MDM(モバイルデバイス管理)とは?主な機能やメリット、選び方のポイントを解説
最終更新日:2025年09月01日
MDM(モバイルデバイス管理)とは、スマートフォンやタブレットなどの業務用端末を一元的に管理・運用するための仕組みです。
近年、企業でモバイル端末の活用が進む一方で、「管理対象の端末が増えて手が回らない」「情報漏えいが心配」といった課題も増えています。とくに情報システム担当者にとっては、限られた人員で複数端末を効率的に管理することが大きな負担になりがちです。
そうした課題の解決策として、多くの企業で導入が進んでいるのがMDMです。
本記事では、MDMの主な機能や導入メリット、ツールの選び方、導入時の注意点までをわかりやすく解説します。モバイル端末管理に悩む企業担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
- MDM(モバイルデバイス管理)とは
- MDMの主な機能
- MDM導入のメリット
- MDMツールの選び方
- MDM導入時の注意点
- MDMのおすすめツール比較
- Bundle by freee でSaaS型MDMも一元管理
- まとめ
- よくある質問
MDM(モバイルデバイス管理)とは
近年、企業でのスマートフォンやタブレットの業務利用が急速に進み、これらのモバイル端末はビジネスに欠かせない存在となっています。
こうした背景のなかで、企業が従業員に貸与するモバイル端末を効率的に管理するために注目されているのが「MDM(モバイルデバイス管理)」です。
MDMは、端末の設定や利用状況の把握、セキュリティ対策などを一括で行える管理ツールであり、情報システム部門の負担を軽減するとともに、情報漏えいなどのセキュリティリスクを低減する効果も期待できます。
企業全体のIT資産管理を最適化する手段として、MDMは多くの企業に導入されつつあります。
SaaS型MDMが注目される背景
MDMには、社内サーバーを構築する「オンプレミス型」と、インターネット経由で提供される「SaaS型」の2種類の提供形態があります。 とくに近年注目されているのが、クラウド上で提供される「SaaS型MDM」です。SaaS型は、インターネット環境さえあれば利用可能で、端末台数の増加にも柔軟に対応できます。さらに、システムのアップデートや保守作業をベンダーに任せられるため、運用負荷の軽減にもつながります。
こうした利便性と拡張性の高さから、多くの企業がSaaS型MDMを導入し、モバイルデバイスの効率的な管理とセキュリティ強化を実現しています。
MDMの主な機能
MDM(モバイルデバイス管理)は、企業のIT資産を効率的に管理し、セキュリティ対策を強化するために欠かせないさまざまな機能を備えています。
MDMに搭載されている主な機能について、以下で詳しく解説します。
モバイル端末の一元管理機能(遠隔操作機能)
MDMの中心的な機能のひとつが、モバイル端末の一元管理です。
管理者は、各端末のハードウェア情報やOSのバージョン、インストール済みアプリ、利用状況などを一覧で把握できます。
また、Wi-FiやVPNの設定、パスコードの適用といった初期設定も一括で実施でき、設定作業の工数を大幅に削減できます。
さらに、業務用アプリの一斉配布や遠隔操作にも対応しており、複数のモバイル端末管理の効率化を後押ししてくれます。
具体的な機能の例
リモートロック機能:遠隔操作で端末をロックし、操作できない状態に
リモートワイプ機能:端末に保存されたデータを遠隔消去して初期化
リモートパスコードリセット:パスコードを一定回数間違えた等の場合にデータを消去する
端末のモニタリングとアプリの制限機能
業務用モバイル端末の私的利用や、業務と無関係なアプリの使用は、情報漏えいや生産性の低下につながるリスクがあります。
MDMを活用すれば、アプリの使用状況をモニタリングし、不適切なアプリのインストールを制限することで、セキュリティの強化と業務の可視化が実現できます。
たとえば、勤務時間中のアプリ利用ログの取得やWeb閲覧履歴の確認、不正操作や改造の検知、SIMカードの抜き差しによる通知などが可能です。これにより、企業はセキュリティの強 化だけでなく、業務端末の適正な運用が図れます。
具体的な機能の例
ログ管理機能:電話の発着信やWebの閲覧などさまざまなログを取得
異常検知機能:端末の機能制限解除を検知し、管理者に通知
SIM監視機能:SIMの抜き取りや変更があった際に端末をロックし管理者に通知
位置情報取得機能:GPSを活用し端末の位置情報を取得
セキュリティ管理とデータ保護
モバイル端末は持ち運びやすいため、紛失・盗難によるリスクが常に存在します。また、業務中のWebアクセスやアプリ使用を通じて、情報漏えいのリスクも伴います。
こうしたリスクに対応するため、MDMはウイルス対策やデータの暗号化、リモートロックやワイプ(データ消去)機能 などを備えており、安全な端末利用環境を構築することが可能です。
また、業務で使用する特定のアプリの削除制限や、不正サイトへのアクセスブロックも柔軟に設定できるため、企業の情報資産を守る強力なセキュリティ対策となります。
具体的な機能の例
アンチウイルス機能:不正なアプリのダウンロードを検知・ブロックし、ウイルス感染を防止
URLフィルタリング機能:危険性の高いWebサイトなどへのアクセスを遮断
