freeeが経営数値に基づくコミュニケーションのハブになる。帯広・札幌・東京・福岡。3社4拠点のバックオフィス業務効率化を実現

株式会社ファームノートホールディングス アドミニストレーショングループ 財務・経理チーム マネージャー 志賀 浩一郎 氏

課題
複数人・複数拠点で経理データを共有

北海道・帯広の地で創業し、Webシステムの受託開発や、酪農・畜産業界向けのクラウドサービスを展開する株式会社ファームノートホールディングス様。現在は帯広本社のほか、札幌・東京・福岡に計4拠点を展開。持株会社と事業会社2社の企業グループにて、各地でソリューションを提供しています。

複数拠点のバックオフィス業務を紙ベースで行うことに限界を感じていた同社は、2016年、業務効率化を図るべくfreeeを導入。同社で経理財務を統括するアドミニストレーショングループ 財務・経理チーム マネージャー志賀 浩一郎氏に、導入の経緯と利便性、今後の展望を伺いました。

――設立の経緯や御社サービスへの想いを教えてください

Webの受託開発からスタートし、農業とITの事業会社を立ち上げる


株式会社ファームノートホールディングス アドミニストレーショングループ 財務・経理チーム マネージャー 志賀 浩一郎 氏

志賀 浩一郎 氏 株式会社ファームノートホールディングス アドミニストレーショングループ 財務・経理チーム マネージャー 公認会計士 公認会計士として監査法人を数年経験し、大小ベンチャーから上場企業まで、事業会社の経理部を中心に20年ほど経理畑を歩んできた。現在はファームノートホールディングス3社分のバックオフィス業務を担当。スタッフ1名とともに財務経理をおこなう。

弊社はホールディングス制。純粋持株会社である株式会社ファームノートホールディングスの下に、事業会社である株式会社スカイアーク、株式会社ファームノートの2社があります。株式会社スカイアークではクラウド型CMSプラットフォームを提供するなど、Webインテグレーション事業を展開。顧客は東京圏の中堅から大手企業が中心です。一方、株式会社ファームノートは酪農・畜産業界向けのクラウドサービス「Farmnote」を提供しており、農家様が顧客です。グループ全体で従業員数は社員55名、アルバイト等を含めると70名になります。


2004年に設立したスカイアークから弊社グループはスタートしています。酪農・畜産業界向けのクラウドサービス「Farmnote」誕生のきっかけはスカイアークが2013年に地元北海道の畜産農家さんから相談を受けたこと。弊社代表の小林が北海道・帯広市出身で、祖父の代まで農家だったこともあり、ITを利活用した農業の課題解決に可能性を感じて事業化、2社目のファームノートが設立されました。弊社は、グループ経営体制の確立のため、2016年に事業会社2社の株式移転により設立されました。親会社ですが、グループでは最も新しい会社となります。


弊社のビジョンは『「生きる」を、つなぐ』。スカイアークは情報コミュニケーションをつなぎ、ファームノートは農業を通して食をつないでいます。人や価値をつないでいきたいという思いを大切にしているのです。



これまでにない発想とプロダクトで、酪農・畜産業界の生産性向上に貢献

ファームノートが開発・提供している「Farmnote」はクラウド上で牛を管理するサービスです。これまで牛の情報は、農家の方々が、紙の台帳などで管理していました。酪農家は事務所で牛の情報を確認し、牛舎に行って牛の状態を確認・メモ、再度事務所に戻ってメモをもとに記帳する、というフローだったのです。対して「Farmnote」は牛の情報をクラウド上で管理していますので、牧場や牛舎で実際に牛を見ながら、スマートフォンで情報を確認・入力できます。


2016年には「Farmnote Color」というプロダクトをリリース。首輪のようなセンサーを牛につけると、牛の行動データが「Farmnote」に送信されます。牛の活動量はクラウド上でチェックでき、集まったデータはAIで解析して、発情兆候にある牛の情報をスマートフォンに通知します。


