負債2億の事業継承から9年後には売上6億円。迅速な経営判断をfreee会計が支援

株式会社上間フードアンドライフ 代表取締役社長
上間喜壽様

課題
freeeアプリストアやfreee APIの活用月次決算を早期化し事業の意思決定スピードを上げたい

沖縄で今や多角的に展開している「上間弁当天ぷら店」。上間喜壽社長は、大学を卒業してすぐに事業を承継しましたが、当初2億円もの負債を抱えていました。しかし徐々に右肩上がりに売上を伸ばし、店舗数も拡大。9年後には売上6億円を達成するまでに。人手不足や低価格競争のあおりを受けやすい飲食事業で逆境を乗り越え成果をあげたポイントは、「マーケティング」と「IT活用による業務効率化」。どんぶり勘定から始まった同社の経営は会計freeeの導入によって大きく変化しました。

事業について

大学卒業してすぐ、負債2億円を抱えた家業の経営者に

当社では沖縄でお弁当店やケータリング、沖縄そば店などの事業を展開しています。主要事業でもある「上間弁当天ぷら店」のルーツは私の祖父母が開業した刺身屋で、そこから両親が暖簾分けをするかたちでお弁当屋として創業してできた会社です。


2009年、私は都内の大学を卒業してすぐに沖縄に戻って家業を引き継ぎ、代表に就任しました。ところがいきなり、財政トラブルで抱えた約2億円もの負債まで引き継ぐことに……。どうにかして売上を増やしたいとの思いで、本を読みあさったり会計知識を学んだりなど必死に行動しました。


売上を増やすにはキャッシュフローの改善が必要です。そのためには、工場の稼働率アップが必要不可欠でした。店舗販売する弁当をつくる以外で工場を稼動させる方法を考えた末に着目したのが、県内の行事法事マーケットです。


このマーケットには高単価でライバルが少なく、参入障壁をつくりやすいという特徴があります。そこでデリバリー事業を展開すべく、ポスティングや新規店舗オープンなどの施策を実施。その効果で「上間弁当天ぷら店」の認知度が徐々にアップ。事業を引き継いだ初年度の売上は1億円でしたが、9年後には売上6億円を達成しました。

freee会計導入前の経理業務 / freee会計導入のキッカケ

売上は増えるも利益率は低下。ITを活用した業務効率化が急務に

売上が右肩上がりに伸びていくこと自体はもちろん良いことです。しかしその反面、業務プロセスの非効率さが目立つようになってきました。その結果として、注文ミスや人手不足などといった問題ばかりでなく、利益率の低下という事態も招いてしまいました。


事業を継続的に成長させるためには、業務の効率化は避けて通れない——そこで当社では、受注管理やスケジュール共有、クラウド監視カメラの導入など、あらゆる領域でITを活用した仕組みづくりを進めることにしました。特にこだわったのはPOSシステムです。さまざまな年代の従業員が簡単に操作できるよう独自で開発しました。


経理業務でのIT活用を本格的に考えるようになった時期は、POSシステムの運用が本格化した頃だったと思います。私が代表に就任する以前の経理業務は、はっきり言ってどんぶり勘定でした。そのため就任当初から、どんぶり勘定を脱すべく自作のExcelによる管理会計体制を少しずつ整えていました。当時は会計事務所の方と当社の経理担当3名で経理業務を回していました。


それでも、さらに経理業務を効率化できる方法はないかとずっと考えていました。なぜなら、経営の意思決定スピードを高めるためにはリアルタイムで自社の経営状況を把握する必要があるからです。さまざまな領域でITを活用するうちに各社から続々と登場しているクラウド会計サービスによって解決できると感じました。


freee会計を選んだ決め手は、自社開発のPOSシステムとの連携が最もスムーズにできることでした。必要な数字はfreee会計と連携したPOSシステムなどから自動で取得できるようにして経理業務の効率化やコスト削減を実現したかったので、約半年かけて初期設定やデータ連携テストなどを慎重に実施したのち、freee会計の本格運用に踏み切りました。

freee会計導入後の効果

最新の会計情報ベースの経営会議が可能になり、意思決定スピードが向上

freee会計を導入して最も良かったと思う点は、常に最新の会計情報を確認できるようになったことですね。導入前は翌月中旬まで待たないと月次実績が出ない状態だったのですが、今はリアルタイムで経営状況を把握できます。もともと私を含む経営層のメンバーみなは数字をこまめに確認したうえで戦略や方針を考えるのですが、freee会計を導入してからは意思決定のスピードが速くなったと感じています。


