freeeを提供するフリー株式会社では福利厚生の一環としてマッサージルームが利用できます。今回はヘルスキーパー※1としてご活躍されているMさんとRさんにお話を伺いました。
※1企業や団体に雇用され、従業員を対象にマッサージなどを行う有資格の専門職
お二人は、支援技術を使いながらfreee人事労務・freee会計を利用し業務を行っています。今回は、freee人事労務・freee会計の使いやすい点やハードルを感じる点について、率直なお考えをお聞かせいただきました。
自分で把握できてありがたい
――まずMさん、Rさんご自身について簡単に教えてください
Mさん:私は後天性の全盲です。PCやスマホ操作はすべて音声で聞きながら操作していますが、同音の漢字を聞き分けるのに迷ったり、画面の全体像をパッと判断できないので、情報が多すぎると取捨選択するのに時間がかかってしまいます。ショートカットキーを使いながらなるべくスムーズに業務が進められるようにしています。
Rさん:私は狭視と呼ばれる、視野・視界の一部が見えなくなって、見える範囲が狭まっている見え方をしています。例える と5円玉の穴から覗いているイメージです。PCの画面設定で文字を少し大きくしています。配色の設定は特に変更していないのですが、画面の明るさは通常よりも明るくしています。
――お二人の仕事内容を教えてください
Mさん:メインはヘルスキーパーとしてマッサージの業務を行っています。その他に、発生した支払いや精算などの申請も担当しています。

(freeeではマッサージルームを「オアシス」と呼んでいます)
――PCやスマホの利用歴はいかがですか?
Mさん:これまであまりPCを使う機会がありませんでした。この会社での業務での利用が初めてに近いです。今まで行ってきたのは情報管理くらいで、会計業務や申請はほとんど経験がありませんでした。PCには詳しくないので、社内の全盲の同僚に教わった操作方法を使っています。PC操作はそんなに得意ではないです。
Rさん:前職でEC関係の仕事をしていたので、PCはよく使っていました。ただ、経理業務はエクセルで行っていましたね。
――freeeをどのように業務に利用されていますか?
Mさん:私は人事労務はスマホで、会計はPCを利用しています。申請はPCでやるんですけど、普段はスマホで打刻をしたり、給与明細を確認したりしていますね。
Rさん:私も人事労務はスマホで、会計はPCで使っています。主に勤怠とfreee会計を使っています。私も申請をよく使っていますね。

―― どのような申請が多いですか?
Mさん:支払い依頼と入金依頼が多いです。購買申請もしています。申請する時は、Rさんの申請をコピーしていじることが多いですね(笑)。検索の仕方は教わっているのである程度使えているのですが、複雑な操作をするときにNVDA※2のモードを切り替えたりしたときに、どうやって使えばいいのかわからないと感じてしまいます。例えば、検索する時に候補が出ていることに気付けないことがあります。これが最初の難関でしたね。最初から検索するのは時間がかかってしまうなと思います。
Rさん:
私も過去の申請をコピーしています。またメールで共有されている過去の申請にスターマークをつけておいて、そこから開いています。
あとは今までの職場では契約書 とか明細とかが紙だったので、デジタルで自分で把握できるのはありがたいですね。年末調整もできるし、読み上げでも内容を確認できるようになったので助かっています。源泉徴収も、ちょうど必要だったので助かりました。
※2NVDAは、Windowsで使える無料のスクリーンリーダー(画面読み上げソフト)です。視覚に障害のある方が、画面の情報を音声で聞いたり、キーボードで操作したりするために使います。
コンパクトで配置が分かりやすいので、簡単な操作はスマホからしています
――freeeを利用される中でハードルを感じる点はありますか?
Mさん:PCに詳しくないのもあって、社内の全盲の同僚に教えてもらってなんとかやっている状況です。キーボード操作でTabキーを押してもちょっと変なところに移動したり、Enterキーだけだと読み込まれずマウス操作が必要だったりする箇所があるんです。ストレートに操作が進まない部分があって、申請画面やファイルの添付、アップロードなどで難しさを感じていますね。
PC操作がそんなに得意ではないので、一部の業務ではスマホとPCを並行して使っています。スマホの方がコンパクトで配置が分かりやすいので、簡単な操作はスマホで行うことが多いですね。PC版はまだ使いこなせていなくて、見るだけならスマホで見ることが多いです。編集とかも難しいと感じます。
あとはプロダクトの話ではないのですが、プロダクトのヘ ルプを開いた時にヘルプページじゃなくてGoogleスライドだったりして、読み上げられない場合があります。その場合NVDAのモードを切り替えないといけないのですが、そういうのが減ってくれると、他の人に聞かなくて済むので助かります。Googleスライドは見にくいので、ヘルプページの方が読みやすいですね。

――他に業務を行う中でハードルを感じる点はありますか?
Mさん:最近ヘルスキーパーとして入社されたHさんとやり取りする時に、私は音で、Hさんは画像で見ているので、同じところを見ているかのすり合わせが大変なんですよね。見えている人と見えていない人のコミュニケーションが大変だと感じます。
Rさん:私自身は、特に見づらいとかいうのはないですね。ただ、Mさんに説明する時にどうやって説明しようか悩むことがあります。見えない方を見える人がサポートする時のサポートがあるといいのかなと感じます。例えば、表示されている文字と読み上げの文字が違うとか、その逆の現象があったりすると、サポートする側とされる側の認識がずれてしまうことがよくあるんです。
――アクセシビリティの観点でfreeeに今後期待することを教えてください
Mさん:ある程度全体像を把握してしまえば何とかなっているのですが、全体的に検索が少し難しいなと感じていますね。
特にNVDAを使用している場合、検索候補を見るためには、いったんモードを切り替えて上下カーソルを動かして判断しなければならないので、freeeに慣れていない方はちょっと難しいのではないかなーと思っていたりします。
検索せずに欲しい情報が見つかるような設計になっているといいなと思います。
おわりに
本記事では、freeeがアクセシビリティ改善に取り組んでいるfreee会計を活用して、ビジネスで多様な人材が活躍できているお客様事例をご紹介しました。
『だれもが自由に経営できる統合型経営プラットフォーム』というビジョンを実現するため、freeeはアクセシビリティ向上を目的とした様々な取り組みを行っています。
- 製品のアクセシビリティ改善
- 社員研修の実施
- ガイドラインおよびチェックリストの運用
- デザインシステムの策定と活用
- アクセシビリティ関連リソースの公開
- 情報アクセシビリティ自己評価様式の開示
- 合理的配慮への対応方針の策定
より詳しい内容は、下記のページをご覧ください。
アクセシビリティ