経営支援型会計事務所が実践する、未来の会計事務所のかたちとは?

税理士法人ブラザシップ 包括代表社員 公認会計士/税理士 加藤 義昭 様
代表社員 公認会計士/税理士 松原 潤 様
公認会計士 伊藤 歩 様
freee株式会社 代表取締役CEO 佐々木大輔

課題
経営の課題をリアルタイムに把握

経営支援型会計事務所として、従来の会計事務所にはないサービスや所内改革を進めている税理士法人ブラザシップ。ビジョンに掲げる「会計事務所の新しい未来をかたちづくる」を実践する姿は、未来の会計事務所の理想系の一つとも言えそうです。


ブラザシップ様の具体的な取り組み内容とその意義について、freee代表の佐々木が掘り下げるとともに、海外事情を踏まえた会計業界の未来も語りました。


中小企業が成果をあげるうえで、経営管理の強化は必須

加藤 義昭 様(画像上段中央・以下加藤)  我々ブラザシップの土台となる事業は、一般的な会計事務所と同様に税務会計です。複雑な税制に基づいてきちんとした税務申告をすることは、ある種の社会インフラ事業だと考えています。


ただ、税務会計は手続業務なので、お客様が感動するレベルの成果をあげにくいものです。そこで、お客様に感動していただけて、かつ社会にとって本当に価値あるサービスを提供しようと考えた結果として、我々は現在、経営支援事業を主とした事業展開をしています。


佐々木 大輔(画像下段右・以下佐々木)  経営支援事業を支えるソフトとして会計freeeを活用していただいている一番の理由は何ですか?


加藤  会計freeeを使えばリアルタイムで実績値が更新されるので、最新の経営状況をいつでも把握できます。中小企業がリアルタイムで経営管理をするのに最も優れたツールとして、会計freeeを選びました。


中小企業が生き残り、業績を上げていくためには、経営管理機能を強化すべきです。ところが、多くの経営者は、戦略立案や予実管理をきちんとできていないのが現実です。なぜなら、そもそも実績値が出るタイミングが遅すぎる。1,2ヶ月前の実績値を用いて予実管理をするなんて、意味のないことですよね。


ですから、経営管理をするうえではまず、月次決算を早期に出せる状況を作るべきです。会計だけでなく、請求管理や債権債務管理も含めた業務が1つのシステムに統合できる会計freeeであれば、経営管理に必要な数値を早期に集計して確認することができるので、選択してよかったと思います。


佐々木  おっしゃる通り、経営管理をするうえで月次決算の早期化はとても重要ですよね。



月次決算の早期化の必要性を動機づける方法とは?

佐々木  そうは言っても、多くの中小企業では月次決算がだいぶ後になって確定する状況が当たり前になっています。そんな状況下で「月次決算を早く出しましょう」と言っても、経営者は早期化することによるメリットを想像できないのではないか……と疑問に思いました。ブラザシップさんでは、月次決算の早期化を促すためにどんな取り組みをしていますか?


松原 潤 様(画像上段左・以下松原)  財務という事実をベースにして、お客様から課題解決の方法をコーチングによって引き出す「コーチング型経営支援」の形をとっています。コーチングで引き出した願望と財務数字という事実を示して、願望と事実とのギャップを見せて解決策を導き出すのです。


加藤  もう少し噛み砕いて説明すると、経営者が自ら経営管理や月次決算の早期化に興味を持っていただけるようなアプローチをしています。具体的にはまず、目指す姿を経営者に伺うことから始めます。


目指す姿を伺えたら、それを叶えるためにやるべきことは何かを問いかけます。すると経営者からは新しい戦略やチャレンジするテーマがあがってきますから、ここで経営計画を立てたり予実管理をすることの必要性を経営者の方は感じていただけます。そうなると、自ずと月次決算の早期化がモチベートされますね。


佐々木  なるほど。非常に参考になります。すごく本質の部分を訴えていらっしゃるのですね。



より多くの中小企業を救うために、経営支援のノウハウを集合研修で提供

佐々木  ブラザシップさんが今後注力していきたい取り組みがあれば教えてください。


伊藤 歩 様(画像上段右・以下伊藤)  2020年から「ブラザシップカレッジ」という学びの場を創設しました。今までは税務顧問やコンサルティングなどを通して1,000社以上の中小企業に個別で提供していたノウハウを、集合研修形式で提供しています。


現時点でのコンテンツは、成長を続ける会社経営者として必須の財務リテラシーを上げる「経営力向上研修」と、中小企業の成長を着実なものにすることを目指す「戦略計画策定講座」の2種類です。


佐々木  2つのコンテンツを開発した背景と、具体的な内容をを教えてください。


松原  「経営力向上研修」は、企業が創業からたった5年で6割以上が廃業・倒産するという現状をなんとかしたいという想いから開発しました。決算書の読み方から資金調達、マネジメントの基本など、経営者として最低限知っておいて欲しいことを凝縮した内容です。


加藤  「戦略計画策定講座」は、すべての中小企業に経営計画を作ってもらいたいとの想いから開発しました。戦略計画の策定方法と仕組みを学ぶとともに、自社のビジョン・ミッション・バリューやサービスについて腰を据えて考える講座になっています。


佐々木  カレッジを開催した手応えはいかがでしたか?


