業務用冷凍食品シェアトップクラスの香川県製造業800名規模グループ7社でfreee人事労務を導入 オンプレミス型システムの保守期限を見据えてクラウド化へ

株式会社味のちぬや 管理部係長 石川 智己 さん

課題
バックオフィスの体制構築・効率化

株式会社味のちぬやは、1976年の創業から47年にわたり、冷凍食品の製造・販売事業を展開してきました。


企業規模は年々拡大しており、現在ではグループ7社、従業員数は派遣社員も含めて800名にのぼります。以前はオンプレミス型の人事労務ソフトを使っていましたが、アナログな郵送作業など、非効率に感じる作業も多くありました。


そこで導入されたのが、freee人事労務です。導入前の課題や導入に至る経緯、導入して良かった点などについて、管理部係長の石川智己さんにお話を伺いました。


課題~解決


既存システムの保守切れをきっかけにクラウド型への移行を模索

株式会社味のちぬや

――まずは、御社の事業内容とご担当者さまのプロフィールを教えてください。

石川智己さん(以下、石川): 味のちぬやは、冷凍食品の製造・販売を行っている企業です。なかでも、コロッケは売上の半分以上を占める主力製品です。売上高は、全体でおよそ202億円となっています。


拠点は、全国各地と中国の山東省にあります。冷凍食品はデフレにも強い商材で、昨今の経済状況下でも、また、コロナ禍でも、巣ごもり需要などから需要は伸びてきていますね。


業務内容の主軸は計7社あるグループ会社の人事労務や総務関係です。


――freeeの導入前、人事労務業務にはどのような課題がありましたか?

石川: 製造職の勤怠管理などの多くは、勤怠入力や管理、給与計算、各種申請をアナログで管理せざるを得ず、非効率になっていたのが課題でした。新入社員の情報管理や身上変更の処理は、私も実際に業務を行う際、手間に感じていました。


日常で使っている一般的なサービスでは、会員登録をする場合は自分でフォームに入力して送信するだけで済むのに、人事労務関連になると、なぜか紙に書いてわざわざ転記するんですよね。


勤怠情報の入力に関しても、進捗状況を毎回追わないといけないのが大変でした。採用を積極的に進めていて、従業員数がどんどん増えるなか、勤怠の提出が遅れる人も出てきていたので、個別に電話をかけたり、通りすがりに「あの書類出してないから、きちんと出してね」と声をかけたりすることに、時間が割かれてしまっていました。転記作業にも手間がかかり、チェック漏れが生じてしまうことも。


拠点が多く、グループ会社との連携が必要なため、拠点・会社をまたがって人事労務業務を進めることに、手間と費用がかかっていました。書類の郵送や、原本をまわして印鑑を集める作業もありました。雇用契約書や履歴書も全てそうですね。郵便代もかかりますし、時間もかかっていました。


――そうした課題があったなかで、人事労務システムを入れ替えるきっかけは何だったのでしょうか?

石川: 最も大きかったのは、もともと使っていたオンプレミス型の人事システムが“保守切れ”を迎えることでした。保守切れ後も、アップデートを行えば継続使用できたものの、企業規模の拡大に伴って、カスタムしないといけない機能も多く、更新や保守にかかる金額がかなり膨らんでしまいました。


当社はグループ7社、従業員数は派遣社員も含めて800名です。このまま、さらに事業を拡大していくことや、雇用体制や働き方の変化への対応が必須となり、「管理」に求めるレベルが高くなっているこれからの時代のことを考えると、「このまま更新するのではなく、時代に合わせた新たなサービスに切り替えないといけない」と感じました。


本プロジェクトの対象範囲の確認

「業務ごとの連動性の高さ」「シンプルで簡単」が決め手

――さまざまな人事労務システムがあるなかで、freee人事労務を選んだ決め手を教えてください。

石川: 業務の連動性と操作性のよさは、freee人事労務に決めた大きな理由でした。freee人事労務を知って最も衝撃的だったのは、勤怠管理、給与計算、人事マスタといった業務を一貫したシステムで行えることです。導入前までは、業務ごとに分けて、個別に作業するような考えで、だからこそ無駄が生じていたのですが、freee人事労務はそれぞれの業務が連動するような作りになっていることに驚きました。


導入システムの検討時には、一つひとつ特徴のあるサービスを組み合わせて、“オールスター”のようなシステムを提案いただく企業もありました。ただ、私自身がめんどくさがり屋で、どれだけ良いシステムが集まっても、作業ごとに異なるサービスにアクセスするのが大変だと思い、できれば同じ環境でシンプルに使いたいと考えました。


操作性の良さでいうと、実務を行う従業員がよりわかりやすく簡単に使用できることも重要です。
その点、freee人事労務は画面が見やすく、シンプルなので従業員にも満足して使ってもらえると感じました。


また、営業担当者の感触が良かったことも決め手のひとつでした。導入した場合の懸念点を細かく解消してくださり、freee人事労務で「できること」「できないこと」を明確に伝えてくれたのが良かったです。導入に責任を持つ担当者として、不安感が払拭できたのは大きいですね。


――検討開始から導入まではどのようなスケジュールで行われましたか?

石川: 2021年の夏頃からリプレイスの検討を始めて、10社以上の企業からご提案をいただきました。1年ほどかけて比較検討と商談を行い、同じ管理部管理課に所属する2名と計3名でfreeeの導入プロジェクトを開始し、2022年11月から導入を始め、これから本格稼働に向けてもろもろ進めているところです。


ネックなのは新システムへの抵抗感 慣れれば利便性がわかってもらえる

――これから本格稼働とのことですが、導入で苦労している点はございますか? また、どのように解決しているのでしょうか?

