freeeの開発コンセプトに共鳴!先生ではなくコーチとして、経営者に内在する答えを導き出す

税理士法人ブラザシップ 代表社員 加藤 義昭 さん

課題
顧問先のコンサルに注力したい

「先生」と呼ばれることが多い税理士の中にあって、「私たちは先生ではなくコーチです」と自認する税理士がいます。税理士法人ブラザシップの代表社員を務める加藤義昭さんです。


専門分野である財務の知見とコーチングの技術などを武器に、多くの中小企業に増益をもたらしてきた加藤さん。経営者と接する際の心構えや、freeeを選んだ理由について語っていただきました。

中小企業の経営者のポテンシャルに脱帽

――貴事務所の強みを教えてください。

加藤義昭さん(以下、加藤): ①中小企業に対するコーチング、②財務会計に対する見識、③経営に対する知見を強みとしています。


私はもともと会計士として監査法人に勤めていたのですが、一人事務所で税理士をしていた父が急死し、後を継ぐことになりました。


税理士事務所での経験もない中での事業承継でしたので、自然と自分の強みにフォーカスすることになり、事務所としてコンサルティング業務を主軸に置いたのです。


――加藤さんが接してきた中小企業の経営者の印象を教えてください。

加藤: 中小企業の経営者の方と接するようになり、当初、衝撃的だったことが2つあります。


1つは、中小企業経営者の方々の能力の高さです。


監査法人時代は大手企業とやり取りをしていましたし、今となっては大変恐縮なのですが、中小企業の経営者の方を軽く見ていたところがありました。しかし、実際に接してみると、本当に能力が高い。今考えると当たり前なのですが、もともと大手企業でトップセールスだった方など、自信があって独立して経営者になるケースが多いので、その道における実務能力が高い方が多いのです。


また、人格も優れている方が多いように思います。私が事業承継をした時、父が急死したために引き継ぎもできず、お客様が離れていくことを懸念しました。しかし実際には1社も離れていくことはありませんでした。


「お父さんにはお世話になったから、当面、君の面倒をみてあげるよ」。自社の経営が大変な方もいる中、たくさんのお客様からこのような暖かい言葉をいただきました。自分が大変なときでも、他者を助けようとしてくれる。本当に人格者の方が多いと思いますし、その時の恩にはいまだに感謝しかありません。


しかし、もう1つ衝撃を受けたのが、高い能力を持っているにもかかわらず、業績が伸び悩んでいる中小企業が多いということでした。潜在能力を十分に発揮できていない会社が多いと感じたのです。


その原因は様々ですが、共通しているのが財務・会計の見識の薄さ、つまり数字に弱い経営者の方が多いということです。


そしてそのために経営管理もできておらず、自社の状況を正確に把握して改善策を考えられる会社が少ないと思ったのです。


中小企業の経営者は問題解決能力を備えているので、何が問題なのかがわかれば自分たちで解決していけます。ところが、どこに問題があるのか肌感覚ではわかるのですが、財務を見る能力がないので確信が持てません。戦略を立てるための優先順位がつけられないのです。


私たち税理士は、特定の業種のプロではありません。しかし、財務・会計のプロではあります。多くの中小企業の経営者は高い能力があり、「正解」を出すことはできます。どんな課題が自社にあるか、そしてその優先順位さえわかれば自ら主体的に改善できます。


私たちは財務・会計のプロとして、現状をしっかり伝え、コーチとして経営者の課題解決を支援します。そのために私たちは財務・会計だけでなく、コーチングの技術もプロレベルで習得しています。


――なぜコーチングなのでしょうか?

加藤: コーチングとは、社長の話を傾聴し、時に質問や提案をしながら社長の内面にある答えを引き出す目標達成の手法です。コーチングを通して自分たちではなく、社長ご自身に活躍していただくことが私たちの目的です。我々は先生ではなくコーチなのです。


目的意識の欠落が計画立案を阻害する

――中小企業の経営者の特徴は他にもありますか?

