情シスとは?社内SEとの違いや業務内容、課題などを解説


最終更新日:2025年1月22日

情シスとは?社内SEとの違いや業務内容、課題などを解説

企業において情シスは「縁の下の力持ち」として重要な役割を果たす部署です。情報システムの管理やIT戦略の立案を通じて、企業内の業務効率化やセキュリティ対策を支えています

一方で、情シス部は現場とそれほど深く関わるわけではないため、具体的な役割や業務内容がわかりづらい部署でもあります。

本記事では、情シス部の主な業務内容や役割をわかりやすく解説します。情シスが直面する課題や解決方法についても詳しく紹介するので、ぜひ最後までお読みください。

目次

情シスとは

情シスとは「情報システム部門」の略称で、社内IT関連業務を担当する部署です。具体的には、社内システムの運用やIT戦略の立案、デジタルデバイスの管理など、幅広い業務を担っています。企業によっては、システム管理部やIT戦略部、デジタル推進部など異なる名称で呼ばれる場合もあります。

たとえば、基幹システムの運用から社員が使用するPCやスマートフォンの管理、新しいシステムの開発や保守まで、情シスの業務は広範囲にわたります。情シスは企業活動の基盤を支える重要な存在といえるでしょう。

社内SEとの違い

情シスと社内SEは混同されがちですが、基本的にはそれぞれ違う役割を担います。情シスは既存のITシステムを運用・保守することを主な業務とする一方、社内SEは新たなシステムの企画や開発を担当します

また、情シスが部門全体を指すのに対して、社内SEは職種を指す場合があります。なお、企業によっては社内SEが情シスの業務を兼務していることもあります。

情シスの主な業務

情シスの主な業務内容は以下の4つに分類されます。

  • 社内ITシステムや機器の管理・運用
  • ヘルプデスク
  • IT戦略の立案・実行
  • セキュリティ対策

それぞれの業務内容について詳しく解説します。

社内ITシステムや機器の管理・運用

情シスの基本的な業務の1つが、社内のITシステムや機器の管理・運用です。基幹システムや社内ネットワークが正常に稼働するための管理に加え、社員が日常的に使用するPCやスマートフォン、タブレットなどのデバイス管理も行います。

これらのシステムやデバイスが正常に機能しないと、企業全体の業務に支障をきたす可能性があるため、情シスは重要な役割を担っています。

また近年は、リモートワークの普及に伴うクラウドサービスのアカウント管理や、リモートデバイスの設定といった新しい業務内容も加わっています。

ヘルプデスク

ヘルプデスク業務とは、社員のITに関する不明点への回答やトラブル解決を行う業務です。

具体的には、社員から寄せられる「システムが動かない」「アプリの設定がわからない」といった問い合わせに対応するほか、システムの基本操作やツールの使い方を指導する業務です。

とくに、デジタルリテラシーが低い社員が多い場合、情シスが迅速に相談や質問を受け付けることで、社員の業務効率が向上が期待できます。情シス主体でITツールに関する使い方の研修などを行えば、社員のITリテラシーも向上します。

IT戦略の立案・実行

情シスは、企業の経営戦略に基づいてIT戦略を立案し、実行する役割も担っています。たとえば、社内の業務課題や意見を吸い上げてそれに基づく新しい業務システムの導入や、プロセスの効率化を目的としたシステム改善の提案などが挙げられます。

立案したIT戦略に沿ってプロジェクトを進める場合は、全社を巻き込んで推進していくことで成功につながりやすくなります。企業の生産性や競争力を高めるためにシステムやツールの活用は必要不可欠であり、情シスが担う役割はますます大きくなっているといえるでしょう。

セキュリティ対策

セキュリティ対策も情シスの重要な業務です。サイバー攻撃や情報漏えいのリスクが高まるなか、ウイルス対策ソフトの導入やアクセス制御の設定、社員へのセキュリティ教育など、幅広い取り組みを行います。

とくに社員教育の部分では、パスワードの適切な管理方法や不審なメールへの対処法を周知することでヒューマンエラーを減らす対応が求められます。このような取り組みによって、企業の情報資産を守る体制を構築することが可能です。

情シスの抱える課題

前述のとおり、情シスは社内システムの管理運用やセキュリティ対策など、企業にとって欠かせない重要な役割を担っており、企業活動において多くの貢献をしています。

しかし近年はDXの推進にともない、情シスは以下のような課題を抱えています。

  • 人材・スキル不足
  • 業務過多
  • 部署予算の削減
  • 他部署との軋轢

それぞれの課題について詳しく解説します。

人材・スキル不足

DX推進が急務とされる昨今、IT人材の確保は多くの企業にとって深刻な課題です。経済産業省の「DXレポート」によると、2025年までに国内のIT人材は約43万人不足すると予測されています。

出典経済産業省「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開」

また、情シスに求められるスキルは多岐にわたり、ITインフラの構築・運用、サイバーセキュリティ対策、プロジェクト管理などが含まれます。このような広範囲のスキルを持つ人材を育成するのは時間がかかり、即戦力となる人材を外部から採用するのも容易ではありません。

その結果、現場では本来必要なスキルを持たないまま、多くの業務を抱えざるを得ないケースが増えています。このような問題は「2025年の崖」といわれています。2025年の崖については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

