freee導入で月次を10日前倒し 〜自社導入で得たノウハウをお客様へのコンサルティングに活かす方法とは〜

税理士法人小林会計事務所
(写真左から)下村氏/三輪氏/小林清所長/小林弘清氏/石橋氏/栗田氏

課題
顧問先のコンサルに注力したい

freeeの認定アドバイザーである税理士法人小林会計事務所様は、父親の小林清所長と息子の小林弘清さんが、50名以上の従業員とともに横浜で運営されています。開設から35年に渡り多くの中小企業を支え、現在では700以上の法人に税務会計顧問として関与。そんな税理士法人小林会計事務所様では2016年11月に自社の経理にfreeeを導入し、所内の業務効率化を実現されています。今回は、導入の背景や導入後の変化について、お二人と職員のみなさまにお話を伺いました。

クラウド・AI時代の到来に備え、まずは自社でクラウド会計を導入

――事務所の経理に freee を導入した経緯をお聞かせください。
小林 弘清:これからの時代、会計ソフトもAIやクラウドが主力になるだろうという気持ちがありました。しかし、まず自分で使ってみないことには、お客様にすすめられません。そこで、自社の経理に導入するクラウド会計ソフトの検討を始めました。 freee を含むクラウド会計ソフトを複数社検討しましたが、請求書等の経理領域の業務から会計帳簿への連携について他ソフトに比べて freee に優位性があると判断し、freee の導入を決めました。業務効率化には重複する作業の削減が必要だと感じていたので、ソフトにこのような連携性があることは不可欠でした。 freee は、「仕訳」形式ではなく「取引」という独自のスタイルで記帳します。導入当初は、総務のスタッフから「慣れない」というネガティブな反応もあり心配していましたが、それは本当に最初だけで、1カ月も経てばすぐに慣れてしまったようです。
小林 清:事務所への導入よりも先にお客様に数件導入実績があったので、スタッフの方にもそういう時代が来ているという認識があり、思ったほど抵抗感がなかったように思います。
実は、20年前に自前でシステムを作ったことがあります。当時市場に出ていたシステムは、会計事務所目線でつくられていて出納帳の機能もなく、お客様からみると市販されているものでも大掛かりで高かった。でも、実際にお客様が使うのは現金出納帳、普通預金、売掛買掛、請求書があれば間に合います。だからそのセットを自前でつくって、お客さまに配布していました。その頃から、お客様目線でのソフトのあり方を追求してきました。

税理士法人小林会計事務所所長 税理士・行政書士 小林清 氏

Profile

神奈川県横浜市出身。1979年に税理士登録、小林清税理士事務所を開設。「過去会計から未来会計」をモットーに、未来を見据えた税務・会計・経営コンサルタント業務をはじめ、クライアントの資産の形成、運用から管理・保全までを総合的にアドバイスしている。



月次の締めは10日前倒しになり、いつでもリアルタイムに集計された数字をチェックできるように

――自社に freee を導入することで、達成したかったのはどんなことですか。
小林 弘清:やはり業務の効率化です。例えば、入金の消し込みは、通帳を見ながら手作業でやっているような状態でした。しかし、今はネットバンクにつなぐことで処理が速くなりました。実際、月次の締めのタイミングも従来対比で10日ほど短縮され、試算表も経営会議前に余裕を持って出てくるようになりました。 また、いつでもどこでもすぐに数字を確認できるのがいいです。導入前は、会計ソフトを立ち上げるだけでも時間がかかっていたものが、今はインターネット上からすぐに数字を確認することができます。
小林 清:freee を導入してから、いろいろなデバイスで数字を確認できるので、チェックする頻度も多くなりました。月次の締めを待たなくてもどんどんリアルタイムに数字が集計され、当月の経費や人件費がどのくらいなのか前年対比で数字を把握できます。
小林 弘清:また、部門を各従業員の名前で管理することで、従業員別の業績管理も可能となり、営業活動に役立てています。