株式会社ファームノートホールディングス アドミニストレーショングループ 財務・経理チーム マネージャー 志賀 浩一郎 氏


生産性向上のため、酪農・畜産農家の方には発情兆候を把握したいニーズがあります。乳牛は妊娠していないと乳が出ませんし、肉牛は生まれた牛そのものが商品になります。ですので発情兆候を適宜キャッチし、効率的に妊娠・出産させることが大変重要なのです。牛の発情は一般的には21日周期で訪れると言われています。これまでは経験豊かな牧場のスタッフが目視で確認していた情報でしたが、人の目には限界がありますし、夜間には確認できません。周期を一度逃せば、21日間、その牛は生産活動に寄与せずコストのみがかかってしまうのです。そこで、このセンサーによって牛の情報を自動的にキャッチすることが、生産性の向上に直結するというわけです。

――freee導入のきっかけとご利用状況を教えて下さい

複数拠点を効率的につなぐクラウドツールとしてfreeeに移行

会計サービスをクラウドにしたのは2016年。導入を検討したきっかけは事業の拡大に伴い、紙ベースでのやりとりが難しくなってきたからです。2016年の導入以前は帯広・札幌・東京の3拠点(2018年現在は4拠点)で、会計事務所と連携した従来型の会計ソフトと人事給与ソフトを使っていました。


当時経理財務を含めたバックオフィス業務に携わっていたのは、私とスタッフ1名の計2名のみ。経理財務がいない拠点のデータは毎月まとめて送られてきていたため、業務が月末月初に集中してしまっていました。そこで拠点間でのスムーズな経理処理と情報共有といった業務効率化のためにfreeeを導入しました。


導入にともない、全3社へfreeeを導入。freee会計の次は給与計算もfreeeにリプレイスしました。最終的にリプレイスにかかった期間は1年ほど。バックオフィスの業務には1年に1度の業務もありますが、年度決算を乗り越えたことでfreeeを活用したバックオフィス業務運用のコツがつかめた感じがしています。


現在、全社的にペーパーレス化を進めており、経理財務以外の部分でもさまざまなプロダクトを導入しています。各拠点に物理的な距離がある状況で効率的にバックオフィス業務を進めるには、やはりクラウドが適していると感じています。



70名の従業員全員にfreeeのアカウントを発行し人事労務も会計も一元管理

今では3社70名ほどの従業員全員にアカウントを発行し、経費精算含む会計処理をすべてfreeeに一元化しています。給与振込や明細の通知、年末調整もfreee人事労務に集約。社員情報もfreeeで管理しています。弊社グループは2017年から、ほぼ毎月、新規に入社される方がいます。入社前にまず行なってもらうのが、freeeのアカウント作成です。直感的に操作しやすいこともあり、経費精算や労務手続きにおいて、新たな従業員でも抵抗なくfreeeを活用できています。



導入後、拠点間の業務が効率化。年末調整は驚くほどスムーズに

freeeを導入しクラウドに移行した後は、まずは証憑をクラウドで確認できるため、拠点からの各種書類の移動が最小限で済むようになりました。証憑はfreee上で仕訳に紐づけて管理していますので、後から振り返る際に「証憑を綴じ込んだファイルを広げて書類を探す」という作業も不要です。給与や月末支払の振込などの定型業務に関しても、現在は、freeeから振込データをエクスポートして、銀行のWebバンキングに取り込んで終了です。私の入社当時は、1件1件手入力していたため、振込処理は、ほぼ1日仕事でした。当時と比べても、人員・業務は拡大し、弊社が設立されたことで3社分の振込処理が必要となっていますが、時間は圧倒的に少なくなっています。


さまざまな業務の中で、freeeが一番活躍してくれたのは年末調整です。2016年の年末調整は、非常に苦労したのですが、freee人事労務を使っての2017年は、担当者の主な仕事といえば「freeeに入力して、原本は東京事務所に送ってください」と社内にアナウンスをすることでした。あとはfreeeが処理してくれます。会計事務所によるチェックはfreee認定アドバイザーの事務所に依頼。データ共有もfreee上で済みましたのでほとんど手間をかけずに済みました。従業員からも「すごく手軽になった」との声が多く上がり、私自身もスムーズすぎて拍子抜けするほどでした。


