シャドーITとは|企業が抱えるリスクと効果的な対策方法を紹介


最終更新日:2025年01月06日

シャドーITとは|企業が抱えるリスクと効果的な対策方法を紹介

シャドーITとは、会社が許可していないデバイスやソフトウェアを、従業員が業務に利用することを指します。業務効率を上げる便利な手段のように思えますが、情報漏えいやウイルス感染など、企業にとって重大なセキュリティリスクを抱えています。

本記事では、シャドーITの概要とリスク、対策方法について解説していきます。

目次

シャドーITとは

シャドーITとは、会社が許可していないデバイスやソフトウェアを、従業員が業務に利用することを指します。 例えば、従業員が私物のスマートフォンで会社のメールをチェックしたり、無料のオンラインストレージサービスに顧客情報を保存したり、個人のLINEアカウントで取引先と連絡を取ったりする行為が該当します。

シャドーITは、従業員の立場では、業務効率向上のための手段のように思えるかもしれません。しかし、企業にとっては、情報漏えいやウイルス感染など、重大なセキュリティリスクがあります。

近年、テレワークの普及やクラウドサービスの多様化により、シャドーITは増加傾向にあります。企業は、シャドーITのリスクを正しく認識し、適切な対策を講じる必要があるでしょう。

シャドーITとBYODの違い

BYOD(Bring Your Own Device)は、従業員が自分の所有するデバイスを業務で使用することを企業が正式に許可する制度です。企業が従業員の私物端末の利用を認め、適切なセキュリティ対策や利用ルールを設定することで、業務効率化とセキュリティの両立を図ります。

同じ私物デバイスの業務利用であっても、企業の承認と適切な管理下にある場合はBYOD、承認のない場合はシャドーITとして区別されます。

シャドーITが発生しやすいデバイス

シャドーITの対象となるデバイスは、主に従業員が個人で所有し、業務に持ち込む機器です。これらのデバイスは企業のITセキュリティ管理の範囲外で使用されるため、重大なセキュリティリスクとなります。代表的なものとして、個人所有のスマートフォン、ノートパソコン、タブレット端末が挙げられます。また、データの持ち出しや移動に使用されるUSBメモリや外付けハードディスクドライブ(HDD)も該当するでしょう。

さらに近年では、スマートウォッチやワイヤレスプリンター、スマートTVなどのIoTデバイスも、企業ネットワークに接続される可能性のあるシャドーITデバイスとして注意が必要です。

シャドーITが発生しやすいツール/サービス

主要なシャドーITとして、業務効率を向上させる目的で従業員が独自に導入するツールやクラウドサービスが挙げられます。特に以下のようなサービスで発生頻度が高いです。

コミュニケーションツール
Slack、WhatsApp、Zoomなどのメッセージングアプリやビデオ会議ツールが該当します。

ファイル共有やストレージサービス
Slack、WhatsApp、Zoomなどのメッセージングアプリやビデオ会議ツールが該当します。

プロジェクト管理やタスク管理ツール
Trello、Asanaなどの生産性向上ツールも頻繁に使用されています。

また、最近ではChatGPTなどの生成AIサービスや、Grammaryのような特定業務向けの生産性向上ツール、さらにはオンライン翻訳サービスなども、シャドーITとして問題視されるケースが増えています。

シャドーITの原因

シャドーITが発生する原因は主に以下3点が挙げられます。ITリテラシー不足 社内ルールの不備 IT環境の整備不足 それぞれのポイントについて解説していきます。

ITリテラシー不足

従業員のITリテラシー不足は、シャドーIT発生の大きな要因の一つです。

セキュリティリスクに対する意識や知識が低い場合、シャドーITの危険性を正しく認識することができません。パスワードの使い回しや不審なメールの添付ファイルを開封するなど、セキュリティ上危険な行為を行ってしまう可能性があります。また、セキュリティ対策ソフトを導入していない私物デバイスを業務に利用することで、ウイルス感染のリスクを高める可能性もあります。

ITリテラシーの不足は、従業員自身の意識の問題だけでなく、企業側が適切な教育や研修を実施していないことも原因として考えられます。

社内ルールの不備

シャドーITに関する明確なルールやガイドラインが整備されていないことも、シャドーIT発生の大きな原因となります。
従業員が、何が許可されていて何が禁止されているのかを理解できない状況では、意図せずシャドーITに抵触してしまう可能性があります。例えばシャドーITの定義が曖昧であったり、禁止事項が具体的に示されていなかったり、利用した場合の罰則が規定されていなかったりするケースが挙げられます。