石川: 管理部門が導入で苦労するというより、従業員に受け入れてもらえるかが懸念点でした。当社は、10代〜80歳近くまで、幅広い年齢層の従業員が在籍しています。


そのため、なかには「やり方がわからない」「ボタンを押したけど、うまくいったか不安」などの不満や問い合わせがあることは想定しており、実際ありました。「自分が慣れている方法から作業を変えるのが面倒くさい」「新しいツールの使い方がわからなくて不安」という気持ちには共感できるのですが、効率化のためには、freee人事労務にいち早く慣れてもらうことが重要です。


考えてみると、製造業では似たようなシステムを使っているんですよね。「トレース」と言って、例えば、原料の砂糖の袋にQRコードが印字されていて、それを読み取ることで、「誰がいつ何をどうした」といった情報が得られるような仕組み化がされています。
だから、従業員はデジタルツールやシステムを全く使っていないわけではありません。「作業を変えるのが面倒」「新しいツールの使い方がわからない」という気持ちには共感できるのですが、業務が効率化されていって、「こんなに簡単にできるんだ」と実感を持ってもらえればいいと思っています。


また、従来のオンプレミス型のシステムでは、管理画面がわかりづらいためにストレスを感じていました。一方、freee人事労務の管理画面はシンプルで見やすく、スマホにも対応していて、よく使う項目は触りやすい位置にあります。一度慣れれば、freee人事労務のほうが今までのシステムより使いやすく感じてもらえることは想定できました。


しかしながら、なかにはスマホに慣れていない社員もいるので、最初はサポートも必要です。電話やチャットで操作方法を伝えながら、併せてGoogle検索の方法や管理者へのチャットでの問い合わせ方法なども伝えています。


今の時代は、日常生活でも必要なことを調べたりチャットで問い合わせたりする力が必要だと思います。仕事を通してそういった生きる力も身につけてもらえれば良いと思っているので、そうした想いも伝えながら、従業員自身が使いこなしていけるようにサポートして浸透させています。


――本格稼働はこれからですが、freee人事労務を導入し始めて良かったと感じることはございますか?これから本格稼働することで変化を期待できる点も合わせて教えてください。

石川: 勤怠情報の申請や修正などの一部分は、これまで当たり前のように紙や共有パソコンで作業していました。導入後は個人のスマホで作業できるようになるので、従業員も管理部門も互いに手間が省けることが期待できます。


また、ペーパーレス化の実現で、無駄が減ることにも期待できますね。郵送作業を大幅に減らせて、費用と時間を圧縮できるのも良いと思います。郵便物が届くのを待たなければ次に進めなかった作業も、freee人事労務なら並行して進めることができるので。


当社は冷凍食品メーカーで、営業職や事務職、製造職などさまざまな職種があります。そして、職種ごとに働き方や手当が異なります。今回新たにfreee人事労務を導入したことで、複雑な人事労務業務をシンプルでわかりやすくすることができるところが一番大きなポイントではないでしょうか。


製造業の成長を支えていけるバックオフィスへ

――バックオフィスについて、これから実現したいことはありますか?

石川: 現場の従業員から管理部門に問い合わせがあったとき、一見ドライにはなりますが、基本的にチャットで送ってもらうように促しています。そうすればQ&Aとして蓄積でき、新入社員やまた作業に慣れていない方には、それを見てもらう形にしていきたいと考えています。


これまでは電話での問い合わせがほとんどで、個別に対応してきました。電話には雑談が生まれるなどの良い点はあるのですが、知りたい情報の本質とは外れてしまい、相手の時間を奪うことになってしまいます。


また、問い合わせ内容の蓄積も難しかったです。今後は、問い合わせ内容と回答を集約・蓄積して、さまざまな働き方をしている従業員に展開していきたいです。


会社としては、おいしいものを作ってお客様に喜んでもらい、社員も幸せになることを目指しています。そんな当社の理念の実現には、時代に適した変化や改善が必要不可欠です。バックオフィスは製造業を支える存在として成長していければと考えています。


――最後に、freeeの導入を検討している企業へメッセージをお願いします。

石川: 私の第一印象では、freeeといえば会計ソフトで、中小企業や個人事業主向けだと思っていました。企業ブランドは知ってはいましたが、freee人事労務があることも、上場企業などの大企業でも使えることも知らなかったのが正直なところです。


しかし、実際に商談を重ねていくうちに、当社のようなさまざまな機関がある企業でも、freee人事労務が合うとわかりました。今後のさらなる成長を見据えたときにも、freeeなら更新頻度が多く、時代に適したシステムへと日々改善してもらえる印象を持っています。


バックオフィスは、営業部門と比べると、ないがしろになりがちだと思いますが、会社にとって土台となる部分です。勤怠や給料の運用が曖昧になっていたり、きちんとしたルール化がされていなかったりすると、従業員のモチベーションが下がって、売上などにも、ボディブローのようにじわじわと効いてくると思うんです。


それが合理的に見える化できていればモチベーションが保たれ、すぐにわかりやすい効果が出なかったとしても、会社の成長を支えていけます。freee人事労務を導入することで、会社の成長と従業員を後押しできるバックオフィスを構築しやすくなると思います。


(執筆:遠藤光太 編集:ノオト)

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