今回は代表取締役社長 福島卓様、執行役員兼ソリューション事業部 事業部長 斉藤豪様、経営統括事業部 情報システム部 部長 松田伸司様の3名に、改革を進める中、freeeを導入した理由と今後の展望についてうかがいました。
――創業の経緯と現在の事業について教えてください
すべての世代に住環境を提供し、人々が共生する街づくりを実現する

福徳グループ 代表取締役社長 福島 卓 氏
大手住宅メーカーで3年半、営業を経験し、福徳グループに26歳で入社。1年半ほど人事を担当し、2010年社長へ就任
福島 福徳グループは私の祖父が戦前からはじめた会社です。1955年創業ですので今年で64年目の企業です。当時は洋服や質屋など様々な事業を多角的に扱う企業でしたが、現在は不動産業と社会福祉事業の2つにフォーカスした企業グループへと成長しています。
不動産業では、長崎県・佐賀県・福岡県に及ぶ西九州一円、全9店舗の営業拠点を展開しています。賃貸マンション管理戸数は14,062戸。不動産管理、賃貸仲介、売買仲介のほか、新築マンション企画コンサルにおいては113棟4123戸の実績があります。 社会福祉事業では高齢者のための介護施設、保育園の運営などを長崎県と福岡県で展開しています。
企業理念は「すべての人々が集い共生できる住まいと街づくり」です。保育では赤ちゃん、不動産は若い方、高齢者福祉施設ではお年寄りの方。私たちのミッションは老若男女全世代の住環境を提供し整えていくことです。住環境を通して、西九州一円の街づくりに貢献しようと考えています。
私自身は2010年に社長へ就任。事業継承の際、父からは「経営者は意思決定が仕事」と言われていました。父からは、「経営者は現場の知識を1から10まで知らなくても良い」と言われていました。当時は疑問でしたが、実際の経営を経験した今ではまさにその通りだと思います。経営者自身が現場の業務 すべてを行うわけではありません。知識があり、意見を言ってくれるメンバーがいれば十分です。
その分、自分が経験していないバックオフィスの業務も意思決定を下していかなければなりません。「数年先を見据えて、いまバックオフィスの仕組みを整えるべきだ」と、システムへの先行投資を意思決定する。これも経営者の仕事です。弊社のシステム刷新とfreee導入の裏には、中長期を見据えた投資決断がありました。
利益率の改善に向け、どんな社員がどう働いているかに注目
福島 私が入社した当初、会社に多かったのはガンガン営業してくるタイプの社員ばかり。その結果、売上はあっても利益が出ておらず、経営効率の悪さを感じていました。
たとえば一般的な企業で経常利益率5%だったとしたら、100万円の利益を出すため2,000万円もの売上が必要です。しかし、会社の中で業務効率を意識し100万円削減するほうがはるかに簡単なはず。売上を追求するのではなく、利益率を改善しなければという思いがありました。
さらにもし、利益率を下げずに売上があがるような筋肉質な経営ができれば、一般的な不動産業の概念を超える、大きな利益を出せる企業体になれるはずです。
余剰人員に注目し、利益率が高くなる業務時間の遣い方を考えるようになった
福島 利益率を上げるため、私が意識したのは業務効率化。社内にはまずどんな社員がどう働いているのか把握すること。そして、どうすれば業務効率が上げられるのかに注目しました。
社長交代後には早速、業務効率化に着手。代替わりして8年ですが、先代社長時代から働いている方は会社全体の15%ほど。リストラしたわけではなく、自然と起こった新陳代謝の結果、この数字となっています。
世間では社員をリストラすることを業務改善のように考えていますが、僕は違うと思います。本当の業務改善とは、数字に表れない余剰人員と業務時間をいかに売上につながる形へと組み替えるか、ということです。社員の働き方を把握し余剰人員を見積もった結果、工数の最適化に着手でき、1人分、2人分の空いた余裕を別の業務に回すことができる、と考えました。
利益重視に共感する人を採用。経理だけで満足することなく、営業支援もできる社員を採用した
福島 さらに採用方針の変更にもテコ入れを実施。採用は会社が世代交代のタイミングであることを求職者へしっかり説明したうえ、新しい考え方に共感できる人を探しましたその結果、新しい経営の考えに共感してくれる方が残り、そうでない方は自然と離れていったのです。業務改善を進めて8年。事業継承後も経営が失速することなく、増収増益に成功しています。「利益を重視する」という会社の考えに共感する人がいて業務効率を突きつめれば、企業としても大きな利益を出せるという成功体験を得ました。
この、代替わり経営改革に重要だったのが会計ソフトの刷新とバックオフィスの効率化です。