済ステータスが一目瞭然。管理の効率と正確性が大幅に向上
――freee導入後の効果/変化などありましたか?
永瀬: freee販売を入れたことで、販売データと会計がスムーズにリンクするので、業務の効率は格段に上がりました。特にfreee販売上で決済ステータスがすぐに分かるのが便利でした。
先ほども申し上げたように、弊社は多数の個人クリエイターの方に発注しているので、発注や支払い状況の確認が必要な場面が多くなります。導入後は事業部のメンバーがfreee販売にログインすれば、すぐに決済ステータスが調べられる ようになりました。
いちいち経理に確認しなくても判別できるので、業務効率の向上につながったなと思います。
――新しく導入されたfreeeサインの使い勝手はいかがでしょうか??
永瀬: やや先行して導入したところはあるのですが、freee販売と連携させることで、発注書類の合意確認がしやすくなると考えています。今の時点でやはりUIが見やすいですし、操作性も問題がないと思っています。
改めて、freeeのIDさえ持っていれば、バックオフィスの作業が完結してしまうと実感しました。社内でも、事業部で「とりあえずfreeeで申請すればいいんだよね」という意識が生まれているので、業務上のコミュニケーションが円滑になっています。
「freeeのさらなる発展に期待」海外への事業展開に向けて、バックオフィスの重要性はさらに高まる
――御社の今後の事業についての展望もお聞かせください。
永瀬: まずはプロジェクトをいち早く成功させて、「VTuberと言えばClaN」というイメージを広げたいです。私たちは現在、世界進出を目指して動いており、グローバルな規模でVTuberの可能性やエンタメ力を伝えていきたいと考えています。
急拡大を目指すにあたって、バックオフィスが脆弱であれば、どこかでトラブルやミスが起こってしまうでしょう。うまくいっているところで取引がなくなってしまうといった事故を防ぐためにも、バックオフィスの充実は欠かせません。
そうした意味で、私たちはfreeeさんと一心同体だと思っています。私たちがさらに機能をうまく活用するとともに、freeeさんが発展すればするほど、事業も展開しやすくなっていくと考えています。