自社システムをfreeeとAPI連携し、宿泊業界特有の複雑な請求と入金処理を解決。株式会社かんざし、アナログバックオフィスからの脱却

株式会社かんざし 取締役CFO 田中 將寛 氏/コーポレート本部 江澤 麻里 氏

課題
バックオフィスの体制構築・効率化

「ON THE CLOUD」の企業理念のもと、クラウドで世の中をつなぐBtoBサービスを提供している株式会社かんざし。Web上の販売チャネルが乱立している各業界において、企業がこれらの管理やメンテナンスに時間とコストを要していることに課題を感じ、Web販売チャネルを一括・一元的にマネジメントするツールとして、宿泊業界向けに「かんざしクラウド」や「くちこみクラウド」、ブライダル業界向けに「かんざしWEDDING」など、計5サービスを展開する気鋭のスタートアップです。


2016年に設立以降、会社の急成長にともないサービス数と契約社数、それを支えるバックオフィスのコストが爆発的に増加。状況を変えるため選んだのが、自社システムとのAPI連携が可能なfreeeでした。宿泊業界の慣習による複雑な請求データをシステム的に処理し、売上・入金管理に紐づけるため、どのようにfreeeを使いこなしているのか。


CFOの田中將寛氏、コーポレートマネジメントチーム チーフマネジャーの江澤麻里氏に、freee導入による効果やクラウドサービスの最前線にいるかんざしが目指すバックオフィスの姿を伺いました。

御社のサービス内容や企業理念などを教えてください

ホテル・旅館・式場運営スタッフの方々の業務時間を圧縮し経営に


株式会社かんざし 取締役CFO 田中 將寛 氏

株式会社かんざし 取締役CFO 田中 將寛 氏
公認会計士の資格を持ち、監査法人トーマツでベンチャー企業の監査やIPO支援を経験。2018年に株式会社かんざしにジョインし現職。

田中 弊社は2016年設立のスタートアップで、宿泊業界やブライダル業界のためのインターネットソリューションサービスの提供・開発を行っています。


企業理念は「ON THE CLOUD」。「クラウドで繋いで世の中を便利にする」という意味があり、プロダクトはこの理念を体現しています。Webの世界が進化し便利になっていることは間違いありませんが、一般ユーザー視点で見ると選択肢が膨大になり、商品や情報の提供者側では負担が増大しているのも事実。広がり過ぎたチャネルと散らばったデータを集約して、Webの急拡大により生まれた隙間やギャップを埋めることで、世の中をより便利にすることが私たちのミッションです。


宿泊業界においては、宿泊先を検討し、予約することができるWebサイトは数多くありますが、旅館やホテルの事業者様は、情報更新の際、Webサイト毎に情報を手入力する必要がありました。出稿している全サイトに反映するには膨大な手間がかかります。「かんざしクラウド」を使えば、サイトをまたいだプラン登録やテキスト修正、期間変更、部屋情報の管理などを一括で行えるようになります。


同様に、宿泊業界に対しては写真の一括アップロード・加工・編集ができる「クラウド転送シャシーン」、Web上で施設に寄せられた口コミを一元的に管理し、AIで内容の分析をしつつその返信業務を強力にアシストする「くちこみクラウド」、競合施設の料金やプランを自動で収集・分析する「ぜにがたクラウド」を提供しており、また結婚式場を併設するような旅館やホテル様からのお声を基に開発した、ウェディング系のWeb媒体一括管理ツール「かんざしWEDDING」なども提供しています。


いずれもホテル・旅館・式場運営スタッフの方々の業務時間を圧縮し、大幅なコスト削減といわゆる働き方改革を実現するものです。またタイムリーに情報編集ができることで売上の向上も見込めるため、導入企業様にご好評いただいています。



IT企業だからこそ、顔を合わせるコミュニケーションを

田中 バックオフィス部門としては、最小の人数で最大の業務効率を実現することを念頭に組織設計やオペレーションの見直し、システム化の検討を行っています。一方で、バックオフィス部門としては、組織内部に対する「けん制」をかけることも重要な役割であると認識しています。


バックオフィス部門は、営業部門等と比較して社内にいる時間が長く、かつ関係者も社内で完結する業務も多いです。そのため、物理的にPC等に触れる時間も長く、顧客や取引先といった外部の関係者もあまり登場しないことから、システム化との相性は良く、またオペレーションの見直しもしやすいと考えています。だからこそ、業務効率を追求することはバックオフィス部門の一つの命題として日々チャレンジしています。


