freee導入で3〜4割の仕事を削減し、経営陣の意思決定をサポート。監査法人出身者が語る理想のバックオフィスづくりとは

ポート株式会社 取締役 加藤 広晃 氏

課題
内部統制・IPO準備の効率化

「世界中に、アタリマエとシアワセを。」をミッションに掲げ、「キャリアパーク」などメディア事業、国内初の遠隔診療サービス「ポートメディカル」を軸にしたメディカル事業、地方創生事業など、幅広い事業を行うポート株式会社様。2017年7月にfreeeを導入し、仕事時間を3〜4割削減。バックオフィスとしての本質的な仕事や、理想のチームづくりに注力されています。監査法人出身者の語る理想のバックオフィスとはどういうものなのか。取締役の加藤氏にお話を伺いました。

――設立の経緯や御社サービスへの想いを教えてください

人材から金融、医療へと事業を多角化。今までにないサービスをつくる


ポート株式会社 取締役 公認会計士 加藤 広晃 氏

加藤 広晃 氏
ポート株式会社 取締役 公認会計士
監査法人で5年半勤務した後ベンチャー企業へ。上場準備管掌の経営管理部長として経営管理組織を構築し、無事に2年で上場。上場後は経理財務に特化し、国内外M&AのPMIやIFRS(国際財務報告基準)適用を牽引。ポート株式会社へは加藤会計事務所立上げ後2017年5月にジョイン。上場で培った普遍的なナレッジを活かしさらに企業価値向上に貢献したいと考えている。

ポート株式会社の設立は2011年。「世界中に、アタリマエとシアワセを。」をミッションに据え、今までにないサービスを目指し事業展開しています。


設立時の事業はソーシャルメディアを利用した人材採用支援事業。3期目に立上げたキャリア領域のメディア「キャリアパーク」は、今では大学生の4~5人に1人が登録するほど大きなメディアへと成長しています。この成功体験をもとに、人材から金融、医療へと事業を多角化しています。 現在、遠隔医療の分野で研究開発にも投資しているほか、宮崎県日南市にサテライトオフィスを展開し、メディア運営も行っています。


「あったらいいな」ではなく、「無くてはならない」を創造し、人類社会の発展に貢献できる会社を目指しています。

――freee導入のきっかけとご利用状況を教えて下さい

監査法人時代の既成概念が覆された。内部統制上の要点を満たす唯一のクラウド型会計ソフト


ポート株式会社 取締役 公認会計士 加藤 広晃 氏


今はfreeeの会計エンタープライズ版を使用していますが、以前導入されていた会計ソフトはスタンドアローン型。これでは1台の契約につき入力できるのは1人です。会社の業績拡大にあたり、複数名で同時入力できた方が効率が良くなると判断し、記帳体制の変更を検討しました。


そこで、会計ソフト開発会社に複数同時アクセスを問い合わせてみたのですが、専用サーバーを設置して、初めて複数ユーザーが同時アクセス可能になることが判明しました。さらにサーバー費用は高額です。 コストを抑える手段としてクラウド型会計ソフトの導入を検討し始めました。


しかし、私が監査法人にいた頃、定説だったのが「大手会計システムを導入していないと上場基準を満たせない」というもの。ポート株式会社は将来上場を考えていますので、一度はクラウド型会計の導入を諦めかけていた頃に出会ったのがfreeeの会計エンタープライズ版でした。


freeeに問い合わせてみたところ、仕訳承認機能やアクセスログ取得、権限設定など、内部統制上の要点が押さえられていることを確認できました。今後の開発計画も満足のいく回答が得られたため、導入を決定しました。 これまで監査法人時代に抱いていた会計ソフトのイメージというか既成概念が覆されるような思いがしました。


もともと私は監査法人出身です。私たち公認会計士がfreeeを使ってみて本当のリスクを見極めなければ、他の上場準備企業の経理業務に従事する方も不安で、経営者やステークホルダーが期待する上場準備業務へのリスクを適確に把握できないのではないかという想いもありました。


現時点で、上場に必要な機能の揃ったクラウド型会計ソフトはfreeeしか無いのではないかと感じさせられました。freeeの導入によりさまざまなメリットを感じています。



3〜4割の仕事削減を体感。freeeの成長に期待し情報の一元化を目指す

freee導入後、特に利便性を感じているのは「自動で経理」の機能。毎月発生する仕訳はほとんど決まっています。内容や用途、目的が変わることは基本的にありませんので、自動化の方がむしろ仕訳ミスのリスクが少ない箇所だと考えています。


口座入金のチェックや仕訳推定・仕訳入力の時間をfreeeが削減してくれ、体感で3〜4割の定型業務が減ったように感じます。仕訳は起こるものが毎月決まっています。内容や使途、目的が変わることは、ビジネスの変化が無ければ基本的にありませんし、「継続性の原則」と称される通り、処理の原則及び手続をみだりに変更してはなりません。自動推定、自動登録により時間は大幅に節約できました。空いた時間は、経営層に示唆を与えるための、アウトプットの時間に使っています。