【関連記事】2025年の崖とは?経済産業省が示す問題の背景や企業の対策をわかりやすく解説

業務過多

情シスは、しばしば「なんでも屋」としての役割を担わされることがあります。社内のIT関連業務全般を担当するため、業務範囲が広がりすぎてしまうのが要因です。たとえば、日常的なトラブル対応やヘルプデスク業務に追われる一方で、経営戦略に基づくITプロジェクトの推進も求められる場合があります。

こうした状況では、個々のメンバーにかかる負担が過剰になりがちです。とくに、慢性的な人手不足を抱える企業では、情シスの長時間労働が常態化してしまうこともあります。

その結果、従業員の休職や退職といった問題が発生し、さらに業務が回らなくなる悪循環に陥るケースも少なくありません。

部署予算の削減

情シスは直接的に利益を生み出さない部門であるため、コスト削減の対象にされるケースが想定されます。とくに企業の業績が低迷している場合、情シスの予算が真っ先に削られる可能性もあり得るでしょう。そうなってしまうと、以下のような問題が発生します。

情シスの予算削減で起こりうる問題の例

  • 社内システムや機器の更新が滞る
  • 効率化を図るシステムやツールの導入が後回しになる
  • 必要な人材の採用やスキル育成が十分に行えない

予算削減は短期的にはコストを抑える効果がありますが、長期的には企業全体の生産性や競争力を低下させるリスクがあるため要注意です。

他部署との軋轢

情シスは組織全体をサポートする役割がありますが、その反面、他部署との間で軋轢が生じることも少なくありません。とくに、以下のようなケースが原因となります。

他部署で生じる軋轢の原因例

  • 導入したシステムが現場のニーズに合わない
  • IT関連の業務が増えることで、現場社員の負担が増加する
  • 情シスの対応が他部署の期待するスピードに届かない

これらの背景には、お互いの部署の業務内容や課題への理解不足が挙げられます。他部署は情シスの限られたリソースを把握できておらず、情シスも現場の具体的なニーズを十分に理解していない場合があります。

解決のためには、定期的な情報交換や新しいITシステム導入前の入念なヒアリングが重要です。

情シスの課題を解決するには

情シスは人材不足や業務過多を中心とした多くの課題を抱えています。

そこで、課題を解決するために重要なのが「アウトソーシングの活用」や「SaaS管理ツールの導入」です。それぞれの解決策について解説します。

アウトソーシングの活用

情シス業務の一部をアウトソーシングすれば、業務負担を減らして重要なプロジェクトに集中できます。とくに、定型的で時間を要する「社内ヘルプデスク業務」「業務端末の機器管理」「システム監視」などが外部委託に適しています。

社内からのIT関連の問い合わせやトラブル対応を外注すれば、情シスはIT戦略やプロジェクトの推進に集中できます。PCやスマートフォンなどのデバイス管理では、初期設定や故障対応を外部業者に任せることで、作業負担が軽減されます。

また、ネットワークやサーバーの稼働状況を24時間体制で監視する業務も、専門の外部チームに委託することで効率的な運用が可能です。閑散期や繁忙期に応じてリソースの調整も図れるため、コストの最適化もしやすいのが特徴です。

SaaS管理ツールの導入

複数のSaaSを利用している企業では、アカウント管理や利用状況の把握に多くのリソースを費やしています。不正利用や情報漏えいが起きないように、従業員のSaaSアカウントの管理や、退職に伴うアカウントの定期的な整理が必要です。

SaaS管理ツールを導入すれば、これらの作業を効率化し情シスの業務負担を軽減できます。たとえば、社員の入退社に伴うアカウント作成や削除を自動化すると、人的ミスを防ぎ、セキュリティリスクを軽減できます。

SaaS管理ツールおすすめ10選

社内での効率的なSaaS管理に適したツールは、近年ニーズが高まっています。以下のおすすめツール10選をご参考にしてください。

ツール名称提供会社
Bundle by freeeフリー株式会社
マネーフォワード Admina株式会社マネーフォワード
ジョーシス株式会社マクニカ
デクセコ株式会社オロ
ITboardアイティクラウド株式会社
iTAssetEyeNTTテクノクロス株式会社
SaaSパトロールSBテクノロジー株式会社
OPTiM サスマネ株式会社オプティム
LOCKED株式会社onetap
FreshserviceOrangeOne株式会社

よくある質問

情シスと社内SEとの違いは?

情シスは主に既存システムの運用や保守を担当し、社内SEは新しいシステムの企画・開発を担います。企業によっては社内SEが情シス業務を兼務している場合もありますが、基本的には異なる業務を担当します。

詳しくは記事内「社内SEとの違い」で解説しています。

情シスの業務内容は?

情シスは、ITシステムの管理・運用、ヘルプデスク業務、IT戦略の立案、セキュリティ対策など多岐にわたる業務を担当します。これらの業務は、企業のIT基盤を支え、効率的な運営に欠かせない役割を果たしています。

詳しくは記事内の「情シスの主な業務」を参考にしてください。

まとめ

情シスは、企業のIT基盤を支える重要な部署で、業務効率の向上やセキュリティ対策など、企業にとって必要不可欠な役割を担っています。一方で、人材不足や業務過多、コスト削減の対象になりやすいなどの課題も抱えています。

これらの課題には、アウトソーシングを活用した一部業務の外注化や、SaaS管理ツールの活用による効率化などの解決策が有効です。効率化に向けた取り組みを進め、情シスを戦略的な部署として成長させていきましょう。

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