アンケートは、顧客の声や従業員の意見を把握し、商品・サービスの改善や業務効率化に活かせる有効な手法です。しかし、目的や設問設計が曖昧なまま実施すると、十分な回答が集まらなかったり、分析に活かせない結果になったりする可能性があります。
また、質問数が多すぎたり、わかりにくい表現が含まれていたりすると、回答率が下がってデータの信頼性にも影響を与えます。アンケートの効果を最大化するためには、設計段階からポイントを押さえておくことが重要です。
本記事では、アンケートの基本的な意味や種類、回答率を高めるポイントまでをわかりやすく解説します。
目次
- アンケートとは
- アンケートの主な目的
- アンケート調査との違い
- アンケートの実施形式の種類
- オンラインで実施する方法
- 紙媒体で実施する方法
- アンケートの調査方法の種類
- 定量型|数値データを集める調査
- 定性型|意見や背景を深掘りする調査
- アンケートの回答形式の種類
- 単一選択形式
- 複数選択形式
- 評価尺度形式
- 順位付け形式
- 自由記述形式
- アンケートの作り方
- アンケートの目的(ゴール)を明確にする
- 対象者と回収方法を決める
- 質問内容と設問数を設計する
- 実施前にテストを行う
- アンケートの回答率を高めるポイント
- 質問数を最小限に抑える
- 冒頭は選択式からはじめる
- 専門用語や曖昧な表現を避ける
- 中立な聞き方を心がける
- 目的と所要時間を明示する
- スマホで回答しやすくする
- まとめ
- よくある質問
アンケートとは
アンケートとは、特定のテーマについて多くの人から意見や回答を集める調査手法です。あらかじめ用意した質問に回答してもらうことで、顧客の行動や満足度、ニーズなどを把握できます。
実施方法は、Webフォームや紙、郵送・メール配布などさまざまです。一度に、多くの回答を集めやすい点が特徴です。収集したデータは集計・分析することで、商品やサービスの改善、施策の判断に活用できます。
アンケートの主な目的
アンケートの目的は、顧客や利用者の声を把握し、意思決定に活かすことです。具体的には、商品・サービスの改善点の発見や、顧客満足度の把握などに用いられます。また、新しい施策や企画の方向性を検討する際の判断材料としても有効です。
事前に目的を明確にしておくことで、必要なデータを無駄なく収集でき、分析や改善施策にもつなげやすくなります。
アンケート調査との違い
アンケートとアンケート調査は明確に区別される言葉ではありませんが、一般的には使い方に違いがあります。アンケートは質問に回答してもらう行為そのものを指し、アンケート調査は設計・回収・分析までを含めた一連の取り組みを指すことが一般的です。
アンケートはデータを収集する手段であり、アンケート調査はその結果を分析・活用するプロセスまで含めた概念として理解すると整理しやすいでしょう。
アンケートの実施形式の種類
アンケートの実施形式は、大きく「オンライン」と「紙媒体」の2つに分けられます。それぞれ回収のしやすさや対象者の特性が異なるため、目的やターゲットに応じて適切な方法を選ぶことが重要です。
オンラインで実施する方法
オンラインアンケートは、WebフォームやQRコード、メール配布などで回答を集める方法です。
スマートフォンやパソコンから手軽に回答できるため、多くのデータを効率よく回収できます。さらに、回答内容を自動で集計できるため、分析までの手間を削減できる点もメリットです。
一方で、インターネット環境が前提となるため、デジタル操作に不慣れな層には回答のハードルが高くなる場合があります。
紙媒体で実施する方法
紙媒体のアンケートは、質問票を配布し、手書きで回答してもらう方法です。郵送や対面で配布できるため、インターネットを利用しない層からも回答を集めやすい点が特徴です。とくに来店客や高齢者を対象とした調査に適しています。
回収後は手作業での入力や集計が必要になるため、時間や手間がかかる点には注意が必要です。
アンケートの調査方法の種類