加藤: なぜ会社を経営しているのか、という目的を明確にしている方が少なくないように思います。例えば「誰かを助けたい」という想いのある方は多いと思いますが、そのような想いを経営理念として明示している経営者は少ないのです。


また目的が明確でないため、「5年後、10年後にはこうなる」という目標がなく、目標に到達するための計画もない会社が多いように思います。


計画がなければ予実を把握する必要もなく、分析や改善もできません。そのため財務・会計の見識が不要になり、経営管理体制も脆弱な会社が多いのです。


私たちのサービスは、このような中小企業経営者の苦手とするところを補完するものだと思います。「こんなにすごい方々がここで終わるはずがない」との想いから、もともと持っている潜在能力を引き出すために、財務・会計、そしてコーチングの技術を使ったサービスを展開しています。


すごいのはあくまで経営者であり、私たちではありません。私たちは中小企業経営者にとって触媒のような存在だと思います。まさにコーチとしての機能が求められているのです。


ブラザシップ


freeeには本質的な価値を追い続けてほしい

――会計ソフトとしてfreeeを選んだのはどんな意図からでしょうか?

加藤: 私たちにとってみれば、freeeしか選択肢はありませんでした。いろいろ理由はありますが、「スモールビジネスを、世界の主役に。」という開発コンセプトに共感したことがいちばん大きかったと思います。また請求管理も入金管理も購買管理も、APIで連携しているのではなく、すべてを1つのサービスとして提供している点も素晴らしいと思います。


ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)型で、すべて同時に使ってください、というまさにそのメッセージに惹かれたのです。全部それでやってください、というfreeeさんからのメッセージを受け入れたほうが、要は話が早いのです。freeeの機能をすべて使えば、管理は終わります。そこに時間をかけたりこだわりを持ったりしている場合ではないと思っています。


私たちの目的は、経理の人を助けたいということではありません。結果として経理の人も助かりますが、目標はあくまでも中小企業とその経営者を活性化させることです。請求書を発行したらすべて売上として計上するほうが都合が良いのです。


――freeeの利点はほかにもありますか?

加藤: やはり他のサービスとは開発コンセプトが根本的に異なる点が良いと思います。売りやすいように売るのではなく、本質を売る、必要なものを売る。それが潜在的だろうが顕在的だろうが、本当に必要だと思うバリューのあるものを売ろうという姿勢が伝わってきます。


おそらく会計と請求などは分けたほうが売りやすいと思います。顧問先には、まずは会計を入れてもらい、次に請求を入れてもらうみたいなやり方のほうがわかりやすいのですが、freeeさんはあえてそうしていません。その点が私たちには"刺さった"ので、freeeさんが売りにくいなら私たちが売るという風に決めたのです。


――最後に今後、freeeに何を期待しますか?

加藤: このまま行ってほしいです。売りやすいほうに流されず、価値のあるものを提供することを恐れず、今のまま進んでほしいと思います。また日本に350万社ある中小企業の要望を、仮に潜在的なものであっても追い求めてほしいです。


インボイスや電帳法がスタートしますが、「法律でこうなっているから」というのではなく、法律の意図を汲んだ対応をしていただけたら最高です。中小企業がITリテラシーを高め、ビジネスに集中する環境を作るための法律だとするならば、法律を守れるようになって良かった、というだけでなく、これをやると中小企業のビジネスが本質的に良くなるよね、というスタンスを貫いてほしいです。


財務リテラシーとともにITリテラシーが低いのが中小企業の課題です。freeeさんは大企業ではなく中小企業を救うために存在していると思っています。会計ソフトではない、ERP型で基幹業務システムであるという大前提を見失わず、中小企業のITリテラシーを高める活動をこれからもしていただきたいと思います。


加藤さんはもともと、現在の事務所を一人で切り盛りしていく予定でしたが、志を同じくする仲間に加わってもらうことで、より多くの顧問先にコーチングを提供する方向へ舵を切りました。それでも、一人の所員がコーチとしてを受け持てる顧問先は5~10件程度だと言います。


経営管理を必要とする顧問先はたくさんあるので、加藤さんはより多くの顧問先へ学びの場を提供するために「ブラザシップカレッジ」という集合研修サービスも展開しています。興味のある方はこちらをご覧ください。


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