一方で、仮に全バックオフィス業務をAIやRPA等を用いてシステム化することができたとすると、今度はバックオフィス部門とその他部門の間でコミュニケーションの頻度が大幅に低下してしまいます。日々のコミュニケーションは、信頼関係を醸成したり業務を円滑に進めることだけではなく、「私がちゃんとチェックしてるよ」というけん制をかける効果もあるため、過度な業務効率の追求は、組織の健全性を保持するうえで弊害となるリスクもあります。それに、顔も知らないバックオフィス部門に対しては、「まぁいいか」と思って適当に処理してしまうこともあるじゃないですか(笑)。そのため、各部門とは適度に顔を合わせたコミュニケーションが行われる体制は維持しつつ、最大の効率化を図れるように設計することが重要だと考えています。


田中 將寛 氏・江澤 麻里 氏

freee導入のきっかけとご利用状況を教えてください

毎月約1,500行のExcel目視確認、売上計上は手入力で一行のみ。アナログなバックオフィスをfreee導入で脱却


株式会社かんざし コーポレート本部 江澤 麻里 氏

株式会社かんざし コーポレート本部 江澤 麻里 氏
コーポレートマネジメントチーム チーフマネジャー。バックオフィス歴20年超のベテランで、経理と人事労務、双方の実務責任者として現場を牽引。

江澤 freee導入前は売上管理、売掛台帳や消込をすべてExcel上で処理している状態でした。売上だけでも1ヶ月分で1,000~1,500行を手動で管理していました。請求システムは自社で開発したものを利用していたのですが、当初は商品が2種類以上になる想定をせずシステムを開発していたため、後々いろいろな商品が出てきた際、一切対応ができなかったんです。結局、「かんざしクラウド」以外の請求書はすべてExcelで作成し、メールにて送付している状況でした。


自社システムとExcelの体制を脱却できなかったことにも訳があります。たとえばホテルに請求書を出すケースでは、送付先が「ホテルのオーナーの場合」「ホテルの現場」「運営委託している別会社」などさまざまです。これらに対応するために、なかなか外部の請求システムの導入ができませんでした。

消込にも大きな問題があり、すべての入金作業を目視で確認しなければいけませんでした。宿泊業界特有だと思いますが、施設名と入金名義が一致しないケースが頻発。


事業の成長が早過ぎて、バックオフィスのシステム化が後手に回っていました。当然、商品の種類や契約施設数の増加にともないバックオフィスの工数も増えていきます。一人でExcel管理や手入力し続けるのにも限界に達していきました。売上や売掛金の分析や詳細な状況把握をするような余裕もまったくありませんでした。


田中 私が入社した2018年当時は会社がアナログ全盛期。すぐに「これはまずい!」と思いました。特に売上・売掛管理の仕組みが確立していなかった点に一番課題感を覚えました。売上はExcel管理でクラウド上にデータがないため、データをローカル保存しているバックオフィスのPCが飛んだらすべておしまい。かなり困った状況でした(笑)。


この現実を打開するにはやはりクラウド会計システムだろうと思い、数あるクラウドシステムを比較検討。監査法人での勤務時代に、お客様がいろいろなクラウドツールを使っていて、マイナーなものからメジャーなものまでそれぞれの特徴を見ており、私より先にトーマツを飛び出した先輩方にもいろいろアドバイスをもらった結果、選んだのがfreeeでした。



freeeと自社システムをAPIを介して繋ぎ込み、請求と入金処理を大幅に効率化

田中 freeeのメリットは内部統制の仕組みが他社システムよりも進んでいることと、またAPIで外部ツールとの繋ぎ込みができることも大きな決め手でした。何より、freeeの「スモールビジネスを、世界の主役に」という理念は、共感できるものがありましたね。


freee検討時、請求システムを内製でゼロから作り直すプロジェクトが進行していましたが、この中の要件にfreeeとAPI連携して売上や入金管理をfreee上で完結できるようにすることを加え、設計を進めました。バリエーション豊かなお客様の要望になるべく細かく対応するため、柔軟性のある自社の請求システムの開発は欠かせません。freeeは自社の請求システムとAPIで繋げることができ、業務の大幅な効率化につながっています。