ルールやガイドラインの不備は、従業員に「これくらい大丈夫だろう」という誤解を与え、シャドーITを蔓延させる温床となってしまいます。

IT環境の整備不足

企業が提供するIT環境が従業員の業務ニーズを満たしていない場合、シャドーITの発生リスクが高まります。例えば、業務に必要な性能を満たしているパソコンやスマートフォンが支給されない、あるいは必要なソフトウェアが導入されていない状況では、従業員は私物のデバイスや無料のソフトウェアに頼らざるを得なくなります。

また、社内システムが使いにくい、もしくはセキュリティ対策が過度に厳しく業務効率が低下する場合、従業員はより便利で使いやすい外部サービスに目を向ける傾向があります。

このように企業が提供するIT環境が不足している場合、従業員は利便性や効率性を追求するためにシャドーITに抵触する可能性が高まります。

シャドーITのリスク

シャドーITのリスクは主に以下4点が挙げられます。

  • 情報漏えい
  • 不正アクセス
  • アカウント乗っ取り
  • 業務遅延

それぞれのポイントについて解説していきます。

情報漏えい

シャドーITには、企業の重要な情報が外部に漏えいするリスクがあります。

従業員が私物のスマートフォンや無料のオンラインストレージサービスに顧客情報や営業資料を保存した場合、これらのデバイスやサービスが適切に管理されていないと、情報が漏えいする可能性があります。また、セキュリティ対策が不十分なフリーWi-Fiを利用して社内システムにアクセスした場合、通信内容が盗聴され、情報が漏えいするリスクもあります。

情報漏えいは、企業の信用失墜や顧客離れ、さらには損害賠償請求など、多大な損害をもたらす可能性があります。

不正アクセス

シャドーITは、外部からの不正アクセスを招くリスクがあります。

従業員がセキュリティ対策が不十分な私物デバイスや無料サービスを業務に利用した場合、第三者によってこれらのデバイスやサービスが乗っ取られ、社内システムに不正アクセスされる可能性があります。また、フリーWi-Fiを利用した場合、悪意のある第三者によって通信内容が盗聴されたり、マルウェアに感染させられたりするリスクもあります。

不正アクセスにより、情報漏えいやシステムの破壊、業務の妨害など、深刻な被害をもたらす可能性があります。

アカウントの乗っ取り

シャドーITで使用されるアカウントが、第三者に乗っ取られるリスクもあります。

従業員が私物デバイスや無料サービスのアカウントを業務に利用し、パスワード管理を怠ったり、セキュリティ対策が不十分なサービスを利用したりした場合、アカウントが乗っ取られる可能性があります。

アカウントが乗っ取られると、情報漏えいやなりすましによる詐欺、システムの破壊など、様々な被害が発生する可能性があります。

業務の遅延

シャドーITは、かえって業務を遅延させるリスクもあります。

従業員が私物デバイスや無料サービスを利用して業務を行った場合、デバイスの故障やサービスの停止などによって、業務が中断される可能性があります。
また、シャドーITで利用しているツールやサービスが、既存のシステムと連携できない場合、データの移行や共有に手間がかかり、業務効率が低下する可能性があります。

シャドーITが原因で実際に発生した事件/事例

ここではシャドーITが原因で実際に発生した事件/事例を2つ紹介します。

顧客情報の漏えい

2023年7月、某情報通信会社で、業務委託先の派遣社員が顧客情報を不正に外部に持ち出していたことが発覚しました。
この事件は、派遣社員が業務用PCから顧客情報の保管サーバにアクセスし、個人契約している外部ストレージに情報をコピーしていたことが原因で発生しました。結果として、約590万件もの顧客情報が流出し、大きな社会問題となりました。

個人情報漏えい

2020年には、某銀行の行員が顧客情報を含むファイルを私用のオンラインストレージに保存し、情報漏えいが発生したケースが報告されています。

この行員は、顧客情報を含むファイルを私用のオンラインストレージサービスに保存していました。しかし、アクセス権限の設定ミスにより、意図せず情報が漏えいしてしまいました。
顧客情報だけでなく、銀行の内部情報も含まれていたため、大きく信用を損なう結果となりました。

シャドーITを防ぐための4つの対策

シャドーITを防ぐための対策として以下4点が挙げられます。

  • シャドーITに関する明確なルールを策定
  • リスクの周知徹底
  • 業務に必要なツール・サービスの整備
  • アクセス管理ツールの導入

それぞれのポイントについて解説していきます。

シャドーITに関する明確なルールを策定

シャドーITを防止するために、まずはシャドーITに関する明確なルールを策定することが重要です。

具体的にどのような行為がシャドーITに該当するのか、シャドーITが禁止されている理由、シャドーITを行った場合の罰則などを明確に規定する必要があります。なお、ルールを策定する際には、従業員の意見を反映させることも重要なポイントです。