アンケートの調査方法は、収集するデータの性質によって「定量型」と「定性型」に分けられます。数値で傾向を把握したいのか、意見や背景を深く知りたいのかによって使い分けることで、分析の精度が高まります。
定量型|数値データを集める調査
定量型の調査は、回答結果を数値として集計し、全体の傾向を把握する方法です。「満足している人の割合」や「利用頻度」などを把握する際に適しています。
選択式の設問が多く用いられるため、回答者の負担が少なく、大量のデータを効率よく回収できる点が特徴です。また、結果をグラフや表で可視化しやすく、比較や共有にも向いています。
一方で、数値だけでは回答の背景や理由までは把握しにくい点には注意が必要です。
定性型|意見や背景を深掘りする調査
定性型の調査は、回答者の意見や行動の理由など、数値化しにくい情報を収集する方法です。自由記述やインタビューを通じて背景を把握できるため、課題の本質や潜在ニーズの発見に役立ちます。とくに新商品開発や改善点の洗い出しに有効です。
ただし、回答内容の整理や分析に手間がかかることや、対象人数が限られる場合が多い点には留意が必要です。
アンケートの回答形式の種類
アンケートの回答形式は、集めたいデータの種類に応じて選ぶことが重要です。目的に合わない形式を選ぶと、正確なデータが得られなかったり回答率が低下したりするため注意しましょう。
単一選択形式
単一選択形式は、複数の選択肢の中からひとつだけを選んでもらう方法です。属性情報や利用状況など、明確にひとつの回答に定まる質問に適しています。回答のばらつきが少なく、集計や比較がしやすい点が特徴です。
選択肢の設計が不十分だと回答者の意図を反映できない可能性があります。漏れや重複のない選択肢を用意し、数も適切に絞ることが重要です。
複数選択形式
複数選択形式は、選択肢の中から当てはまるものを複数選んでもらう方法です。利用理由や行動パターンなど、複数の要因が関係する質問に適しています。実態に近いデータを取得できる点がメリットです。
ただし、選択数が多くなりすぎると傾向が把握しにくくなります。「最大3つまで」など制限を設けることで、回答のばらつきを抑えつつ分析しやすくなるでしょう。
評価尺度形式
評価尺度形式は、満足度や印象を段階的に評価してもらう方法です。「とても満足・満足・どちらでもない・不満・とても不満」のように複数段階を設けることで、感じ方を数値として把握できます。一般的には5段階や7段階で設定され、比較や変化の把握に適しています。
数や表現が曖昧だと回答が偏る可能性があるため、選択肢のバランスや表現の統一に注意が必要です。
順位付け形式
順位付け形式は、複数の選択肢に優先順位をつけてもらう方法です。重要度や好みの強さを比較したい場合に有効で、どの要素が重視されているかを明確にできます。
ただし、選択肢が多いと回答の負担が大きくなるため、項目数は適切に絞ることが重要です。
自由記述形式
自由記述形式は、選択肢を設けずに文章で回答してもらう方法です。意見や要望、利用理由などを詳しく把握できるため、課題の発見や改善案の抽出に役立ちます。
一方で、回答内容のばらつきが大きく、集計や分析に手間がかかる点がデメリットです。そのため、選択式と組み合わせて活用するのが効果的です。
アンケートの作り方
アンケートは、やみくもに質問を作るのではなく「目的設定→対象者設定→設問設計」の順で進めましょう。順序を誤ると、必要なデータが集まらず、分析に活かしにくくなる可能性があります。
あらかじめ全体の設計を固めたうえで質問内容や形式を決めることで、実用性の高いアンケートを作成できます。
アンケートの目的(ゴール)を明確にする
まずは、アンケートの目的を明確にしましょう。「何を知りたいのか」「どのような判断に活用するのか」を具体的に設定することで、設問の方向性が定まります。
たとえば、顧客満足度の把握と商品改善では、必要な質問内容は大きく異なります。目的が曖昧なままでは有効な分析につながらないため、最初にゴールを明確にしておくことがポイントです。
対象者と回収方法を決める
次に、誰を対象にアンケートを実施するのかを決めます。年齢層や利用状況などの属性によって、適切な設問や実施方法は異なります。