社内のエンジニアたちも頑張ってくれましたが、freeeのサポートデスクにもいろいろアドバイスやご協力をいただきました。うまくシステム連携できたことで、これまでのクライアントファーストの姿勢を崩すことなく、効率的に業務を進められています。


田中 將寛 氏


江澤 売上に関して、商品別の売上や取引先別の債権残高、期日オーバーの金額が誰が見てもfreeeのダッシュボードで分かるようになりました。債権管理に関しても、APIで繋ぎ込みをして口座を同期できますので、freeeがマッチングして債権残高と照らし合わせ、消込まで自動化されました。


毎月、売掛先から通帳1冊分を超える1,500件以上の入金があるので、それらを一瞬で同期できるのは、本当にありがたいです。1行1行、定規で線を引きながら手作業で消込していた頃が懐かしいです。漏れやミスが激減し、時間も大幅に削減できました。


田中 稟議申請や経費精算に関しても、以前は紙で作って上長と社長の印鑑をもらって経理に回すフローだったのが、今はfreee上でオンラインで完結しています。出張先や新幹線の中などでもリモートで入力できるので、無理に本社に来る必要もなく、社員の負担も減りました。



丸一日かかっていた給与計算が1時間で終わるように

江澤 会計システムの刷新とあわせて、人事労務freeeも導入したことで、給与計算業務もとても楽になりました。それまではアナログのタイムカードを見て給与を手計算していましたが、freeeであれば蓄積された勤怠データから、システムが勝手に計算してくれる。負担が一気に減りました。給与明細を各スタッフに個別メール送信する必要もなく、freee上で各人が自分のアカウントでログインするだけで確認できるようになりました。結果的に、それまで丸一日かかっていた給与計算が1時間で終わるように。給与計算のために残業することもなくなりました。



経営会議の資料も作成不要。freeeの画面で済んでしまう

田中 これまでは経営会議があるたびに時間をかけて資料を作成していたのですが、freeeを導入してからはその手間もなくなりました。freeeの「経営ナビゲーション」機能では、日々バックオフィスで入力しているデータを集約したものが画面上で自動でグラフ化され、また表形式で比較や推移分析ができます。もはや紙の会議資料は不要です。必要な場合には、すぐにfreee上からPDFやCSVで出力することもできます。


弊社はまだシンプルな事業形態ですので、今の事業規模と体制なら、「経営ナビゲーション」機能の資料だけで十分満足できる経営会議が実施できます。もちろんクラウド上で資料を見ることができるので、拠点間の遠隔での打ち合わせにも便利です。


私は社外で仕事をすることも多いので、freeeでデータを見ながらリモートで会議に参加したり、出先で気になったことをすぐにfreeeでチェックしたりしています。たまに、気分転換を兼ねて外で仕事をすることもありますが、インストール型の会計システムとローカル保存のExcelで会計処理や売上管理をしていた頃に比べるととても業務がスムーズです。


田中 將寛 氏・江澤 麻里 氏

今後の展望について教えてください

減価償却や工数管理の領域にもfreeeを活用したい

江澤 今後はより、ミスのない、早い仕事を心がけていきたいです。私自身、そこまでミスはしないのですが、人間ですので何ヶ月に一度ぐらいはミスしてしまいます。freeeを使って効率化し、残業を減らし、よりクオリティの高い仕事をしていきたいです。freee自体に関してもまだ使いこなせていない機能がたくさんあると思います。システム刷新により生まれた時間を活用して、便利に使える方法を検討したいですね。固定資産管理や工数管理なども、freee内で完結できるようになるととてもありがたいと思います。


田中 現段階で、単純に今の事業内容が今後拡大したとしても、バックオフィス業務はあまり増えない体制は構築できたと思います。一方、新たな事業やこれまで無かったスキームの取引が増えていけば、バックオフィスの課題も新たに生じるはず。さまざまなケースに対応すべく、先手を打って対応できるような体制を整えたいです。幸い、社内のエンジニアは皆優秀ですので、自社システムとfreeeとのAPI連携同様に、社内リソースも有効活用しながら仕組み化にとことんフォーカスできるのが弊社の強みです。売上向上に寄与するような情報を横断的に先出しして提供できるような体制を整えたいと考えています。


健全な経営やスピーディな意思決定をするうえで、営業と同じくらいバックオフィスも大切です。会社として両輪が揃っていなければ前進することはできません。より業務効率を高め、強いバックオフィスを作っていきたいと思っています。

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