公認会計士・税理士 小林弘清 氏

経費精算の業務量は約半分に

――freeeのどの機能を実際に使われましたか。また、導入前と比べてどのような変化がありましたか。
下村:請求書から入金の確認という流れの中で、以前は請求書は自社開発のシステムで作成し、会計に取り込むときはそれを仕訳に変換して、会計ソフトに取り込むという作業でした。それが freee 導入後は、各担当者が請求書を作ると自動的に仕訳も作成でき、債権債務の一元管理が行える。ここが大きく改善されました。
三輪:併せて、消し込みの部分が楽になりました。例えば、確定申告の時期になると、個人のお客様から何百件もの振り込みがあるのですが、以前は全部手入力で消し込みをしていたのが、今はネットバンクを使って、推測して出てきたものを確認して登録する作業に変わりました。これで、大きなスピードアップになったと思います。
また、経費精算はグループ毎にあらかじめ現金を渡し、各グループ内で担当者を立てて精算していましたが、金銭のやりとりが多いことや、管理担当者の負担が大きいという問題がありました。freee 導入後は、全従業員が freee 上から経費を申請し、承認と同時に仕訳が作成されるようになりました。現金がなくなり、申請の内容チェックだけが管理担当者の仕事になったので、負担がかなり減っていると思います。
下村:もらった明細を打ち直したり、小銭を管理したり、伝票を起こす必要がなくなったので、全体で見ると経費精算にかかる工数が半分以上減っているように感じます。また、経費精算で従業員に支払う分はfreee人事労務と自動連携して給与明細に反映され、給与と一緒に支払っているため、かなりの効率化です。
三輪:支払い業務も、これまでは請求書の束をエクセルでまとめて、それをベースにネットバンクに打ち込み、会計ソフトにも打ち込んでいたんですが、今は、freee に打ち込みをすると振込用のデータができるので、体感的には負担が半分になったと感じています。1日かかっていた作業が、半日で終わるようになりました。二重作業とそれに伴うチェックが減ることで時間だけでなく気持ちの面でも楽になりましたね。

(左から) 総務担当 三輪 氏 / システム担当 下村 氏

コメント機能で、お客様とのコミュニケーションの敷居が下がる

――freeeを入れたことで、お客様とのコミュニケーションに変化はありましたか。
小林 弘清:freee を使うことでお客様とのコミュニケーションも増えたのではないかと思っています。例えば、freeeでは仕訳単位でコメントを付与できます。メールで質問しようと思うとどうしてもある程度まとめてからと思ってしまいますが、該当する仕訳1つ1つにコメントをつけてやりとりをするので、質問する側のハードルが下がります。お客様側も、1クリックで確認すべき仕訳に辿りつくので、回答する側としても負担が軽減されているのではと感じます。
栗田:お客様の方でも1つ1つ対応してくれるので、抜け漏れが少なくなり正確性も上がったように思います。
石橋:自社で使っていることのもう1つの利点として、自分自身が日頃 freee で請求書の発行や経費精算を行っているので、お客様に教えるときも教えやすいということはあります。普段使わない取引の入力周り等でわからないこともありますが、デモ用のアカウントで試行錯誤しながら、お客様の業務フローに合ったご提案も考えられるようになってきています。
栗田:自分自身の知識が増えるにつれて、freee を導入していないお客様にも説明がしやすくなりました。
三輪:もし使い方がわからずちょっと困ったような時にはチャットワークで freee のサポート担当者に質問できるので、お客様とのやりとりをする際にも助かっています。

(左から) 担当 石橋 氏 / 担当 栗田 氏

自社のノウハウを生かした新たなサービスの提供可能性を実感

――経営へのインパクトという意味で、業務削減以外にどのような効果はありましたか。
小林 弘清:お客様の業務を改善するコンサルティングの実績が、すでにいくつか挙がってきています。どうしても、ソフトの仕様に併せて業務を組み立てていく必要がある部分があるのですが、運用の切り替えに関しても自社で試行錯誤しながら培ったノウハウがそうした場面で活きてきます。また、将来的には、freee のタグ機能をうまく使って、MAS監査などのサービス展開ができるようになると感じています。管理会計分野に関する機能の強化は、今後の freee の開発にも期待しています。
小林 清:freee を導入してみてわかったのですが、自計化はもちろん、思いの外記帳代行がすごく増えてきています。やはりスモールビジネスをしている方は昼間仕事をして夜は経理をすることが時間的に難しいので、面倒な経理を全て任せたいんです。これまで、記帳代行を受ける時には試算表ひとつを出すにしても2-3ヶ月かかっていたものが、freee の活用で時間短縮が可能になってくると、お客様の経理分析資料などが早めに作成できます。そうすると、お客様のニーズに答えられるような新たなサービスも可能になると思っています。


税理士法人 小林会計事務所

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過去会計から未来会計」をモットーに、未来を見据えた税務・会計・経営コンサルタント業務をはじめ、クライアントの資産の形成、運用から管理・保全までを総合的にアドバイスしている。

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