大阪府大阪市生野区にある従業員36名のわかば保育園。1977年の創立以来、地域と共に成長してきた社会福祉法人です。
2024年10月、厚生労働省は従業員50人未満の小規模事業所に対しても働く人のストレスチェックを義務づける方針を固めています。これを受け、freee人事労務 健康管理のストレスチェックツールで年2回のストレスチェックを実施、健康経営優良法人を取得するなど職員の働きやすさに関する取り組みも積極的に行っているそう。
健康経営優良法人を取得した経緯や、freee人事労務 健康管理ストレスチェックツールの使用感、今後の課題について、理事長の荻田さんにお聞きしました。
荻田さんは理事長職と園長職を兼任していますが、主な業務内容は給与計算等の労務管理、保育連盟に関する業務、地域の役員等で、園長職はもう一人の園長が大部分を担っているということです。
保育士が足りない。離職率も高い。その課題に立ち向かうために「働きやすさ」を充実させたい
――保育園業界の課題について教えてください。
保育業界は深刻な人手不足に悩まされており、若い保育士だけでなくベテランやパート従業員も集まりにくい状況が続いています。雇用の問題は地域差が大きいのですが、人手が少ないうえに転職が当たり前という時代背景もあり、退職率・離職率の高さも大きな課題になっています。
――園の所在地である大阪の状況はどうでしょうか。
大阪市は特に保育士不足が深刻ですね。大阪市では積極的に保育所を増やしており、2025年度も子ども3,000人分の施設を設けるそうです。つまり、保育士がますます不足することが見込まれているのですが、こうした状況下にある大阪市内の保育園では、「いかに採用するか」よりも「いかに長く続けてもらうか」という取り組みをすることが大切になってきていると感じます。
――「わかば保育園」での状況をお聞かせください。
私たちも他の園と同じく、保育士不足に悩まされています。そして例に漏れず「いかに長く続けてもらうか」をずっと考えていました。そうして、私たちの園で保育士として長く働いてもらうための施策のひとつとして、健康管理を含む福利厚生の充実を図ることにしたんです。
freee人事労務 健康管理のストレスチェックツールは管理者も回答者も負担が少ない
――freee人事労務 健康管理を導入いただいていますが、どのような機能を中心に使われていますか。
主にストレスチェックの項目を使用しています。以前は別のツールを使っていたのですが、回答項目が多すぎて社内で不評だったこともあり、freee人事労務 健康管理のストレスチェックツールに切り替えました。
――ストレスチェックの実施頻度や回答率、回答方法を教えてください。
半年に1度くらいの頻度で実施しています。回答期間は従業員の負担にならないよう長めに取り、1ヶ月程度としています。回答率は80%ほどで、ほぼ全員がスマホで回答しています。
――管理者としての使用感はいかがですか
以前使っていた保育園向けの健康管理ツールでは、職場への不満全体を調査するような質問項目が多く、どうしても悪い結果が出やすいように 感じていましたが、その点、freeeのツールはきちんと体調・メンタルヘルスに特化した調査ができるようになっているのが良いですね。普段使っているfreee人事労務の延長なので操作のハードルも低く、とても使いやすいと思います。
フォローアップは個別に話を聞くことが中心
――ストレスチェックの結果、要注意となった方に対してはどのようなフォローアップやアクションを行っていますか。
個別に話を聞いて、必要であれば病院での受診を勧めるようにしています。まずは「話を聞いてもらう」ことが最も重要だと考えているので、特にこちらが動いて何かを解決するというようなことはしないようにしています。
――受診を勧める際には、クリニックの紹介も行っているのでしょうか。
「職場の近くの病院は行きにくい」などそれぞれの考えがあると思うので、病院選びは個人に任せています。園で入っている傷害保険や社会福祉法人向けのメンタルヘルス相談窓口はあるので、連絡先を社内に掲示しています。どこに相談すべきか分からないという方には、まずその窓口へあたってみることを勧めていますね。
freee人事労務 健康管理を活用し健康経営優良法人を取得。申告も簡単に
――1年前にお話を伺った際、健康経営優良法人取得を目指しているということでしたね。
はい。その後、無事に健康経営優良法人を取得することができました。 健康経営優良法人の取得要件に「50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施」というものがあり、そこがネックだったのですが、freee人事労務 健康管理のストレスチェックツールを使うことでクリアできたんです。
――おめでとうございます!申請の手続きは難しかったですか。
申請書の項目はfreee人事労務 健康管理でカバーされている部分が多かったので、大きな負担になることもなくスムーズに申請できました。早速名刺にも「健康経営優良法人」と入れていますよ。保育業界では珍しい取り組みなので、名刺交換をすると話題になりますね。
健康経営優良法人を実際の効果につなげることが今後の課題
――健康経営優良法人取得後の退職率や離職率に変化はありましたか。
まだ、今のところ大きな変化はありません。ストレスチェックや1on1ミーティングを行っていますが、こうした取り組みは長期的に続けることで効果が出てくるものだと思います。健康経営優良法人をまだまだ活かしきれていない部分もあるので、今後も試行錯誤していく所存です。
――採用のシーンでは健康経営優良法人であることを訴求されているのでしょうか。
福利厚生に関しては「社長のおごり自販機」や「推し活休暇(年3日)」など独自の取り組みを行っており、就職フェアなど採用のシーンでは大いに注目してもらっています。これに加えて、健康経営優良法人であることも今後しっかりアピールし、強みにしていきたいと考えています。
健康第一。従業員の健康をバックアップできる企業でありたい
――健康経営優良法人の取得、半年に1回のストレスチェック実施を手段としてどんなことを実現していきたいか、今後のビジョンを教えてください。
まずは定着率を上げることが目標です。私は過去に大きな病気にかかったことがあるので、個人的にも健康が一番大切だと痛感しています。ですから、会社として健康面をバックアップできるような体制を構築していきたいです。そして、それぞれの従業員がさまざまな働き方で健康に働ける職場づくりをしたいですね。
掲載日:2024年12月24日