受注・発注の見える化を促進! 「freee販売」はクリエイティブ業界にもフィットする

有限会社ノオト 代表取締役 宮脇 淳 さん

課題
販売管理を楽にしたい

有限会社ノオトは、ウェブメディアや紙媒体のコンテンツの企画や編集、原稿執筆、運営などを行うコンテンツ・メーカー(編集プロダクション)です。フリーランスの編集者・ライターだった宮脇淳さんが2004年に法人化し、現在は役員2名、社員15名、計17名の規模になりました。


ノオトで働く正社員は、全員が編集者です。社員を編集業務に集中させるために、これまでは宮脇さんが見積もりや請求を管理してきましたが、案件が増えれば増えるほど、社長1人で管理しきれなくなるリスクが見えてきました。


そこで今回は、freee販売のデモ版の試用にご協力いただきました。販売管理における課題や使ってみた感想、今後期待できることについて、宮脇さんに話を聞きました。

社員数と売上が増加し、コロナ禍を機にfreeeを導入

有限会社ノオト
ノオトのオフィス。コロナ禍の影響でリモートワーク環境を整え、現在は週2出社のローテーションを組んでいる


――御社の事業内容と、宮脇さんのバックオフィスにおける役割を教えてください。

宮脇淳さん(以下、宮脇): ウェブメディアや紙媒体のコンテンツの企画や編集、原稿執筆、運営などを行うコンテンツ・メーカーで、一般的には「編集プロダクション」にカテゴライズされる会社です。


私はもともとフリーランスの編集者・ライターを5年半ほどやっていたのですが、個人事業主の限界を感じ、2004年に会社を作りました。ちょうど、紙媒体からウェブへと移行してきた時代の流れのなかですね。


現在は役員が2名、正社員が15名、計17名です。バックオフィスの業務は、外部のパートナーと協力しながら、原則的に全て私が担ってきました。


――freeeの導入前、バックオフィスの業務はどのように行っていましたか?

宮脇 : 主に紙の書類で管理していて、かなり手間がかかっていました。具体的には、社員一人ひとりが毎月の経費をSpreadsheetに記入し、領収書などを封筒に入れて私のデスクに提出します。


その書類が全員分集まったら、私がそれをすべてレターパックに入れて、経理の事務作業をしてくれる外部の経理パートナーのメンバーに郵送します。経理担当者は、受け取った領収書を1枚ずつノートに貼り、請求書をファイリングします。


このとき、当時使っていた会計システムでローカルのPCに入力し、税理士さんにデータを送っていました。それを税理士さんがチェックし、月次の売り上げや税務申告を出してくれるという手順です。これを1年間行い、決算が終わったら、大量の書類が入ったダンボールがオフィスに戻ってきました。いま倉庫に10年分以上保管しているので、ものすごく場所をとっていますね(苦笑)。


社員が少ないうちはそのやり方でもなんとかなっていましたが、人数や売上が増えるにつれて、紙で管理することに無理が生じてきていました。


――そうした課題を解消するためにfreeeを導入したんですね。

宮脇: はい。2021年7月から、freee会計とfreee人事労務を導入しました。本来ならもっと少し早く切り替えるべきでしたし、もしもいま会社を立ち上げるなら、迷わず最初からクラウド会計サービスを導入していると思います


ただ、それまでの膨大なやり取りやフォーマットをいきなり変えた場合に「どうやるのだろう」「どう保管しよう」と不安で、躊躇していました。いままでのやり方を途中で変えるのって、ものすごくエネルギーが必要なんですよね。


――そのような状況から一歩踏み出すきっかけは何だったのでしょうか。

宮脇: コロナ禍の影響が大きいです。リモートワークが一気に普及したので、紙の書類のやり取りが一気にPDF化・電子化されましたよね。「印鑑を必ず押してください」と言われることもなくなりました。さまざまな会社がそのような共通認識を持ったのは、切り替えを決断したきっかけの1つですね。


あとは、顧問税理士さんの考えの変化も大きいです。わりと年配の税理士さんが多い事務所で、クラウド会計になじみのある税理士さんが少なかったのですが、比較的若い方が担当だったこともあり、会計ソフトの切り替えを了承いただくことができました。税理士事務所側も、コロナ禍によって新たなニーズに対応すべきだと判断してくれたのかもしれません。


freeeを導入してちょうど1年が経ち、19期がスタートした今年7月から電子帳簿保存をスタートしました。紙で届いた書類はすべてPDFファイル化しています。これによって、社員数が増えても対応できるバックオフィス体制が整ってきました。


販売管理を社長1人に集約するメリット、デメリット

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――販売管理はどのようにしているのですか?