ルールを策定したら、社内ポータルサイトに掲載したり、研修で説明したりするなどして、従業員に周知徹底する必要があります。

リスクの周知徹底

シャドーITのリスクについて、従業員に周知徹底することも重要です。特に、情報漏えい、ウイルス感染、不正アクセスなどのリスク、そしてそれらのリスクが企業にもたらす影響について、具体的に説明する必要があります。

周知の際には事例を交えて説明することで、従業員の理解を深めることに繋がるでしょう。また、シャドーITに関する相談窓口を設け、従業員が気軽に相談できる体制を整えることも重要です。

業務に必要なツール・サービスの整備

従業員がシャドーITをしなくてもいいように、業務に必要なツールやサービスを会社が整備することも重要です。従業員がシャドーITを利用する理由の一つに、業務に必要なツールやサービスが不足していることが挙げられます。そのため、従業員が必要とするデバイスやツール、サービスを会社が公式に提供することで、シャドーITの発生を抑制することができます。

ツールやサービスを導入する際には、セキュリティ対策が万全であることを確認しましょう。

SaaS管理システムの導入

SaaS管理システムを導入することで、シャドーITの利用を制限することができます。

SaaS管理システムは、SaaSアカウントの作成・削除・変更、パスワード管理、アクセス権限設定、利用状況の監視などを自動化し、一元的に管理することができます。

また、アカウントのライフサイクル管理にも柔軟に対応することができます。従業員の入社・退社・移動にあわせて自動的にアカウントを作成・削除したり、組織変更に伴いアクセス権限を一括で変更したりすることが可能です。

SaaS管理の課題を解決するには、Bundle by freeeの導入が効果的です。Bundle by freeeは、アカウントの発行や削除、棚卸し作業を自動化し、管理者の作業負担を軽減します。また、統合従業員データベースやオートメーション機能で、セキュリティリスクの低減と業務効率の向上を実現します。

ITツールの利用状況を可視化

アカウント管理台帳では利用状況をリアルタイムで把握することは難しいです。Bundle by freeeであれば、クラウドサービスの利用状況が一目でわかり、棚卸しが用意になります。
また、利用していないアカウントを自動検知し、ワンクリックで削除でき、中途退職者による情報の漏えいや無駄な課金を防ぐことができます。

アカウント発行・削除を自動化

通常であれば、入社・異動・退職に伴うアカウントの発行・削除は、通常、人事部や所属部署からの申請に基づき、システム管理者が手動で対応します。しかし、Bundle by freeeでは入社・異動・退職に伴う、アカウントの発行や削除を自動で行えます。
これによりアカウント発行・削除にかかる時間を85%削減することができます。

よくある質問

シャドーITの具体例は?

シャドーITの具体例には、従業員が私物のスマートフォンで会社のメールをチェックしたり、無料のオンラインストレージサービスに顧客情報を保存したり、個人のLINEアカウントで取引先と連絡を取ったりする行為が該当します。

シャドーITとBYODの違いは何ですか?

シャドーITとBYODの主な違いは、企業の承認と管理の有無です。

同じ私物デバイスを業務で使用する場合でも、企業の明確な許可と適切な管理がある場合はBYOD、そうでない場合はシャドーITとして区別されます。

シャドーIT化とは?

シャドーITとは、会社が許可していないデバイスやソフトウェアを、従業員が業務に利用することを指します。業務効率を上げる便利な手段のように思えますが、情報漏えいやウイルス感染など、企業にとって重大なセキュリティリスクを抱えています。

まとめ

シャドーITとは、会社が許可していないデバイスやソフトウェアを、従業員が業務に利用することを指します。業務効率向上に繋がるように思えますが、実際には情報漏えいやウイルス感染など、企業にとって深刻なセキュリティリスクを孕んでいます。そのため、シャドーIT対策が非常に重要です。上述を参考に、自社の状況に合わせて適切な対策を講じていきましょう。

SaaS管理の成功事例集

増え続けるSaaS管理の参考に!Bundle by freeeを導入いただいた企業様の成功事例をご紹介。

ダウンロード外部サイト

Bundle by freee ご紹介資料

3分でわかる!Bundleの機能・料金まとめ資料はこちら

資料をダウンロード外部サイト

SaaS管理の成功事例集

増え続けるSaaS管理の参考に!Bundle by freeeを導入いただいた企業様の成功事例をご紹介。

事例集をダウンロード外部サイト

情シスのSaaS利用実態
調査レポート

経営者・情シス1000名を対象に実施した大規模調査を無料で公開中!

資料をダウンロード外部サイト

関連記事