また、回収方法も同時に検討しましょう。たとえば、オンラインや紙媒体など、対象者に合った方法を選ぶことで回答率の向上につながります。目的と対象者をセットで考えることがポイントです。
質問内容と設問数を設計する
アンケートの質は設問設計で決まります。まず必要な質問を洗い出し、その後に重複や不要な項目を削って整理しましょう。
質問数が多すぎると回答者の負担が増え、途中離脱の原因になるため、必要最小限に絞ることが重要です。選択式と自由記述を適切に使い分け、回答しやすさと情報の質のバランスを意識しましょう。
実施前にテストを行う
アンケートは本番前にテストを行い、不備がないか確認します。実際に回答することで、質問のわかりにくさや回答しづらい箇所を把握できます。あわせて、設問の順番や回答時間もチェックしましょう。
第三者の視点で確認すると改善点を見つけやすくなります。事前に調整しておくことで、回答率とデータの質を高められるでしょう。
アンケートの回答率を高めるポイント
アンケートの回答率を上げるには、「回答しやすい設計」と「安心して回答できる環境」を整えることが重要です。質問内容が適切でも、負担が大きかったり意図が伝わりにくかったりすると、途中離脱や未回答につながります。
回答者の視点でストレスを減らす工夫を行うことで、回収率とデータの質を高めやすくなります。
質問数を最小限に抑える
質問数が多いほど回答者の負担は大きくなり、途中離脱の原因になります。そのため、目的に直結する設問だけに絞ることが重要です。
設問を整理する際は、まず聞きたい内容を一度すべて洗い出し、その中から「本当に必要な情報かどうか」を基準に絞り込んでいきましょう。このとき、似た内容を重複して聞いていないか、分析に使わない質問が含まれていないかを確認すると、無駄を減らしやすくなります。
具体的には、下記のような手順で整理すると効果的です。
質問設計の手順
- 聞きたい内容をすべて書き出す
- 意思決定に必要かどうかで優先順位をつける
- 重複・不要な設問を削除する
- ひとつの質問でひとつの内容だけを聞く
たとえば「満足度を知りたい」といった目的であれば、満足度の評価・不満点・改善要望などに絞るだけで十分なケースも多く、細かな属性や関連性の低い質問は省けます。ひとつの設問で複数の内容を聞くと回答しづらくなるため、「価格と品質に満足していますか?」のような聞き方ではなく、それぞれ分けて質問することが重要です。
目安としては、3~5分程度で回答できるボリュームに収めることで、心理的な負担が軽減され、最後まで回答してもらいやすくなります。
冒頭は選択式からはじめる
アンケートの冒頭に難しい質問や自由記述を配置すると、回答者は「面倒そう」「時間がかかりそう」と感じ、離脱しやすくなります。最初は選択式など短時間で答えられる設問を置くことで、回答のハードルを下げましょう。
たとえば、いきなり「サービスの改善点を自由にご記入ください」と聞くのではなく、「サービスの利用頻度」や「満足度(5段階評価)」といったシンプルな設問からはじめると、回答しやすくなります。
このように、最初の数問を答えやすい質問で構成することがポイントです。ウォーミングアップの役割をもたせると、心理的な抵抗感が減り、その後の質問にもスムーズに回答してもらいやすくなります。
専門用語や曖昧な表現を避ける
質問文がわかりにくいと、回答者は意味を理解するのに時間がかかり、途中で回答をやめてしまう可能性があります。そのため、誰でも直感的に理解できる言葉で簡潔に表現しましょう。
「UXは改善されていますか?」といった専門用語を使うのではなく、「使いやすさに満足していますか?」のように言い換えると、幅広い層に伝わりやすくなります。
また、「どのように感じましたか?」のような曖昧な聞き方は、回答の方向性がわかりにくく、答えにくさにつながります。「価格に満足していますか」「対応のスピードは適切でしたか」など、具体的な対象や評価軸を明確にすることで、回答しやすくなるでしょう。
中立な聞き方を心がける
質問文に作成者の意図が含まれていると、回答が特定の方向に偏る可能性があります。そのため、どの選択肢も公平に選べる中立的な聞き方を意識することが重要です。