コスト削減の面でも、freee会計の導入効果はありました。会計に必要な数字は連携先のシステムから自動で取得しているので、freee会計に直接入力する機会は滅多にありません。そのため、経理担当は3名から私を含めた1.5人になりました。freee会計に任せれば正しく仕訳されるので、税理士事務所に外注していた伝票処理にかかるコストも削減しました。


経理業務は当社のメイン事業に直接影響を及ぼす業務ではないので、徹底的に効率化していきたい領域でした。特に当社のような飲食業は人手不足に悩まされる業界なので、いつまでも人ありきの仕組みで業務をしていたら事業が縮小することは自明の理です。会社をさらに成長させようと思ったときに立ちはだかる「効率化」の壁を、freee会計によってうまく乗り越えることができました。


どんぶり勘定から始まって自己流で構築していた経理業務でも、freee会計の力を借りれば低コストで一気に自動化・仕組み化することが可能です。私のように会計の仕組みが整っていない状態で事業承継された方々にとって、freee会計は心強い味方になるのではないでしょうか。

今後の展望

先代から受け継いだ「らしさ」を大切にしつつ、今にあうサービスを再構築したい

freee会計の導入によって生まれた時間を何に活用するか。そうですね……早く家に帰りたい。というのは冗談で(笑)、お客様に価値を生み出す仕事にもっと集中していきたいです。2017年には自ら経営再建した経験を活かして県内の企業を活性化に活かすために、経営コンサルティング会社を設立しました。また、ケータリング事業を発展させてイベント会場全体のプロデュースもするサービス「CATER4U.」の提供も始めています。


ビジネスモデルや業務の仕組みは外部環境を踏まえて柔軟に対応する一方で、両親が創業した当時から掲げているコンセプト「人々の生活に寄り添った商売」を大切にする姿勢は今も変わりません。加えて現在の上間弁当天ぷら店では「沖縄の人々の生活と文化を守り、伝え、発展させて行く」ことを目標として掲げています。


環境変化に対応するために、多店舗展開やデリバリー事業への進出など新しい戦略を次々と実行していますが、実は売っている商品自体はあまり変化していません。また、“お弁当屋さん”としての温かな雰囲気も、両親が経営していた頃から変わらず残しています。


両親、さらにはルーツとなる祖父母のお店の時代から継承されている“沖縄の文化や心”を未来にきちんと引き継ぐ使命が当社にはあると思っています。そのためには、むやみに都会の最先端のスタイルを真似て格好つけるのではなく、受け継いできたものを大切にしつつ、ローカルで今求められている商品やサービスを再構築して提供する姿勢をこれからも貫いてきたいです。


こうした想いを実現するためには、従業員一人ひとりの力が必要です。私は「企業に関わる人間のあるべき姿と企業のあるべき姿が重なっている必要がある」と思っているので、従業員が自らの働き方や人生観を見つめ直す機会をつくっています。具体的には、毎年開催する合宿のなかで、マネープランや家族の今後まで含めたライフプランを熟考してもらいます。学生から60代の方まで幅広い年代の方が、それぞれの人生でやりたいことと当社での働き方やキャリアプランとしっかり紐づいていれば、会社の着実な成長に繋がっていくと考えています。



事業紹介

店名:上間弁当天ぷら店
HP:https://uemabento.com/
住所:沖縄県沖縄市登川3-23-20
Tel:098-937-9477
営業時間:店舗により異なる

沖縄県内に天ぷら惣菜店「上間弁当天ぷら店」5店舗などを構える。店舗での弁当販売の他、県内全域でのイベント用ケータリングサービスも提供している。

株式会社上間フードアンドライフ