もちろん、freeeですべてのバックオフィス業務が回せているわけではありません。しかし、スタンドアローン型会計ソフトと比べると雲泥の差があるように感じます。スタンドアローン型は、インストールしたらそれで基本的なサポートは完結、機能追加ごとに課金の必要があります。一方でfreeeなら追加された機能も月額料金に含まれ、開発計画が進む限り、追加料金なしでどんどん便利になっていきます。


情報の一元化をfreeeが目指す限り、いずれより良い形に実装してくれるという期待感があります。人事労務含めたERPの進化に期待し、freeeのプロダクトだけですべてのバックオフィス業務が回ることを期待しています。それまでは闇雲に他のサービスを導入し、部分最適な業務に固定化することなく、freeeの開発計画を注視しながら、少しずつ業務改善を図りたいと考えています。freeeの成長をアップデートしながら、経営管理業務も成長させていけると良いなと考えています。


ポート株式会社 取締役 公認会計士 加藤 広晃 氏


――今後の展望について教えて下さい

理想的な経営管理チームの検証。そのために自身で触れてみて、発信していくこと

僕のミッションは「コスト一辺倒ではなく、費用対効果、利益ベースで考えられる経営管理チームを監督すること」。物事の本質を考え、改善や提案をおこなうチームづくりを検証したいと考えています。


急成長するベンチャーと同スピードで成長意欲がある経営管理人材を探すのは至難の業。私たちは採用活動のお手伝いをする会社でもあり、自社管理部門に関しての採用も一朝一夕には築けません。 急成長しても倒産しても、バックオフィスには最後までやり遂げなければならない仕事が本当に多いもの。ベンチャー企業でそれを厭わずにやり切れる人は本当に限られていますが、そういうチームを評価したいと考えています。


一般的な企業では、経営管理機能はコストセンターである認識が強いもの。私は経営管理機能はコストセンターではなく、「利益数値に対して責任意識の持てる部署」という意味で、プロフィットへの責任意識を持てるセンターと捉えています。「いかに安く、やるべきことだけやるか」を追求し、コストを下げることだけを追い求めるよりも、全社の利益を最大化できるよう、視座を上げて取り組みを行うことが大切だと考えています。


人材や医療、金融など、複数サービスを持っている弊社だからこそのバックオフィスの活かし方もあります。たとえば会社の持っている各部門の技術資産を、管理部門は横串を通して見ているわけです。横断的に見ているからこそ、ある部門の持っている資産をこちらの部門でも活かそう、と考えることができますし、経営上、P/L上から判断できるからこそ、管理部門が各事業部にさまざまな「キッカケ」を与えられるはず。管理部門の意識の高さは全社的な底上げになると考えています。与えられた仕事をただこなしているだけではバックオフィスの成長はありません


20年以上前に制定されて、現在では陳腐化した法律やルールもあります。法律やルールは、時代背景や政策が反映されたものが大半です。 企業内にある会計のルールも同様に古くなっていくものがあります。企業のチーム単位では、既存のルールや決まりごとを見直し、不要ではないかと議論したり、新たなスキームを提案できるような体制を検証していきたいです。


理想の経営管理体制を検証するため、まず私自身が動き、発信していくことが大切だと考えています。


その時間を算出するために必要なのがテクノロジーの力です。会計業務において、帳簿の整合性を確認するのはテクノロジーの力に頼るほうが圧倒的に有利。freeeなら、バックオフィス業務で一番時間のかかる業務を効率化し、「考えること」に時間を費やせます。



経営者の意思決定すら仕訳できれば、より本質的な経営管理ができるはず

将来的には、スマホでボタンを押せば経理業務が終わる時代が来ると思っています。会計の本質が経営の動きを記録に残すことだとすれば、記録する手段は問わないはず。砂浜で寝転がりながらスマホで操作したり、ボタンを押したりすれば仕訳が終わる状態が理想です。現状の非効率な部分をより生産的にできないか模索したいです。


意思決定の測定やサポートは、財務経理が抱える永遠の課題だと思っています。 大学の先輩に教えてもらいましたが、アメリカ会計学会の会長も務めた井尻雄士さんという方は、『「利速会計」入門』という本の中で、仕訳を微分すれば意思決定も精緻に検証できることを示唆しています。現状では厳しいですが、これが会計ソフトに置き替えられれば革命的なこと。これからスマホがウエアラブルになるとすれば、経営者の意思決定すらも全て記録に残る時代が来るはず。意思決定を今以上に本質的にサポートできる。そんな将来が今からちょっと楽しみです。


ポート株式会社 取締役 公認会計士 加藤 広晃 氏


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