宮脇: 社員はそれぞれが制作業務を担当しているものの、販売管理は誰も行っていません。営業がいないので、商談があったらまずすべて私が受けて、要件を聞いて、freee会計で作った見積もりを提出しています。


既存クライアントからの追加相談があった場合は、担当社員に内容をヒアリングし、私が作成した見積もりをを担当者がクライアントに提出しています。制作が無事に終わったら、freee会計で見積書を請求書に変換し、また担当者からクライアントに送ってもらうといった手順ですね。


販売管理を私に集約しているため、社員は会社全体の売上や利益を明確に知っているわけではありません。これは別に売り上げを隠しているわけではなく、あくまでも編集者の仕事に集中してもらうことが目的でした。


編集業務は、売上や利益が高ければ高いほど良い仕事なのかと言うと、そうではありません。一人ひとりが販売管理をすれば、コスト感覚や利益感覚は身につくかもしれませんが、当社が大切にしている「良いコンテンツを作る」ことに集中しづらくなる懸念を持っていたのです。


とはいえ、売上や社員数が増えるにつれて、私1人が細かく管理するのが難しくなってきました。社員数が10名程度なら問題なかったのですが、それを超えてくるとだんだんと厳しくなってきますね。


別の課題としては、見積書や請求書が整理されていない点がありました。社内で使っているコミュニケーションツールのChatWork上に請求管理用のグループを作って、全員分の見積書や請求書を集めてやり取りしています。


管理できていると言えばそれなりにできているのですが、散らかった状態なので、いざ特定の見積書や請求書を探すとなると、数日間の履歴を一生懸命さかのぼる必要があります。その点は非効率ですね。


小売業だけでなく、クリエイティブ業界でもぴったりなfreee販売

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ノオトが運営するコワーキングスペースContentz。会員制で、支払いはクレジットカード登録とPay払いでキャッシュレスを実現している[


――freee販売のデモ版を試用した感想を教えていただけますか?

宮脇: 最初の印象は、小売業などの会社が使うツールで、当社にはあまりメリットがないのでは?という印象でした。ところが、いざ詳しい説明を受けてみると、当社のようなクリエイティブ業界の会社にこそフィットするんじゃないかと思いました。


というのも、私たちは受注側としてクライアントに見積書を出し、業務が終わったら請求書を送る一方で、発注側としてフリーランスのライターやフォトグラファー、イラストレーターの方々ともやり取りがあるからです。


これまで、受注と発注はそれぞれ別々に管理していましたが、freee販売の説明を聞いて実際にデモ版を使うと「両方合わせて管理するべきものだったんだな」ということに気づきました。「1つの案件で、これだけの売り上げがあって、そのなかからフリーランスの方にこれぐらいお支払いする」といった一連の流れが、同じ画面上で理解できます。「今までそれ、やってなかったのか」という感じなんですが(笑)。


案件ごとに受注と発注の金額をきちんと管理することで、粗利もわかりやすくなります。粗利がとても大きい仕事もあれば、専門スキルを持った方に発注するために外注費が高くなり、粗利が小さくなる案件もあります。freee販売を使うことで「この案件は粗利は低いけれども、長く続けられそうだな」など、可視化できる部分が広がりそうだと感じました。


――発注側として、インボイス制度への対応も重要になってきますね。

宮脇: ちょうど前期決算振り返り会で、税理士さんから「適格事業者になっていないフリーランスの方に発注した場合、年間でこれぐらいの消費税をノオトが負担することになりますよ」と脅されてしまいまして……(苦笑)。


仕入税額相当額の一定割合を控除できる猶予期間はあるようですが、最終的には無視できない金額に膨らむことになるため、案件ごとの発注をよりきちんとチェックしたいと考えています。ゆくゆくは、freee上で適格事業者かどうかを確認できるようになるのかもしれませんね。


あとは、当社のように小さな会社でも、たとえばフリーランスのライターさんに発注書を発行するなど、より安心して仕事ができるようなやりとりがfreee販売によって実現できるなら、正式導入を積極的に検討したいと考えています。

freee販売はfreee会計をパワーアップさせてくれる

――バックオフィスにおける今後の展望や、freee販売に期待することを教えてください。

宮脇: 販売管理をするのがチームや部署単位なのか、担当者ごとなのか、あるいはバックオフィス部門で集約するのか、会社によってそれぞれ変わってきそうですよね。当社の場合、社員5人ずつの3チーム体制になっているので、チーム単位で販売管理するのが最適なのではないかと考えています。


また、freee販売をきちんと使うことで、社員の給与査定に生かせるようになるとうれしいですね。もちろん、、クリエイティブ業界の仕事を売上や粗利だけで評価できません。


というのも、「コンテンツの質が良くて、こんな方々に読まれた」「このコンテンツをきっかけに、ほかのクライアントさんから声がかかった」「ライターさんが見てくれて、ノオトさんと仕事したいと言ってくれた」など、数字では測りきれないポイントが多くありますから。


とはいえ、数値化できるポイントを数値化できるなら、そこをベースに査定の判断材料にはなりそうです。将来的に、freee販売を通してそのような算出ができるようになるなら、経営者としてはありがたいですね。


――最後に、freee販売の導入を検討している企業の方々に向けてメッセージをお願いします。

宮脇: 今回リリースされたfreee販売は、freee会計などの既存サービスを補完し、パワーアップさせたサービスなのかなと感じています。


今までのやり方でも、freee会計を使えば販売管理はそれなりにできています。しかし、freee販売を実際に触ってみると、より合理的な販売管理の方法があることに気づかされました。


請求書や見積書の出し方も以前よりかなり便利になっていると思います。それなりの社員数や案件数を抱えている会社は、freee販売を導入によって、バックオフィスや販売管理を考え直すきっかけになるのではないでしょうか。


(取材・執筆:遠藤光太 編集:ノオト)

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