松原  非常に高い満足度をいただきました。もちろん毎回ブラッシュアップする必要はあるとはいえ、学んだ成果をすぐに出せる実践的な研修と自信を持てました。


初回の受講者は6割が既存のお客様、あとの4割は知人などからの紹介で集めたのですが、今後はより多くの方々にブラザシップカレッジを受講していただけるようにしたいです。



プロフェッショナルファームとしての組織体制をつくり、会計事務所の価値提供力を高める

佐々木  経営支援型の会計事務所として価値を提供するために、所内の組織体制も一般の会計事務所と違っているところがあるのでしょうか?


伊藤 当所では、完全分業の体制をとっています。私も含む担当者全員が税務も経営支援もできる状態であることと、担当者3〜5名につき一人の秘書がコーディネートについていることが特徴です。


加藤  そもそも専門家といわれる人たちは、深い知識で専門的な業務をこなしていきたいというところに強みを持つ人たちですから、彼らが専門業務に特化できる体制をつくることが必要だと考えました。完全分業体制をとることで残業時間を削減できて、所内に新しい要素を導入する余裕を生み出しやすくなりました。


佐々木  言われてみると、多くの会計事務所では、記帳の生産性を上げる方向だけに振れた組織体制になっているのかもしれません。会計事務所をプロフェッショナルファームと捉えて、経営支援やコンサルタント業務をするのに最適化した組織体制をつくるという発想は素晴らしいですね。


加藤  経営支援やコンサルティングをするためには、いずれこうした組織体制を構築する必要があると考えています。我々としては、会計業界に向けて事務所の組織づくりをどうすべきかをもっと情報発信できる機会を作っていきたいと考えているところです。


佐々木  一人ひとりのプロフェッショナリズムを意識した組織体制をつくるという考え方には、個人的にも「なるほど」と思いました。そうした情報も、今後の会計事務所の運営を考えるうえでは必要になりそうですね。


加藤  ありがとうございます。私たちのビジョン「会計事務所の新しい未来をかたちづくる」には、会計事務所が提供できるサービスと、サービスを高品質で提供できる組織体制の両方をかたちづくりたいという想いを込めています。この2つが揃ってこそ、会計事務所がfreeeを導入する余裕も生まれ、実際に活用して中小企業の成長を促す経営支援ができるものと考えているので、freeeさんと一緒にそこを伝えていきたいです。



会計事務所は、経営者にとって唯一無二のパートナーになり得る

松原  佐々木社長は会計事務所の未来をどう見ていらっしゃるのか、この機会にぜひ伺いたいです。


佐々木  まさに今ブラザシップさんがされている取り組みは、ひとつの理想に近い形なのかなと思います。


スモールビジネスの経営者にとっての会計事務所は、財務の数字や個人の税務などまでを率直に話せる数少ないパートナーになり得ますよね。経営支援だけでなく、経営者個人としての夢を実現するためのアドバイスができる最良のパートナーに近いポジションにいると思います。一緒に目指す姿をを話し合って形作るステップは、いつまでたっても人のサービスとして期待されて残るはずですから、この部分の価値はより高まるのではないでしょうか。


逆に、経営に対するインサイトを出すとか資金繰りを最適化するとか、計算して何らかの指標を導き出すところは、コモディティ化すると思います。


freeeでも、AIなどの技術として進化していけるところです。人がするからこそ高品質で提供できる経営支援サービスとfreeeの技術が、互いに補い合える関係になっていきたいです。


松原  個人的には、会計事務所のポテンシャルは大きいと思っています。税務業務に固執していてはレッドオーシャンのままですが、会計事務所が提供する経営支援サービスの市場はまだ顕在化していないだけで、実際は莫大にあると確信しています。佐々木社長のおっしゃる通り、会計事務所は中小企業のパートナーになり得る存在ですよね。


佐々木  海外の中でも、freeeのようなリアルタイム経理を実現するソフトの浸透率が高い国では、会計事務所の仕事内容が変わってきていますよ。従来からある申告や帳簿作成だけではなく、経営支援やコンサルティングなどに軸足が変わってきていて、会計士や税理士といった職業自体の人気もむしろ上がっている——これって面白いトレンドだなと感じました。


会計事務所の仕事は、スモールビジネスの経営者がやりたいことを実現できる環境や道筋を作ってあげられる素晴らしい仕事です。ブラザシップさんのような会計事務所が増えると、スモールビジネスがより強くなる世の中ができていくだろうと思います。


こういうことって、実はまだ多くの会計事務所で認識されていないと思うので、ブラザシップさんの事例を通して、会計事務所の未来は明るく、可能性に満ちていることを知らしめていきたいですね。




Company Profile
税理士法人ブラザシップ
愛知県名古屋市中区錦二丁目18番5号
TEL:052-265-5352
https://www.brothership.co.jp/topics/



事業概要
1975年創業、2008年10月設立。財務をベースとしたコーチング型経営支援を主力サービスとする経営支援型の会計事務所。名古屋の他、東京と小牧にもオフィスを構える。freee5つ星認定アドバイザー。




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