デバイス認証機能:デバイスの登録を行い、ユーザーの認証を強化
MDM導入のメリット
モバイル端末の業務利用が拡大するなかで、情報システム部門の業務負荷や情報漏えいリスクへの対応は、企業にとって喫緊の課題となっています。
そうした背景のなか、MDMを導入することで企業のIT資産管理やセキュリティ対策を効率的に推進できます。
ここでは、MDMの導入によって得られる主な3つのメリットを紹介します。
業務効率化につながる
MDMを活用することで、モバイル端末管理の業務を効率化できます。
たとえば、端末の初期設定や設定変更を自動化できるため、作業にかかる手間や時間を大幅に削減できます。さらに、複数の端末を一元管理できるため、誰がどの端末を利用しているのかをすぐに把握することも可能です。
アップデートや業務用アプリの配布も、MDMの管理画面上から簡単に行えるため、情報システム担当者の負担軽減につながります。
端末の私的利用を制御できる
MDMは、業務用モバイル端末の私的利用を抑制する手段としても有効です。
たとえば、業務に不要なアプリやWebサイトの利用を制限すれば、従業員の業務集中を促すことができます。また、端末の利用状況を可視化できるため、私的利用の兆候を早期に発見し、適切な対処が可能になります。
こうした取り組みにより、社内の生産性向上ももたらします。
盗難・紛失のリスクを減らせる
MDMの大きな強みは、モバイル端末の紛失や盗難といった万が一の事態に対し、迅速かつ適切に対応できる点です。
たとえば、遠隔操作で端末をロックしたり、保存されているデータを消去したりする ことで、情報漏えいのリスクを最小限に抑えることが可能です。また、GPSを使って端末の位置情報を取得する機能もあり、紛失や盗難時の早期発見にも貢献します。
重要な企業データを守るうえで、MDMは信頼性の高いセキュリティ対策ツールといえるでしょう。
MDMツールの選び方
MDMの導入効果を最大化するには、自社の課題や運用体制に合ったツールを選定することが重要です。
近年では多機能で高性能なMDMツールが数多く登場しており、価格、対応端末、サポート体制など、比較すべきポイントは多岐にわたります。
ここでは、MDM選定時に押さえておきたい3つの重要なポイントを解説します。
利用端末に対応しているか
最初に確認すべきなのは、MDMが自社で使用しているモバイル端末に対応しているかどうかです。
一般的には、iOSやAndroid、Windowsなどの主要OSに対応していますが、OSのバージョンや機種によっては、一部機能が制限される場合があります。とくにiOS端末では、Appleの仕様により制御できる範囲が限定されるケースもあるため、導入前にMDMツールの利用可能な要件を確認しておくことが大切です。
将来的な端末の追加や機種変更も見据え、幅広い端末に柔軟に対応できるMDMツールを選びましょう。
十分な機能が搭載されているか
MDMには、端末の位置情報の取得やリモートロック、アプリのインストール制御、利用ログの取得など、さまざまな機能が搭載されています。
そのなかでも、自社の課題を解決するうえで必要な機能が備わっているかどうかを事前に確認することが重要です。
また、日々の運用を担う情報システム部門が直感的に操作できるUIかどうかも、導入後の定着度に大きく影響します。無料トライアルなどを活用し、実際の使い勝手もチェックしておくと安心です。
サポートが充実しているか
MDMのスムーズな運用を実現するためには、ツールそのものの性能だけでなく、ベンダーのサポート体制も大きな選定ポイントとなります。
トラブルが発生した際、迅速かつ的確なサポートを受けられるかどうかは、業務の安定運用に直結します。そのため、サポート窓口の有無、対応時間、マニュアルの提供、操作研修など、サポートの内容を事前に確認しておきましょう。
とくに、初めてMDMを導入する企業にとっては、専任のサポート窓口やマニュアルの提供、操作研修などがあるかも事前に確認しましょう。サポートの質が高いツールを選べば、安心して運用を進められます。
MDM導入時の注意点
MDMは、企業にとって非常に有用なIT資産管理ツールですが、導入にあたっては注意すべき点もあります。
ここでは、 導入を検討する際に押さえておきたい2つの注意点を解説します。
導入にコストがかかる
MDMの導入には、初期費用や利用台数に応じてかかるライセンス料など、一定のコストが発生します。ツールの価格は、管理する端末の台数や搭載されている機能の範囲によって異なり、月額制や年額制が一般的です。
また、ツール自体の費用に加えて、導入作業や初期設定にかかる人的リソースも見込んでおきましょう。
さらに、従業員への利用方法の説明や操作研修など、社内周知にも手間と時間がかかるため、これらの費用を総合的に見積もり全体の費用対効果を見極めたうえで導入を進めることが重要です。
端末の利便性を損なう可能性がある
MDMを活用することで、セキュリティを強化できる反面、端末の使い勝手が低下するリスクもあります。
たとえば、「自由にアプリをインストールできない」「カメラ機能が使えない」など、過度な制限を設けてしまうと、現場の業務効率を下げてしまう恐れがあります。
導入にあたっては、セキュリティ対策と業務の利便性を両立させるバランス感覚が求められます。従業員に対しては、制限の目的や必要性を丁寧に説明し、納得感を得たうえで運用ルールを策定することが円滑な導入につながります。