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従業員の経費精算申請の溜め込みが減り、業務負荷の平準化に成功

経費精算では、以前は会計ソフトと別のシステムを使用していました。システム上の申請が月初に集中し、領収書などの証憑は、申請後に各拠点から集まるため、経理側にスポットで負荷がかかっていました。freeeに変えたところ、従業員が証憑をクラウドにアップして申請してくれるため、チェックが容易となり、そのつど取引としてfreeeに取り込めるため、経理側の業務が平準化し処理がしやすくなりました。


現在、ファームノートホールディングスでは、経営陣が全従業員に対して業績数値をオープンにしています。freeeを使って5営業日で3社分の経営数値の仮締めを行い、この経営数値を毎週月曜日の朝礼や、四半期ごとのグループ全体会議などで共有しています。売上だけでなく営業利益まで周知しています。この文化により、数字に対する意識の高さが社内で醸成されてきたのでしょう。経費精算が遅くなることで、月次決算が滞り、経営陣の判断が遅れてしまう可能性だってある。そこに経費精算効率化のためのツールが加わることで、迅速な処理にも影響、社員の意識改革に貢献したのだと考えています。



複式簿記と違う概念だったものの、サポートのおかげで使いこなせるように

freeeの導入直後は、従来型の会計ソフトの複式簿記と違う概念でしたので、慣れるまでは苦労しました。一方で、機能を知れば知るほど、効率化できている実感が湧きました。freeeには先進性があり、今までの会計ソフトにはない機能や他社サービスとの連携機能があることが強み。使いこなせるようになったのは、freeeのサポートのおかげです。メールや電話、チャットなど、さまざまな手段ですぐに対応いただけますので、回答待ちで業務が進まないということもなく非常にありがたかったです。



毎月行われる株主とのミーティング・報告のため、マネージャーにもfreeeで最新の経営数値を共有

会社の株主が集まる機会は、通常、年1回の定時株主総会になるかと思います。しかし弊社では、毎月、株主を集めたミーティングをおこなっています。弊社の株主は主に事業提携を目的とした法人株主がほとんどで、数字も含めて事業の進捗を知りたいという声が多いのです。1ヶ月間の事業進捗や今後の事業展開などさまざまな経営課題について、株主の皆さまとディスカッションを行う場を設けています。


2017年から始めた取り組みですが、株主からは当然厳しい意見も飛んできます。そこで、数字に責任を負っているマネージャーには、常に最新の経営数値が把握できるようfreeeの権限を付与しました。これにより、マネージャー陣の数値に対する意識が高くなりました。

――今後の展望について教えて下さい

海外展開を見据え、freeeは経営数値に基づくコミュニケーションのハブになる

ファームノートでは「世界の農業の頭脳を創る」という目標を掲げていて、将来的には海外展開も見据えています。世界的にみると人口は増加する一方で、農地面積は減少しています。農業の生産性を上げないと人口と食糧のバランスが崩れてしまう状況のなか、ITを使って、より効率的に農業を営むことは世界的な課題でもあると考えています。


バックオフィスの展望は、商圏が広がったとしても組織に貢献できる仕組みをつくりたいと考えています。事業拡大の将来を見据え、freeeを中心に社内の体制を強化していきたいと思います。


弊社グループのファームノートが提供する「Farmnote」はクラウドサービスで物理的距離を超えるという観点でfreeeとよく似ています。弊社の価値観である「つなぐ」ともマッチするfreeeは、株主とのコミュニケーションや、多拠点での経営数値に基づくコミュニケーションなど、今では社内コミュニケーションのハブとなってくれている感覚があります。サポート体制のきめ細やかさなど、サービスを運営する側として、学ばせていただくところも非常に多いと感じています。


従来型の世界に新しい概念を組み込んでいくという部分でも、プロダクトを広げていくなかで一層勉強させてもらいながら、農業への貢献をしていきたいと考えています。


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