たとえば「このサービスは便利でしたか?」のような表現は、肯定的な回答を誘導する可能性があります。この場合は、「このサービスの使いやすさについて、どのように感じましたか」といった形に言い換えることで、回答者が自分の意見を自由に選びやすくなるでしょう。
また、選択肢のバランスにも注意が必要です。肯定的な選択肢ばかりを並べるのではなく、「満足・やや満足・どちらでもない・やや不満・不満」といったように、どの立場でも選びやすい構成にすることで、正確で信頼性の高いデータを得られます。
目的と所要時間を明示する
アンケートの冒頭で目的や回答時間を示すと、回答者は全体像を把握しやすくなります。「どのくらい時間がかかるのか」「何のためのアンケートなのか」がわからないと、不安や負担感から離脱につながりやすくなります。
そのため、「サービス改善のためのアンケートです(所要時間:約3分)」のように簡潔に伝えることがポイントです。とくに所要時間は、具体的な目安を示しましょう。「数分程度」ではなく「3分程度」「全5問」など、イメージしやすい表現にすることで参加のハードルを下げられます。
スマホで回答しやすくする
現在はスマートフォンから回答するケースも多いため、モバイルでの操作性を意識した設計が欠かせません。パソコン前提のレイアウトだと、入力しづらさや見づらさから離脱につながる可能性があります。
長い文章や複雑な入力フォームは避け、画面を何度もスクロールしなくても回答できる構成にすることが重要です。通勤中やスキマ時間に回答する人もいるため、「短時間で直感的に操作できるか」を意識しましょう。
具体的には、下記のような設計が有効です。
- 選択式の設問を中心にする
- 設問数をできるだけ少なくする
- 1画面で完結するレイアウトにする
このように操作のしやすさを意識することで、回答の途中離脱を防げます。
まとめ
アンケートは、目的を明確にし、適切な方法と設問設計を行うことで、意思決定に役立つデータを得られる手法です。実施形式や調査方法、回答形式を正しく選ぶことで、必要な情報を効率よく収集できます。
回答率を高めるには、質問数を絞る、わかりやすい表現を使うなど、回答者の負担を減らす工夫が欠かせません。収集したデータは集計・分析し、改善施策に活かすことで、アンケートの価値を高められます。
とくに従業員アンケートや満足度調査などを実施する場合は、その結果をもとに労務環境の見直しや業務改善につなげることが重要です。こうした改善を効率よく進めるには、日々の労務管理を一元化できる仕組みを整えておくとスムーズです。
「freee人事労務」のようなサービスを活用すれば、勤怠管理や給与計算、各種手続きをまとめて管理できます。そのため、転記作業や確認漏れといった人的ミスを防ぎやすくなります。さらに、ペーパーレス化やアラート機能によって、業務の抜け漏れを防ぎながら効率化を図れる点も魅力です。
よくある質問
定量調査と定性調査はどう使い分けますか?
定量調査は、割合や件数などの数値データから全体の傾向を把握したい場合に適しています。一方、定性調査は、意見や行動の背景を深く知りたい場合に有効です。
目的に応じて使い分けることで、より精度の高い分析につながります。
詳しくは、記事内「アンケートの調査方法の種類」をご覧ください。
アンケートは何問くらいが適切ですか?
アンケートの質問数は目的に応じて調整が必要ですが、一般的には短時間で回答できるボリュームに抑えることが重要です。質問数が多すぎると途中離脱の原因になるため、必要な項目に絞りましょう。
詳しくは、記事内「質問数を最小限に抑える」をご覧ください。
アンケート結果はどう分析すればよいですか?
アンケート結果は、まず目的に沿ってデータを整理し、全体の傾向を把握することが重要です。そのうえで、設問ごとの結果から課題や改善点を読み取り、次の施策に活かしていきます。分析しやすいアンケートにするためには、設計段階で目的や質問内容を明確にしておくことが大切です。
詳しくは、記事内「アンケートの作り方」をご覧ください。