MDMのおすすめツール比較
近年、多くの企業がMDMを導入しており、それに伴い市場にはさまざまなMDMツールが登場しています。
ツールによって搭載されている機能や対応端末、提供形態、料金体系、サポート内容などは大きく異なるため、自社の課題や運用スタイルにマッチしたサービスを選定することが重要です。
ここでは、代表的なMDMツールについて、特徴や対応端末、提供形態、サポート体制などを以下の表にまとめています。ぜひ、MDMツールを導入する際の比較の参考にしてください。
ツール名 | 提供形態 | 対応端末 | サポート体制 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
Bundle by freee | SaaS型 | モバイル端末、ハードウェア、備品関連全般 | トライアル環境あり、チャット・メール・オンラインヘルプなどサポート体制を構築 | SaaSアカウントを一元管理可能なツール。備品管理機能が搭載され、MDMとしての活用も可能 |
SKYSEA Client View | オンプレミス型/SaaS型 | Windows(※一部Mac対応あり) | 専任サポート・操作研修あり | キャリアやOSが異なる端末を一元管理。機器管理とセキュリティ強化に強みがある |
CLOMO MDM | SaaS型 | iOS / Android / Windows / macOS | 電話・メール・FAQ対応 | マルチOS対応のシンプルかつ直感的な操作性。サポート体制も手厚い |
Optimal Biz | SaaS型 | iOS / Android / Windows / macOS | 導入支援・24時間対応あり | 各種設定をデバイスごと、グループ単位、または一括で管理可能 |
FiT SDM | SaaS型 | iOS / Android / Windows / macOS ※端末により機能が異なる | 日本語サポート・導入支援あり | 日本国内での導入に特化したSaaS型MDM。業務に不要な機能の制御を細かく設定できる |
LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版 | SaaS型 | iOS / Android / Windows / macOS | オンラインヘルプ・電話対応 | セキュリティ強化に特化。ウイルス対策や操作ログ管理も一元化可能 |
Bundle by freee でSaaS型MDMも一元管理
SaaS型MDMの普及が進むなかで、SaaSツールそのものの管理ニーズも高まっています。
そんな 課題に応えるのが、freeeが提供する「Bundle by freee」です。このツールは、SaaSアカウントとそのアクセス権限を一元管理できるツールで、情報システム部門の運用負荷軽減に貢献します。
たとえば、従業員の入退社に伴う各種SaaSアカウントの発行・削除を一括で操作でき、作業ミスや対応漏れの防止につながるほか、業務効率の大幅な向上が期待できます。また、どのSaaSツールが誰に利用されているかを可視化できるため、シャドーIT(無許可のSaaS利用)への対策としても有効です。
MDMによる「端末管理」と、「SaaSアカウント管理」をあわせて行うことで、より強固で効率的なIT統制が実現できます。
「Bundle by freee」を活用し、現代のクラウド環境に最適な管理体制を構築しましょう。
まとめ
MDM(モバイルデバイス管理)は、企業のモバイル端末利用におけるセキュリティ確保と業務効率化を同時に実現するための重要な仕組みです。
業務効率化や私的利用の抑制、情報漏えい対策など多くのメリットがある一方で、導入コストや操作性といった注意事項がある点も把握しておく必要があります。
自社の課題に合わせた最適なMDMツールを選定し、効果的な運用体制を構築することで、情報システム部門の負担軽減と企業全体の生産性向上が実現できるでしょう。
よくある質問
MDM(モバイルデバイス管理)の意味は何ですか?
MDM(モバイルデバイス管理)とは、企業が業務用に貸与するスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を一元的に管理する仕組みのことです。セキュリティの確保や端末管理の効率化を実現する手段として、多くの企業で導入が進んでいます。
詳細は「MDM(モバイルデバイス管理)とは」をご覧ください。
MDM(モバイルデバイス管理)の主な機能は何ですか?
MDM(モバイルデバイス管理)には、端末の遠隔操作やアプリの使用制限、ウイルス対策、位置情報の取得など、多彩な機能があります。これらの機能を活用すれば、情報システム担当者の業務効率向上や情報漏えいリスクの低減が期待できます。
詳細は「MDMの主な機能」をご覧ください。
MDMを選定する際のポイントは何ですか?
MDMツール導入時は、対応端末や必要機能、操作性、サポート体制などを総合的に比較検討することが重要です。自社の運用環境やニーズに合ったツールを選べば、ツール導入の効果を最大化できます。
詳細は「MDMツールの選び方」をご覧ください。
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